DRAW:１７０ 機械仕掛けの防衛戦　作：人喰い

(170)




〜積木町・病院〜


【Side 火群】


火群「ーーーーっ」


……眠れない。

火群「……みんな、無事…だよな……」

ふと、窓の方に目をやると、丁度『決闘騎兵ファクトリー』が視界に映る。


火群「………もうそろそろ、あの場所でも戦闘がーーーーー」








…………

……………




〜積木町・決闘機兵ファクトリー〜





時刻は午前１時を過ぎた頃ーーーーーその時は突然訪れる。




メアリー「ーーーーっ！！」


工場内にアラームが鳴り響く。
それはすなわち、工場周辺……デュエルポリス隊による第１防衛ラインが突破された事を意味していた。


雫「……はわわわ…っ…！ もう突破されちゃったんですか…っ！？」

鈴華「…よ、予定より早いですわね…っ…！」


メアリー、雫、鈴華に加え、海外より駆けつけた決闘者数名を合わせた第２防衛班は、それぞれ配置について身構える。


メアリー「無線によれば、敵は２人！！
それに無数の黒焔を従えてるわ！！」

男「……黒焔を囮に第１防衛ラインを突破して来たって訳か…」

女「……！！ 来るわよ…！！ 覚悟を決めてッ！！」



ｶﾞｼｬｧｱｧｧｧｱｧｧｱｯｯｯ‼︎‼︎


轟音と共に、大量の黒焔トークンが窓ガラスを突き破り工場内に入り込んで来る。


雫「……っ！！」

鈴華「……ひ…っ…！？」


そしてその直後に、黒ローブに身を包んだ二人の人物が空いた窓から姿を現わす。

現れた二人は中に浮いており、フードを目深に被っているため表情が読めない。

メアリーはそんな二人に思わず顔を引きつらせ、帽子の鍔を後ろに回すと二人に対して挨拶を交わすーーーー


メアリー「…ハァイ♬ いらっしゃい…っ！！」















◉遊戯王 Ph.X◉
ーーーDRAW:１７０ーーー
《機械仕掛けの防衛戦》














メアリー「ーーーーそれじゃみんな！ 作戦通りによろしくっっ！！」


号令と同時に５人はそれぞれ別方向に駆け出し、壁に取り付けられたスイッチを一斉に押した。

すると、天井、床から、いくつもの壁が迫り出し、迷路のような空間を作り出してゆくーーーー



星奈「…！！ なにそれウッザ〜〜…っっ…！」


巨乳の女子「………っ……！！」


黒ローブの二人は迫り出す壁の合間を縫うように、宙を舞い進んでいく。

しかし二人のような機動力の無い黒焔は壁に阻まれ進めなくなってしまう。
そして壁を壊そうと突進を仕掛けようとしたところに、メアリーが立ち塞がる。

メアリー「ーーーアナタ達の相手はワタシだよ…っ！！」




…………



雫「……な、なんとか作戦通りいきましたね…っ！」

壁をいくつか挟んだところ、雫と、アメリカ出身の決闘者・マイクは地下へ向かって走っていた。

マイク「…ああ、だが油断はするなよ。シズク・カシワギ」


雫「…は、はいっ…！」


少し走る速度を上げたその時。

突如、右側の壁が突き破られる。


マイク「……ッ…！！」

雫「…っっ！！？」


そしてそこから黒ローブの少女が一人、勢いよく現れる。

巨乳の女子「ーーーーっ」


しかし、少女は雫の目の前で、一瞬、動きが止まった。

雫「ーーーーっ…！？」

その一瞬の隙を逃さず、マイクは黒ローブにタックルを食らわせる。

巨乳の女子「……が…っ…！」

マイク「…カシワギ！ 油断するな！！」

マイクのタックルにより少女は2メートルほど吹き飛ぶが、空中で態勢を立て直し、なんとか宙にとどまる。

巨乳の女子「………！」

少女は顔を起こすと同時にフードを被り直し、マイクと対峙する。

雫「……マイクさん…っ！！」

マイク「……カシワギ！……お前は先に行っていろッ！ ここは俺が食い止める！！」

雫「…！」

雫はそれに対して無言で頷き、走り出した。





…………






鈴華「…追って来ませんわね……」

更に別の地点。鈴華と、マイクと同じくアメリカから来た決闘者・ジェシカは工場内の一本道を走って行く。

ジェシカ「…そうね。けどこんな子供騙しの迷路で迷子になってくれるような連中じゃない事は確かよ」

鈴華「…うぅ…そうですわよね…っ」

ジェシカ「…壁を壊される事だって考えられる。
けど、例え壁を壊されたとしても、奴らに疲労を蓄積させる事ができれば、十分ね」

鈴華「…い、いっそ、上手く閉じ込められていれば！」

ジェシカ「…そこまで甘い相手ではないと思うけどーーーー」


ﾄﾞｫﾝ‼︎ﾄﾞｫﾝ‼︎ﾄﾞｫﾝｯ‼︎


鈴華「！？」

ジェシカ「……！！」


後方からの断続的な轟音に、思わず立ち止まり振り返る。

見ると、ガラガラと崩れた壁の向こうから黒ローブの幼女が姿を見せた。



星奈「ーーーもぉーっ！！ こんなところに精霊の力使わせられるとか、あり得ないんだけどぉ！」

ジェシカ「……！（幼い……女の子……！？）」


星奈「…それになんか閉じ込められるし迷子になるし……こんなの聞いてないよぉ……」

鈴華「……（思いっきり子供騙しにかかってたみたいですわね…）」


星奈は俯いて涙ぐむが、鈴華達に気づくと顔を上げ、涙目のまま叫ぶ。


星奈「…あーーっっ！！ やっと見つけたぁぁ！！」

ジェシカ「…！」

鈴華「……っ…！」


星奈「…精霊を持ってるそっちのおばさん！！ あたしと“でゅえる”しよっ！？」

ジェシカ「……おば……ッ…！？ 私まだ25なんですけど！？」

星奈「…えー、十分おばさんじゃん。あたしの中じゃ、２０歳超えたらみんなおばさんだよ？」

ジェシカ「……このガキ……っっ…！」

鈴華「…じぇ、ジェシカさん、落ち着きません…？」

ジェシカ「…スズカ！！ あなたは先に行ってなさい！！ どうやら彼女のご指名は私だけみたいだから」


鈴華「…え、あ、はいっ！！ お気をつけて！」


鈴華は踵を返し走り出す。
それを見送るとジェシカはキッと星奈を睨み、決闘盤を構える。

ジェシカ「……子供だからって油断しないわよ。全力で叩き潰すわ」


星奈「……それはこっちのセリフだよ…っ！
あたし、“ろぼっと”は壊すなって言われてるけど、人間は壊しちゃダメって…言われてないんだぁ…☆」


少女は頰を染め、恍惚な笑みを浮かべる。


星奈「ーーーーあなたもあたしの『夜空の一部(ｺﾚｸｼｮﾝ)』にしてあげる…☆」






To Be Continued…






《次回予告》




「次回、『遊戯王Ph.X』
DRAW:１７１《夜空を照らす一等星》






＊タイトルは予告なく変更になる場合があります。ご了承ください(廿V廿,,)乙