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HOME > 遊戯王SS一覧 > 16話 遭遇の犬猿

16話 遭遇の犬猿 作:いちごT

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全開のあらすじ

年に一度の学園内のデュエル大会であるアカデミアカップのエントリーデュエルが始まった。苦戦を強いられながらも、遊飛に続いてちよもまたデュエルに勝利し、参加資格を得たのであった。

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えーい

やー


間の抜けた掛け声が響く畳の部屋。


そこはデュエルアカデミアの体育棟の1階にある柔道場である。柔道着に身を包んだ女子たちが組み合っていた。いや、じゃれあっていると表現した方が正しいかもしれない。武道というものがイメージさせる真剣な雰囲気はそこにはなかった。


ちよ「柔道の授業って痛そうだなぁって思ってたけど…ゆるゆるだね。」


壁に寄りかかっているちよは隣に座っている2人の少女に話しかける。


繭「……ボクはその方が助かる。運動は得意じゃないから…」


ちよ「えへへ…うちも。」


こんなだらけた状態を教師が放っておくことはないはずだが、その教師の姿も見えない。ケガの無いように適当にやっておけとの無責任なお達しで席を外している。


一果「うーん……アタシは張り合いが無くて退屈だよ。 女子がほとんど興味ないスポーツなのは分かるけどさ…」


ちよ「一果ちゃんは確か、武道いっぱいやってるんだったよね?」


一果「まあね。柔道、空手、剣道。全部親父に無理やり習わされたんだ。」


繭「…親父って……男子みたい…」


一果「はは、女の子の呼び方じゃないよな。これも親父に呼ばされたんだ。」


一果「家族は親父と3人の兄貴でね。アタシ以外全員男だからさ、アタシも男っぽくなっちゃったワケ。いやぁまいったまいった。」


そういって一果はからからと笑う。


ちよ「で、でも一果ちゃんは背が高くてスタイルもいいし、き…きれいだと思うよ!」


一果「うぇっ!? ……あ…はは…そりゃありがとう…」


普段サバサバしている一果も面と向かってそういうことを言われると恥ずかしいらしく、動揺を隠せずに顔を真っ赤にする。そしてそれを紛らわすためかおもむろに立ち上がり、繭はその様子を不服そうに見つめていた。


一果「さ、さあ! 練習でもしよっと!!」


香夜「お姉様ァ!! ならこの須藤香夜…お姉様の須藤香夜がお相手を!! くんずほぐれつ汗を流しましょうぇへへいっ!?」


香夜「お…お姉様……あはぁ…あはぁ…」


しいな「か…香夜ちゃん…」

ルイ「あはは。こりゃダメだ。」


一本背負いで瞬殺されたものの満面の笑みを浮かべ、ピクピクしているツインテを尻目に、一応まともに練習している方へと一果は歩み寄る。そこにひとりの道着姿の生徒が声をかけてきた。


???「お、工藤さん。ちょうどいいとこに。」


一果「ん? アンタは確か…同じレッドの…」


???「土門宇月(どもん うつき)だ。ちょっと工藤さんに用ができたとこでね。」


それは土門宇月と名乗るショートカットの。いや、ショートカットと呼ぶよりはスポーツ刈りに近く、身長も180にせまるまるで男子のような女子であった。


一果「用ができた…ってどゆこと?」


宇月「私、小学生の頃から柔道をやってんだけど授業がこんなじゃん? 張り合いないなーって話をしてたんだ。」


宇月「けど、工藤さんが柔道経験者らしいって聞いてね。ぜひ手合わせしたいと思ったわけ。どうだ?私と。」


一果「へえ…いいね。アタシも丁度誰かとやりたかったんだ。よし、やろうか。」


宇月「話が早い! よし、あっち行こ!」


1年女子の中ではトップクラスにデカイ2人が向かい合い、その周りには自然とギャラリーが集まる。


宇月「言っとくけど私は強いぞ。本気でかかってきな。」


一果「自信満々だな。ま、こっちも手抜きする予定はないから安心しなよ。」


試合が始まると土門宇月が果敢に攻めていき、一果は防戦一方だった。様々な技で投げに持っていこうとする宇月をひたすらかわす光景が続く。
しかし一瞬の隙を見て宇月が一果の足に自分の足をかけたかに見えたその瞬間、一果はその足を半歩下げ、もう一方の足を宇月の胴に当てて思い切り体を引いた。

巴投げである。

181cmの宇月の体は宙を舞い仰向けかつ大の字で畳の上に着陸した。


一果「ふう…言うだけあるね。」


一果「でもアンタよりデカくて上手い兄貴たちと何度も手合わせしてるんでね。今日ばかりはそれに感謝しないと。」


程なくして授業終了のチャイムが鳴る。女子生徒たちがぞろぞろと道場を撤退し、更衣室へと向かう。しかしただ1人微動だにせず道場に残って生徒がいた。


宇月「………おのれ…工藤……一果ァァァ!!!」



ー道場玄関ー

着替え終わった女性陣は

ちよ「じゃあシミュレーションルームに行こっか。一果ちゃんのエントリーデュエルがあるもんね。」


一果「ああ!期限が明日までだしな! ラストチャンスを逃すわけにはいかないよ。 繭にも続きたいしな。」


ちよ「繭ちゃんいつのまにか合格してるんだもん。凄いなぁ。」


一果「ちよっち〜。合格者2号がそんなこと言ったら嫌味になっちゃうじゃーん。」


ちよ「そ、そうかな!? ゴメン繭ちゃん。そんなつもりじゃ……」


繭「……大丈夫。そんなこと微塵も思ってない。一果、変なこと言わないで。」


一果「わ、悪かったよ。」


ちよ「じゃ、じゃあ気を取り直して行こ。」


一果「ああ……ってあれ?」


繭「……何?」


一果「いや、アタシの靴がなくて…」


ちよ「ええ!? 誰か間違って履いてっちゃったのかな?」


一果「そんなことってあるか?」


繭「……誰かに恨まれてるんじゃない?」


一果「いやいや…こんなことされるような覚えはないけど………とりあえず靴を探さないとな。」


ちよ「う、うちらも一緒に探すよ! ね、繭ちゃん。」


繭「……ちよが言うなら。」


一果「うーん……いや。ここはアタシ1人で大丈夫だ。」


ちよ「で、でもみんなで探したほうがすぐ見つかると思うけど…」


一果「それよりエントリーデュエルに並んでて貰いたいんだ。チャンスは逃したくないし。」


繭「……なるほど。」


ちよ「じゃ、じゃあうちが並んどくから繭ちゃん手伝ってあげて! 見つかったら連絡してね!」


そう言い残すとちよは慌てて走り去っていく。その後ろ姿を見送る一果と繭の間で沈黙が走る。


一果「………」

繭「………」


一果「繭……行ってやって。絶対途中でへばってるから。」


繭「………だね。」


運動神経皆無のちよを保護しに繭も道場を出る。取り残された一果は1人道場のあちこちを探し回るが屋内には見当たらない。


一果「クソっ! 見つかんないな。やっぱちよっち達にも探してもらうべきだったかな…」


一果「あー。今思えば香夜とかに連絡して並ばせとけば良かったんだ。ったく…」


靴が見つからない苛立ちでブツブツと独り言がエスカレートする。しかし、香夜は一果の一本背負いにより保健室に運ばれていたため今の案は実現できなかったことを一果は知らない。


一果「……しゃーない。今は靴なしで行くっきゃないか。」


一旦諦めて道場入り口まで戻ってきた時、一果の目にあるものが飛び込んできた。そして、はあ?と怒りや呆れなどを含んだ声を漏らす。
先ほどまではなかったはずの張り紙がしてあったのだ。そこには


『靴は道場の裏』


とだけ記してある。犯人によるものなのは明白だが信用すべきか分からない。しかし他に手がかりも無いため仕方なく靴下の状態で、道場裏に向かうことにした。


一果(道場の裏……さっき窓から見た時は無かったけどな…)


そして裏に回ると木の真下に自身の靴とひとふさのバナナが置いてあるのを確認する。


一果「靴はあったか……でも何でバナナぎゃっ!?」


とりあえず靴を取り返そうと手を伸ばそうとした瞬間、一果の右足はロープに絡めとられ、近くの木に逆さ吊りにされてしまった。


一果「はあっ!? 何だこれ! どうなってんだよ!!」


???「…ふっふっふ……」


一果「っ!? 誰だ!? 」


???「はあっはっはっはっは!!!」


一果「おいコラ! さっさと出てこい!! 」


???「……工藤一果…まんまと引っかかったな。」


一果「お、お前は…!?」


宇月「ふ…さっきは世話になったな。」


宇月「まさかこんな手に引っかかるとは…そんなにバナナが好きかこの食いしんぼうめ。」


宇月は不敵な笑みを浮かべながら宙吊りの一果に向かって歩み寄る。そして地面に落ちたままのバナナを拾いあげ、皮をむき始める。


一果「バナナ目的で近づいたんじゃねーよ! つか何しれっとバナナ食べてんだ!! 」


宇月「もぎゅもぎゅ……もちろん冗談だ…」


一果「靴隠したのはお前か!? 何でこんなこと!?」


宇月「それについては…もぎゅ…すまない。色々と事情があってな。さて…どうする?…もぎゅ…降ろしてやろうか?」


一果「早く降ろせ! こっちはエントリーデュエルに行かなきゃいけないんだ!!」


宇月「そうかそうか。だったらこの私とデュエルだ!!」


一果「はァ!? 何でそうなるんだよ!」


宇月「……私は負けたことがなかった…」


一果「……は?」


宇月「柔道を始めて以来、この恵まれた体格と培った技術で勝利をモノにしてきた。」


宇月「でも今日! 私の無敗伝説は終わった……工藤一果、お前の手によってな!!」


一果「んな大げさな……」


宇月「この屈辱……晴らさずにはいられないっ!!」


一果「だったら今度授業でまたやってやるよ! だから早くおろせ!」


宇月「………そうはいかないな。」


一果「なんで!? ほんとに早くおろせ! 頭に血がのぼる!!」


宇月「今の私では柔道で貴様に勝てない…そのくらい戦えば分かる。……だからこそ今はデュエルで貴様に勝たねばならんのだ!!」


一果「なら今度…今度やってやるから! ホントもう頭が限界…」


宇月「それでは……それでは私の気が晴れーーーん!!!」


一果「うう…分かった……分かったから早く……もう…頭が……」


宇月「よし来た! 早速デュエルだ!!」


宙吊りから解放され、頭を抑えながらフラフラとデュエルディスクを構える一果。


一果「クソ……靴隠したり吊るしたり…こっちも頭キてんだ。やってやる!!」



一果・宇月「デュエル!!!」



一果 LP4000 vs 宇月 LP4000


一果「先行はもらう! アタシは『犬闘士ジュードル』を守備表示で召喚。ターンエンドだ。」
・犬闘士ジュードル ☆4 地 1000/1900


宇月「私のターン、ドロー!」


宇月「そんなガードじゃ私のモンスターの攻撃は防げない! 『怒れる類人猿』を召喚!」
・怒れる類人猿 ☆4 地 2000/1000


一果「いきなり2000!?」


宇月「パワーで粉砕! 『怒れる類人猿』で攻撃!!」


赤い大猿は両腕でドカドカと自らの胸を叩き、大きく息を吸い込む。そしてその口から灼熱の炎が噴射される。プードルの柔道家はその炎にあっという間に包まれ、爆発四散してしまう。


宇月「見たか!この圧倒的パワー!」


一果「何がパワーだ飛び道具じゃんか!!」


宇月「はっはっは! 負け惜しみは良くないぞ。 私はカードを1まい伏せてターン終了。」



●工藤一果 LP4000 手札4
モンスター 0:
魔法、罠 0:

●土門宇月 LP4000 手札4
モンスター 1:『怒れる類人猿』
魔法、罠 1:伏せカード


一果「ったくめんどくさいヤツだな。アタシのターン、ドロー。」


一果「『犬闘士レスリバー』を召喚。」
・犬闘士レスリバー ☆4 地 1800/1200

レスリングスタイルのゴールデンレトリバー。


一果「さらに魔法カード『突進』を発動! レスリバーの攻撃力が700アップだ!」

・犬闘士レスリバー 攻1800→攻2500


一果「バトル! レスリバーで怒れる類人猿に攻撃!」


宇月「通さん! 伏せカード『バナナスリップ』発動!」


怒れる類人猿が手元に出現したバナナを一口で食べ、猛進してくるレスリバーの足元に放り投げる。足を止められないレスリバーはそれを踏んで盛大にずっこけてしまった。


一果「はぁ!?」


宇月「私の場に類人猿モンスターがいる時、手札を1枚捨てて相手モンスターを守備表示にする永続トラップだ! 使い手もモンスターも足元がお留守のようだ。はっはっは!」


先ほど罠に引っかけられたことを蒸し返され、一果は額に青筋を浮かべる。


一果「がああっ!! 腹立つな!! カードを1枚伏せてターンエンド!!」


宇月「私のターン、ドロー! 2体目の『怒れる類人猿』を召喚。そのままバトルだ! 1体目の怒れる類人猿で攻撃! 行け!!」


一果「お返しだ! 永続罠『ドッグ・クロスガード』」


レスリバーが腕を十字に組んで浴びせかけられる炎を耐える。

宇月 LP4000→LP3800


宇月「っ!?」


一果「見たか! 守備力を1000上げる罠カードだ。さらにバトルで破壊されないおまけ付き!」
・レスリバー 守1200→守2200


一果「犬闘士モンスターが戦闘ダメージを与えた時、犬闘士モンスターに白星カウンターを1つ乗せる。」


宇月「くっ…小癪な…」


一果「怒れる類人猿は攻撃をしなきゃいけないモンスターだったよな。さあ攻撃してきな!」


宇月「ぐ……2体目の怒れる類人猿で攻撃!」


一果「へっへ〜、効かないね! ダメージを受けるのはそっちだ!」

宇月 LP3800→LP3600


一果「白星カウンターが乗ったレスリバーが戦闘をした時、手札から犬闘士モンスターを特殊召喚できる! 来い、『犬闘士ジークフンド』」
・犬闘士ジークフンド ☆3 地 1100/300


宇月「ええい! 守備表示でちまちまとダメージを重ねて……陰湿な!!」


一果「あぁ!? そのモンスターの効果が悪いんだろうが! それに靴隠したり罠仕掛けたり、陰湿なのはアンタだろ!!」


一果と宇月は互いに言い合い、睨み合い、同時にこう思った。


一果・宇月((こいつ………ぜっったい倒す!!!))


続く

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次回予告

ちよ「一果ちゃん…なかなか来ないけど大丈夫かな……えっ!? 宇月さんとデュエルしてる!? 早く来ないとエントリーデュエル出来なくなっちゃうよ!! 一果ちゃん、頑張って!!」

ちよ「次回『熾烈、パワー対パワー!!』デュエルスタンバイ!!」

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ター坊
お互いに体育会系だけあってまさにパワーVSパワーって感じですね。それにしてもバナナ仕掛ける宇月ちゃんアホカワイイ。 (2018-03-04 09:05)
いちごT
ター坊さん、コメントありがとうございます。
宇月ちゃん可愛いですか?スポーツ系によくいる?ゴリラ女のイメージですがそう言っていただけると嬉しいです。まあ名前の由来すら猿関係ですがね…
ドンキー(コング)
モンキー
ウッキー
を合わせてます。 (2018-03-04 12:06)
ギガプラント
今日も繭ちゃん推し。
猿デッキかと思えばまさかの類人猿デッキだったでござる。
類人猿がいないと発動できないバナナになんとも言えない哀愁が…。でもそういったやたら排他的なカテゴリがまた遊戯王アニメっぽいですね。
文字通り犬猿の仲になりそうな武闘派対決。類人猿の効果が裏目に出るあたり好きです。 (2018-03-04 19:37)
いちごT
ギガプラントさん、コメントありがとうございます。
繭ちゃん!僕もお気に入りで活躍させたいキャラトップクラスですよ。アニメっぽいは超褒め言葉です。OCGよりアニメよりな自分にとってはですが。 (2018-03-04 23:32)

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