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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第11話 電話とモグラとシャンパンピンク

第11話 電話とモグラとシャンパンピンク 作:イベリコ豚丼

(やった! やりました! ついにここまで漕ぎ着けました! 途中心の貞操とか人としての尊厳とか色々大切なものを失っちまったよーな気もしますが終わり良ければなんでもいーです!)
沖島 茅野はハイになったテンションでだんだんと光量の少なくなっていく帰路をひた走る。
茅野の動きに合わせて波打つ印象的なくせっ毛の、その根元。前髪をかきあげているカチューシャはデフォルメされたチェスの駒を模したドット柄があしらわれていた。
沖島 茅野はCHESSの構成員である。
ただし階級《クラス》は兵士《ポーン》。−Noを持たない雑用隊員だ。
蜂蜜に浸かったような景色の中を泳ぐように前に進む。学校を飛び出して距離をとるにつれて、徐々に街並みが変化していく。建物は小さく、街灯は少なく、道は荒く。
夕日が完全に壁の向こうへ消える頃には、月明かりの下には突風ひとつでまとめてバラバラになってしまいそうなあばら家がまちまちな間隔で並んでいた。
住所は3区の中でも最も壁に近い最外部。お世辞にもいい環境とは言えないその地域が茅野の地元だ。
「ただいま帰りました!」
勢いそのままに我が家の玄関を通過する。反動で扉が軋み、蝶番を通じて庵のように簡素な建物全体がぎしぎし揺れた。
「おっとっと……」
不安感を煽る効果音に一瞬で冷静さを取り戻す。舞い上がって自宅を破壊するなんて洒落にもならない。しばらく見守っていると、大事な我が家は空中分解してしまうことなくなんとか衝撃を地面に逃したようだ。
「……ふぅ、あぶねーです」
ほっと一息。
すると、今度は家の中から別の振動が伝わってきた。
「ねーちゃーん!」
せまい廊下を年相応に活発そうな二人の少年が我先にとかけてくる。顔はそっくり。双子である。
「こら白に黒、廊下は走っちゃダメだっていつも言ってるでしょう」
靴を脱ぐ間も無く中腰になってまったく同時の突進攻撃を受け止める。今年小学校2年生になったばかりの二人の弟は小柄な自分よりまだ小さい。
「ごめん! おかえり!」
「ごめん! おかえり!」
「はい、ただいまです。あ、紅も出迎えにきてくれたんですか」
廊下の奥にもう一人、少女がぬぼーっとつっ立っていた。
「ふぁ……」
双子とひとつ違いの妹はしばらくなにもない空間を見つめたあとようやく自分が呼ばれたことに気付いて、おぼつかない足取りで腕の中にもぐりこんできた。三人まとめて頭を撫でてやる。
「三人ともおかーさんの言うこと聞いていい子にしてましたか?」
「聞いて聞いて! 今日空き地で遊んでたらさー、すんげーでっかいカマキリ見つけたんだぜー!」
「そーそー! もうすっげーの! 10メートルぐらいあってさー!」
いやどんな化け物だ。そんなのどっかのグラップラーぐらいしか相手にならないだろう。
とかいちいちツッコんでいたら子供の、特に男の子の話はキリがないので、茅野は二人のカマキリトークを話半分に聞き流す。
「ぬふん……」
双子が提唱する巨大カマキリ宇宙人説に適当に相槌をうっていると、紅がもみじみたいなおててで顔を触ってきた。これはなにか話がある合図だ。
「どうかしやがりましたか?」
「うんち……」
「……は?」
突然の下ネタ。我が妹はこんな娘だったろうか。さてはまた双子がいらん言葉仕込んだな。
と思いきや。
「桃がうんちした……」
「ぶふっ! それを一番最初に言ってくださいよ!」
慌てて靴を脱いで上がり框をかけあがった。廊下を曲がって突き当たりのつぎはぎだらけになった居間の障子を開く。同時にふやぁふやぁという赤ん坊の泣き声が鼓膜に染みる。
「あーあー……こりゃ盛大にやらかしてやがりますね……」
畳に敷かれた布団上で生後数ヶ月の二人目の妹がぐずっていた。おむつからは独特のくちゃい臭い。
紅にミルクのあげかたぐらいはレクチャーしてあるのだが、さすがに下の世話までは荷が重かったようだ。双子は最初から戦力に数えていない。
文句を言っていても始まらない。兎にも角にも替えのおむつを確保するべく廊下を挟んで反対側の寝室の障子を開いた——先で、なんか踏んだ。
「なにゃあ!?」
「……あら? びっくり、勝手に障子が開いたわ。サイコキネシスかしら? まぁまぁ、私ったら娘を思う気持ちでついに超能力者になっちゃったのね」
足の下からとんちんかんな台詞が聞こえてくる。茅野とよく似たウェーブがかった長髪の内側におっとりした顔立ちを隠す瘦せぎすの女性は、紛れもなく自分たちの母親だった。
「ふふふ、待っていてね桃ちゃん。今サイキック母さんが行きますよ。……あらあら、なんだか頭が重いわ。超能力の副作用かしら」
「そ、そんなところに寝転んでなにしてやがるんですかおかーさん!」
半狂乱になりながら実の母の頭から足をどける。
「あらまぁおかえりなさい茅野ちゃん。学校楽しかった? 手洗いした? うがいは? おやつを用意してあげたいけどごめんなさい、先に桃ちゃんのおしめ替えてあげないといけないの」
「おやつは別にいらねーですし桃のおむつは私が替えますからおかーさんはじっとしててください! 体弱いんですから!」
「あらあら、心配してくれてありがとう。でも大丈夫よ。今日は絶好調なの。絶好調すぎて超能力まで使えるようになっとげろぽしゃあ」
「吐血してんじゃねーですか! いーから寝ててくださいー!!」
「あら、あらあらあらあらあら……」
畳にへばりつく母の両脚を脇に抱えてずりずりと寝室の中へ引きずっていく。
なんとか病人を万年床まで連れ戻した茅野は小さな体を大きく動かして肩で息をするが、まだ休んでいる暇はない。次は妹のおむつを取り替えなければ。
そう思った矢先、

————ピルルルル

旧式のD-ゲイザーが着信を告げた。
「あぁもう! 今度はなんですか!」
押し入れから引っ張り出したばかりの紙おむつを片手に居間に駆け戻り、明滅するD-ゲイザーを通話状態にシフトさせる。
「もしもし!!」
『——俺だ』
「——!」
瞬時に全身の神経が凍る。
着信相手はCHESSの上司だった。
『定時報告はどうした』
「あ…………すみません。その、少しバタバタしていまして……」
『言い訳はいらん。さっさと報告を始めろ』
「っ、……はい。……本日○八〇〇時、登校中のターゲットと接触。○八二○時……」
今日の行動記録を連ね上げる間、通話口の向こうの上司は一言も発さなかった。どころか、感情の機微さえも伝わってこない。
茅野は正直この上司が苦手だ。無機質というか、人間味がまったく感じられないその態度は、一度も顔を合わせたことがないにもかかわらず茅野に畏怖の念を抱かせた。
暗黒。虚無。
少ない茅野の語彙ではそんなありふれた言葉しか出てこないけれど、どれも外れてはいない気がする。
−Noを手にするには唯一無二の欲が必要だと言うが、彼にそんなものがあるようには到底思えなかった。
「……そして、一五二○時、連絡先を交換した後、ターゲットと別れて帰宅しました」
詮のないことを考えているうちに報告が終わる。
『以上か? では明日以降も接触を続けるように』
「あっ、あの!!」
通話が切断される気配を察して咄嗟に口を挟む。
「あの……実は、連絡先を交換したときに、休日に二人きりで出かける約束をしたんです」
『…………』
返事はない。砂時計が時を刻むのに似たノイズが聞こえているので切られたわけではないらしい。
先に沈黙に耐えきれなくなった茅野はおずおずと口を開いた。
「……これでさらにターゲットに近付けるはずです。それで、あの、その分のボーナスとして今月のお給料を少し増やしていただけないかと……」
『自惚れるな』
刀を振り下ろしたような拒絶。
『それぐらいのことなら貴様以外の兵士にも出来る。むしろターゲットと同じ学校という立場にいて約束を取り付けるのに1週間もかかったことを恥じろ』
「で、でも、今のお給料じゃ明日の先行きも見えねーんです! 借金も返さねーといけませんし……!」
『それは貴様の都合だろう。貴様も知っての通りCHESSは完全なる実力主義だ。どんな目的で所属していようと構わんが、欲しいものがあるなら闘って勝ち取れ。それが出来ない奴は必要ない』
「……っ!」
正論、だった。
茅野だって普通にバイトするよりも早く多くを稼げる可能性があったからこそCHESSで働くことを決意したのだから。
『いやなら辞めればいい。若い兵士など他にいくらでもいる』
今度こそ本当に通話が終了する。
しかし、茅野はすぐには動けず、D-ゲイザーを握った手を畳の上にだらりと下げて茫然としていた。
家族のこと、借金のこと、仕事のこと、要領を得ない思考が浮かんでは消える。
側頭部がズキズキ痛む。ここのところ偏頭痛が絶えなかった。耳鳴りや目眩も酷い。
視界が徐々に外側から黒く塗り潰され、意識がねばっこい暗闇に引きずられていく。なにもかもが悪い夢で、このまま身を任せていれば目が覚めて平和な日常が戻ってくるのではないか。
頭と心がぐるぐる渦巻く。
見慣れたはずの景色が歪む。
「茅野ちゃん」
名前を呼ばれ、我に返った。
だまし絵のようにちぐはぐだった世界もいつの間にか元に戻っている。
「おかーさん……」
ゆっくり振り返れば、開けっ放しになった襖にもたれかかるようにして、薄いカーディガンを羽織った母親が立っていた。
「お仕事のお電話?」
「……えぇ、はい」
また布団から抜け出したことを責める気にはとてもなれなかった。むしろ、今は誰かと話していなければ取り返しがつかなくなるまで狂ってしまいそうだった。
「ごめんね、茅野ちゃんばっかりに苦労かけちゃって。私がもっと元気だったらよかったのに」
「ッ! おかーさんは関係ねーです!悪いのはなにもかも全部あのクソ親父なんですから!! おかーさんの病気も! バカみたいな借金も! あの男さえいなけりゃ今頃っ」
「茅野ちゃん」
「っ!」
穏やかな瞳が茅野を射すくめる。
唇を噛んでうつむく娘に、母は弱々しい足取りで歩み寄る。
そのまま膝をつき、ゆっくりと娘を抱きよせ、
「ごめんね」
もう一度、静かに謝罪した。
背中に回された手は優しかった。途方もなく優しかった。
だから、泣きたくなった。

家族全員が寝付いたのを確認し、茅野は寝室の襖を閉めた。
耳鳴りがするほど閑散とした居間に寝転がり、雨漏りのせいで染みだらけの天井を意味もなく眺める。
改めて、沖島 茅野はCHESSの構成員である。
ただし階級は兵士。−Noを持たない雑用隊員だ。
兵士と塔以上の扱いの差は果てしなく、それは活動資金として毎月支給される金額ひとつとっても明らかだった。
6人分の生活費と借金の返済だけで茅野の月収は消える。一方、塔になればたった半年でハートピアの中心部に庭付きの一軒家が買えるようになる。文字通り桁違いだ。
所有者《持つ者》とその他《持たざる者》の距離はそれ程までに遠い。
だが、希望が無いわけではない。
上司が言った通り、CHESSでは結果さえ上げれば相応のリターンが約束されている。
例えば有益な情報の提供。
例えば権力や金銭的な支援。
それからなにより、−No。
自分で発現させるでもいいし他人からデュエルで勝ち取るでもいいから、とにかく−Noを手に入れさえすれば、たとえCHESSに入隊したばかりの新米であっても無条件で塔として取り上げてもらえる。他人に分け与えられるものなんてなにひとつ持っていない茅野にとって、それだけが唯一昇進への可能性だった。
けれど、茅野には全てを捨て去ってまで叶えたい願いなど思い浮かばない。ましてや初心者に毛が生えた程度のデュエルの腕前で−No所有者に勝てるわけがない。
それでも、塔に成るしか家族と一緒に明日を生きる方法はないのだ。
だったらどうするか。
「……やっぱり、隙を見てかっさらうしかねーですか」
どうしようもない現実から目をそらさず、茅野は独りごちた。

☆ ☆ ☆

そして迎えたデート当日。
「…………。」
「…………。」
二人は目的地のショッピングセンターを目指して歩き出したはいいものの、未だ一言たりとも言葉を交わしていなかった。
(うぅ……気まずいです……。出だしの会話こそ事前に1週間かけて練習してきたおかげでなんとかなりましたが、いざ臨機応変に会話しなきゃならねーとなるとひとつも言葉が思い浮かんできやがりません……。こういうのってこっちから話しかけたほうがいいんでしょうか……? と、とりあえず服とか褒めときますか? いやでもそれって男側の役割のような気もしますし……。……よし、やっぱりここは向こうが切り出すまで待ちましょう! 普段あれだけ女の子と冗談を言い合ってる人です、きっと今はこっちに気を遣ってくれてるだけでそのうち……)
ちらりと横目で遊午を伺う。

ものすっごい青ざめてた。

なんかもう今すぐ泡を吹いて失神しそうだった。本人は自然な笑顔のつもりかもしれないが、一周回って翁の面みたいになっていた。
(ちょぉぉぉぉお!! なんですかその顔! いつもの軽薄な男はどこいったんですか! みんなが笑顔になる薬でもキメてきてやがんですか!?)
唖然として見つめていると、自分でも翁になっていることに気付いたのか、遊午は慌てて顔を揉みほぐし始めた。垂れ下がった眉を押し上げ、ふやけた頬を引き締めて完成した顔は——おたふくだった。
(なんで!? なんでそうなるんですか!? 表情筋イカれてやがんじゃねーですか!? そんでちょっと満足気なのが余計腹立ちます! 鏡見やがってください! 1ミリも進歩してねーですよ!!)
道行く人々が遊午を見て一様にぎょっとする。さっきすれちがった家族連れなどは子供の目を塞いで全力で遠ざかるだけでなく、D-ゲイザーでどこかに連絡を取っていた。多分セキュリティに通報されている。
(はぁ……これはこっちから話しかけねーと永遠百面相見せられますね……。ええい、やっぱり服を褒めましょう。自分のセンスに自信があるわけでもねーですが、それっぽいこと言っておけば多分なんとかなるでしょう。さぁ口を開くんです茅野。女は度胸、あなたならやれます。言うべき台詞はたったの11文字。その服カッコいいですねその服カッコいいですねその服カッコいいですねその服——)
「そのっ……!」
「あのっ……!」
あろうことか、出だしが思いっきりかぶってしまった。
「あ、さ、先にどうぞ!」
「え、や、そちらこそどうぞ!」
「…………。」
「…………。」
そのままどちらも喋り出すことはなく、再び無言。
(どうしてこのタイミングなんですかぁぁぁ!! もっと他にいくらでも機会はあったでしょう! これでさらにやりにくくなったじゃねーですか! えぇ!? 反省してるんでしょーね!)
頭の中で苛立ちにまかせてくせっ毛をかきむしりつつ、バレないように遊午を睨みつける。

ひょっとこフェイスで口笛を吹いていた。

しかも上手く鳴らずに素通りした空気が虚しくスースーいっている。恐らく今の一幕をごまかしているつもりなのだろうが、悪循環でしかない。
(だからなんなんですかその能面シリーズ!! ほんとに人間の顔ですか!? はっきり言わせてもらいますけどね、ぶっちゃけ面白いんですよ! あーもう無理です。笑います! 我慢できるわけないでしょうこんなの!!)
「ぷっ……!」
堪え切れなくなった笑いが吹き出す。
「ふふっ……! あは、あははっ! あははははっ!!」
一度堰を切ったものはそう簡単には止まらない。笑ってしまった自分がまたおかしくて、次から次へと笑いが喉奥から飛び出してきた。
「なっ、なんなんですかそれ! どうなって、ふひっ、どうやってるんですか! あはははっ! お、お腹いてーです!!」
「は…………?」
突然のことに遊午はぽかんとしていたが、やがて涙を流してまで笑う茅野につられて自分も笑いはじめた。
「ぷっ……ははっ! ははははっ!!」
「あはっ、はは、あははははっ!!」
ついには膝まで笑い始めて歩くこともできなくなり、そのままふたりで人目もはばからずに笑い転げたのだった。

「お、D-ゲイザーの公式レンズ新色出たんだ」
「あ、ほんとですね」
怪我の功名とばかりにすっかりうち解けた二人は、予定通りウィンドショッピングを楽しんでいた。
今見ているのはデュエル関連のアタッチメントを扱う店舗。流行りの曲が流れるカントリー調の店内にデュエルディスクやD-ゲイザーといった商品がパーツごとに見栄え良く陳列されている。
「でもシャンパンピンクかー。赤系は好きだけど、男の俺にはちょっと抵抗があるかな」
「そうですか? 別に男の人がピンク身につけてもいいと思いますけど」
「んー、そりゃ柔和な感じの草食系どもだったらこういうのも着こなしちまうんだろうけどさ。ほら、どっちかっつーと俺は荒っぽく見えるタイプでしょ? だからピンクとはどうも相性が悪くてねー……。……ちっ。大体なんだよ草食系って。牙捨てて草食んでんじゃねーよ葉鶏頭が。なのにちくしょう、なんで奴等のがモテるんだ? 時代か? 時代なのか? 時代は人間にもエコを求めてんのか? 地球に優しくする前に非モテに優しくしろよ! 具体的には全ての男子に3人ずつ女の子を……いや待て。闘って勝ち取るシステムにすればいいんじゃないか? そうすりゃ草食系のモヤシに1ミクロンのおこぼれすら与えずに……」
「……あの? 先輩?」
なんだか急にぶつぶつ言い始めた。
「ふはははは、草しか食ってねぇ貧弱は滅べ! 勝った! 遊戯王REVERSE完! …………はっ! なんっ、ねんっ、にんっ、ぬんっ、のんでせう!?」
「のん? ……えと、大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫、問題なーし! ちょっーと生物界のヒエラルキーについて考えてただけだから!」
「はぁ……」
「とっ、ところで! 茅野ちゃんはどう、これ?」
「にゃ? 私ですか?」
「うん。茅野ちゃん可愛いいし、ピンク似合うと思うぜ?」
「かわっ……! いやいやいや、全然似合わねーですよ! 私なんか髪ぼさぼさで顔もそばかすだらけですし、ピンクなんて柄じゃねーです!」
「うーんそうかなぁ。サンプルあるし、とりあえず一回着けてみてよ。ていうか着けてあげよう」
「わわ、ちょっ、やめっ、待っ」
「まぁまぁまぁまぁ」
「わ、わかりました! 着けます、着けますからちけーですーっ!」
鼻息荒く眼前に迫ってくる遊午を全力で押し返しつつ、サンプル品をひったくる。現在形で茅野が使用しているものよりはバージョンがふたつみっつは新しいそれを耳にかけた。
「……ど、どうですか?」
「おおっ、やっぱ茅野ちゃんピンク似合うじゃん!」
「そ、そうですか? えへへ……」
「いーねいーね。とりあえず軽くポーズとってみようか」
「ポ、ポーズ? えと、こんな感じですか?」
広告などに載っているモデルをイメージして、軽く髪をかきあげ上目遣いを送ってみる。
「いいよぉこりゃ男がほっとかないよぉ。次もっと大胆なのもらえるかなぁ?」
「大胆なのですか……」
いつの間に取り出したのやら、遊午がデジタルカメラを連写しながら妙に粘っこい口調で指示を飛ばす。褒められてちょっと気が大きくなっていたのか、茅野は言われるままに普段なら絶対やらないポーズをとっていた。
「ん〜最高ぉ! 茅野チャンセンスあるよぉ。それじゃ今度はスカートめくっちゃったりなんかしてみちゃったりしちゃおうか」
「わかりました、スカー……とぉぉぉい!!」
半ばまでたくし上げていたスカートの裾を全力ではたき落とす。今危うく無意識のうちに公衆の面前で痴態を晒すところだったんじゃないか!?
「どさくさにまぎれてなにやらせようとしてやがんですか! 変態なんですか!? 変態なんでした!!」
「やだなぁ、俺はただマネージャーのクマさんに挨拶しとこうと思っただけであって」
「しなくていいです! ってゆーかその記憶は今すぐ忘れやがってください!」
「そうだね、今はウサギさんだもんね」
「しかも結局また見てんじゃねーですかうわーん!!」
「いやいや、見てないよ」
「…………え?」
お決まりのごとく顔を覆って遁走しようとした矢先、予想外の言葉に動きが止まる。
固まる茅野に遊午はにこやかに笑って続けた。
「見たんじゃなくて、撮ったんだよ」
「え」
「ほら」
そう言って見せてくるカメラのモニターには、スカートの裾をおへその下ぐらいまでつまみ上げ羞恥と喜色をないまぜにあながちまんざらでもなさそうにはにかむ茅野の姿がばっちり映っ「にぎゃあぁぁぁあぁぁあぁあぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!」
「ははは。そーれそれ」
茅野が必死というより瀕死の形相でカメラに摑みかかるが、遊午は茅野の届かない高さで右手をひらひら振ってそれをいなす。はたからみれば飼い主に遊んでもらう猫にそっくりだった。
「うにゃっ! ふにゅっ! にゃあっ! そっ、それを渡しやがってくだにゃいっ!!」
「え〜? ど〜しよっかなぁ〜? そうだな〜なにか交換材料があれば渡してもいいかもな〜?」
「にゃうっ! とにゃっ! ううう……っ!」
−Noをこっそり掠めとるとかそんなことを考えている場合ではない。むしろ逆に社会的にワンターンキルされる爆弾を握られてしまった。
そして、度重なる心労についに自棄になった茅野はさらにとんでもない爆弾を投下するのであった。
「ひっく……わ、わかりました。——脱げばいいんですね?」
「え」
遊午のにやけ顔が凍結する。
「えぐ……っ、ど、どこまでですか……? 下着……いや、やっぱり全裸ですよねそうですよね変態ですもんねもうどうにでもなりやがれです」
「ちょっ、ちょっと待った! そこまでは求めてないよ! いや確かに女の子の脱衣シーンなんてむしろこっちが金を払ってでも見たい垂涎のお宝映像だけど、さすがにこんなところで……!」
「こんなところで……? あぁ、もっと人の目が多いところで脱げってことですか。わかりました。駅前にでも行きますか? さすが女の子が涙ながらに恥辱を耐え忍ぶ顔に興奮する超弩級スケベ魔神で名高い先輩ですね。発想がショッキングピンクでいやがります」
「風評被害が酷ぇ! と、とりあえず服を脱ぐ手を止めよう! こんなとこセキュリティに見られでもした……ら……」
たとえ脱衣中であろうと心休まる暇など与えんとばかりに繰り返されていた言葉責め(茅野視点)が突然止まる。
不思議に思って見上げてみれば、いったいどこから現れたのか、青い制服の屈強なお兄さんが遊午の肩を掴んでいた。
お兄さんは蝋細工のような笑顔。
遊午は潰れた粘土細工みたいな笑顔。
「執行猶予はつかんぞ?」
「すでに刑が確定してる!?」
「カメラ片手に高笑いする男と半裸で涙する少女を同時に見りゃ、人を疑うのが仕事の俺たちじゃなくても腐れ性犯罪者の現行犯だとしか思わねぇだろうよ」
「おぉ……我ながら文字に起こすと犯罪の臭いしかしないな…………じゃなくて! せめて取り調べを経てからにしてくださいよ!」
「なんだ、黙秘権を行使したいのか?
だったら塀の向こうで好きなだけ黙っているといい」
「それはただの模範囚だ!!」
「なんでもいい、というか、どうでもいい。とにかく署まで来い」
「痛い痛い痛い痛い痛い!! 腕捻じ上げないで! 話聞いて! か、茅野ちゃんからも説明してぇぇぇ!!」
カメラを持った右腕を背中に回されたまま店外に引きずられていく遊午。
「…………えぇと?」
状況がいまいち飲み込めないまま捕り物劇を傍観していた茅野は、二人の姿が野次馬の奥に消えてからようやく再起動し、慌てて追いかけたのだった。


ここ『グランモール』はブティックや雑貨店はもちろん、書店、ドラッグストア、家電量販店、レストランやカフェに果ては映画館まで併設している区内最大規模の大型商業施設だ。豊富な品揃えと駅に近く大通りにも面しているという立地から平日休日を問わず多くの人で賑わっている。らしい。
らしいというのは茅野があくまで人伝手にしか聞いたことがないからである。
「え? 茅野ちゃんグランモール来るの初めてなの?」
「えぇ、まぁ、はい」
頭上でエスカレーターが交差する開けたコンコースのベンチに腰掛け一息ついていた茅野は、曖昧に頷いて、誤魔化すように持っていたコーヒーに口をつけた。苦味と酸味が口から鼻へと抜ける。
ちなみに、問うた遊午はカップを持っていない方の手で大きなたんこぶをさすっている。強面のセキュリティが実刑代わりに一発お見舞いした跡である。
「私の家からはちょっと不便ですから」
別に嘘ではなかった。
電車・車ともにアクセスしやすいなんてアピールポイントは、そもそも日常的に交通機関を使う余裕のない人間には関係ない話だ。
というかそもそも、内周部の物価で買い物をしていたら沖島家の蓄えは十日も待たずに底をつく。なにも買わないのはさすがに不自然かと思って買ったコーヒーも、どう考えても数百円も支払う価値があるとは思えなかった。コーヒーが飲みたいなら学園の食堂に行けばセルフサービスだ。
さらに言えば、食べ物が欲しいだけなら外周部でもっと安く手に入れられる。もちろん、価格に応じて品質と安全性は比べ物にならないが。
「ふーん、そっか…………そっか」
そう言うと、遊午はカップに唇を添えたまま黙考してしまった。いつになく真剣な双眸でどこでもないどこかを見ている。
もしかして今のは失言だったのだろうか。
だからといってわだかまった空気を散らす方法など思い付くわけもなく、茅野は隠れるようにその横顔から視線を逃した。
前面の開けた広場ではグランモールのマスコット、グランくんが子供たちにまとわりつかれている。リーフレットによればネオスペースから来た宇宙モグラらしい。あぁ、双子が喜びそうな設定だな、などと思いながら茅野は居づらい時間を残りのコーヒーとともに流し込んだ。
「そんじゃさ、初めて記念ってことでさっきのプレゼントするよ。あ、初デート記念って言ったほうがいいのかな?」
コーヒーを吹き出すかと思った。
「さっきの……ってまさか公式フレームですか!?」
「うん、シャンパンピンク」
「いや、いやいやいや! そんな、私なんかにはもったいねーですよあんな高価なもの!」
「高価っつっても、数千円でしょ? それで女の子の笑顔が買えるなら安い安い」
「な……」
やっぱり内地の住人の金銭感覚は理解できない。
「と、とりあえず、飲み終えたのでゴミ捨ててきます! その話は……えぇと、また後で!」
跳ね飛ぶように席を立つ。
(わ、わけわかんねーです! 珍しく真面目なこと考えてたんじゃねーんですか!? それがどうこんがらがったらそんな発想になりやがるんです!?)
口元を手で押さえる。
(……でも)
触れたそこは、だらしなく緩んでいた。
誰かと一緒に出かけたりだとか、プレゼントを贈ったり贈られたりだとか、そういう普通の女の子みたいなやりとりが、ちょっとだけ、ほんとのちょびっとだけ嬉しかった。それは、どれだけ足掻いても手に入らなかったものだったから。
「——って、あれ? どこですかここ?」
別に目的地があったわけでもなかったので、いつの間にか人気の無いところに来てしまっていた。段ボールの空箱やらイベントで使うモールなんかがごった積みにされているところからして、バックヤードだろうか。
なんにせよ、明らかに関係者以外立ち入り禁止を侵犯している気がする。ベンチに戻るのはもう少しほとぼりが冷めてからにするとして、とにかく離れたほうが良さそうだった。
そう思って床に転がるがらくたを避けて大通りに抜けようとすると、進路を塞ぐように目の前の扉が開いた。
店員にバレたらマズい。
茅野は肩を竦ませ縮こまった。
「クソがっ! あの豚こっちに目も向けやがりゃしねぇ! 組ナメてんじゃねぇぞ!!」
「やっぱりウチらみたいな新参者が天下のグランモールに取り入ろうなんて無茶だったんすよぉ。ウチらには貧乏人をイジめてるほうが性に合ってんす」
「うるっせぇ! それじゃいつまでたってものし上がれねぇだろうが! テメェにはコージョーシンってやつがねぇのかマヌケ!」
「あ、ちょっと、殴んないでくださいよぉ! 今日の髪型パーペキなんすから!」
「がぁぁぁあ! やくざがヘアスタイルでごちゃごちゃ言ってんじゃねえぇぇぇ!!」
「痛い痛い痛い! 痛いっすよぉアニキぃ」
しかし、出てきたのは制服を着た店員などではなく、揃いの金色のスーツという妙ちくりんな格好をした、ゴツいスキンヘッドとヒョロいパンチパーマの二人組だった。口の端から察するに、このショッピングモールにタカリにきたものの無名すぎて相手にされなかったやくざなのだろう。
絡まれれば面倒くさそうだが、目を合わせず適当に作業している振りでもしていればやり過ごせる相手だった。
大きいだけのダミ声や育ちがわかる所作などから小物臭が漂いまくっている。

それでも、茅野を怖気で拘束するには充分だった。

「あ……あああ……っ!」
ついさっきコーヒーを飲んだはずなのに喉からはからからに干からびた声ざ出てくる。脳の皺の一本一本までもが乾ききってしまったのか、意識がうまく繋がらない。
今すぐこの場所から立ち去りたいのに、足は太い釘を打ち付けられたように動かなかった。
「おいなにガンたれてんだクソガキィ! …………おぉ?」
「あれ? アニキ、あいつ沖島の娘じゃねぇっすか?」
「おーおーマジじゃねぇか。よォ偶然だなメスガキ!」
「ひっ……!」
「おいおい、別に知らねぇ仲でもねぇのにブルってんじゃねぇよ。それよりグランモールなんかになんの用だ? 買い物……なわきゃねぇよなぁテメェみたいな貧乏人が」
「あ……ぁう……」
「あのボードゲームみてぇな名前の得体の知れねぇ職場から鞍替えしにきたか? くくく、まぁなんでもいいけどよォ、4月ももう終わりだぜ。今月分の金はきっちり用意できてんだろなぁ?」
「そ、れは……」
「にしてもテメェも災難だよなぁ。クズの父親が組の金持ち逃げしたせいで、その歳でうん百万っつー借金背負いこんじまうなんざよぉ」
「——!」
この世で一番嫌いな男の名を出され、相手も忘れて眉間に力が入る。
「はっ、父親の名前出されただけでそう睨むんじゃねぇよ。俺だってテメェに同情してねぇわけじゃあねぇんだぜ。まぁ金はきっちり回収するがよぉ。なんなら稼ぎのいいバイト紹介してやってもいいぜ? チビで胸も貧相だが、初物ならウリ先のひとつぐらいあンだろ」
「ふざけ……っ!」
思わず食ってかかるが、石のような拳で襟首を捻じられ茅野の体が吊り上げられた。
「か、はっ……!」
足がつくかつかないかのところで宙に浮かされているせいで呼吸も満足に出来ず、口内に残ったわずかな空気が締め出される。
「ふざけんなはこっちのセリフだメスガキ。指詰める程度じゃ足りねぇところを金返すだけで許してやろうって言ってやってんだぞ。それとも、テメェんとこのガキどもをダルマに変えてやろうか? ああ!?」
「ッッッ!! それ、だけは……家族にだけは手を出さねーでください……っ! 私が、私に出来ることならなんでもします、から……」
「だったら身体でもなんでも売って、きびきび稼ぎやがれ。約束通り全額返したら解放してやるからよ」
そのまま空中に投げ出される。つっかえのとれた気管で酸素を取り込むのもままならず、着地点にあった段ボールを押しつぶして床に転がった。
「ぁづっ……!」
風船でも混じっていたのか、背中の下で嘲笑うようにまぬけな破裂音が連続する。
そんな醜態に目もくれずに、二人組は狭い通路を抜けていった。
「どけやクソガキ」
大通りに出る直前で出口に立っていた少年を横に突き飛ばして、二人組の背中が曲がり角に消える。
入れ替わりに、外から暗がりを見下ろしていた少年と——白神 遊午と、目があった。
「あ……」
見られたどうかはわからない。ゴミを捨てるだけにしては立ちすぎた茅野を探して、たった今偶然鉢合わせただけかもしれない。
けれど、その眼だけで十分だった。
悼むような眼だけでもう十分だった。
(はは……まったく、なに腑抜けちまってたんでしょーね……)
懐に入って取り入るはずが、はぐらかされて、ほだされて、あげくこんなところにひっくり返って弱みを晒している。捨て猫同然の自分の姿が呆れを通り越してもはや滑稽だった。
なにを期待していたのだろう。もしかしたらとでも思っていたのか。自分たち以外に自分たちの味方がいないことなんて、とっくの昔に思い知らされていたはずだったのに。
「すいません、お見苦しいところをお見せしちまいましたね」
「茅野ちゃん……」
「あぁ、手助けは必要ねーです。ひとりで立てますから」
「でも、」
「いいですから!!」
一歩寄ってきた遊午を突き放すように声をぶつけた。
「……もう、いいですから」
きっとさぞおかしな表情になっていることだろう。
自分では普通の笑顔を浮かべているつもりだが、それが自嘲からくるものではないかと言われたら茅野にだってわからない。
「すいません、今日はもう帰ります」
「あ、待っ……!」
まだ追い縋ろうとした手を振り切って、茅野は遊午の脇を走り抜けた。
何時間かけて家に帰る頃には涙も乾ききっていた。
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ター坊
敵組織ですが複雑な家庭事情で完全な敵視は出来ませんね。閉じ込められお姉さんの次は不幸な敵組織後輩。どう救うのか? (2018-02-26 11:06)
ギガプラント
なんと込み入った背景が…ただの敵かと思いきや普通に家庭環境が複雑な女の子でした。
遊午氏は相も変わらず変態さんですが、やっぱり格好良さも感じます。
そしてreverse独特の漫才のような掛け合い、これホント好きです。 (2018-02-26 16:30)
イベリコ豚丼
》ター坊さん
コメントありがとうございます!
敵キャラも色々抱えてるんだぜ、が茅野回のテーマのひとつになっています。 (2018-02-26 16:36)
イベリコ豚丼
》ギガプラントさん
コメントありがとうございます!
遊午はヤるときヤる変態ですから(笑)
漫才みたいという褒め言葉は関西人の私にとってなによりの褒め言葉です! (2018-02-27 10:28)
tres(トレス)
ああ、格差を強烈に意識させられます…茅野ちゃん、深い事情を持つ不憫な子でした。
遊午君が緊張のあまり顔芸してて笑いました。こういうところ、ちょっとかわいらしいと思ってます(変態だけど…)。 (2018-04-12 11:50)
イベリコ豚丼
》tresさん
コメントありがとうございます!
下手にかわいいとか言うと変態が付いてきますよ!(笑) (2018-04-14 06:59)

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