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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第91話:閉幕

第91話:閉幕 作:光芒






「あ、あはは……」
「……」

 仁と遊誉の目的は、遊大と刃弥を引き合わせることだった。遊大と違って刃弥の方にはデュエル後特に体調不良は見られず、いつも通りの彼であったのだが、デュエルの決着をつけたのはあくまで遊大の身体を借りたダーク・リベリオンであり、遊大自身ではない。
 デュエル中のやり取りから遊大と刃弥の仲は決して良好ではない(刃弥が一方的に遊大を敵視していた、というのもあるが)ため、全てが終わったのを契機に彼らが打ち解けられる機会を仁たちは設けたかったのだ。そうして仁と遊誉、そして有紗を加えた三人は協力して遊大と刃弥が二人だけになるように仕向けたのである。
 しかし、あのような結末を迎えたデュエルの後に、普通通りに話すことができるだろうか。遊大も刃弥もそういった器用さを持ち合わせていなかった。どうしていいかわからず愛想笑いをする遊大と遊大を気に留めず、手にしたグラスの飲み物を口にする刃弥。性格や価値観こそ真逆であるが、何気に似通っていることも多い二人であった。

「しまった。あの二人が普通に噛み合うわけもなかった」
「なんとかしてめぐり合わせることばかりを考えていたからな。我ながら視野が狭くなっていた」
「刃弥も私がいないと他人と関わろうとしないし、ちょっと行ってこようかしら」

 業を煮やした有紗が二人に近づこうとした瞬間である。二人の間の沈黙は破られた。それも遊大ではなく刃弥によって。

「……もう身体は大丈夫なのか?」
「えっ、まあ……」
「そうか。良かった」

 そう言って刃弥は安堵した様子を見せる。デュエルの間までは遊大を常に敵視している様子の刃弥であったが、この時の彼からは遊大に対する敵意など微塵も感じられなかった。有紗にきつく言いつけられたからなのか、それともデュエルに敗れたからなのか。どちらにせよ今までと違って刃弥側に対話の余地があることは遊大にとっては有難いことである。

「あの……」
「聞きたいことがある」

 しかし、遊大が返答する間もなく矢継ぎ早に言葉を続ける刃弥。有紗曰く「自分がいないと他人との会話が成立し辛い」というだけあってか、やはり会話のテンポを掴むこと自体は不得意なのかもしれなかった。

「お前が先のデュエルで発現させた精霊の力。あれを自覚したのはいつからだ」
「精霊の力……」
「俺のサイコデュエリストとしての力は物心ついた時から感じていたものだ。そしてその力に俺はずっと苦しめられてきた。だが、お前はそんな俺をあっさりと超えてみせた。一朝一夕にできるものではないはずだ。違うか?」

 刃弥のサイコデュエリストの力は相当なものであり、彼自身が語るようにサイコデュエリストとしての力があるからこそ自分と有紗、そして両親は謂れなき差別を受け、人間の悪意に晒され続けてきた。そのため異能の力との付き合いは刃弥の方がずっと長い。
 遊大はそれを又聞きではあるが聞いており、その力に対して刃弥がどのような感情を抱いていたかを知っている。知っているが故に、この力に自分が感付いたのが先のデュエルの場であったという真実を言いにくかったのだ。

「えっと、怒らないで聞いてくれる」
「?」
「実はこの力の存在を知ったのがさっきのデュエルで……そして俺自身この力が一体なんなのかがよくわからないんだよね……あはは」

 嘘をつくのはいいことではない。むしろ嘘をついた分その嘘が明らかになった時のリスクが大きい。初代アメリカ合衆国大統領であるジョージ・ワシントンの桜の木に関する逸話にもあるように、正直に話すことで良い方向に物事が進む―――という良識は刃弥に通じる。

「……つまり俺は自分の力が何なのかを理解していない奴に敗れたということか」

―――というわけには行かないようだった。遊大の口から真実を告げられた刃弥はデュエル中に纏うような殺気を纏っていることは遊大の目からみても明らかだった。遊大は親に叱られている子供のように下を俯き、目をつぶって彼の怒りを耐えようとする。だが、刃弥の取ったリアクションは遊大の予想もしえないものであった。

「ふっ、あははははっ!」
「!?」

 怒りに震えていたと思われた刃弥であるが、それはどうやら遊大の取り越し苦労のようだった。刃弥は腹を抱えて大笑いを始めたのである。アンニュイもしくは怒りの表情しか見たことなかった遊大はまるで壊れた玩具のように高笑いする刃弥を見て呆然とする。

「くくくっ、俺は十年以上この力に悩み続けているというのに、ぽっと出の力を持った奴に敗れたのか! 全く、とんだお笑い草だ!」
「あの、えっと……」
「すまん、笑わずにはいられなかったのでな。不快に感じたのであれば謝罪する。だが、俺のこの力はぽっと出の力以下のものに過ぎないということになる。そんな小さなものに悩み続けてきた、と思うと馬鹿らしくてな」

 破顔一笑。そんな四字熟語がぴったりと合うような様子の刃弥。しかし、この時彼はあることに気付いていた。遊大が自分の持つ力の存在に気付いたのは先の自分とのデュエルである、それは間違いないだろう。だが、その力が“目覚めていた”のは決してあのデュエルではないということを。

(高海 遊大の様子を見る限り、嘘は言っていないだろう。こいつが精霊の力を“自覚した”のはあのデュエル。だが、その力自体は―――)

 刃弥が遊大と初めて出会ったのは、遊大がサウス校の女子生徒の制服を纏って潜入調査をしていた時である。あの時刃弥は相手が遊大であると気づいていなかったのにも関わらず、彼に異様なまでの執着を見せていた。
 この時刃弥が感じ取っていた遊大の力こそが精霊の力であり、彼は遊大よりも先に遊大の中に眠る力に気付いていたのである。もちろんこの時感じ取ったものが精霊のものである、という明確な証拠はないのだが、もしこれが事実であれば、遊大は自分の中にある力に気付かぬままここまで生きていたことになる。
 もし遊大のこの力が生まれたばかりの頃から目覚めていたのであれば―――力を自覚できていないということは想像以上に残酷なことであった。

(今になってこの力を自覚した。俺が十年以上経っても完全にこの力を制御できていないのに、そんな俺よりも強い力を高海 遊大はこれから自分のものにしなければならない。もしこれが運命ならば、とても残酷なことだ)
「天海君? どうしたの?」
「……いや、なんでもない。どちらにせよあのデュエルの結果は変わらない。俺はお前に負けた。だが……もしお前と再度相まみえる機会を得たのならば、俺は精霊だのサイコデュエリストだの……そういった力関係なしにデュエルがしたい」

 遊大も刃弥もその力から普通の人間とは違う事情があるだろう。それでも彼らはデュエリストである以上、またいつかデュエリストとして勝利を賭けて相まみえる。そこに精霊もサイコデュエリストもない。デュエリストとしての力、互いのデッキを信じる心。望むのは後悔のないデュエル―――。

「うん、俺もだよ」

 価値観や戦法こそは異なるかもしれない。だが、己の根底に流れるものは同じ。またいつかの再戦を誓った二人は堅く握手を交わすのであった。













 刃弥たちと別れた遊大は、肩の荷が下りたようだった。これで後腐れなく純粋にパーティーを楽しむことができる。

「高海くん、助けて!」

 しかし、彼に安息の時は訪れないのかもしれない。ようやく落ち着けたと思った遊大に駆け寄ってきたのはいつになく焦った様子の林檎であった。

「お、音無さん!?」
「高海くん、お願いがあるの……ちょっとこっちに来て!」
「ええっ!?」

 林檎に連れられ、パーティー会場から外に出る遊大。すると林檎が走ってきた方向からは血相を変えたドレス姿の美少女がせわしなく走ってきた。

「ああ、もう! 林檎ちゃん! どこへ行ったのぉ~!!」

 ドレス姿の美少女こと彩奈はドレス姿であるにも関わらず、はしたなく悔しがる様子を見せる。遊大と刃弥のデュエルを見て衝撃を受けたことは彼女も同じだったのだが、切り替えが早いことも彼女の美点の一つでもある。遊大のことを心配しつつも彼女は自分の追い求めるものを果てなく追い続ける狩人となっていた。
 そんな最中、他の女子生徒たちと同じように着飾ってパーティーに参加した彼女はそこで林檎と再会。デュエルの時もそうだが、彩奈の心をある意味で奪った林檎に夢中になった彼女は、パーティーの間ずっと林檎を追い回していたのであった。

「これだけ会場中を探し回ったとしてもいないということは……きっと外に出ちゃったのかもしれないわね。でも、こうしてドアの前で待ち構えてい・れ・ば……フヒッ」

 その眼差しはまさに獲物を待ち構える肉食獣。一度捉えた獲物は逃さない。そこに彩奈の(悪い意味での)芯の強さがあった。そんな時、彩奈が待ち伏せしていたパーティー会場のドアが開く。彩奈は林檎が戻ってきたと思って身構えるも、そこに現れたのは小柄なスーツ姿の少年と少年より少し背の高いドレス姿の少女であった。

「きゃっ!?」
「あっ、ごめんなさい……」

 入ってきたのが林檎であると思い込んでいた彩奈であるが、赤の他人にまで手を出すことはしない。最も同性の人間に対してそう言うことを目論む時点で既に問題ではあるのだが。

(……人違いだったかしら。それにしても……なんだか女の子みたいな男の子ね)

 訝しむ彩奈を尻目に二人はパーティー会場へと消えていく。彩奈の眼が無くなったことを確認した二人はほっと安堵の溜息をついた。

「危なかったぁ……でもこれなら気付かれないわよね」
「……」
「協力ありがとね、高海君。いや、パーティー中だっていうのに彩奈がいやらしい目つきで私を……」
「あの、えっと。音無さん? いくら瀬戸さんを誤魔化すためとはいえ……俺と音無さんが着ている服を入れ替える必要はあったの?」

 林檎と遊大が彩奈の目を誤魔化してやり過ごした方法とはなんとも意外な方法であった。会場の外に遊大を連れ出した林檎が向かった先は衣装室であり、そこでなんと彼女は自分と遊大が着ている衣装を取り換えたのである。
 林檎が遊大の着ていたスーツを纏い、そして衣装室にあった茶色のウイッグを被る。そして遊大は林檎が着ていたドレスを纏い、胸の膨らみを強調するパッドとコルセットで女性らしい体付きを繕っては金髪ロングのウィッグを被る。
 単に衣装を取り換えただけでは、男装と女装がすぐにバレてしまうのだが、遊大の少年とも少女とも取れる美貌が功を期して派手な化粧も必要なく入れ替わることができたのだ。

「ごめんね、本当にごめんね。この埋め合わせは必ずするから!」
「……いいよ、そんなの」
「えっ?」
「正直恥ずかしいけど、これで音無さんを助けられたのなら……俺は嬉しいよ」

 そう言ってにっこりと微笑む遊大。内心は複雑であるが、親友を、仲間を助けるためならば一時の恥をも享受する。普通の人間ができないこういうことを躊躇いなくできてしまうのもまた遊大の他の人間が持たない一種の強さであった。

(……男の子なんだからもっとプライド持つべきだと思うんだけどなぁ。でも、その優しさが暖かいよ。それにしても、男の子の格好でも女の子の格好でも似あうって……本当に現実の存在なの?)
「えっと、時間的にもう少しでパーティーが終わるからそれまで逃げ切れば―――」



――みーつけた。



「!?」

 肩に手を置かれた刹那。振り返る間もなく林檎の身体を後ろから伸びてきた彩奈の手が抱きしめる。男性と女性がそれぞれ服装を変えて入れ替わるという手法は常人相手であればまず見破ることはできない。見た目も声も中性的な遊大であれば尚更だ。しかし、今回ばかりは相手が悪かったというほかない。

「な、なんで!?」
「まさか男の子に化けて戻ってくるとは予想外だったわ~。でも林檎ちゃんの醸し出す独特のオーラを見抜けない私だと思ったのかしら~」 
「っ……離しなさいよ! あんたマジでおかしいんじゃないの!?」
「おかしいだなんて人聞きが悪い。私はただ自分の欲しいものは絶対に手に入れたいだけだもの。それに林檎ちゃんがエ……可愛すぎるのが悪いのよ~」
「今何言いかけたのよ! てか本当に辞めないと警察呼ぶから!」
「むふふ、警察が怖くて女の子のお胸を追い求められるものですか!」

 もがけばもがくほど締め付ける蔓のように暴れる林檎を抑えつける彩奈。身長差も相まって林檎は彩奈に遊ばれる着せ替え人形のようであった。
 ただし、今の彩奈の野望を阻もうとする者が彼女の目の前にいる。遊大の手は自然と彩奈の手首へと伸びていた。女装こそしているが、遊大は立派な男性である。同世代のそれと比べると決して強いわけではないが、男子と女子であれば腕力の差は歴然だ。

「きゃっ!」
「……いい加減にしたら?」
「あ、あなたは……?」
「私はサウス校の大高 遊海。私の大事な友達にこれ以上酷いことしないで貰えるかしら!」
「わ、わかったからそんな強い力で引っ張らないで~! 手が千切れちゃう~!」
「……その言葉に嘘はない?」
「はい……」

 項垂れる彩奈の姿を見て彼女が反省した、と思った遊海もとい遊大は彩奈の手を放す。思った以上に強く握りしめてしまったのか、彩奈は半泣きでその場にしゃがみ込んでしまった。

「大丈夫?」
「高海く……遊海ちゃん。ありがとね、何から何まで」
「私と林檎ちゃんの仲じゃない。これくらいどうってことな……いわ」

 気づけば口調まで女性のものになっていることに今更気づいた遊大の顔がぽっと赤く染まる。いくら林檎を救うためとはいえ、ここまでオーバーになり切る必要はあったのだろうかと。
 それでもこの恰好で男性口調で喋ることの方がもっと恥ずかしいことであり、それでいて大声で「大高 遊海」と名乗ってしまった以上、ここはほとぼりが冷めるまでこのままでいることの方が大事であると必死で自分の中で言い聞かせた。

「瀬戸さん」
「はい……」
「あなたは楽しいかもしれないけど、あなたの行動で悲しむ人もいるのよ? だから嫌がる相手に無理やりそういうことをしないでね」
「……わかりました―――なんて言うと思ったかしら!?」

 窮鼠猫を噛む、というわけではないが、彩奈はそこまで聞き分けのいい人間ではなかった。彩奈からしてみれば女性である限り自分の欲望の対象になり得るのだ。不意を突かれた遊海は彩奈に後ろに回り込まれると、脇の下から伸びた手に胸を鷲掴みにされてしまった。

「むっふっふ……この私があなたのような美少女をマークし忘れるなんてね。でも一度私の目に留まったからには……ってあれ? 固い。もしやこれは……というかこの骨格。まさか……」
「あの、えっと、お楽しみのところごめんね。遊海はね……」

 唖然とする彩奈に林檎がそっと耳打ちをした。遊海が本当は男性である―――と。次の瞬間である。真っ白に燃え尽きた彩奈はその場に仰向けに倒れたのは。

「瀬戸さん!?」
「彩奈!?」
「……我が胸涯に一辺の悔いなし、ガクッ」

 倒れた彩奈の顔は(何故か)幸福に満ち溢れていた。













「ったく、探したぜ」
「ここはパーティー会場よ。ドレスコードくらい守ったら?」

 遊大・林檎と彩奈の騒動を余所に、騒がしいのがあまり好きではない礼は窓の傍で外を眺めながらグラスに注がれたドリンクを飲んでいた。セントラル校は都心にあるわけではないため、窓の外に都心のネオンが広がっているわけではない。
 それでも今回の交流戦の開催およびパーティーが開かれるにあたって、セントラル校の敷地内にある木々にはイルミネーションが施され、パーティーの喧騒に疲れた参加者たちの目を癒していた。そんな礼のもとには制服姿の琥太郎が息を切らしながらやってきた。

「生憎俺はこういう着飾った場に出たことが無くてな。ドレスコードだのテーブルマナーだの訳わかんねえんだよ」
「……それで、そんなあなたが息を切らしてどうしたの」
「これを、お前に見せたかったんだ」

 そう言って琥太郎が礼に渡したのは一枚の画用紙であった。クリアファイルに挟まれたA3サイズの白の画用紙。こんなものを自分に突き付けて何がしたいのだろうか、と思った礼がそれを受け取ってみるとその裏側には彼女の似顔絵が描いてあった。碌な画材を持っていないのか、鉛筆を数種類使い分けた上でのラフな絵であり、その完成度は決して高いとは言えない。それでもその絵は誰か見ても礼を描いたものであると気が付くほど精巧極まりないものだった。

「お前デュエルの後に言ったよな。夢を叶えるのに遅すぎることはない、ってよ。これが俺の夢だ。俺はガキの頃から絵を描くのが好きだったんだ。ガキの頃はただひたすらスケッチブックに風景やら人物やら、描いているだけで幸せだったんだ。まあ、家庭環境がそれを許してくれなかったけどよ。でもお前に言われて気づいたんだ。俺は生まれ育った環境を言い訳にして夢を諦めていたって。だからよ、俺は俺の夢を―――一人前の画家になるって夢を叶える。これがその証だ」
「……そう。私は芸術について詳しくはないけれど、決して平坦な道じゃないはずよ」
「わかってるよそれくらい。それで飯を食える奴なんて一握りにすぎないってな。だが、俺はその茨の道を突き進む。だからお前も、お前の兄貴も……夢を諦めるんじゃねーぞ」
「もちろん」

 そう言って礼と琥太郎は将来の夢を叶えるという誓いを立てる。最もこの時の礼の頭の中はこの絵を飾るのに相応しい額縁はどこで買えるのか、という気持ちでいっぱいいっぱいだったのだが。











 祭りというものは、開くまでが長く、開いてからはあっという間に時が過ぎていくものだ。セントラル校とノース、イースト、ウエスト、サウスの四校の分校の親交及びレベルアップを目的に開催された交流戦は終わりを告げ、日常が戻って来る。
 しかし、この交流戦は遊大をはじめ多くの少年少女たちにとって色濃く残る記憶となるだろう。そして彼らは願う。願わくば、またいつか―――デュエルを通して絆を深めた仲間たちと勝利という栄冠を求めて覇を競い合う時が来ることを。







 一文字 琥太郎は礼に誓った夢を叶えるため、学業とアルバイトに追われる日々に戻る。それでも夢のために彼は不撓不屈の精神を持って前に進む。それがやがて後世に名を残す芸術家の第一歩となるのだが、それはまた別の話。



 深山 若葉は美夏とのデュエルで自分に素直になることの大事さを学んだ。北の大地の自然は彼女を包み込む。そして自然に抱かれた彼女もまた、広い視野と固い意志を持って自分の信じる道を歩み出すのだ。



 瀬戸 彩奈は良くも悪くも変わることはない。今日も今日とて美少女を追い求める。だが、そこに以前までの自己本位の精神はない。相手を尊重する心、それが彼女をまた一つ大人にした。



 如月 青葉は美鈴と遊大をモデルにした恋愛漫画を執筆。やがてその漫画はアニメ、ドラマ、映画―――と数多くの媒体で多くの人間を感動へと導くのだが、それはまだ遠い未来の話である。今の彼女はただ自分の作品を待ち望んでいるファンのためにただひたすらにペンを走らせる。



 羽々斬 涼夏は自分を偽るのをやめた。誰に気を遣うこともなく、自分のありのまま日々を過ごす。刃の如く冴えわたる彼女の言動はデュエルにも現れ、それが後にウエスト校を代表するデュエリストとなる。



 風見 遊誉はデュエリストかつ高校生探偵として前にも増して多忙な日々を送る。最もその多忙さはこの交流戦で磨かれた感性による事件解決能力の向上が原因でもあるのだが。



 天海 刃弥および天海 有紗は自分たちの中に眠る力と向き合うことにした。今までは忌み嫌ってきた力であり、誰かを傷つけることしかできない力であったとしても。その力を求める者はきっといる。そしてその力を誰かを傷つけるのではなく、誰かを活かす力として使う。それを目指して歩く兄妹の眼差しはいつにもなく輝いていた。










 『虹彩竜と歩むもの』 交流戦編 完












○後書き
 この話をもちまして、10000アクセス記念の交流戦編完結となります。キャラクター募集から完結までずいぶんと時間がかかってしまいましたが、なんとか無事完結することができて良かったです。
 次回以降の話ですが、前回更新の制限改訂ネタの最後にあったように、数編のエピソードを挟んでいく形になります。そしてこれらのエピソードと共に第二章が終わり、第三章、そして終章へと移っていくことになります。
 また、前作では夏休み番外編を挟みましたが、今回は時間の都合および作者の執筆スケジュール確保が予想以上に難しいことからカットさせて頂きます(今作完結後におまけとして書ければいいですが……)。










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ター坊
よし!第2章 完!
琥太郎は将来性があるラストでしたね。こういうワルだけど完全な悪ではないキャラが遊大達がピンチの時に「しゃーねぇから助けてやるよ」的な展開もありそうで、そういう可能性を想像させてくれて嬉しいです。他のキャラだとブレない彩奈、向き合う道を見つけた刃弥、正直な自分でいる涼夏が印象的でした。
ちなみに琥太郎誕生の背景としては前作でのオリキャラ募集が女の子ばかり(え?心くんは男?そうだっけ?)だったので、今回は男の子、それも遊大でも陸でも仁でもないタイプをと思いデザインしました。なお、女の子案もあってそっちだとアホな魔女っ娘(イタイ子?扱い)というアイデアがありました。 (2018-03-23 14:28)
から揚げ
これはこれは、うちの彩奈が失礼致しましたw(親並感)

彩奈ちゃんはトリニティセブンのレヴィちゃんというキャラみたいにエロいながらも、どこか頼りになるというキャラのイメージでしたが、どうしてこうなったwww(良い意味で)

彩奈ちゃんが林檎ちゃんを抱き締めた際にパイタッチしていたか教えて頂ければ幸いです!

それにしても、な (2018-03-26 12:45)
から揚げ
途中送信失礼しました!

それにしても、夏休み番外編がカットとは、本当に残念ですね〜。留奈ちゃんの谷間が見えるセクシーな水着姿が見たかった(血涙) (2018-03-26 12:49)
光芒
ター坊さん
そうですね、琥太郎をはじめ今回の募集キャラは皆キャラの濃いのばかりだったので、別で話作れそうですよね。「風見 遊誉の事件簿」的な。琥太郎に関しては……どんな話が面白そうですかね。ター坊さんに希望はありますか?(実現するとは言ってない)

>ちなみに琥太郎誕生の背景としては前作でのオリキャラ募集が女の子ばかり(え?心くんは男?そうだっけ?)だったので、今回は男の子、それも遊大でも陸でも仁でもないタイプをと思いデザインしました。なお、女の子案もあってそっちだとアホな魔女っ娘(イタイ子?扱い)というアイデアがありました。
確かに前回の募集キャラは女性5人と男の娘1人でしたからね。性別がばらけた方が面白いと言えば面白いかと。そしてター坊さんの描くイタイ魔法少女……どんなキャラになるのか気になります。

から揚げさん
トリニティセブンという作品を知らないのでなんとも言えないのですが、揉むのが好きという点は共通しているようですね。個人的にはガールフレンド(仮)の望月エレナやアイドルマスターシンデレラガールズの棟方愛海をイメージしてキャラを組み立てました。

>彩奈ちゃんが林檎ちゃんを抱き締めた際にパイタッチしていたか教えて頂ければ幸いです!
林檎「させるか」


(2018-03-26 23:50)

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196 遊大たちが10月制限について語るそうです 1475 5 2017-09-14 -
170 第62話:暴露 1494 2 2017-09-21 -
142 第63話:決意 1266 4 2017-09-25 -
115 第64話:結束 1254 4 2017-10-02 -
64 第65話:渇望 1348 3 2017-10-07 -
104 第66話:証明 1146 4 2017-10-13 -
151 第67話:空想 1232 2 2017-10-16 -
134 第68話:魔鎖 1203 2 2017-10-23 -
125 第69話:喝采 1137 2 2017-10-27 -
143 第70話:胸愛 1368 3 2017-11-01 -
142 第71話:点火 1173 4 2017-11-07 -
105 第72話:誘惑 1199 3 2017-11-15 -
138 第73話:憤怒 1246 5 2017-11-18 -
86 第74話:反攻 1131 2 2017-11-22 -
72 第75話:夢追 1099 2 2017-11-27 -
73 第76話:剣閃 1146 2 2017-12-02 -
79 第77話:膠着 1002 2 2017-12-09 -
69 遊大たちが1月制限について語るようです 1222 4 2017-12-11 -
61 第78話:豹変 1151 2 2017-12-17 -
115 第79話:親心 1158 4 2017-12-22 -
93 第80話:疾風 1176 2 2017-12-30 -
74 番外編:隠想 1181 3 2018-01-01 -
77 第81話:異能 1037 2 2018-01-08 -
125 第82話:要塞 1085 2 2018-01-13 -
95 第83話:相反 1105 3 2018-01-17 -
91 第84話:特異 1099 5 2018-01-22 -
74 第85話:忌避 1228 4 2018-01-29 -
116 第86話:転生 1270 4 2018-02-06 -
68 第87話:変貌 1281 4 2018-02-14 -
111 第88話:祭典・1 1162 4 2018-02-22 -
81 第89話:祭典・2 1166 4 2018-02-28 -
89 第90話:祭典・3 1171 4 2018-03-10 -
142 18年4月制限について語るようです 1416 4 2018-03-14 -
85 第91話:閉幕 1099 4 2018-03-22 -
117 第92話:令嬢 1118 4 2018-03-31 -
101 第93話:共闘 1139 4 2018-04-07 -
124 第94話:古豪 1003 3 2018-04-15 -
74 第95話:護心 998 2 2018-04-19 -
57 番外編:裏話 1158 4 2018-04-29 -
127 第96話:転機 1177 4 2018-05-03 -
116 第97話:敬意 1019 0 2018-05-13 -
68 第98話:遺托 1065 4 2018-05-17 -
118 番外編:青春 1194 2 2018-05-23 -
126 第99話:疾駆 1178 6 2018-06-12 -
125 遊大たちが18年7月制限について語ります 1031 0 2018-06-14 -
139 第100話:戦士 1050 0 2018-06-19 -
116 第101話:懐古 1055 2 2018-06-24 -
58 第102話:降竜 931 0 2018-06-30 -
42 第103話:乱入 941 3 2018-07-06 -
118 第104話:奮起 1126 0 2018-07-15 -
64 第105話:白翼 1046 0 2018-07-22 -
116 第106話:夢境 1319 3 2018-07-30 -
102 第107話:紫苑 1100 4 2018-09-12 -
76 遊大たちが10月制限について語ります 1048 2 2018-09-14 -
110 第108話:猛毒 1156 2 2018-09-17 -
67 第109話:変身 955 2 2018-09-21 -
80 第110話:共闘 1016 4 2018-09-25 -
81 第111話:油断 837 2 2018-09-27 -
101 第112話:浸食 1113 2 2018-09-30 -
53 第113話:神意(修正・再掲版) 957 2 2018-10-03 -
95 第114話:忍者 922 2 2018-10-06 -
72 第115話:継承(修正版) 923 3 2018-10-08 -
67 第116話:征圧 905 2 2018-10-10 -
125 第117話:両雄(修正版) 977 3 2018-10-15 -
92 第118話:負担 901 2 2018-10-17 -
89 第119話:確信 894 2 2018-10-20 -
94 第120話:無限 957 4 2018-10-22 -
103 第121話:必然 848 2 2018-10-25 -
100 第122話:悲劇 1024 2 2018-10-28 -
119 第123話:鬼気 965 2 2018-10-31 -
64 第124話:捕食 943 3 2018-11-02 -
119 第125話:一輪 970 2 2018-11-05 -
125 第126話:後悔 1063 3 2018-11-07 -
75 第127話:神話 963 2 2018-11-10 -
106 第128話:仮説 1060 3 2018-11-12 -
71 第129話:伝心 1028 3 2018-11-14 -
92 第130話:対立 1023 2 2018-11-16 -
110 第131話:残酷 963 3 2018-11-18 -
98 第132話:涙雨 1013 3 2018-11-20 -
89 最終章予告 892 3 2018-11-21 -
103 番外編:歓喜 949 5 2018-11-22 -
90 第134話:決戦・1 923 2 2018-11-23 -
67 第135話:決戦・2 977 2 2018-11-25 -
93 第136話:決戦・3 1369 2 2018-11-27 -
76 第137話:決戦・4 964 3 2018-11-28 -
81 第138話:決戦・5 1020 3 2018-11-30 -
70 第139話:覇王 1052 3 2018-12-02 -
70 第140話:精霊 1145 3 2018-12-04 -
112 第141話:落涙 990 4 2018-12-05 -
105 第142話:命脈 1029 3 2018-12-07 -
51 第143話:終焉 973 3 2018-12-08 -
105 第144話:帰還 1035 3 2018-12-10 -
81 遊大たちが19年1月制限について喋ります 1101 3 2018-12-11 -
82 第145話:三様 1040 2 2018-12-12 -
98 第146話:光明 882 2 2018-12-15 -
101 第147話:竜星 959 3 2018-12-16 -
96 第148話:斬撃 902 3 2018-12-18 -
100 第149話:神竜 894 3 2018-12-20 -
77 第150話:新竜 875 3 2018-12-21 -
99 第151話:共鳴 879 3 2018-12-24 -
100 第152話:前夜 975 3 2018-12-25 -
89 第153話:星竜・1 964 3 2018-12-28 -
84 第154話:星竜・2 969 3 2018-12-29 -
98 第155話:星竜・3 1026 3 2018-12-31 -
110 エピローグ:雪夜 1271 6 2019-01-01 -
75 番外編:甘露 969 2 2019-02-14 -
85 遊大たちが19年4月制限について喋ります 895 3 2019-03-12 -
43 エイプリルフールに間に合わなかったので 767 0 2019-04-01 -
86 番外編:夏想・1 780 4 2019-04-17 -
87 番外編:夏想・2 835 2 2019-04-19 -
86 番外編:夏想・3 601 2 2019-04-22 -
80 番外編:夏想・4 865 2 2019-04-25 -
85 番外編:夏想・5 784 0 2019-05-01 -
63 番外編:師弟・1 734 2 2019-05-04 -
79 番外編:師弟・2 758 2 2019-05-08 -
64 番外編:師弟・3 693 0 2019-05-13 -
88 番外編:師弟・4 715 2 2019-05-17 -
56 番外編:師弟・5 745 3 2019-05-21 -
58 10万アクセス記念企画 869 4 2019-09-24 -
78 番外編:聖夜 1140 2 2019-12-25 -

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