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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第十一話・二つの制裁デュエル

第十一話・二つの制裁デュエル 作:鈴木颯手

「…知らない天井だ」

目を覚ました龍吾はとっさにその言葉を呟いていた。実際来たことのない場所の様でアカデミアに来てからは初めて来た。

龍吾は自分の場所、恐らく病室を見渡すと再び天井を見る。体は全くと言っていいほど動かずかといって痛みがあるわけでもない。まるで首から下がないような感覚に襲われる。

「…暇だ」

体は全く動かずかといって何か暇を潰せる物があるわけでもないため龍吾はただただ天井を見ている事しか出来なかった。

暫くそうしていると扉が開き誰かが入って来た。

「!?黒崎君目が覚めたのね!?」

入って来たのは白衣を着た女性で意識を失う前まで白衣を着た男と戦っていた龍吾は苦笑いを浮かべた。

「…ここは?」

「アカデミアの保健室よ。港で貴方は倒れていたのよ。覚えていない?」

「…いいえ」

覚えている限りでは白衣の男との戦いの最中に意識を失った所までで白衣の男を倒したのかすら分からなかった。女性によると港で見つかってから二日間寝たきりだったという。

その後検査を受けて体に異常はないことが分かった。体が動かないのは重度の筋肉痛の様になっているからと判明した。

「そう言えば校長先生が呼んでいたけどその体じゃ起き上がるのも辛いでしょうから呼んでくるわね」

女性がそう言って出て行ってしまい再び龍吾は暇を持て余す事になってしまったが校長の鮫島は比較的早く来たためそこまで退屈になる事は無かった。

「おお、黒崎君。目が覚めたようでよかったよ」

「…ご心配をおかけしました」

「いやいや、君がそう感じる事は無いよ。ただ、今の君に伝えるのを酷だが実は君が廃寮に入ったという情報があってね」

「…俺は入っていませんが…」

「うむ、倒れていた場所から廃寮も遠くいるはずもないのだが査問委員会は真に受けてしまってね。止めたのだが君に退学を言い渡すと言ってしまっている」

「…そうですか」

龍吾は別にアカデミアに何でかんで残りたいと思っているわけではないのでそれが決定事項なら素直に受け入れようと考えていた。

「だが、流石にそれで退学にするのは惜しくてね。クロノス教諭も反対に回ってくれてデュエルで決着をつける事になったよ」

「…相手は誰ですか?」

「まだ決まってはいない。だが、学外のデュエリストになる事は決まっている」

「…分かりました。日時が決まったら教えてください」

「分かっているとも。それと、オシリスレッドの遊城十代君と丸藤翔君も同じように制裁デュエルが決まっている。明日に行われるがもし体が動かないならデュエルを見られるようにモニターを用意するが…」

十代と友人関係にある龍吾に配慮してくれているのだろう。校長の鮫島の提案に龍吾は頷いた。

「ありがとうございます。明日、体が動かなかったらお願いします」





☆★☆★☆
結局のところ体は全くと言っていいほど動かず保健室からモニターで見る事となった。更に、

「十代達の相手は迷宮兄弟か。かなり厳しい戦いになるな」

「ええ、あの伝説のデュエリスト武藤遊戯と対戦した事があるみたいだしね」

「しかも結構追い込んだんだろ?あの二人勝てるかな~?」

三沢と良太、明日香がお見舞いを兼ねて保健室で一緒に観戦していた。目を覚ましたことを鮫島が伝えていたらしく制裁デュエルの数十分前に三人が来ていたのだ。

「龍吾はあの二人、勝てると思うか?」

「分からない。十代はともかく翔はかなり気が弱い。自分が足を引っ張ていると考えて余計に足を引っ張る可能性がある」

三沢の質問に龍吾はそう答えた。実際モニター越しではあるが翔はかなり委縮しているように見えた。今回のデュエルの要は翔にあると龍吾は予想した。

そして制裁デュエルが始まり龍吾の懸念は的中する。迷宮兄弟がゲート・ガーディアンを出し翔の場にいた融合モンスターを破壊しダメージを与えると翔はすっかり戦意を喪失してしまった。

「龍吾の予想は的中したか」

「決して的中してはいけない予想だったのだがな…」

その後もメテオストライクを破壊しようとした翔に迷宮兄弟は返り討ちにしたうえで十代のモンスターを破壊し更に翔のモンスターを破壊したうえでダメージを与えていき翔は完全に戦意を失っているように見えた。

「…十代達もこれで退学か」

「それはまだ分からないが…翔の意識を何とかしないとその可能性が高くなるな」

「そうなると十代が何かしら行動をとるだろうな~」

良太の言葉通りスパークマンを召喚した十代は装備魔法スパークガンを装備してゲート・ガーディアンを守備表示にした。翔はそれを察して手札からドリルロイドを召喚。ゲート・ガーディアンを破壊しようとするがそれを防がれると本命と思われるシールド・クラッシュを発動。守備表示のゲート・ガーディアンを見事倒して見せた。

流石の展開に三沢や明日香、良太も驚いている様だった。

「まさかあの子がゲート・ガーディアンを倒すなんて…」

「デュエルに予想外はつきものだろ?」

その後はゲート・ガーディアンを超えるダーク・ガーディアンが現れたがそれすら翔が攻略して見事勝利を掴むことに成功したのである。

「良かった。これで彼らもこの学園に残れる」

「あら、強力なライバルになるのに嬉しいの?」

「そういう君こそどうなんだ?」

「私のせいで彼らが退学になったら目覚めが悪いと思っただけよ…。でもよかった」

明日香は照れ隠しの様にそっぽを向いて言うが最後の呟きはここにいる全員に聞こえていた。

「…次は俺か」

「そうだな。しかし、君は廃寮に入っていないのに何故こうなったのか…」

「十代達とは違いクロノス教諭も否定していたみたいだけど結局行われるのよね…」

「あの先生らしいな」

オベリスクブルーの龍吾の為に否定するクロノス教諭に良太は苦笑いを浮かべた。

「それで?相手は決まったのか?」

「いや、学外のデュエリストが相手と言うこと以外はまだ未定らしい」

「ならその間に体を治さないとな。今のままじゃデュエルどころかアリーナにすら行けそうにないからな」

「その辺は校長も配慮してくれるだろう」

三沢たちの言葉に龍吾はそう答えるのであった。





☆★☆★☆
龍吾が動けるようになったころには制裁デュエルの相手や日程も決まり龍吾はその日に向けてデッキの調整や衰えた体力の回復を行いその日を迎える事となった。

「それデ~ハ。シニョール龍吾の退学をかけた制裁デュエルを行うノーネ」

十代達の様に司会をクロノス教諭が行ったが十代の時とは違いかなり龍吾を心配そうに見ていた。エリートありきと考えるクロノス教諭にとって未だ無敗(公式)の龍吾に目をかけていたからだ。

「…クロノス教諭。対戦相手は誰でしょうか?」

「少し待つノーネ。もうすぐ来るはずなノーネ」

クロノス教諭がそう言うと誰かがアリーナに入ってきた。頭にヘルメットの様な物を被った大男で両腕に星が付いたリングを装着していた。

「ヒャハハハ!!!俺が貴様の相手をしてやる闇のプレイヤーキラーだ!小僧、覚悟は出来ているのだろうなぁ!?」

「闇のプレイヤーキラー…。確か迷宮兄弟と同じく武藤遊戯と戦い苦しめたデュエリスト」

「そうなノーネ。たまたま見つけたから呼んだノーネ。デーハ、これより制裁デュエルを始めるノーネ!」

「「デュエル!」」

「先行は俺が貰おう。ドロォ!」

闇のプレイヤーキラー
手札5枚→6枚

「俺は手札から永続魔法強者の苦痛を発動!これにより小僧の場のモンスターの攻撃力はモンスターのレベル一つに付き100ダウンする!そして手札からゼラの儀式発動!手札からレベル8になるようにモンスターを墓地に送りセラを儀式召喚する!」

ゼラ
ATK2800 DEF2300

「ゼラ!?青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)と同等のレアカードじゃないか!?」

「1ターン目で攻撃力2800のモンスターか。武藤遊戯に善戦したと言うのは本当らしいな」

「すっげぇ~!俺も戦いてぇぜ!」

観客席から様々な驚きの声が聞こえてくる。それを聞く闇のプレイヤーキラーはご満悦の様だ。

「くっくっく!更にカードを一枚伏せてターンエンドだ」

「…俺のターン、ドロー」

黒崎龍吾
手札5枚→6枚

「手札の雷邪龍サンダーダークドラゴンの効果発動。このカードを墓地に送りデッキから同名カードを二枚手札に加える。そして融合を発動!手札の雷邪龍サンダーダークドラゴン二体を融合してツインヘッド・サンダーダークドラゴンを召喚する」

「おっと、そうはいかないぜ。カウンター罠発動!マジックドレイン!小僧、手札から魔法カードを一枚捨てな。出来たらこのカードは無効になるが出来なければ融合は無効化される」

「…手札から魔法カードを捨てる。よって融合は無効にならない。更に今捨てた闇の鼓動の効果でデッキから闇属性ドラゴン族モンスター一体を手札に加える」

「ちぃ!手札を回す結果になったか!だが!強者の苦痛の効果は受けてもらうぞ!」

マジックドレインが不発に終わり融合が発動。ツインヘッド・サンダーダークドラゴンが場に姿を現した。

ツインヘッド・サンダーダークドラゴン
ATK3000→2200
DEF2500→1700

「ツインヘッド・サンダーダークドラゴンは一度のバトルフェイズに二回攻撃出来るが今のままではゼラに勝てない」

「龍吾は一体どんな手を出すのか」

「俺は手札から魔法除去を発動。強者の苦痛を破壊する」

「何!?魔法カードをまだ持っていたか!?」

三枚目の魔法カードの登場に驚くが闇のプレイヤーキラーの手札は0。伏せカードもなく強者の苦痛は呆気なく破壊された。

ツインヘッド・サンダーダークドラゴン
ATK2200→3000
DEF1700→2500

「バトル。ツインヘッド・サンダーダークドラゴンでゼラを攻撃」

「っく!墓地に存在するネクロガードナーの効果によってその攻撃を無効にする!」

「だが、ツインヘッド・サンダーダークドラゴンは一度のバトルフェイズに二回攻撃が可能だ。ツインヘッド・サンダーダークドラゴンで攻撃」

一度は防いだが二度目は防ぎきれずゼラは破壊される。

闇のプレイヤーキラーLP4000→3800

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

闇のプレイヤーキラーLP3800 手札0枚
モンスター
なし
魔法、罠
なし

黒崎龍吾LP4000 手札2枚
モンスター
ツインヘッド・サンダーダークドラゴン
魔法、罠
セット

「くそが!俺のターン!ドロー!」

呆気なく自分の場が空になり怒りと焦りを覚えつつある闇のプレイヤーキラーは荒々しくデッキからカードを引く。

闇のプレイヤーキラー
手札0枚→1枚

「俺は強欲な壺を発動!デッキからカードを二枚引く!…!俺は更に天使の施しを発動!デッキから3枚引き2枚捨てる!」

闇のプレイヤーキラー
手札0枚→2枚→4枚→2枚

「ひっひっひ。この勝負は俺が貰ったぁ!まずはブラックホールを発動!貴様のツインヘッド・サンダーダークドラゴンを破壊させてもらうぜ!更に墓地のゼラ、メルキド四面獣、レッド・サイクロプスをゲームから除外しダーク・ネクロフィアを特殊召喚する!」

場にブラックホールが発生しツインヘッド・サンダーダークドラゴンを飲み込むと場には人形の様な物を持ったモンスターがいるのみとなった。

「ダーク・ネクロフィアで貴様に直接攻撃!」

「っく…」

黒崎龍吾LP4000→1800

直接攻撃により一気にライフが減った。

「ヒャーッハッハッハ!!!!このダーク・ネクロフィアを戦闘で破壊すれば破壊したモンスターの装備カードとなり俺の物になる!攻撃できるならするがいい!」

一気に優位に立ったためか闇のプレイヤーキラーは狂ったように笑いそう言ってくるが龍吾はそれに答えずに行動をとる。

「リバースカードオープン!漆黒の特殊部隊!このカードは自分のライフにダメージが入った時に発動する!俺の場に特殊部隊トークンを特殊召喚する!このカードの攻守はこのターン自分が受けたダメージの総数となる!」

「何だと!?」

特殊部隊トークン
ATK?→2200
DEF?→2200

「おのれぇ!俺はターンエンドだ!」

自分の行動によって相手の良いようにされていることに闇のプレイヤーキラーは怒り狂うがそれを見た龍吾はため息をついた。

「…この程度か」

「…何?」

「武藤遊戯相手に善戦したと聞いたがどうやらただの噂でしかなかったようだな」

「…貴様ぁ!この俺を馬鹿にしているのか!?」

龍吾の言葉に闇のプレイヤーキラーは顔を真っ赤にして今にも殴り掛からんとばかりにしており審判を務めるクロノス教諭が「落ち着いてーノ!落ち着いてーノ!」と必死に宥める。

「俺のターン、ドロー!…このつまらないデュエルもこれでおしまいだ。手札から死者転生を発動!手札を一枚墓地に送り墓地のモンスター一体を手札に加える。そして俺はサイレントドラグーンを墓地に送りそのまま手札に加える」

「一体何がしたいんだ?それではただの無意味な行動でしかないぞ?」

サイレントドラグーンの効果を知らない闇のプレイヤーキラーは馬鹿にしたように言うが龍吾は無視して続ける。

「サイレントドラグーンの効果によってこのカードを特殊召喚する!そしてダークハリケーンを発動!ダーク・ネクロフィアを除外してもらう」

「なっ!?」

黒いハリケーンに巻き込まれて場から消えていくダーク・ネクロフィア。残ったのは龍吾のカードのみであった。

「特殊部隊トークンとサイレントドラグーンで直接攻撃!」

「ば、馬鹿な!ぐあぁぁぁぁぁ!?」

闇のプレイヤーキラーLP3800→-400

「これまで!勝者はオベリスクブルーの黒崎龍吾!おめでとう!君の退学は取り消しだ」

「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」

「おめでとう!龍吾!」

「ガッチャだ!龍吾!いいデュエルだったぜ!」

「圧勝だったっスね」

ライフが0になったのを見た校長の鮫島がそう宣言すると観客席から歓声が上がった。しかし、龍吾はやる事は終わったとばかりにアリーナを離れていくのであった。
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