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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第七話・オベリスクブルーへの昇格テスト

第七話・オベリスクブルーへの昇格テスト 作:鈴木颯手

「やあ、よく来てくれたね黒崎君」

校長室に来た龍吾を校長の鮫島と実技担当責任者のクロノス教諭が出迎えた。

「君はラーイエローの中でも特に優秀な君をぜひオベリスクブルーにとクロノス先生から打診があってね」

「…そうなのですか」

龍吾は素っ気なく答える。龍吾にとってオベリスクブルーについてはそこまで評価は高くない。格下の寮の生徒を馬鹿にする、低ステータスのモンスターへの罵倒、攻撃力の高いモンスターへの異常なまでの傾倒。デュエルは攻撃力の高いモンスターで全てが決まるわけではないのにそれがまるで分っていないオベリスクブルーの生徒の事を快く思っていなかった。かといって他の寮について評価が高い訳ではない。ラーイエローは二つの寮に挟まれているためかそこまで馬鹿がいる訳ではないがオシリスレッドの生徒は酷かった。向上心がない者がほとんどで今の状況に満足、若しくは妥協、諦めなどがあり上の寮を見返してやろうとしている者があまりにも少なかった。

「で、君にその気があるならオベリスクブルーへの昇格をかけてクロノス先生とデュエルをしてもらう事になるがよろしいかね?」

校長の鮫島はそう聞いてくる。龍吾は少し考えると頷いた。

「分かりました。そのお話受けさて貰います」

どうせ自分が何処にいてもやる事は変わらないと考え三沢と良太と離れる事になるが寮が変わるだけでそこまで心配はないと考え龍吾は受ける事にしたのである。

「では試験は三日後デュエルアリーナで行う事とする」

「分かりました。クロノス教諭、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくナノーネ。デモ、手加減はするつもりはないノーネ」

「構いません」

校長の鮫島の隣にいたクロノス教諭に挨拶を済ませると校長室を後にした。早速デッキの再確認を行うためと試験に受かった時の事を考えて荷物を纏めるために寮へと戻っていくのであった。





☆★☆★☆
そしてオベリスクブルーに入るための試験の日となった。デュエルアリーナには龍吾とクロノス教諭だけではなく天上院明日香、三沢と良太、それに十代と翔、それに見知らぬオシリスレッドの制服を着たデス・コアラがいた。当初は三沢と良太二だけ伝えていたのだが何処から嗅ぎつけたのか十代と翔が応援に来ていたのである。天上院明日香とデス・コアラも同じような感じである。

「それで~は、オベリスクブルーへの昇格をかけたテストを行うノーネ」

「よろしくお願いします」

「「デュエル!」」

クロノス教諭と龍吾の声に合わせてデュエルが始まる。

「試験なので先行はシニョール龍吾に譲るノーネ」

「分かりました。ドロー」

黒崎龍吾
手札5枚→6枚

「俺は手札から雷邪龍サンダーダークドラゴンの効果発動。このカードを墓地に送る事でデッキから同名カードを二枚手札に加える」

黒崎龍吾
手札5枚→7枚

「俺は手札から暗黒騎兵ジコグを守備表示で召喚。更にカードを二枚伏せてターンエンド」

暗黒騎兵ジコグ
ATK1500 DEF1500

現れたのはケンタウロスの様に下半身は馬で上半身が人となっているモンスターであった。

「私のターン、ドロー」

クロノス教諭
手札5枚→6枚

「磁力の召喚円LV2(マグネットサークル)を発動するノーネ!この効果によって手札から古代の歯車(アンティーク・ギア)を特殊召喚するノーネ!更にもう一体古代の歯車(アンティーク・ギア)を特殊召喚するノーネ!」

クロノス教諭の場に二体のモンスターが現れた。

古代の歯車(アンティーク・ギア)
ATK100 DEF800

「そして私はこの二体を生贄に古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)を召喚するノーネ!」

二体のモンスターが消えると現れたのは歯車を内蔵した巨人であった。龍吾の持つダークゴーレムとは違い人が作ったと思わせる姿をしていた。

「古代の機械巨人(アンティーク・ギアゴーレム)で暗黒騎兵ジコグに攻撃!古代の機械巨人は守備表示モンスターを攻撃した時攻撃力が守備力を超えていた時その数値分相手にダメージを与えるノーネ!アルティメットパウンド!」

古代の機械巨人がパンチを繰り出すと暗黒騎兵ジコグは呆気なく破壊され古代の機械巨人の腕の幻影が龍吾に襲いかかった。

黒崎龍吾LP4000→2500

「私はカードを一枚伏せてターンエンドナノーネ」

黒崎龍吾LP2500 手札4枚
モンスター
なし
魔法、罠
セット
セット

クロノス教諭LP4000 手札1枚
モンスター
古代の機械巨人
魔法、罠
セット

「俺のターン、ドロー」

黒崎龍吾
手札4枚→5枚

「…俺は手札から死者転生を発動。カードを一枚墓地に送り墓地からモンスター一体を手札に加える。そして墓地に送った闇の鼓動の効果でデッキから闇属性ドラゴン族モンスター一体を手札に加える」

黒崎龍吾
手札4枚→3枚→4枚→5枚

「俺は手札から融合を発動!雷邪龍サンダーダークドラゴンと炎邪龍フレイムドラグーンを融合!現れろ炎雷龍サンダーフレアドラゴンを召喚する!」

現れたのは右を雷、左を炎を纏った龍であった。その姿は闇のモンスターよりも炎、光属性と呼ぶにふさわしい姿をしていた。

炎雷龍サンダーフレアドラゴン
ATK3500 DEF2800

「このカードは炎属性、光属性としても扱う!そして炎雷龍サンダーフレアドラゴンで古代の機械巨人を攻撃!」

「させないノーネ!トラップ発動!重力解除を発動!場のモンスター全ての表示形式を入れ替えるノーネ!」

重力の変動によって守備表示になる炎雷龍サンダーフレアドラゴンと古代の機械巨人。これを防ぐ事が出来なかった龍吾は若干眉をひそめた。

「…ターンエンド。そしてエンドフェイズに炎雷龍サンダーフレアドラゴンの効果を使用!手札を一枚墓地に送る事で墓地のモンスター一体を手札に加える」

「それデーハ、私のターン、ドロー」

クロノス教諭
手札1枚→2枚

「古代の機械巨人を攻撃表示にして炎雷龍サンダーフレアドラゴンに攻撃しますーノ!アルティメットパウンド!」

守備表示の炎雷龍サンダーフレアドラゴンは古代の機械巨人の攻撃を避けること適わず破壊されてしまう。そして再び効果によって古代の機械巨人の幻影の腕が龍吾に襲い掛かった。

黒崎龍吾LP2500→2300

「更に私は手札を一枚捨てる事で古代の採掘機(アンティーク・ギアドリル)を使用するノーネ!デッキから魔法カードをセットしてターン終了ナノーネ!」

黒崎龍吾LP2300 手札2枚
モンスター
なし
魔法、罠
セット
セット

クロノス教諭LP4000 手札0枚
古代の機械巨人
魔法、罠
セット

再びクロノス教諭の古代の機械巨人によって場のモンスターを破壊されてしまう龍吾だったが動じずにターンを進行させる。

「俺のターン、ドロー!」

黒崎龍吾
手札2枚→3枚

「俺は強欲な壺を発動!デッキからカードを二枚ドローする!」

黒崎龍吾
手札2枚→4枚

「…俺はリバースカードオープン!トラップフュージョン!このカードはエクストラデッキから融合モンスター一体を選びそのモンスターが闇属性モンスターだった場合墓地の闇属性モンスターを素材の数だけ除外する事で代用することが出来る!俺はダークジェネラルドラグーンを選択!雷邪龍サンダーダークドラゴン二体をゲームから除外して召喚する!現れろ!ダークジェネラルドラグーン!」

呼びかけに応じて新たな融合モンスターが姿を現した。

ダークジェネラルドラグーン
ATK4200 DEF3800

「攻撃力4200ナノーネ!?」

「このカードが場にいる限りクロノス教諭の与えるダメージは半分になり俺が与えるダメージは与えるダメージの半分アップする。更にダークハリケーン発動!自分の場に闇属性モンスターがいる場合相手の場のカードを二枚まで除外する!俺は古代の機械巨人とセットカードを選択!」

闇のハリケーンが発生しセットカードと古代の機械巨人を飲み込んでいく。セットされていたカードはリミッター解除。もし龍吾がそのまま攻撃を仕掛けていれば返り討ちにあっていただろう。

「これでクロノス教諭を守るものはなくなったダークジェネラルドラグーンで直接攻撃!効果によりクロノス教諭は4200のダメージに加えて2100のダメージ受けてもらいます!」

「ホギャァァァァ!!!!」

クロノス教諭LP4000→-2300

ダークジェネラルドラグーンのブレスによって頭を焼かれたクロノス教諭をそこら辺を走り回りようやく鎮火する事に成功した。

「あ、頭だけは勘弁してナーノ…。…はっ!そ、それデーハシニョール龍吾は私に勝ったノーデオベリスクブルーに昇格する事を認めまスーノ。この地位に満足せずに更なる高みを目指すヨーニ」

「はい。ありがとうございました」

頭を押さえながら言ったクロノス教諭の言葉を聞いて龍吾は挨拶をする。観客席で見ていた三沢たちは拍手をして龍吾のオベリスクブルーへの昇格を祝ってくれるのであった。





☆★☆★☆
オベリスクブルーに昇格した龍吾は事前に荷物などの準備を済ませていたため直ぐにオベリスクブルーの寮へと向かった。因みに龍吾がオベリスクブルーの寮に来るのはこれが初めてである。前にも説明した通りオベリスクブルーの生徒を嫌っていた事と態々出向く理由がなかった事から今までくる様な事は無かったのである。

オベリスクブルーの寮はちょっとした城であり流石の龍吾もその豪華さに固まってしまう。しかし、直ぐに中に入るとクロノス教諭に指示されていた空き部屋に入る。中は外観に劣らず豪華でありラーイエローの時の寮と比べれば明らかに倍以上広く豪華であった。

流石に直ぐには慣れそうもないなと思いつつデッキを枕元に置くと横になった。そして目を瞑ると直ぐに睡魔が襲ってきたため龍吾は抵抗することなく眠りにつくのであった。





☆★☆★☆
そこはとても暗かった。

そこは地面が何処にあるか分からなかった。

今自分が立っているのか座っているのか分からなかった。

体は金縛りにあったように少しも動く事は無くそれどころか体の操作を放棄したがっていた。

ふと自分を何かが覆うように向かってきているのが分かったが体が動かない今抵抗などできるはずもなくそれに飲み込まれる。中に閉じ込められるように覆われると少しずつ体が解けるような感覚に襲われる。

何かと一体になるような感覚でとても気持ちがいい。そう思えるものだった。このまま快楽に身をゆだね溶けてしまいたい。そう思えば思う程意識は薄れながらも快感は高まっていく。

そして意識を失うのと快感の頂点に経つのはほぼ同時であった。





☆★☆★☆
龍吾が目を覚ますと辺りは夜になっていた。龍吾は少しだるいと思いつつきちんと寝るために着替えを行うが枕元に置いたデッキが一瞬黒いオーラに包まれたのを彼は気づかなかった。
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