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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第12話 放課後と兎と北斗七星

第12話 放課後と兎と北斗七星 作:イベリコ豚丼

(あぁもう!! なに考えなしに感情的になっちまってんですか私は!!)
デートの翌日、沖島 茅野は自己嫌悪でどうにかなってしまいそうだった。
ハートピア外周部の住人の例に漏れず金銭のやりくりに日々頭を悩ませている茅野は、失踪した父が残していった借金についに首が回らなくなり白神 遊午に近付いた。彼が持つ−Noと呼ばれるカードを手に入れれば茅野の所属する組織〈CHESS〉から特別報酬が得られるのだ。
かくして、同じ学園の先輩後輩であることを利用した体を張ったトラップで茅野は見事遊午と関係を持つことに成功する。その後も甲斐甲斐しく身の回りの世話を焼くことで、時間は随分とかかったものの順調に好感度を上げていった。
努力は実を結び、ついには遊午とデートの約束を取り付けるにまで至る。
腕に自信のない茅野が−Noを手に入れるにはかすめ取るしか方法はない。注意散漫になりやすいデートは絶好のチャンスだ。
うまく−Noをゲットし兵士から塔へと昇進、いつ倒壊してもおかしくないボロ屋なぞさっさと引っ越して借金も完済して万々歳————となるはずだった。
が。
現実はそんなに優しくできていなかった。
デート先で不運にも借金取りに遭遇した茅野は、ターゲットから−Noを奪うどころか逆に痴態を晒し、あげく八つ当たりまでしてデートを台無しにしてしまったのである。
これで計画はご破算。また最初からやり直し。苦労して詰めた距離が全部水の泡。まったく、昨日の自分をロケットに閉じこめて宇宙に飛ばしてしまいたい。
……けれど、後悔しても今さら時が戻るわけでもない。
大切なのは失敗を踏まえてこれからどうするか、だ。
焦る頭でそう考えた茅野は、なんにしてもまずは遊午に謝まることにした。謝罪は時が経つほど言い出しにくくなる。
そして今日、夜中に布団の中で推敲に推敲を重ねた謝罪文を片手に遊午を放課後の教室に呼び出したのだった。
スライドドアの前で深呼吸をひとつ、汗ばむ手で遊午の教室の取っ手を引く。他学年の教室というのは普段から近寄りがたいものがあるが、それにも増して今日は妙に扉が重く感じられた。
「し、失礼します!」
視界が橙色に切り替わる。
部活組は早々にいなくなり、残りの生徒たちも帰宅したあとの教室はしん、と静まり返っている。置いてけぼりにされた教室もどこか寂しそうだ。
その一角に、少年が一人机に腰を預けて佇んでいた。
教室の出入り口に立つ茅野に背を向けて窓の外を眺めている彼こそがターゲットにして約束の相手、白神 遊午だ。
沈みゆく夕日に照らされた顔は、いつものくだけた性格からは想像もつかないほどに——そう、あのデートの折に垣間見たのと同様真剣味に満ちている。
まるで映画のワンシーンのような情景に声をかけるのも忘れて見入ってしまう。
「あ、茅野ちゃん」
どれくらいそうしていただろうか。
気配を感じたのか振り返った遊午からの呼びかけで我に返った。
「あ…………お、お忙しい中お呼びたてしちまってすみません」
「いや、いいよ。ちょうど俺も話したいことがあったんだ」
……いったいなんのことだ。
もしや盛大に罵倒されるのでは、と一瞬身構えるが、それにしてはいたく物腰が柔らかい気がした。
どちらにしろ、さっさと謝ってしまったほうがいい。
覚悟を決めて、茅野は勢いよく頭を下げた。
「昨日はせっかくのデートを台無しにしちまって本当に申し訳ありませんでした! 色んなことが立て続けに起こってちょっと気が動点してて……いえ、それで先輩に八つ当たりしていいことにはならねーんですが……」
いざ本番となると終夜考えた小綺麗な謝罪文などすっかり忘れてしまっていた。それで黙ってしまうわけにもいかず、思いつくままに言葉を繋ぐ。
その間遊午は一度も口を挟むことなく聞いてくれていた。
「……えと、だから、その、あの…………で、出来ることなら私ともう一度仲良くしていただけませんか!? お願いします!!」
最終的に自分でもいまいちよくわからない形で締めくくる。
表情を確認するのが怖くて頭を上げられないまま返事を待った。
怒鳴られるだろうか。冷笑されるだろうか。そもそも相手にされずに教室と一緒に置いてけぼりにされるだろうか。
それとも、
「わかった」
俯いた顔の前に右手が差し出される。すぐには意味がわからずしばらくまじまじと眺めていたが、それが握手だと気付いて目を丸くして遊午を見た。
目が合うと、穏やかに微笑み返される。
「これからもよろしくね」
顔と右手を何度か見比べてから、おずおずと右手を伸ばした。両の手の平が触れ合い互いの体温が混じり合う。包み込むような温かみにようやっと受け入れてもらえたんだという実感が湧いて、全身を縛りつけていた緊張の糸がほぐれた。呼吸の仕方を忘れていた喉から安堵の息を吐く。
ようやく少し心に余裕を取り戻せば、

「それで、さ。俺、茅野ちゃんのこと調べたんだ」

空いた隙間に言葉は容赦なく滑り込んできた。
「ぅ、あ…………?」
「昨日のこと、気になって。茅野ちゃんの家のこともあいつらのことも、それから、お父さんのことも」
なんで、という3文字が喉に詰まったまま一向に出てこない。それを蓋にしてさらに身体の中に言葉が溜まっていく。

調べた 全部 どうやって 借金
家のこと 全部って? 知られた いつの間に
どこまで やくざ CHESSのことは 嘘だ どうすれば
そんな でも 終わった 父親のことまで

無数の思考が渋滞を起こし、ないまぜになり、また次の色を搦めとってどんどん濁ってゆく。
もはや澱の化け物と化したそれらを上から塗り潰したのは、真っ赤に染まった感情だった。
「……ざっけんな」
「え?」
繋いでいた手を乱暴に振り払う。体温なんて、今全身を沸騰させている激情の邪魔でしかない。
「こんな小娘の内情をわざわざ調べてご苦労なことです。それで? 憐れだとでも思いましたか。可哀想だから施しを与えてやろうとでも考えましたか!?」
「そんな、違う!」
「同じ立場に立ったこともねー外野がわけ知り顔で振る舞ってんじゃねーです!! どうせポーズだけの同情で自分に酔ってんな! 他人の不幸を自己満足のダシにしたいなら他を当たれ! もう十分見下したでしょう、さっさと消えろよ偽善者が!!」
さっきまでしどろもどろだったことが嘘のように次から次へと言葉が口をついて出て行く。
「どいつもこいつも…………」
散々向けられてきた哀れむ目。自分より下位の存在に使う目。大嫌いなそれを今すぐ排してしまいたくて、茅野は感情の塊を投げ付け続けた。
「——どいつもこいつも!!」

その言葉がトリガーであったかのように。

茅野を中心に世界が静止した。

今にも沈もうとしていた太陽は最後の光芒を残したままに。
白と紫の雲は天球に縫い付けられたままに。
道ゆく人、街を貫く電車、壁を越える飛行機にいたるまでなにひとつとして動いているものはない。
そしてそれは窓の外だけではなく教室の中にしたって同様であった。
クリーム色のカーテンは不自然に固まり、逢魔ヶ時を指し示す壁掛け時計はいくら待っても微動だにしない。困惑が顔に張り付いた遊午との間に舞い上がった埃にだって今なら簡単に触れらそうだ。どころか、目には見えない空気の流れや圧までが死んでいる。
わざわざ精査するまでもない明らかな異常。時間停止という小学生でも理解できる超常。
しかしそれらを差し置いて、茅野の注意は眼前に向いていた。
視線の先にあるのは、不自然に空間を切り取ってできた小さな長方形の光源。厚みはなく、質量もなく、画像データをトリミングするぐらいの気軽さで世界に干渉するそれは、自らの姿を映し出す鏡を思わせた。

『汝、何を欲するか』

男の声のようで、女の声でもあり。天使の声のようで、悪魔の声でもあり。人間の声のようで、機械の声でもある。
そんな音としかいいようのない声で、白く輝く光源は語りかけてきた。
噂には聞いていた。−Noを発現するときにおかしな空間に取り込まれるだとか、謎の声に導かれるだとか、眉唾ものの体験談を所有者であるCHESSの上司が興奮気味に語っていた。そのときはもしそんなものに巻き込まれたらパニックになって−Noを手に入れるどころではないだろうな、と思った記憶がある。
けれど、実際起こってみれば不思議なほどに落ち着いている自分がいた。
異常も超常もどうでもいい。喋る光源だって些事に過ぎない。あれだけ欲していた−Noを手にする感慨さえ湧かない。
今の茅野の中にあるのはたった一つの意思だけだった。
「……私を、私の家族を傷つける奴らを追い払う力が、悪人も偽善者も暴き出して退ける力が欲しい……!!」
道端で転んだって誰も手を差し伸べてくれやしない。通行人はそもそも気付かないか、通過儀礼みたいに中身の伴わない同情を示して歩き去っていく。ときたま薄ら笑いとともに声をかけてくる人間は下心のおまけ付き。
だったらもう、自分で手をついて立ち上がるしかないじゃないか。

二度と誰にも食いものにされないために。
自分たちの身は自分たちで守りきるために。
茅野は他の全てを捨て置いて力を求めた。

『承知した。ならば力を貸そう』



世界が再び時を刻む。



太陽が完全に落ちきり、夜風に吹かれたカーテンが大きく揺れる。その余波で宙を舞っていた埃がいずこへ飛ばされていった。タイマーで自然光から人工の光に切り替わった教室に、カチコチと時計の秒針が響き渡る。
全てが慣れ親しんだ法則で回る世界には、もちろんあの光源は存在しない。
代わりに遊午の頭の隣でさっきまでは影も形もなかった銀髪の少女が茅野を睥睨していた。
細雪のように儚げな容姿とは裏腹に、神を前にしたようなプレッシャー。女の茅野でも嘆息してしまう美貌はいっそ破滅的という修飾がしっくりきた。
恐らく、あれこそが『R』。
CHESSの最大目標にして最終目的。
「遊午ッ、此奴今『成った』ぞ!」
「あぁわかってる! 刻印もばっちりだちくしょう!」
茅野の右腕を見て遊午が悪態をつく。いつの間にか腕の裏あたりから制服の布地を貫いてまばゆい光が放たれていた。多分そこに他の−No所有者同様幾何学的な模様が浮かび上がっているのだろう。本当にあの−Noを手に入れたのだとあらためて自覚する。
「消えねーなら……こっちから消すまでです!!」
なにかに惹かれるように学生カバンから旧式のデュエルディスクとD-ゲイザーを取り出して装着する。遊午も同様に。

「デュエル!!」

YUGO 4000
———VS———
KAYANO 4000

「私から、ドロー!!」
引いた1枚を加えてざっと手札を見渡し、左端のカードを摘み上げる。そのままカードを持った右手でデュエルディスクの側面のスイッチを操作、シャコン! という小気味いい音を発してディスクの内部から11番目のゾーンが顔を出す。
「フィールド魔法、宵ノ原を発動!」

宵ノ原 フィールド魔法

カードを表向きにセットして、再び台座をディスク本体に収納する。同時に半球状のARフィールドで区切られた空間が放課後の教室からカードにデザインされた景色そっくりに入れ替わった。
床の木目は柔らかそうなすすきに。無機質な天井は静謐の夜空に。備え付けの蛍光灯は狭霧のような雲に。そしてそれらを煌々と輝く満月が小高い丘で睨み合う2人のデュエリストを見守っている。
「宵ノ原を発動したとき、デッキからモンスターカード1枚を選択し、デッキの一番上に移動させることができます。さらに宵ノ原のもうひとつの効果も発動! デッキからカードをドローし、それが獣族モンスターだった場合フィールド上に特殊召喚します!」
ひとつ目の効果でデッキトップはもちろん。
「ドローしたカードは獣族のナナシネコ! よって攻撃表示で特殊召喚!」

ナナシネコ ☆1 ATK 0

「私はこれでターンエンドです」
すすきの間から現れたのは没個性な黒猫。唯一色の違う瞳を閉じているせいで目を凝らさないと夜闇では簡単に見失ってしまいそうだ。
「攻撃力0……俺のブリックナイトみたいに条件で攻撃力が変わるモンスターか? ……いや、憶測を重ねたって意味ない。女の子でもモンスターでも、まずは関わってみなくちゃあな! 俺はジャイロスラッシャーを召喚!」
『ハッ!』

ジャイロスラッシャー ☆4 ATK 1000

「バトルだ! ジャイロスラッシャーでナナシネコを攻撃!」

ジャイロスラッシャー ATK 1000 vs ナナシネコ ATK 0

「この瞬間、ジャイロスラッシャーの効果発動! バトルフェイズの間ジャイロスラッシャーの攻撃力は倍になる!」

ジャイロスラッシャー ATK 2000

目が覚めるように赤い甲冑を揺らして迫ってきていた剣士の気迫がナナシネコと組み合う直前で倍加した。
しかし、このぐらいなら想定内だ。
「手札を1枚捨てて、私もナナシネコの効果を発動!」
「ッ⁉︎」
「ナナシネコの名前と効果、そしてステータスを相手フィールドのモンスター1体と同じに変更しちまいます! 効果対象はジャイロスラッシャー!」
ナアァァァ! とナナシネコは高らかに鳴く。黄玉のような瞳を見開いてジャイロスラッシャーをひと睨みすると、直後、吹き抜けた上風がざわめくすすきの中にナナシネコを隠した。
振れたすすきが元に戻り、姿を見せたのは——黒猫ではなく赤い甲冑を身につけた剣士だった。
『ハッ!』

ジャイロスラッシャー ATK 2000 vs ジャイロスラッシャー ATK 2000

鏡像のごとく向かい合った2体のジャイロスラッシャーは今にも剣戟を繰り広げんと構え、
「速攻魔法、ジャイローテーション!!」

ジャイローテーション 速攻魔法

「ジャイロスラッシャーをデッキに戻して、代わりに同じレベルのジャイロマジシャンを特殊召喚する!」

ジャイロマジシャン ☆4 DEF 1000

「これでバトルは中断される。カードを2枚伏せて、ターンエンドだ」
「ちょこまかその場しのぎに避けたって意味ねーですよ! 私のターン、ジャイロスラッシャーでジャイロマジシャンにアタックです!」

ジャイロスラッシャー ATK 2000 vs ジャイロマジシャン DEF 1000

今度こそジャイロスラッシャーの剣が相手に届く。切っ先が確かにジャイロマジシャンを断った。
だが、ふたつに別たれたはずのジャイロマジシャンは蜃気楼のようにひとつに戻ってしまった。
「あ……っ!?」
「攻撃の前にリバースカードを発動してたんだよ」

ジャイロック 永続罠

「ジャイロックが俺のフィールドに存在する限り、「ジャイロ」モンスターは攻撃・効果の対象にならない」
「ですが、それだとダメージは……!」
「あぁ。攻撃対象にできる相手がいない場合、モンスターの攻撃はダイレクトアタックになる」

YUGO 2000
———VS———
KAYANO 4000

ターンの初めにすでにモンスターがいると、同レベルのモンスターを通常召喚するだけでエクシーズ召喚に繋がる。できるだけモンスターは破壊しておきたかったのだが……仕方がない。
まだやれることはある。
「自身の効果で別の姿を得たナナシネコは、私のターンのバトルフェイズ終了時に墓地へ送られます。……ですが、同時に効果発動! このモンスターが墓地へ送られたとき、得ていた名前と同名のモンスターをお互いのデッキから全て墓地へ送っちまいます!!」
「なっ……!?」
茅野のフィールドのジャイロスラッシャーが闇に溶け、黒猫だった頃よりさらに深い黒色の影になる。しばし宙に停滞した影は先端を触手のように蠢かせて遊午のデュエルディスクに潜り込んだ。
3枚のカードが影に絡め取られ、デッキから墓地へと移された。
「さらに魔法カード、猫まねき!」

猫まねき 通常魔法

「デッキに沈む獣族モンスターを山札の一番上に移動させます」
「! ってことは!」
「えぇ。宵ノ原の効果を発動することでデッキからカードをドローし、ドローした獣族モンスターを攻撃表示で特殊召喚します! また出番ですよ、ナナシネコ!!」

ナナシネコ ☆1 ATK 0

「またそいつか!」
「だから意味ねーって言ったでしょう。のらりくらりと逃げるなら、捕まえられるまで繰り返すだけです。ターンエンド」
はっきり言って茅野のデッキは弱い。
高くて強いカードを買う余裕なんてなく、ハズレとしてショップのゴミ箱に捨てられていた三流カードを拾ったり譲り受けたりしたものの寄せ集めでしかない。内容にしたって、緩い方向性を持たせてあるだけで個々の地力は貧弱だし手札事故は多いしで『爆発力』だとか『安定感』だとかポジティブな言葉とは縁遠かった。
それが今日は面白いように噛み合う。遊午がどんな手を使ってこようと勝利するビジョンしか見えないのだ。
感情の昂りに比例する高揚感と全能感。
これもまた−Noの影響なのだろうか。
「くっ……茅野ちゃん! 俺の話を聞いてくれ! 俺は君を傷つけるつもりなんて……」
「うるっさい!! どうせ聞こえのいいことしか言わねー戯言なんて聞く価値ねーです!」
「っ! 俺のターン、ドロー! ……ジャイロサモナーを召喚!」

ジャイロサモナー ☆3 ATK 1200

「さらにオートトレーサーを特殊召喚!」

オートトレーサー ☆1 ATK 0

「モンスターの召喚に成功したとき、オートトレーサーは手札から特殊召喚できる。そしてここでジャイロサモナーの効果を発動! 今特殊召喚したオートトレーサーを手札に戻して、代わりにジャイロガードナーを通常召喚する!」

ジャイロガードナー ☆4 ATK 700

「これにより、オートトレーサーは改めて特殊召喚条件を満たす。行け!」

オートトレーサー ☆1 ATK 0

瞬く間に相手フィールドに4体のモンスターが横並んだ。やはりモンスターを破壊し損ねたのは失策だったらしい。
しかし、モンスターたちのレベルは1、3、4と見事にバラバラだ。これならばエクシーズ召喚される心配は……
「まだこっからだぜ」
そんな茅野の心中を見透かしたかのように遊午は告げた。
「ジャイロマジシャンの効果発動! フィールド上の2体のモンスター、ジャイロサモナーとオートトレーサーを対象に、そのレベルを1〜4の任意のレベルに変更する!」
「!!」
「俺はレベル2を選択。これにてレベルが揃ったジャイロサモナーとオートトレーサーでオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚! 現れろ、スプリングスプラウト!」
枯れ草色の大地に春を凝縮した新芽が萌芽する。芽は蕾へ、蕾から花へと一気に膨らんで花開き、花弁の内部から月下へと弾かれたように手乗りサイズの妖精が翔び立った。
『キャッ』

スプリングスプラウト ★2 DEF 1800 ORU 2

「続けて、残ったジャイロマジシャンとジャイロガードナーでもエクシーズ召喚! 現れろ、−No.39。天騎士ウィングリッター!!」
宝石箱を思わせる星屑の渦をさらなる光で浄化して、一対の柄持つ剣が夜を裂く。なにものにも染まらぬという頑なな意思を感じさせる純白の剣である。
直後、内に秘める光を抑えきれなくなったかのごとく刀身が弾けた。放射状に飛び散った破片は月に照らされ羽根となり、羽根同士は重なりあって糸となる。それが収束すると、今度は糸と糸が結ばれて徐々に立体的な形をとっていく。
白い鉄兜。白い籠手。白い胸当。白い具足。
「綺麗……」
武骨なはずなのにどこか女性的な印象を与える特徴的な鎧を前に、茅野は無意識のうちに賞賛の言葉をを口にしていた。
さもありなん。それほどまでにそのモンスターの美しさは圧倒的なのだ。造られた美ではない創られた美は、どれだけ拒もうとも力ずくで理性をこじ開けて本能を揺さぶってくる。
『セアァッ!』

−No.39 天騎士ウィングリッター ★4 ATK 2500 ORU 2

「ウィングリッターのエクシーズ召喚に成功したとき、ライフを800回復する。『サモンズ・ホーリー』!」

YUGO 2800
———VS———
KAYANO 4000

「加えてウィングリッターのオーバーレイ・ユニットをひとつ消費して効果発動! このターン俺のライフが回復する度に、同じ数値分だけウィングリッターの攻撃力をアップする! まずは800ポイント!」

−No.39 天騎士ウィングリッター ATK 3300

「バトルフェイズだ。ウィングリッターでナナシネコに攻撃!」

−No.39 天騎士ウィングリッター ATK 3300 vs ナナシネコ ATK 0

「ナナシネコの効果を忘れちまったんですかッ? 手札を1枚捨てて、ウィングリッターの姿を……」
「忘れちゃいないよ。ナナシネコの効果にチェーンして、ふたつのオーバーレイ・ユニットと引き換えにスプリングスプラウトの効果を発動!!」

スプリングスプラウト ORU 0

「発動したモンスターの効果を『互いのプレイヤーがライフを500回復する』効果に変更する! 『ヴァーナルブリーズ』!」
「あっ!?」
フィールドを揺らさんと吹き下ろした木枯らしを打ち消すように、真逆の位置から暖かな風がそよぐ。風がナナシネコを撫でると闇に溶けかけていた黒毛が元の形に戻された。
書き換えの書き換え。見事に一歩先を行かれてしまった。

YUGO 3300
———VS———
KAYANO 4500

「これでウィングリッターの攻撃力はさらに500上昇する」

−No.39 天騎士ウィングリッター ATK 3800

「さぁ、バトル続行だ。ウィングリッター! 『クロスウィング』!!」
『ハアァァッッ!!』

−No.39 天騎士ウィングリッター ATK 3800 vs ナナシネコ ATK ?

「かっ……!!」

YUGO 3300
———VS———
KAYANO 700

効果を発動し損なったナナシネコの攻撃力は0のまま。
ウィングリッターの十字斬りをモロに受けてしまった茅野は身を縮こませて身体の芯に響く衝撃をやり過ごした。
「ターンエンド」
遊午の宣言が嫌にクリアに聞こえる。
転びそうになる姿勢をなんとか制動しつつ、茅野は考えた。
——なんでいつも、こんな目に。
弱者に厳しく強者に甘く。
社会はどうしようもなく歪にできている。
強者は弱者を虐げ、弱者はそのまた弱者で鬱憤を晴らす。それがどんどん積み重なってゆき、割りを見るのは八つ当たりする力も持たない自分たちのような最底辺だ。
家族だけでもそうだった。
新興やくざの下っ端として働いていた父は上の人間からいいように扱われ、家に帰ってくるなり苛立ちを肴に酒に入り浸っていた。やがて酒だけでは抑えきれなくなると、今度は物に当たるようになった。コップや灰皿といった小さなものから机や障子など目に付くもの全てに暴力を振るった。

まず環境が壊れた。

その凶拳が人に——すぐそばにいた家族に向くのにそう時間はかからなかった。
茅野は酒を持ってくるのが遅かったから殴られた。
弟の黒は子供らしく笑っていたから殴られた。
弟の白はそれを見て泣いたから殴られた。
妹の紅はなにもしなかったから殴られた。
母は子供たちを庇って殴られた。
朝も殴られた。
昼も殴られた。
夜も殴られた。
腫れ上がった顔では学校に行けず、家の隅でじっとしているとまた殴られた。家の中はいつも父の怒鳴り声と誰かの泣き声で満ちていた。

そうして家庭が壊れた。

地獄の日々は突然に終わりを迎えた。
ある日を境に父が家に帰って来なくなったのだ。
父の安否よりも先に、これでもう殴られなくて済むという安堵が先に走った。
父の失踪からしばらくして、父の上役だという男が家の扉を叩いた。
男の話によれば、父は組の金を盗んで消息を絶ったという。最初はなにを言っているのか理解できなかったが、辛そうに何度も何度も頭を下げる母を見ているうちに肩代わりを求められているのだと気付いた。
それからの母は父が最後に残していった子種を身籠っていたにも関わらず昼夜問わず働き詰め、お腹が大きくなるのに反比例して日に日にやつれていった。見ていられなくなった茅野がなにか手伝いたいと申し出ても、母は疲れた笑顔で茅野の頭を撫でるだけだった。
あのとき意地でも手伝っておけばよかったと今でも思う。
数週間後、仕事場で破水した母は近所の病院に緊急搬送され、そのままベッドから出られなくなった。過労と、生来身体が弱かったのも災いして、内臓が出産に耐えきれなかったのだ。
産まれたばかりの娘を隣に『ごめんね、ごめんね』と誰にもなく謝り続ける母の姿は、15になったばかりの茅野の心に一生抜けない棘を突き刺した。

そうして心が壊れた。

床に伏した母の代わりに、茅野は母の代わりとして全力を尽くした。CHESSに入隊したのもこの頃だ。どんな怪しい仕事内容でも家族を養えるだけの金が稼げるならそれでよかった。たったひとつ残った家族という居場所が守れるのならなんでもよかった。
それなのに。
社会はまだ茅野たちを嬲って逃さなかった。
汗水垂らして力仕事に従事し路地裏で嘔吐する姿を嫌悪の目で見て通り過ぎる人間はまだいい。社会に晒されたばかりで無知な少女にハゲタカように集って肉を啄ばんでいく輩が後を絶たなかった。
騙られ奪われ、もう失うものもなくなってから、ようやく茅野は気付いた。
この社会に味方なんていない。
自分以外には自分を守る者は存在しない。
だったら近寄ってくる手は全部払えばいい。どうせその手はまたなにかを壊していくのだから。
「……みんなみんな、いなくなっちまえばいーんです」
呪詛のように茅野は唱える。
「どうせ誰も助けてくれないんですから! どうせみんな裏切るんですから! 私たちに関わってくる奴らはみんなみんないなくなっちまえばいーんです!!」
「ッ!!」
刹那、茅野の右腕で光が爆発した。
光に当てられた遊午が思わず顔を覆う。
「先輩、あなたもどうせ私を脅迫していいように使うつもりだったんでしょう? はっ、嘘臭い顔しやがって、嬉しそうに研いだ爪が透けて見えてんですよ。————小動物が喰われてばっかだと思うなよ」
言葉を吐き捨て、デッキからカードをドローする。
わざわざデッキトップを調整しなくても、なにを引いてどうすればいいか手に取るようにわかる。
もちろん、−Noへの繋ぎ方も。
「猫童を攻撃表示で召喚!」
『ニャン♪』

猫童 ☆3 ATK 500

「続けて魔法発動、猫ノ音!」

猫ノ音 通常魔法

「自分フィールドの獣族モンスターを選択し、その同名モンスター2体をデッキから効果を無効にして特殊召喚します! 私は当然猫童を選択!」
カードの発動に応じて偽物の空から黄金色の鈴が降りてくる。複雑に編み込まれた麻縄がぶら下がったそれは、神社の拝殿で見る鈴緒に似ていた。
猫童が綱の先を握ってゆする。静まりかえったすすきの丘に広がる魔を祓う鈴の音。
澄んだ響きの後には2体のモンスターが残った。

猫童 ☆3 ATK 500

猫童 ☆3 ATK 500

「レベル3のモンスターが3体……来るぞ遊午!!」
「茅野ちゃんの−No……ッ!」

「3体の猫童でオーバーレイ・ネットワークを構築。エクシーズ召喚!」
月華の真下、丘の頂上で頭に猫耳を生やした和服の童女たちが輪になって回転を始める。有名なわらべ歌のリズムに合わせて3匹がニャン、ニャン、ニャンと踊り出すと、やがてその輪舞は夜空に瞬く綺羅星に勝るとも劣らない光の渦に変わった。
「現れちまってください、−No.33。白兎の巫女イナバ!!」
光の逆流の中を桜襲の反物が泳ぐ。
宙をひらめく反物は風に煽られて縦に横にパタパタと広がっていき、最終的には夜空を覆うほどのサイズになった。
いや、文字通り夜空を覆ったのだ。
反物は花閉じるように中天を軸に裏返ると、緋色の裏地を表にして煌々と明かりを放つ満月をくるんでしまった。そのまま時間をかけてふくらみが治り、空から月が消える。
唯一の光源を失い、静謐に閉じ込められた空間に、ふとどこからか鈴の音が反響した。さっきの猫ノ音のものとはまた違う幽玄な調べ。
波紋のごとく広がる音に合わせて月をくるんだ反物が解ける。
中から現れたのは満月ではなく、白衣に行灯袴——つまりは俗に言う巫女装束に身を包んだうら若い少女だった。
俯き気味な少女は長い黒髪と目元を頭にかぶった真っ白なフードですっぽり隠しており、そのフードには閉じたひとつ目の刺繍と兎を思わせる長い耳が遇らわれている。
人の姿を持ちながら人の域には収まらぬ荘厳さ。
最後に少女の周りに舞っていた月光の残滓が袂の刻印に収束すると、鈴音は鳴り止んだ。

−No.33 白兎の巫女イナバ ★3 ATK 2000 ORU 3

茅野自身初めて見る−No。
そのはずなのに、まるで生まれたときからずっと一緒に育ってきたような親しみを覚える。
実際それは間違っていないのかもしれない。
−Noとは己の現し身だという。だとするならば彼女は自分の中のもうひとりの自分、外に生きる茅野《じぶん》に対して内に眠る−No《じぶん》ということになる。
であれば手を取っても問題あるまい。
だって世界で唯一の味方である自分自身の手なのだから。
「な、なんだッ?」
イナバの召喚成功と同時にふたりのデュエルディスクが次々にカードの像を空中に投影し始める。遊午は15枚、茅野は7枚。名前も種類も様々だ。
「ジャイロブラスターにジャイロクラッシャー……って、これ全部非公開情報のカードじゃねぇか! いったいどうなってんだ!?」
一見するとディスクの故障のように思われるが、そうではない。
イナバ召喚の糧となった満月に代わっていつの間にか夜空に昇っていた青白い三日月の下、茅野は宣言する。
「『全てを映す月光の煌めき《クリアフルムーン・イン・ザ・スカイ》』。オーバーレイ・ユニットを持ったイナバがフィールドに存在する限り、プレイヤーは手札、セットカード、エクストラデッキおよびデッキトップのカードを全て公開しなければなりません」
「ばっ……!? 聞いたことないぞそんな効果!」
「たわけ! −Noを既存カードの物差しで測れるわけがなかろう!」
「そうだけど……ッ!」
「拒絶するな、受け入れろ! 思考を止めるな、考え続けろ! それが出来ん者は−Noの奪い合いで生き残れんぞ!」
「Rの言う通りですよ。——それにまだ、終わりじゃねーんですから」
茅野は投影されているカード群のうち、デッキトップのカードを一瞥する。
フレームの色は濃い茶色。すなわち効果モンスター。
「フィールド魔法、宵ノ原の効果。デッキからカードをドローし、そのカードが獣族モンスターだった場合特殊召喚します。今デッキの一番上に位置するカードは、ご覧の通り獣族モンスターの月下猫神。よって攻撃表示で特殊召喚!」
『ニャアァォオオン!!』

月下猫神 ☆8 ATK 3000

青い月から降ってきた巨大な白猫が粉塵を巻き上げてフィールドに着地する。位置的にちょうど良かったのか、猫神の広い額にイナバが乗った。
「バトルです。月下猫神でスプリングスプラウトを攻撃!!」

月下猫神 ATK 3000 vs スプリングスプラウト DEF 1800

「月下猫神の攻撃力がバトルしたモンスターの守備力を上回ったとき、相手に貫通ダメージを与えます!」
「ぐぁ……ッ!」

YUGO 2100
———VS———
KAYANO 700

「ここでオーバーレイ・ユニットを使ったイナバの効果!」

−No.33 白兎の巫女イナバ ORU 2

「カード名をひとつ宣言し、その名を持つ相手のカードをあらゆる場所から裏側表示でゲームから除外します!」
「裏側で除外、だと!?」
イナバのフードに縫われた単眼の刺繍が糸を引きちぎって瞼を開く。晒された虹彩は、自分の血が流れこんだ風な緋色に染まっていた。
「私は『−No.39 天騎士ウィングリッター』を宣言。『森羅万象を見抜く弧月の深紅眼《クリアクレセント・レッドアイズ》』!!」
単眼が白騎士を見定める。するとウィングリッターは巻き戻し映像のようにカードの状態へ戻されてしまい、そのままディスクに吸い込まれていった。
「モンスターの効果によってフィールドからカードが離れたことで、さらに月下猫神の効果が起動されます! 相手に1000ポイントの効果ダメージを与える! 『月哮』!!」
「ッッ!!」

YUGO 1100
———VS———
KAYANO 700

「イナバの効果を発動したあと、ターンは強制的にエンドフェイズへと移行します。なのでこれでターンエンドです」
「おいおい、なんて噛み合い方だよ……! 茅野ちゃんの−Noはさっき発現したばっかのはずだろ!?」
「デュエリストの心情が投影されるという意味ではデッキと−Noに大差はない。まるで元からパーツに組み込まれていたような振る舞いをしてもなんらおかしくはないじゃろう。第一、相手は−Noじゃぞ」
「くそっ……それで全部納得しちまえる自分が嫌になるぜ! 俺のターン、ドロー!」
「今ドローしたカード、そして次にデッキの一番上に来たカードも『全てを映す月光の煌めき』によって公開されます」
「……俺はドローしたモンスターを裏側表示でセットして、ターンエンド」
どうせあのカードは所詮苦し紛れの壁モンスターだろう。
勝った、そう確信した茅野は追加された情報に目を通さずにカードをドローした。
「私のターン! さぁこれで終わりです! 月下猫神でセットモンスターにアタック!」

月下猫神 ATK 3000 vs ??? DEF ?

表になったカードは透かし見た通りランクリボー。
しかし、
「ダメージが発生する直前、ランクリボーの効果を発動する!」
「えっ!?」

ランクリボー ☆1 DEF 200

「ランクリボーが行うバトルでは、貫通ダメージ含め全てのダメージが無効になる!」
「っ! だ、だったらイナバでダイレクトアタックすればいいだけです!」
「それはどうかな?」
「?!」
「自分の墓地からエクシーズモンスター1体を除外することで、このターンランクリボーは除外したモンスターのランクと同じ数まで戦闘では破壊されなくなる! 俺は墓地に眠るスプリングスプラウトを除外。よって月下猫神とのバトルではランクリボーは破壊されない!」
『クリィ!』
猫神の一撃が炸裂する直前、突如地面から伸び上がった蔦に絡めとられる。猫神は勢いに任せてなんとか蔦を突破しようとするも、あと一歩というところでランクリボーには届かない。
「くぅ……!」
ランクリボーがセットされた時点で効果を確認しておけばよかったと思ってももう遅い。
仕方なく茅野はターンをメインフェイズ2に移行させる。
「イナバのオーバーレイ・ユニットをひとつ使い、ランクリボーを宣言。裏側表示で除外します! そして『月哮』の効果により1000ポイントのダメージです!」

YUGO 100
———VS———
KAYANO 700

「なんで、ですか……っ!」
『森羅万象を見抜く弧月の深紅眼』の強制力によりターンが終了する。
ダメージを受けたのは遊午のはずなのに、茅野は胸を押さえて喘いだ。
「どうせあなたも軽い気持ちで私に近付いたんでしょう!? だのにここまで追い詰められて割に合わねーと思わないんですか!? なんでまだ関わろうとするんですか!? どうせ助けてくれやしねーのに!!」
「どうせどうせ……そうやって最初から決めつけて、なにもかも抱え込んできたのか」
「ッ!?」
たった一言で言葉の矛先が逆転した。
「誰でも彼でも信用しろとは言わねぇよ。世間には善人のフリして人を騙す輩がどうしたって絶対数いる。だけど、本当に救われたいならそれっぽっちのことで諦めてんな!」
「……! か、勝手なこと言わねーでください! 今まで私がどんな目にあってきたかも知らねーくせに!!」
「知ったこっちゃねぇよそんなこと!! 昔どうだったとか、前はどうされたとか、それがどうしたっていうんだ! 傷ついてるのは今の自分だろ!」
遊午の叫びは怒っているようにも泣いているようにも聞こえた。まるで茅野に向けられている悪意が自分のことであるかのように。
「苦しいなら叫び続けろよ、辛いなら何度でも泣けよ! 歯を食いしばって痛みに耐えてちゃ、こっちにゃ救っていいのかもわからねぇんだよ!!」
他人に相対すると、いつも古傷が疼く。相手の視線や言葉から過去の絶望を思い出してしまう。
それがなんだか今日はおかしい。遊午の視線で、言葉で、確かに殴打されているはずなのに、痛みは内側からくる。
こんな痛みは初めてだ。
「……はっ。昨日は無理だったけど今日ならとか、今日が駄目でも明日ならとか、そんな都合よくいくわけねーでしょう……! 世の仕組みがそんな風に単純なら、私なんかとっくに救われてますよ! 世界はどこまでいっても残酷で、正論は何度やっても屁理屈に負けて、弱者はどうやったって弱者のままで、だから身を守るためには自分で自分を隔離しなくちゃいけない。そうやって生きていくしかねーんですよ! それを……そんな悪夢をどうにかできるっていうなら——」
慣れない痛みからさっさと解放されてしまいたくて、家族のために大人にならなくちゃならなかった茅野は子供のように慟哭した。
「私たちを救えるもんなら、救いやがってくださいよッッ!!」



「おうともよ」



傷が治ろうとするときも痛みを伴うのだったということはあとで気が付いた。


「俺のターン、ダブルブルを召喚!!」

ダブルブル ☆4 ATK 1700

「戦士族モンスターをエクシーズ召喚するとき、ダブルブルは2体分のエクシーズ素材として扱うことができる。俺はダブルブル1体でオーバーレイ・ネットワークを構築! エクシーズ召喚!」
空中に投影されていたエクストラデッキのモンスターたちの中から1体が選び出され、質量を得て遊午の手に収まる。
「現れろ、ジャイロセイバー!!」
『トァッ!!』

ジャイロセイバー ★4 ATK 2100 ORU 1

蒼い御旗を体に巻き付け、身の丈ほどもある大剣を担いだ英傑。露わになった上半身には無数の傷痕が刻まれ、砕けた兜からは極限まで研ぎ澄まされた眼光が覗く。
「ジャイロセイバーのオーバーレイ・ユニットを使用して、効果発動! このターンジャイロセイバーは全ての相手モンスターに攻撃できる!!」

ジャイロセイバー ORU 0

「バトルだ。ジャイロセイバーで月下猫神を攻撃!」
「なっ!」

ジャイロセイバー ATK 2100 vs 月下猫神 ATK 3000

「なにやってやがんですか!? それじゃあ犬死にに……!」
「大丈夫。ちゃんと手は打ってあるさ。ジャイロセイバーのもうひとつの効果! 俺のライフが1000を下回っているとき、ジャイロセイバーの攻撃力はここから1000アップする!」
『ヌゥァア!』

ジャイロセイバー ATK 3100 vs 月下猫神 ATK 3000

頭上から振り下ろされた重い一撃を担いだ大剣で受け止めるジャイロセイバー。刃先をわずかに傾け、地面に逸らす。
そのまま懐に潜り込むと、猫神の巨体を下から上に銀色の線が走った。

YUGO 100
———VS———
KAYANO 600

「仕上げだ。ジャイロセイバー、白兎の巫女イナバを攻撃!!」

ジャイロセイバー ATK 3100 vs −No.33 白兎の巫女イナバ ATK 2000

返す刀で振り上げられた直刀が月明かりを照り返して銀色に輝く。
一瞬の静寂。
ジャイロセイバーの覇気とともに張り詰めた空気が一気に解き放たれる。
『ゼイアァァッッ!!』

YUGO 100
———VS———
KAYANO 0

「————さてと、こっからが俺のターンだぜ」

☆ ☆ ☆

「ここって……」
深夜。されるがままに引き連れられた茅野は今さらのように周囲の景色を伺った。
3区の中でも内周部と外周部を分ける自然境界となっている大通り。通りの右側と左側で建物の作りに明らかな差異がある。
身分違いの住民たちが騒ぎを起こさないように常駐しているセキュリティに目礼して横を通り過ぎる。
しばらく進むと道が繋がって十字路に差し掛かった。車が来ていないのを確認して左に曲がる。
と、曲がった先で黒革のコートを着た少年がガードレールにもたれかかって暇そうにあくびをしているのに気付く。肩まで伸ばした金糸のような髪。外国人だろうか。
少年は不用心に近付いたこちらに首を傾けると、エメラルドグリーンの瞳を細めてガードレールから立ち上がった。
「悪いな、こんな夜中に呼び出して」
「まったくだ…………と言いたいところだが、今回の件に関しては俺も関係あるからな。不問にしといてやるよ」
隣を歩く遊午が手慣れたように挨拶を交わした。
「で? そっちの女か?」
ふたりの会話を怪訝そうに見守っていた茅野は突然話が回ってきてぎょっとする。
「あぁ。沖島 茅野ちゃん。うちの学園の1年生で、あのとき木に引っかかってた女の子だ」
「……結局面倒ごとに発展してんじゃねぇか」
「まぁそう言うなよ。茅野ちゃん、こいつはウラ。フルネームは長ったらしいから覚えなくていい」
「略すのは構わねぇがお前が勝手に決めんな。出浦=T=ノースゲートだ。一応、よろしく」
「は、はぁ……」
状況が読めないまま頭だけは下げておく。
それで、なにもわからないまま連れてこられたが、このウラだか出浦だかがなにをしてくれるのだろうか。
茅野は少年の様相を一通り確認する。
羽織ったコートは本革仕様で茅野には一生かかっても手の届かないほどに値が張りそうだ。靴やチョッキやズボンも同様。眼鏡のつるに妙に光沢があるのは意味があるのかわからない。
なんにせよ、どうやらとんでもないお金持ちであるらしい。
まさかこの人がパトロンにでもなってくれる……?
馬鹿げた妄想だと思いつつもかすかに期待した茅野だったが、その期待は直後に裏切られることになる。
「んじゃま、さっさと済ませるか。場所は?」
「ポールが先に行ってる」
3人連れ立って脇道に逸れる。
ハートピア設立当初から建っていそうな廃ビルの林。時折明かりがついているところがあっても、なぜか看板にテナント名が載っていない。滞った空気の中にたまに悲鳴のようなものが混じるのは気のせいだと思いたい。
人ひとり通れるかどうかといった細い道をさらに数本奥へと入ったところで、茅野は最初に抱いた印象が正しかったことを確信して慌てて足を止めた。
「ちょっ、先輩方! やっぱりこの道……!」
「大丈夫だから」
「だ、大丈夫ってそんな簡単に……!」
などと言っている間に道の突き当たりに予想通りの建物が見えてきた。
「ポール、首尾は?」
ウラがビルの入り口に立っていた長身痩躯の外国人に声をかける。
「全員中に詰めてマスが、今のところこちらに勘付いた様子はありまセン」
「ご苦労さん。あとは俺らでやるから帰っていいぞ」
「坊ちゃんをひとりで行かせるわけにハ」
「心配しすぎだ。いくら俺が未熟でも、この程度じゃ手こずりゃしねぇよ」
「……わかりまシタ。遊午サン、坊ちゃんをよろしくお願いしマスね」
「りょーかい。その代わりポールさん、今度またアレ回してね」
「えェ。今季の洋モノは豊作デスよ」
「ほう、そいつは今からしっかり鎌を研いどかねぇと……」
「……アホな会話してねぇで、さっさと乗り込むぞ」
呆れたため息をひとつ、ウラが錆びたドアを開けてビルに——沖島家の借金を管理する新興やくざの事務所に踏み込んだ。

「……おン? なんじゃテメェら!」
「ひっ!」
部屋に入るやいなや野太い声が出迎えられた。
掃除の行き届いていない部屋に思い思いに座っていたガラの悪そうな男たちが立ち上がるが、ウラはそれらを無視して一番奥の机に真っ直ぐ進んでいった。
「お前がここの頭だな?」
「……おいジャリ、テメェここがどういう場所かわかってんのか? まさか金を借りにきたわけじゃあねぇよなぁ?」
金勘定をしていたスキンヘッドがウラを睨めあげる。気の弱い者ならそれだけで腰が抜けてしまいそうな迫力に、ウラは一切怯むことなく言葉を続けた。
「あの女の借金、なかったことにしてもらおうか」
「えぇっ!?」
いきなりなにを言い出すのだこの人は。というかこんな修羅場で水を向けないで欲しい。
案の定、スキンヘッドの視線が遊午を通り越してこっちに向く。
「……沖島ァ。こいつはどォいうことだ?」
「わ、私はなにも……!」
助け船を求めて遊午を仰ぎ見るが、当の遊午は飄々と事態を静観していた。
「借金の元は内輪の不祥事なんだろ。だったら保証人でもない家族に関係はねぇ。取り立てを放棄しろ」
「何様のつもりじゃワレェ!」
「下がってろ!」
「! ……ウス」
ウラに摑みかかろうとしたパンチパーマをスキンヘッドが恫喝する。
「見たところ、中心部のお坊ちゃんってところか? ククッ、体使って誑かされでもしたか、変態野郎。借金について多少は調べてきたみてーだが——やくざの事務所に乗り込むってのがどういうことかまでは頭が回らなかったみてェだな」
脂下がった笑みを浮かべてスキンヘッドが椅子から立ち上がるのとほぼ同時に、周りにいたチンピラたちが揃って遊午と茅野を取り囲んだ。
「カタギがやくざに口出ししてんじゃねェぞ。ダルマになって埋められたくなけりゃ、今すぐ尻尾巻いて出て……い、け…………」
「……アニキ?」
ウラの襟首をねじり上げていたスキンヘッドの語尾が急に弱々しくなる。
かと思えば弾かれたようにウラから手を離してさっきまで座っていた椅子に転げ落ちてしまった。スキンヘッドの顔色は化け物でも見たように青ざめている。
「て、テメ、その紋は……!」
指差されたウラがコートを脱いだ。中に着ていた三つ紋のベストが露わになる。
背と両胸に施された金色の北斗七星の意匠を見た瞬間、茅野を取り囲んでいたチンピラたちが一斉にざわつく。
「き、金の北斗七星……!」
「こンガキ、『セイクリッド』か……!?」
『セイクリッド』の名前を聞いて、遅れて茅野も異常事態を理解する。ハートピアに居を構えておいて彼らを知らない人間などいない。
『セイクリッド』といえば中心部、内周部、外周部を問わずハートピアの裏社会を牛耳る巨大マフィアだ。政界や財界などにも強い力を持ち、組織規模の大きさからセキュリティでさえ報復を恐れて黙認しているという。
ウラが、そんな組織の構成員?
「セイクリッドファミリーゴッドファーザー、出浦 昴が嫡男、出浦=T=ノースゲートだ」
「ちゃ、嫡男ってこたぁ……」
「次期当主じゃねぇか!?」
構成員どころの騒ぎではなかった。
ウラが脱いだコートを床に落とすと、それだけでチンピラたちが部屋の隅まで飛び退く。裏稼業に身をやつす人間にとって彼の逆鱗に触れることは死よりも恐ろしい目にあうことを意味している。
「もっぺん言うぞ三下。取り立てを放棄しろ。このハートピアで闇金に手ェ出すのは構いやしねぇが、裏の事情にカタギを巻き込んでんじゃねぇ!」
龍のような瞳で凄まれてNOと言える人間がいるなら見てみたい。
スキンヘッドは首がもげてしまうんじゃないかというぐらい全力で首肯していた。


映画を観ていたような気分だ。
元の十字路まで戻ってきた茅野はほう、と息を吐いた。
あれだけ自分たちを苦しめた借金が無くなったというのに素直に喜べない。ほんとは全部夢で起きたらいつも通り家族に挟まれて家で寝ているのではないか。
点々と並ぶ街灯の橙色光を見ているとそんな気がしてくる。
「沖島、っていったか」
「は、はいっ! なんでしょうかなにかしちまったでしょうかケジメつけねーといけねーでしょうか!?」
「お前も大概変わり身早ぇなおい……。そう肩肘張るんじゃねぇよ、やりにくい」
「あぅ……。す、すいません……」
「謝罪もいらん」
ウラはもはや呼吸に近いため息をついた。
「お前、この先どうするんだ?」
「この先、ですか……」
言われて考えてみるも、なにも思いつかなかった。
そういえば自分は借金を完済したらどうするつもりだったのだろう。日銭を稼ぐことに精一杯で考えたこともなかった。
「ま、今回の一件はあのやくざ者だけじゃなく裏社会全体の責任だからな。行く当てがないならウチで雇ってやるよ」
「にゃ!? そそそそんな! 私にはマフィアなんて荷が重いですよ!」
「そっちに踏み入らせるか。ちょうどシマのバーがウェイター欲しがっててな。そこなら斡旋してやれる」
「え、お前、バーってあのきゃわいいバニーちゃんがお世話してくれる?」
「バニーちゃん!?」
「ちげーよ馬鹿! 一般客歓迎の普通の店だ! ややこしくなること言うんじゃねぇ!」
つまり一般客お断りの店もあるということか。やっぱりマフィア怖い。
「で、どうだ? 仕事はキツイが時給は弾むぜ?」
「…………。」
再び思考の海に潜る。
家族を養えるだけの稼ぎがあればいいのだから、もう昼も夜もなく働く必要はなくなったわけだ。CHESSの仕事も危険な任務も多いのであまり続けたいとは思わない。元々割りがいいというだけで始めたことだ、大した執着もない。
しかし普通にバイトをするとなると、今度は年齢制限が立ちはだかってくる。中学生どころかともすれば小学生に見られかねない茅野を積極的に雇ってくれる職場などそうないだろう。
だったら、
「不束者ですが、よろしくお願いします」
「当然店長はウチのファミリーだ。新人だからって容赦なくどやされんぞ」
「忍耐力だけは自信があります」
「酔っ払いの相手をしなくちゃならねぇときもある」
「大丈夫です、慣れてますから」
「……決まりだな。あとで連絡先教えてやる」
コートを羽織りなおしたウラは遊午とともに十字路を内周部方向へと進んでいった。
ふたりの姿が暗夜の向こうへ消える直前、ふと浮かび上がってきた疑問があって、茅野は遠のく背中に声を投げた。
「あの!」
振り向いた彼らの表情は街灯の淡い光でぼやけてよくわからない。
「どうしてここまでしてくれるんですか?」
茅野の問いに、ふたりは顔を見合わせた。
首の動きだけでウラが遊午に答えを促す。

「当然だろ? ステキ紳士としてはね」

☆ ☆ ☆

朝靄がかかった窓の外を横目に、白神 遊午はリノリウムの床を進む。足を踏み出すたび上履きがキュッキュッと音を立てて少しやかましい。
まだ開門してから間もなく、校舎の中に自分以外の人気はない。部活の朝練がある生徒たちが登校し始めるのももう少し後だろう。静かな学園はそれだけでいつもより厳かに感じられる。
普段は八千代の寝覚めが悪いのもあって始業ギリギリに門をくぐる遊午がこんな朝早くに登校しているのにはもちろん理由がある。くだんの八千代にその理由を話すと、自分は寝ているから勝手にしろということだった。
廊下の突き当たりに達し、右に折れる。
そういえば、ウラが凄んだやくざは昨日のうちに看板を下ろしたという。
まぁ天下の『セイクリッド』に目をつけられては裏社会ではさぞ生きにくいだろうから、賢明な判断だと言える。
昨夜遅くにD-ゲイザーに届いていたメールによれば、茅野は早速今夜から出勤らしい。人好きのする彼女ならすぐにでも看板娘になれるだろう。時間ができたら顔を出すことを心のスケジュール帳に書き込む。

そんなことを考えているうちに、ついに理由が目の前に姿を現した。

なんの変哲もない教室。学内マップ通りの場所にあるし扉が釘で封じられたりお札まみれになったりもしていない。強いて言うなら実習室なので普通の教室の倍ほどのサイズがあるが、学園内にはもっと大きい教室がいくらでもあるので、わざわざ取り上げるほどのことでもない。100人の生徒が前を横切っても誰一人として興味を持たないだろう。
だが、100人の埒外、101人目の遊午にとっては違う。
教室の入り口に掲げられた表札に『化学室』という文字が刻まれている限り、遊午にとっては異常事態以外のなにものでもない。

『お前に頼まれてた調査だがな』

昨夜の帰り際にウラと交わした会話が水泡のように思い出づる。

『結論から言うと、嵯峨野 京治が死んでる、もとい死んでいたなんて証拠は情況的にも物的にも存在しなかった』
『ッ!!』
『奴はお前が学園を休んだ日も普通に教鞭をとってたし、なんなら俺も言葉を交わした。自宅にも人をやって張り込ませてみたが、なにひとつおかしなところはなかったらしい。近隣住民に聞いても答えは一緒だったそうだ』
『……誰かが成りすました別人って可能性は?』
『DNAまで調べたわけじゃあないから明言は出来ねぇが……、あれが偽物だっていうなら俺らの世界よりさらに深いところの技術ってことになる。見た目、言動、ちょっとした仕草や癖にいたるまで完璧だ。あれじゃどんな厳重な警備も鼻歌混じりで突破して背中を刺せるだろうよ』

同じことが目の前の景色にも言えた。
規則的に並ぶ蛍光灯、はめ殺しの窓ガラス、踊り場の消火器含め、あの夜獄門のヴィルゴの鎖によって破壊されたはずの全てが何事もなかったようにそこに鎮座している。
嵯峨野の甦りは言わずもがな、どんな最新技術を使おうとも遊午が学校に来なかったたった1日でこうまで完璧に修復出来るわけがない。
常識を超えた、超常。
恐らく−Noが関わっている。
だが、どんな能力を使えばこんなことができる?
空間を歪める? 時を戻す? 物質を創造する?
そのどれもが『手から鎖を射出する』『翼を生やす』『生物に簡単な命令を与える』程度の力を遥かに上回っている。

『なぁ遊午。お前のやることだ、余計な口出しするつもりはねぇが、ひとつだけ聞かせてくれ』

最後にウラはそう締めくくった。

『お前、いったいなにと戦ってるんだ?』

「なにと戦ってる、ね……」
遊午は左胸——ちょうど−No所有者の刻印がある位置を拳で触れて独りごちた。


「そんなの俺が聞きてぇよ」





◎−No.33 白兎の巫女イナバ

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ター坊
イナバ!確かお前はウチの娘、出していただきありがとうございます。
感情を爆発させたら-No.が生まれたものの、それに頼らずに全うに生きれそうですね。ステキ紳士という遊午の姿勢は相変わらず心地いいですね。 (2018-03-26 18:54)
イベリコ豚丼
》ター坊さん
コメントありがとうございます!
こちらこそ使用させていただきありがとうございました。イナバの全公開効果はどう演出するか悩んだ結果ああなりました。OCGでも味わったことのない効果だったので書いていて楽しかったです。
(2018-03-26 19:47)
ギガプラント
遊午氏…お前さんの人脈はどうなってやがるんでぃ…。
なにやらとんでもない大者が現れて解決してくれました。やったね茅野ちゃん!
いやしかし今回も素晴らしいイケメン主人公っぷりでした。
こんなに頼もしい「おうともよ」は初めて見ました…! (2018-03-28 00:12)
イベリコ豚丼
》ギガプラントさん
コメントありがとうございます!
このオチはご都合感があるのは否めませんね……。まぁその、情報通親友の強化版だってことでひとつ許してつかぁさい……。
「おうともよ」部分の台詞選びは特にこだわったのでお気に召していただけて嬉しいです。 (2018-03-28 00:20)
tres(トレス)
茅野ちゃんは猫デッキでしたか。レア度は高くなさそうですが、強者とも渡り合えそうなデッキですね。
茅野ちゃんを苦しめてきた借金という問題を遊午君は人脈という武器で一発解決しちまいました。さすがステキ紳士です。
素晴らしい語彙力と描写力ですね。言葉の流れや組み合わせに痺れる場面が多々ありました。僕もそんな言葉を使える力が欲しい…(−No.の声が聞こえ…なかった) (2018-04-19 12:47)
イベリコ豚丼
》tresさん
コメントありがとうございます!
上でも書きましたが借金問題の解決はご都合主義感が否めないんですよね……。いや、茅野の抱える問題の本質はそこじゃあないといえばそれまでなんですが。もう少しなんとかできたような気がします。
そこは次回以降の課題としてさておき。掲示板の方でも推薦いただきありがとうございます!ご期待に添えるように精進します。
文章力が欲しければ他の全てを捨てるのだ……(−No感) (2018-04-19 15:42)

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