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HOME > 遊戯王SS一覧 > Episode81:断罪する魔神

Episode81:断罪する魔神 作:カズ

KUREHA→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0


 V S


AOI→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M&Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0




*TURN01
「私から行くわ。手札から『デモンズ・ソウルイーター』を召喚!このカードが召喚に成功した時、手札1枚を墓地へ送ることでデッキからカード名が異なる『デモンズ』カード2枚を手札に加えられるの。『デモンズ・コスモアロー』と『デモンズ・オルトロス』を手札に」
「以前戦った時とはだいぶ戦法が変わったのね。初っ端からバーンダメージを与えることに固執していたのに……」
「デュエリストは日々進化するものですから。魔法カード『デモンズ・コスモアロー』を発動し、デッキから『デモンズ・グール』を手札に加える。そして私はスケール2のデモンズ・メフィストとスケール11の『デモンズ・グール』で、ペンデュラムスケールをセッティング!!」


 紅葉は呪縛竜決戦に備え、デッキに多くのペンデュラムカードを導入した。というのも、ソフィアの使う【創世姫】は儀式召喚にペンデュラムを併せたものになっており、そのデッキ専用の儀式魔法の効果が厄介だと知っていたからだ。葵相手に手をこまねいているようでは、絶対にソフィアには勝てない。


「これでレベル3から10のモンスターを同時に召喚可能。ペンデュラム召喚!手札から現れよ、デモンズ・オルトロス、『デモンズ・リリス』!!」
「…ふん。たった2体だけじゃない。この程度じゃどうってこと」
「そして、レベル4のデモンズ・ソウルイーターとデモンズ・リリスでオーバーレイ!エクシーズ召喚!!ランク4『小悪魔っ娘デモンズ・サキュバス』!!」


 紅葉は儀式召喚以外の全ての召喚法を操れる。エクシーズ召喚も彼女がこの決戦のために用意した秘密兵器なのだが、初めて召喚したモンスターがサキュバス───夢魔なのは、紅葉の本心が見え隠れしてしまった結果だろうか。
 まだ彼女のターンは終わっていない。ここまでの展開で手札が1枚にまで減ってしまったが、それをリカバリーするためにメフィストを置いたのだ。


「このターン合計3体以上モンスターを特殊召喚したことで、メフィストのペンデュラム効果発動!このカードを破壊し、カードを2枚ドローする!続いてデモンズ・サキュバスの効果発動!オーバーレイユニットを1つ使い、このカードの攻撃力を相手ターン終了時まで倍にする。さらに墓地へ送られたリリスの効果も発動し、デッキから『デモンズ・オーク』を手札に加えるわ」


 デモンズ・サキュバスの攻撃力は4000になったばかりか、エクシーズ素材としたリリスによって与える戦闘ダメージは倍になっている。その淫らな外見からは似つかわしくもない超パワーだが、これも紅葉の戦術の1つだ。
 カード効果を巧みに操り、手札もあっという間に4枚にまで戻してみせた。


「カードを1枚伏せてターンエンド。この瞬間、デモンズ・グールのペンデュラム効果が発動し、デッキから『デモンズ・コンパニオン・プラン』をセットする」
KUREHA→LP:8000 手札:3 デッキ:30 Mゾーン:2 M&Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:2



*TURN02
(チッ……以前のデュエルで使っていたカードが1枚も見えないけど、本当に同じデッキなのかしら?まぁいいわ)
「さあ、今こそ復讐の時!私のターン、ドロー!!」


 復讐を果たすべき相手は、目の前にいる。それ以外の人間や景観は全く視野に入っていない葵は、デュエルを復讐の道具として利用していた。


「手札から魔法カード『堕天使の追放』を発動!デッキから『堕天使イシュタム』を手札に加えるわ!」
「堕天使?!デッキを変えてきたのね……」


 葵の新たなデッキ、それが【堕天使】だ。以前までは光属性の天使族と『神の居城-ヴァルハラ』を中心とした構築で猛威を奮っていたが、紅葉への復讐心に取り憑かれ、エースの甘い誘惑に乗せられた結果が今の彼女だ。


「手札のイシュタムの効果発動!手札からこのカードと『堕天使スペルビア』を墓地へ送り、2枚ドローさせてもらうわ。続けて魔法カード『堕天使の戒壇』を発動!墓地の堕天使スペルビアを選び、守備表示で特殊召喚!更にスペルビアの効果で、墓地のイシュタムも特殊召喚!!」



〇堕天使の追放(通常魔法)
「堕天使の追放」は1ターンに1枚しか発動できない。①:デッキから「堕天使の追放」以外の「堕天使」カード1枚を手札に加える。


〇堕天使の戒壇(通常魔法)
「堕天使の戒壇」は1ターンに1枚しか発動できない。①:自分の墓地の「堕天使」モンスター1体を選んで守備表示で特殊召喚する。


〇堕天使スペルビア(Lv8 闇)
天使族/効果
攻2900/守2400
①:このカードが墓地からの特殊召喚に成功した時、「堕天使スペルビア」以外の自分の墓地の天使族モンスター1体を対象として発動できる。その天使族モンスターを特殊召喚する。


〇堕天使イシュタム(Lv10 闇)
天使族/効果
攻2500/守2900
自分は「堕天使イシュタム」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:手札からこのカードと「堕天使」カード1枚を捨てて発動できる。自分はデッキから2枚ドローする。②:1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。



 堕天使に属する大半のモンスターは「ライフを1000ポイント払うことで、墓地の魔法・罠カード1枚と同じ効果を適用する」効果を持っている。これによって「1ターンに1枚しか発動できない」という「堕天使」魔法・罠カードのデメリットを補填することができているが、ライフポイントは無限ではない。ましてや、今敵対しているのはダメージを与えることに特化した【デモンズ】。どのカードの効果を適用するかは、より慎重に選んだ方がよいのだ。


「手札の『堕天使マスティマ』の効果発動!手札の『魅惑の堕天使』と『堕天使ゼラート』を墓地へ送ることで、このカードを手札から特殊召喚するわ!そしてイシュタムの効果発動!ライフを1000ポイント払い、墓地の『魅惑の堕天使』の効果を獲得出来る。その効果を適用し、スペルビアを墓地へ送ることで相手モンスター1体をターン終了時まで奪う!」
「…うっ。デモンズ・サキュバスが奪われるなんて……」
「攻撃力を上げたのが裏目に出たわね。続いてマスティマの効果も発動!1000ポイントのライフを払い、墓地にある堕天使の戒壇の効果を適用するわ。再び蘇れ、堕天使スペルビア!」
AOI→LP:6000


〇堕天使マスティマ(Lv7 闇)
天使族/効果
攻2600/守2600
自分は「堕天使マスティマ」を1ターンに1度しか特殊召喚できず、その②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:手札からこのカード以外の「堕天使」カード2枚を捨てて発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。②:1000LPを払い、自分の墓地の「堕天使」魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。その魔法・罠カードの効果を適用する。その後、墓地のそのカードをデッキに戻す。この効果は相手ターンでも発動できる。


〇堕天使ゼラート(Lv8 闇)
天使族/効果
攻2800/守2300
自分の墓地に闇属性モンスターが4種類以上存在する場合、このカードは闇属性モンスター1体をリリースしてアドバンス召喚できる。①:手札から闇属性モンスター1体を墓地へ送って発動できる。相手フィールドのモンスターを全て破壊する。②:このカードの①の効果を発動したターンのエンドフェイズに発動する。このカードを破壊する。


〇魅惑の堕天使(通常罠)
「魅惑の堕天使」は1ターンに1枚しか発動できない。①:手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「堕天使」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。相手フィールドの表側表示モンスター1体を選び、エンドフェイズまでコントロールを得る。



 スペルビア、イシュタム、マスティマ、ゼラート、そして奪ったデモンズ・サキュバス。1ターン目からペンデュラムにも劣らない展開力で紅葉を圧倒したが、葵は紅葉が伏せた『デモンズ・コンパニオン・プラン』を非常に警戒していた。彼女はそのカードの効果を全く知らないため、デモンズ・サキュバスの攻撃力を8000まで上げたとしても返り討ちに遭うのではないかと危惧していたのだ。しかしその効果を使わずとも、4体の攻撃表示モンスターで一斉攻撃を仕掛ければ1ターンキルが成立する。しかしそれは、紅葉に対抗策がなければの話。


「積年の恨み、このターンで晴らす!奪ったデモンズ・サキュバスでデモンズ・オルトロスに攻撃!」
「……この瞬間、永続罠『パンドラーズ・ボックス』を発動。相手の全モンスターの攻撃力は、私のターン終了時まで0になる!これでもう、あなたは攻撃できなくなったわ。そして破壊されたデモンズ・オルトロスのモンスター効果も発動し、デッキから『魔王デモンズ・レイ』を手札に加える」
「そ、そのカードは……」
KUREHA→LP:3800


 初めて紅葉と葵が激突したときのデュエルでも、決め手となったのが魔王デモンズ・レイだ。レベル10且つペンデュラム召喚でなければ特殊召喚出来ないというデメリットがあるが、それをものともしないステータスを誇る、いわば「もう1体の切り札」だ。
 この時、いつもより数段トーンを落として声を発した紅葉の背後には巨大な悪魔が映り込んでいた。葵がこのデュエルでやろうとしていることを絶対に止めさせるという意思が具現化したのだ。事実、紅葉は本気で「怒っている」。葵はそんな紅葉の姿を見て、たじろいだ。


「わ……私はカードを1枚伏せてターンエンド!ターン終了時、デモンズ・サキュバスのコントロールは元に戻るわ」
AOI→LP:6000 手札:1 デッキ:33 Mゾーン:4 M&Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0


*TURN03
(いきなり1キル狙いだなんて。だけど喜多村さん、貴方は今……)
「私のターン、ドロー!」


 デモンズ・サキュバスは紅葉のもとに帰還したが、折角の攻撃力もパンドラーズ・ボックスによって0になってしまった。しかし今の紅葉には、自分の力を信じられずエースの力に縋った葵など眼中になかった。


「手札から魔法カード『デモンズ・ダークナイト・フュージョン』を発動!ライフを1000払い、フィールドのデモンズ・サキュバスと、デッキの『デモンズ・ナイトメアパペット』を墓地へ送り融合召喚を行なうわ。現れよ、『堕天魔デモンズ・ルシファー』!!」
KUREHA→LP:2800


 ルシファーとは堕天使の内の1体であり、紅葉が使うには似つかわしくないと思えるが、キリスト教において堕天使は悪魔と同一視されている。ボロボロの翼を広げながらも紅葉に仕えるルシファーの姿は、神に反逆した成れの果てだ。そんな惨めな姿の悪魔を、葵は嘲った。


「はっ。とんだお笑いだわ」
「…かつて、お前は心に思った。私は天に上り王座を神の星より高く据え、神々の集う北の果ての山に座し、雲の頂に登っていと高き者のようになろうと。しかしお前は陰府に落とされた、墓穴の底に」
「は?」
「イザヤ書の一文です。ここに来る前に少し読んでみたんですけど、今の貴方にピッタリじゃないですか」
「何それ、イヤミ?」
「……デュエルで復讐したい貴方の気持ち、少しだけど分かります。私も以前、好きな人に刃を振りかざしたことがあったんです。正直言って、そのことを今も彼に謝りたい」


 かつて紅葉も同じ過ちを犯した。そのデュエルで自分の欲望を満たすために大切な人を傷つけ、絆を断ち切ろうとした。しかし、彼は全力で紅葉を止めてくれただけでなく、こんな自分に「大好きだ」と言ってくれた。それ以来、同じ過ちは二度と繰り返さないと心に決めたのだ。
 そして今、紅葉が戦っている相手は葵だが、かつて闇に堕ちた自分自身でもある。だからこそ、彼女には葵を救い出す義務がある。


「復讐の輪廻は、私が断ち切る!」
「へぇ…。じゃあ貴方は、このデュエルに負けてくれるんだ?」
「負けません!デモンズ・ルシファーの効果発動!イシュタムのレベル×200ポイントだけ、このカードの攻撃力をアップする!」
「無駄よ。罠カード『神属の堕天使』を発動!イシュタムを墓地へ送り、ルシファーの効果をターン終了時まで無効にし、そしてその攻撃力分のライフを回復するわ」
AOI→LP:9000



〇神属の堕天使(通常罠)
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。①:手札及び自分フィールドの表側表示モンスターの中から、「堕天使」モンスター1体を墓地へ送って発動できる。フィールドの効果モンスター1体を選び、その効果をターン終了時まで無効にし、そのモンスターの攻撃力分だけ自分のLPを回復する。



 【堕天使】はモンスター効果を発動するために1000ポイントのライフをコストとするが、それは決して軽いものではない。故に、払ったコストを取り戻せるカードも存在する。今の葵のライフポイントを全て削りきるのは並大抵のデッキなら骨が折れる。そう、「並大抵」なら。


「さっき墓地から手札に戻したデモンズ・ソウルイーターを通常召喚して、効果発動」
「その効果は使わせない。堕天使ゼラートの効果発動!ライフを1000ポイント払い、墓地にある神属の堕天使の効果を適用する。これでソウルイーターの効果は不発よ!」
AOI→LP:9600 デッキ:34


「本番はこっから!セッティング済みのスケール11のデモンズ・グールと、スケール1のデモンズ・オークを新たにペンデュラムゾーンに置き、ペンデュラム召喚!エクストラデッキからお願い、『デモンズ・オルトロス』『デモンズ・メフィスト』。そして手札から来て、『魔王デモンズ・レイ』!!」


手札消費を抑えつつ3体のモンスターをペンデュラム召喚したが、堕天使は元々の攻撃力も高いため、これだけでは次のターンが回ればパンドラーズ・ボックスの効果も終了し、返り討ちに遭う。このターンで仕留めなければならない紅葉が次に打った手は、またも融合だった。


「私は手札から速攻魔法『デモンズ・ドミネイテッド・フュージョン』を発動!フィールドのメフィストとオルトロス、つまりレベル5以上の闇属性モンスター2体を素材に融合召喚する。現れて、レベル8!『冥府の番人デモンズ・ハーデス』!!」


 紅葉のデッキには2種類の融合魔法がある。どちらも1ターンに1枚しか発動できず、いずれのカードで呼び出されても「デモンズ」モンスターとして扱われるが、状況次第で使い分けられる。ダークナイト・フュージョンの効果で呼び出されたルシファーは攻撃力が3000になり、ドミネイテッド・フュージョンで召喚されたハーデスはカード効果の破壊耐性が備わっている。
 加えて、全ての『デモンズ』と名の付いた融合モンスターには貫通ダメージを与える効果を持っている。この布陣でも十二分に強力なのだが、まだ紅葉には封印竜をも軽く凌駕する奥の手がある。


「喜多村さん、こんなこと聞くのは今更かもしれませんけど……デュエル、やってて楽しいですか?」
「な、何よいきなり!楽しいに決まっているじゃない!だって…」
「自分が勝利し続けることで優越感に浸ることが出来るから。それと同時に、自分以外のデュエリストを見下せるから。違いますか?」
「っ…!」


 言おうとしていたことをズバリ言い当てられ、葵は尻込みした。幼い内は葵もデュエルを純粋に楽しんでいたのだが、複雑な家庭環境や勝たなければならないというプレッシャーに押し潰された結果、次第に負けるのを極端に恐れ横柄な態度を取るようになった。そしてそれが、今の人格を生成する基盤となっていたのだ。


「本来デュエルは、自分だけじゃなくて対戦相手とも楽しんでやるものです。だけど今の貴方は、純粋なデュエリスト魂を投げ捨てて悪魔に魂を売った。貴方には……デュエリストを名乗る資格なんかない!私が今から、その汚れきった魂を断罪します!レベル10の魔王デモンズ・レイ1体で、アナザー・ディメンションゲートを解放!!」






───怒れる魔神よ、飽くなき野望を以て極限の壁を突き破り、全宇宙を統べる皇となれ!ビヨンド召喚!!───



───出でよ、グレード10!『魔神デモンズ・レイ・グレート』!!───




 紅葉の「怒り」に呼応するかのように、魔王は魔神となって進化を遂げた。このモンスターこそ封印竜に並ぶ、彼女のもう1体のエースモンスターだ。デモンズ・レイは「相手フィールドのモンスター2体の攻撃力を1000ポイントダウンする」効果だったが、未来の姿たるデモンズ・レイ・グレートは、その遙か上を行く。


「デモンズ・レイ・グレートのモンスター効果発動!このカードがビヨンド召喚に成功したことで、相手フィールドの全モンスターの攻守は3000ポイントダウンし、私のモンスターの攻撃力は1000ポイントアップ!そして、私の全モンスターに貫通効果とダメージ増加効果を付与する!」
「なっ……なんですって?!」


 葵の堕天使達は、前のターンに発動された『パンドラーズ・ボックス』の影響を受けて攻撃力が0になっている。唯一守備表示のスペルビアにはさほど大きな問題ではなかったのだが、魔神の前にはその程度の小細工は通じない。全てをねじ伏せ、圧倒的な力で勝利を掴む。
 紅葉のフィールドに存在する4体のモンスターの攻撃力を高い順に並べると、5000、4400、4000、2600。そしてデモンズ・レイ・グレートが付与した効果によって、闇属性モンスターには貫通効果に加え、与える戦闘ダメージは500ポイントアップしている。この4回の攻撃で紅葉が葵に与えるダメージはトータルで18000。これほどまで純粋にビートダウンに特化した戦術を、それも封印竜無しで立てられるのは彼女の他にいないだろう。


「バトル!デモンズ・ハーデスで堕天使ゼラートに攻撃!」
「ぐぅっ……!」
「これでトドメ!魔神デモンズ・レイ・グレートで、堕天使イシュタムを攻撃!ラスト・エンフォース!!」
「ぐっ…あぁぁぁーーーっ!!!」
AOI→LP:0



 エースに縋り勝利することに固執した葵と、自分のデッキを信じて真正面からデュエルに向き合っている紅葉。そんな2人の差は歴然だったが、プライドの塊である葵には負けを受け入れるだけの器量は持っていなかった。


「認めるものですか……。私はまだ負けてない!次に戦うときが本当の勝負よ。それまで決着はお預けだから、覚えていなさい!」
「あ、ちょっと!まだ爆弾の解除が……」
「あんなもの、全部ダミーよ!!」


 葵は逃げ去ったが、爆弾はダミーだった。よくよく考えれば、普通の中学生に爆弾のセッティングをさせるような危険な真似は出来ないはずだ。そちらの面では安堵できたが、葵との問題を解決できたわけではない。
無事に洗脳を解除できたかと思えば、彼女の復讐を止めることは出来なかった。しかしまた葵が自分の前に現れるのなら、今度はちゃんと説き伏せた上でデュエルにも勝つ。それでこの堂々巡りを本当に終わらせると紅葉は胸の内に誓った。


(ひょっとして私、やりすぎちゃったのかな……?)
「ううん、デュエルはいつでも真剣に、本気でやる。だけど今みたいに感情が先走ったら、救える人だって救えない。ソフィアさんとの時には、気を付けなきゃ」


 今のデュエルでは抑えていた感情が表に出てしまい、葵の気持ちを汲み取る前に叩きのめしてしまった。本気でやりつつ、如何にメンタルコントロールができるかがソフィアとのデュエルでの課題になるが、この時の紅葉はまだ、絶句するほどの悲しみに打ちひしがれる事件に出会すことなど思いもしていなかった。
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107 Episode74:覚醒の鼓動 1268 3 2017-09-22 -
117 Episode75:挑戦者の儀 1052 0 2017-10-05 -
122 Episode76:神速の決闘 1131 2 2017-11-14 -
51 Episode77:動き出す陰謀 823 2 2018-01-23 -
67 Episode78:最期の兄弟喧嘩 843 2 2018-03-03 -
136 Episode79:黄龍の手向け 916 2 2018-03-28 -
104 Episode80:堕天使の罠 889 0 2018-04-14 -
95 Episode81:断罪する魔神 872 0 2018-04-19 -
106 Episode82:姫君のバイブル 966 1 2018-05-07 -
115 Episode83:開かれたページ 1008 0 2018-05-11 -
152 Episode84:望まぬ決戦 1007 2 2018-05-29 -
67 未投稿オリカ紹介⑥(使用者:古城奏多) 869 0 2018-05-31 -
118 未投稿オリカ紹介⑦(使用者:清水ルーナ) 1096 0 2018-06-02 -
132 未投稿オリカ紹介⑧(使用者:アレックス) 989 0 2018-06-04 -
49 未投稿オリカ紹介⑨(使用者:リリー) 804 0 2018-06-06 -
183 未投稿オリカ紹介⑩(使用者:ソフィア) 1191 0 2018-06-06 -
109 呪縛竜のおさらい 816 0 2018-06-06 -
101 IF02:星 遊未 795 0 2018-06-09 -
66 Episode85:新たなる激闘へ 968 0 2018-07-10 -
100 Episode86:愛するもの 856 0 2018-07-27 -
67 Episode87:涅槃を超えた先 854 0 2018-08-10 -
111 Episode88:終焉の弧光 1233 0 2018-09-12 -
55 【重要】投稿再開のお知らせ 654 3 2022-06-04 -
39 Episode89:四竜が紡いだ奇跡 418 3 2022-06-25 -
43 Episode90:光臨者、天導レイン 413 2 2022-07-07 -
45 Episode91:舞い堕ちた天使 371 2 2022-09-03 -
45 Episode92:紅の決意 450 0 2022-09-19 -
35 Episode93:凛々しい黒羽 424 0 2022-10-04 -
50 Episode94:最強の双子 432 0 2022-10-24 -
31 Episode95:最凶の龍 434 0 2022-12-29 -
36 Episode96:神の恵 417 0 2023-01-18 -
50 Episode97:先導者vs時空竜 476 0 2023-01-22 -
29 Episode98:トワノチカイ 410 0 2023-02-14 -
36 Episode99:遊弥、復活 374 0 2023-03-12 -
32 Episode100:目覚めし星の光 379 0 2023-03-26 -
34 Episode101:決戦・冀望郷 341 0 2023-05-03 -
22 Episode102:最弱の意地 295 0 2023-06-28 -
11 Episode103:永遠の友達 167 0 2023-11-26 -

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