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EP21 絆を守る意地 作:ター坊
白朧院 梓が行方不明―
ボタンからのその知らせに遊季都はただただ言葉を失う。
「そんな…」
「はい…。梓お嬢様は思い詰めた表情でキャリーバッグを引いて屋敷を出て行かれました。無論、止めようとしたのですが…」
《ボタン、止めないで。じゃないとお母様に叱られますわ》
《ですが!》
《お母様のあの考えを改めない限り帰りません、と伝えて下さい》
「そう言って出て行かれました…」
「それでお母さんの方は」
「…奥様は梓お嬢様が心配と言うよりも世間体を配慮して夜になってからこうした内密な捜索を命じました」
「そんな…」
確かにハクロウ・コーポレーションは日本有数の大企業。そこの社長令嬢が家出となれば一大スキャンダルである。しかし、母親としてはそんな世間体なんかよりも娘の身を案じる方が当然なのでは?と遊季都は思わざるえなかった。
「白朧院さん…。無事だと良いけど…」
一方その頃、梓は
「ふぅ…」
大きなキャリーバッグと学生鞄を携え、とある駅前のベンチに腰掛けながらぼんやり月を眺めて途方に暮れていた。
「どうしましょうか…」
梓の悩みの種は2つある。
1つは持ち物。キャリーバッグには当面の着替えと制服、教科書・ノート、寝袋など、鞄には細々(こまごま)とした生活消耗品などを詰め込んでいる。梓とて自身の立場を弁え、周囲に家出を悟られないように通学する準備をしていたが、より重要な物を忘れてしまっていた。スマートフォンとお金である。急いで荷物を纏めたため情報ソースのスマホ、資金源のメインで使っている財布は部屋に置きっぱなしで、今は学生鞄に入っていた予備のお金数千円しかない。移動・施設の利用・食糧の調達、それを数千円っぽちで全て賄うのは無理がある。
もう1つは寝泊まりする場所。一瞬、梓の脳裏には遊季都と盛雄の家という発想が浮かんだが、初めて出来た友達に迷惑を掛けられないとそんな甘い考えはすぐに消した。ならばテレビで見たネットカフェかと言えばそうも簡単にはいかない。所持金数千円の中でネットカフェの利用料金は馬鹿にならない。ならあとは公園などでの野宿くらいだが、それはホントのホントの最終手段。梓としてもそれは使いたくない手である。
「…」
母が言う庶民の意味は娘ゆえによく理解していた。それは生まれながらの負け組、落ちこぼれだと言い聞かされてきたが梓は幼い頃からそう思わなかった。母の他者を見下す教えよりも、父の、たとえ下の者でも信頼して尊重する、他者を敬う教えの方が好きだった。
もしここで家に帰れば友人を庶民と愚弄した母に屈した事になる。梓はそう思うからこそ意地でも家には帰りたくないのだ。
しかし現状は八方塞がり。梓は次はどうすべきなのかと思案に耽る。そんな梓の姿を見て近寄る影がひとつあった。
「ねぇ、きみぃ」
「えっ?はい…」
梓に話し掛けてきたのはスーツを着た中年のオジサンである。頭は禿げ上がり、特別チョイ悪でもダンディでもない、ごくごく普通のサラリーマンといった感じである。
「か、可愛いねぇ」
「え、はぁ…どうも」
「で、いくらなんだい?」
「いくらって…お、お金ですか?」
「オジサンお金は持ってるからねぇ。いーっぱい渡せるよぉ。ハァ…ハァ…」ニタァ
オジサンの不敵な笑みに梓は女の本能的なものから背筋が震える。
「諭吉3かい?それとも5かなぁ?」
「あの…やめて下さい…」
梓が怖くなってベンチから立ち去ろうとした時だった。
ガシッ
「ひっ!」
「手ぇスベスベして綺麗だねぇ。ハァ…ハァ…」
「やめて下さい、は、離して…」
手を掴まれた梓は恐怖で大声を出す事も出来ないままでいた。
「痛くしないからねぇ?オジサンこれでも上手でさぁ。一緒に気持ち良くなろぉ?ハァ…ハァ…」
荒くなる息遣い、煙草と脂汗が混じった臭い、ねっとりした口調。それらは梓の恐怖心と嫌悪感を煽り、助かる術を考えるための思考を鈍らせる。
「誰か…」
そんな時だった。
ザッ
梓は誰かが接近したような気がするが
ドタッ
気付いた時にはオジサンは白目を剥いて倒れていた。梓はオジサンの代わりに目の前に立っている人物に見覚えがあった。
「貴方は…!」
「大丈夫ですか?」
女性ながらもすらりと伸びた長身、揺れる銀髪のポニーテール、外国人ながらも何処か日本的な美しさを兼ねた顔。
「ふぅ。危なかったな。よくやったルナ」
後ろから来た男性は全てのデュエリストの頂点に立つ人であった。
「風峰プロ…。それにSPのルナテシアさん…」
「だいたい3日ぶりくらいかな」
「えっと…はい。ありがとうございました」
目の前で起きた事に頭はついていっていないが、梓はとりあいず一礼して感謝した。
梓は遊路の勧めで家についてくる事にした。
「ふーん。なるほど」
歩きながら梓は事の経緯と自身の現在の有り様を遊路に話した。
「はい…。母に屈したくないと言いつつも、挫けそうな自分がいて…。こうして誰かに頼らないといけない自分が嫌になります…」
「それはどうかな?」
「え?」
「俺だって、誰かに頼ったからここまでのし上がって来たんだ。頼る事は恥ずかしい事じゃない」
「そう…ですか?」
「ああ。例えば…俺は未だにコイツがいなきゃまともに海外で活動出来ないかな」
「…あっ / / / 」
そう言って遊路はルナテシアの腕を抱き寄せ、ルナテシアは気恥ずかしそうに視線を反らし黙っている。そのイチャつき具合はただ単の仕事上の付き合いとは梓には思えなかった。
「あの…仲が良いんですね」
「ああ。妻二人とは別に、お嫁さん候補って言えばいいだろうか。ルナともマネージャーの千春さんともクイーン・フォースの心愛とも交際してるんだ。当然、全員との結婚を前提にな」
「ええっ!?」
梓は遊路の一夫多妻の身上を知っていたが、その常識外れな男女関係に思わず声を挙げる。
「あの…それって」
「世間からはたまに女ったらしとか叩かれる事もあるけど、俺を信じてくれる5人の為にもこの愛情は曲げないさ。それはお前も似たようなものだろ?」
「え!?その…私は…」
「遊季都と盛雄の事。大切な仲間だと思って、それを侮辱したお母さんに反発してこうして家出したんだろ?」
「それは…そうですけど」
「なら同じだ。大切な人と結んだ絆を守る為に意地を貫く。その絆の名前を友情と呼ぶか愛と呼ぶか、そのくらいの違いしかないんだよ」
「絆を守る為の意地…」
「それを持ってれば人間は簡単には折れない。だから家出頑張れよ」
「…はい!」
梓は折れかけた意地が立ち直ったような気がした。
それからしばらく歩き―
「じゃあ、また後でな」
「はい」
遊路はとある建物の前でルナとキスを交わして別れた後、梓を連れ数分歩いて自宅に着いた。
「これが風峰プロの家…」
世界を獲ったプロの家はさぞ豪華絢爛だろうと思っていた梓だが、やや肩透かしを食らってしまう。
遊路の家は2階建ての小さい庭付きで大きいには大きいが、常識外れな程ではなく、高級住宅街の中で標準的といった感じだ。
「この家は俺が建てた訳じゃなくて、元々は美羽の家なんだよな。風呂を広くしたりとかの内装いじりは少しだけ」
「そうなんですか?」
「まぁ3人との結婚を見据えて近場に大きい家を建設中だから、もうじき手放すけどな」
「はぁ…」
「さて、腹も減ってるだろ?入ろうか」
そう言って遊路は梓を家に招いた。
「ただいま」
「お邪魔します…」
遊路が帰宅しての声を聞きつけて最初に出迎えるのは
「ととさま おかえりなさい!」
「パパ、おかえり」
遊路の娘の大和と雛里である。
「はいただいま。良い子にしてたか?」
「うん!」
「あ、あずさおねーちゃん!こんばんは」
「こ、こんばんは」
大和は行儀よく梓に挨拶する。
「今日はな、梓お姉ちゃんがおうちに泊まるぞ」
「えっ!?」
「ホント!?いっぱいあそべる!?」
「ああ。梓も良いだろ?」
「は、はぁ…」
梓も遊路の決めた事に従わざるえなかったが、むしろ梓が遠慮していいえと断らないように仕向けたようにも思えた。
梓は食事を摂って大きい風呂にも入れてもらった。その代償として元気一杯な大和と雛里と遊ぶ羽目になるが、それも苦ではなかった。子供たちが疲れて眠りに就いた頃、遊路の妻、遊月・美羽も交えて今後についての話し合いの席が設けられた。
「梓様は明日から行く宛は?」
「いいえ。それは…」
梓もさすがに世話になりっぱなしという訳にもいかない。明日には出て行くつもりだった。
「じゃあどうする?家に帰る?」
「いいえ!それだけは!」
美羽の問いかけに思わず声を荒げてしまう。
「あっ、申し訳ありません…」
「ううん。遊路から聞いてるよ。それくらい意思が固いって」
「はい…」
「…あ、そうだ!」
遊路が何か閃いたらしい。
「1つ良い方法があるじゃないか。梓の住む場所を確保出来て、かつ負い目をそれほど感じずに済む手が」
「え?」
「まぁ今日は遅いから話は明日だな。俺は今夜ルナのところで寝るから俺の部屋使って良いぞ」
「えっと…はい…」
翌日。朝帰りの遊路は梓を連れてある場所に向かった。
「ここは昨日、ルナテシアさんと別れた…」
昨日は夜の暗がりでよく見えなかったが、大きなアパートが建っていた。
「魅河荘って言ってな、遊月が大家してるんだ。ルナの他にもクイーン・フォースの面々や千春さん、他にもニューサニーアップ事務所や系列の場所に関係してる人が入居している」
遊路は一通り簡単な説明を終えると、梓を後ろに続かせ外つけの鉄の階段を上り、一番奥の突き当たりの部屋に入る。
「部屋はこんな感じだ」
「まぁ…」
魅河荘の部屋は10部屋あるがどれも同じ1DKの造りである。狭い玄関のすぐ前にトイレがあり、右手の扉を開けると9帖のDKと奥に6帖の洋室、洋室の隣に風呂がある。一人暮らしするには充分な広さだ。
「もしかして…」
「ああ。ここに住んでみたらどうだ?という訳だ。当然、生活費はそっち持ちだし、長く住む気なら家賃だって貰う」
「えっと…ですけど、お金を持ってませんし…」
「…」
遊路は梓をじっと見る。
「あの…」
「…問題無さそうだな」
「え?」
「お金が無いって言うなら、体で稼げば良いだろ?」
ボタンからのその知らせに遊季都はただただ言葉を失う。
「そんな…」
「はい…。梓お嬢様は思い詰めた表情でキャリーバッグを引いて屋敷を出て行かれました。無論、止めようとしたのですが…」
《ボタン、止めないで。じゃないとお母様に叱られますわ》
《ですが!》
《お母様のあの考えを改めない限り帰りません、と伝えて下さい》
「そう言って出て行かれました…」
「それでお母さんの方は」
「…奥様は梓お嬢様が心配と言うよりも世間体を配慮して夜になってからこうした内密な捜索を命じました」
「そんな…」
確かにハクロウ・コーポレーションは日本有数の大企業。そこの社長令嬢が家出となれば一大スキャンダルである。しかし、母親としてはそんな世間体なんかよりも娘の身を案じる方が当然なのでは?と遊季都は思わざるえなかった。
「白朧院さん…。無事だと良いけど…」
一方その頃、梓は
「ふぅ…」
大きなキャリーバッグと学生鞄を携え、とある駅前のベンチに腰掛けながらぼんやり月を眺めて途方に暮れていた。
「どうしましょうか…」
梓の悩みの種は2つある。
1つは持ち物。キャリーバッグには当面の着替えと制服、教科書・ノート、寝袋など、鞄には細々(こまごま)とした生活消耗品などを詰め込んでいる。梓とて自身の立場を弁え、周囲に家出を悟られないように通学する準備をしていたが、より重要な物を忘れてしまっていた。スマートフォンとお金である。急いで荷物を纏めたため情報ソースのスマホ、資金源のメインで使っている財布は部屋に置きっぱなしで、今は学生鞄に入っていた予備のお金数千円しかない。移動・施設の利用・食糧の調達、それを数千円っぽちで全て賄うのは無理がある。
もう1つは寝泊まりする場所。一瞬、梓の脳裏には遊季都と盛雄の家という発想が浮かんだが、初めて出来た友達に迷惑を掛けられないとそんな甘い考えはすぐに消した。ならばテレビで見たネットカフェかと言えばそうも簡単にはいかない。所持金数千円の中でネットカフェの利用料金は馬鹿にならない。ならあとは公園などでの野宿くらいだが、それはホントのホントの最終手段。梓としてもそれは使いたくない手である。
「…」
母が言う庶民の意味は娘ゆえによく理解していた。それは生まれながらの負け組、落ちこぼれだと言い聞かされてきたが梓は幼い頃からそう思わなかった。母の他者を見下す教えよりも、父の、たとえ下の者でも信頼して尊重する、他者を敬う教えの方が好きだった。
もしここで家に帰れば友人を庶民と愚弄した母に屈した事になる。梓はそう思うからこそ意地でも家には帰りたくないのだ。
しかし現状は八方塞がり。梓は次はどうすべきなのかと思案に耽る。そんな梓の姿を見て近寄る影がひとつあった。
「ねぇ、きみぃ」
「えっ?はい…」
梓に話し掛けてきたのはスーツを着た中年のオジサンである。頭は禿げ上がり、特別チョイ悪でもダンディでもない、ごくごく普通のサラリーマンといった感じである。
「か、可愛いねぇ」
「え、はぁ…どうも」
「で、いくらなんだい?」
「いくらって…お、お金ですか?」
「オジサンお金は持ってるからねぇ。いーっぱい渡せるよぉ。ハァ…ハァ…」ニタァ
オジサンの不敵な笑みに梓は女の本能的なものから背筋が震える。
「諭吉3かい?それとも5かなぁ?」
「あの…やめて下さい…」
梓が怖くなってベンチから立ち去ろうとした時だった。
ガシッ
「ひっ!」
「手ぇスベスベして綺麗だねぇ。ハァ…ハァ…」
「やめて下さい、は、離して…」
手を掴まれた梓は恐怖で大声を出す事も出来ないままでいた。
「痛くしないからねぇ?オジサンこれでも上手でさぁ。一緒に気持ち良くなろぉ?ハァ…ハァ…」
荒くなる息遣い、煙草と脂汗が混じった臭い、ねっとりした口調。それらは梓の恐怖心と嫌悪感を煽り、助かる術を考えるための思考を鈍らせる。
「誰か…」
そんな時だった。
ザッ
梓は誰かが接近したような気がするが
ドタッ
気付いた時にはオジサンは白目を剥いて倒れていた。梓はオジサンの代わりに目の前に立っている人物に見覚えがあった。
「貴方は…!」
「大丈夫ですか?」
女性ながらもすらりと伸びた長身、揺れる銀髪のポニーテール、外国人ながらも何処か日本的な美しさを兼ねた顔。
「ふぅ。危なかったな。よくやったルナ」
後ろから来た男性は全てのデュエリストの頂点に立つ人であった。
「風峰プロ…。それにSPのルナテシアさん…」
「だいたい3日ぶりくらいかな」
「えっと…はい。ありがとうございました」
目の前で起きた事に頭はついていっていないが、梓はとりあいず一礼して感謝した。
梓は遊路の勧めで家についてくる事にした。
「ふーん。なるほど」
歩きながら梓は事の経緯と自身の現在の有り様を遊路に話した。
「はい…。母に屈したくないと言いつつも、挫けそうな自分がいて…。こうして誰かに頼らないといけない自分が嫌になります…」
「それはどうかな?」
「え?」
「俺だって、誰かに頼ったからここまでのし上がって来たんだ。頼る事は恥ずかしい事じゃない」
「そう…ですか?」
「ああ。例えば…俺は未だにコイツがいなきゃまともに海外で活動出来ないかな」
「…あっ / / / 」
そう言って遊路はルナテシアの腕を抱き寄せ、ルナテシアは気恥ずかしそうに視線を反らし黙っている。そのイチャつき具合はただ単の仕事上の付き合いとは梓には思えなかった。
「あの…仲が良いんですね」
「ああ。妻二人とは別に、お嫁さん候補って言えばいいだろうか。ルナともマネージャーの千春さんともクイーン・フォースの心愛とも交際してるんだ。当然、全員との結婚を前提にな」
「ええっ!?」
梓は遊路の一夫多妻の身上を知っていたが、その常識外れな男女関係に思わず声を挙げる。
「あの…それって」
「世間からはたまに女ったらしとか叩かれる事もあるけど、俺を信じてくれる5人の為にもこの愛情は曲げないさ。それはお前も似たようなものだろ?」
「え!?その…私は…」
「遊季都と盛雄の事。大切な仲間だと思って、それを侮辱したお母さんに反発してこうして家出したんだろ?」
「それは…そうですけど」
「なら同じだ。大切な人と結んだ絆を守る為に意地を貫く。その絆の名前を友情と呼ぶか愛と呼ぶか、そのくらいの違いしかないんだよ」
「絆を守る為の意地…」
「それを持ってれば人間は簡単には折れない。だから家出頑張れよ」
「…はい!」
梓は折れかけた意地が立ち直ったような気がした。
それからしばらく歩き―
「じゃあ、また後でな」
「はい」
遊路はとある建物の前でルナとキスを交わして別れた後、梓を連れ数分歩いて自宅に着いた。
「これが風峰プロの家…」
世界を獲ったプロの家はさぞ豪華絢爛だろうと思っていた梓だが、やや肩透かしを食らってしまう。
遊路の家は2階建ての小さい庭付きで大きいには大きいが、常識外れな程ではなく、高級住宅街の中で標準的といった感じだ。
「この家は俺が建てた訳じゃなくて、元々は美羽の家なんだよな。風呂を広くしたりとかの内装いじりは少しだけ」
「そうなんですか?」
「まぁ3人との結婚を見据えて近場に大きい家を建設中だから、もうじき手放すけどな」
「はぁ…」
「さて、腹も減ってるだろ?入ろうか」
そう言って遊路は梓を家に招いた。
「ただいま」
「お邪魔します…」
遊路が帰宅しての声を聞きつけて最初に出迎えるのは
「ととさま おかえりなさい!」
「パパ、おかえり」
遊路の娘の大和と雛里である。
「はいただいま。良い子にしてたか?」
「うん!」
「あ、あずさおねーちゃん!こんばんは」
「こ、こんばんは」
大和は行儀よく梓に挨拶する。
「今日はな、梓お姉ちゃんがおうちに泊まるぞ」
「えっ!?」
「ホント!?いっぱいあそべる!?」
「ああ。梓も良いだろ?」
「は、はぁ…」
梓も遊路の決めた事に従わざるえなかったが、むしろ梓が遠慮していいえと断らないように仕向けたようにも思えた。
梓は食事を摂って大きい風呂にも入れてもらった。その代償として元気一杯な大和と雛里と遊ぶ羽目になるが、それも苦ではなかった。子供たちが疲れて眠りに就いた頃、遊路の妻、遊月・美羽も交えて今後についての話し合いの席が設けられた。
「梓様は明日から行く宛は?」
「いいえ。それは…」
梓もさすがに世話になりっぱなしという訳にもいかない。明日には出て行くつもりだった。
「じゃあどうする?家に帰る?」
「いいえ!それだけは!」
美羽の問いかけに思わず声を荒げてしまう。
「あっ、申し訳ありません…」
「ううん。遊路から聞いてるよ。それくらい意思が固いって」
「はい…」
「…あ、そうだ!」
遊路が何か閃いたらしい。
「1つ良い方法があるじゃないか。梓の住む場所を確保出来て、かつ負い目をそれほど感じずに済む手が」
「え?」
「まぁ今日は遅いから話は明日だな。俺は今夜ルナのところで寝るから俺の部屋使って良いぞ」
「えっと…はい…」
翌日。朝帰りの遊路は梓を連れてある場所に向かった。
「ここは昨日、ルナテシアさんと別れた…」
昨日は夜の暗がりでよく見えなかったが、大きなアパートが建っていた。
「魅河荘って言ってな、遊月が大家してるんだ。ルナの他にもクイーン・フォースの面々や千春さん、他にもニューサニーアップ事務所や系列の場所に関係してる人が入居している」
遊路は一通り簡単な説明を終えると、梓を後ろに続かせ外つけの鉄の階段を上り、一番奥の突き当たりの部屋に入る。
「部屋はこんな感じだ」
「まぁ…」
魅河荘の部屋は10部屋あるがどれも同じ1DKの造りである。狭い玄関のすぐ前にトイレがあり、右手の扉を開けると9帖のDKと奥に6帖の洋室、洋室の隣に風呂がある。一人暮らしするには充分な広さだ。
「もしかして…」
「ああ。ここに住んでみたらどうだ?という訳だ。当然、生活費はそっち持ちだし、長く住む気なら家賃だって貰う」
「えっと…ですけど、お金を持ってませんし…」
「…」
遊路は梓をじっと見る。
「あの…」
「…問題無さそうだな」
「え?」
「お金が無いって言うなら、体で稼げば良いだろ?」
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89 | EP40 襲い来る魔の手 | 794 | 8 | 2018-10-18 | - | |
67 | EP41 後悔するくらいならやっちまえ | 789 | 8 | 2018-10-23 | - | |
118 | EP42 当然の勝利 | 905 | 8 | 2018-10-27 | - | |
80 | EP43 中村一派始末 | 903 | 8 | 2018-11-01 | - | |
78 | たまにはこんなの書かせてくれ③ | 683 | 9 | 2018-11-06 | - | |
61 | EP44 共存を望む悪魔 | 781 | 8 | 2018-11-15 | - | |
63 | EP45 ここで生きていく | 825 | 10 | 2018-11-29 | - | |
66 | EP46 勝者の光 敗者の影 | 910 | 8 | 2018-12-03 | - | |
116 | コラボ告知 | 1293 | 11 | 2018-12-13 | - |
更新情報 - NEW -
- 2024/03/23 新商品 QUARTER CENTURY CHRONICLE side:PRIDE カードリスト 追加。
- 03/29 21:15 評価 8点 《クレーンクレーン》「召喚時にLV3を吊り上げられるモンスター。 …
- 03/29 19:35 評価 3点 《魔力誘爆》「総合評価:《フレンドリーファイア》などで良いので…
- 03/29 19:29 評価 4点 《バブル・ブリンガー》「総合評価:同名モンスターの蘇生でアドを…
- 03/29 18:57 評価 9点 《氷水艇エーギロカシス》「《氷水啼エジル・ギュミル》、《相剣大…
- 03/29 18:42 評価 8点 《火霊媒師ヒータ》「お腹がかわいい 惚れました 2:1交換かつ…
- 03/29 17:25 評価 2点 《サイバー・エスパー》「 この性能のくせして何故かレリーフ仕様…
- 03/29 17:20 評価 10点 《旧神ノーデン》「かつて《簡易融合》がまだそれほどの罪を背負…
- 03/29 17:10 評価 6点 《カメンレオン》「召喚時に守備力0のモンスターを吊り上げる事が…
- 03/29 16:43 デッキ 最新のサンダー・ドラゴン
- 03/29 15:51 評価 2点 《魅惑の女王 LV7》「 このスケスケ衣装に美しい肌が魅惑なの…
- 03/29 15:48 評価 5点 《外神ナイアルラ》「フリー素材で2体素材の戦闘能力を持たない汎…
- 03/29 15:38 評価 2点 《魅惑の女王 LV5》「 このぶりっ子で何でもねだってきそうな…
- 03/29 15:37 一言 一応、海外でのアザトート規制要因にはラウンチも絡んでいたと言われて…
- 03/29 15:26 評価 2点 《魅惑の女王 LV3》「 この冷たそうな眼差しが魅惑なのかどう…
- 03/29 15:21 一言 直接的な要因は未界域の誘発ケア運用で間違いないと思います。後1ラウ…
- 03/29 14:56 評価 10点 《帝王の溶撃》「EX0枚でアドバンス召喚を行うデッキ以外では採用…
- 03/29 14:44 一言 4月か。アノ男の謹慎が解かれて帰ってくる可能性があるのか。 どうせ…
- 03/29 14:44 評価 10点 《ダスト・シュート》「ピーピングハンデスを行うことができる凶…
- 03/29 14:28 評価 10点 《強欲で金満な壺》「ぶっちゃけ準制限にした意味があったのか不…
- 03/29 14:22 評価 10点 《オルターガイスト・シルキタス》「ふわんだりぃずとかラビュリ…
Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
梓ちゃんが家出してしまった上に変なおじさんに絡まれてしまって一時はどうなるかと思いましたが、遊路とルナテシアさんのファインプレーで事無きを得て本当に安心しました!変なおじさんには梓ちゃんにパイタッチして欲しかったですね!
もし宜しければ、梓ちゃんのお風呂シーンを詳しく記述して頂けると嬉しいです!
遊路が梓ちゃんに「体で稼げば良いだろ?」と発言していた所が最高でした!これは、遊路が梓ちゃんにどの様に体で稼がせる(意味深)のか、とても楽しみです!(ゲス顔)遊路には是非とも梓ちゃんのおっ ぱいを堪能して欲しいですね!
(2018-01-03 05:42)
今年もよろしくお願いします!
DDD「プロデュエリストぐるみの変態行為は犯罪にならんZOY!」
次回作、待ってます! (2018-01-03 07:35)
変なオジサンかナンパお兄さんのどっちにしようかと思いましたが、エロく追い詰められるオジサンにしました(意味不明)。敢えてパイタッチしなかったのは「え?あずにゃんヤられちゃうの?」と言うドキドキ感を煽る為です。
お風呂シーンはホントに普通ですからね。描くまでもないとカットしました。敢えて言うなら風峰家の風呂は大人7~8人が余裕で入れるくらい広い、と言うくらいでしょうか。
最後の台詞は「おい前作主人公!?」と読者に突っ込ませる為に意味深な形にしました。まぁ次回は色々とカオス回になるかも…? (2018-01-03 08:57)
まぁ家出をやめさせるのではなく応援すると言う普通とは真逆な対応は面白いかも知れませね。
確かに今の遊路なら多少の不祥事はクシャポイ出来るかも知れませんね。次回のあずにゃんに乞うご期待。 (2018-01-03 09:30)
良い子のみんなは家出なんか真似しちゃダメだぞ!と言う警告もあります(大嘘)
さて、あずにゃんのお金稼ぎはどうなるのか?お楽しみに。
(2018-01-03 13:29)
母に反発して家出したはいいですが、そこはお嬢様の箱入り娘。遊路が助けに入ってくれたからはいいものの、危機一髪というところでした。それにしても奥さんを二人貰っていておきながら更に食指を伸ばすあたり遊路はとんでもないを通り越して逆に称賛に値するレベルですね。遊路が愛しているとはいえ、彼の愛する人同士がギスギスしないのか心配ですね;
さて最後の遊路の発言ですが……この世界における「身体」となるとどうしてもあれを想像してしまいますね。真偽がどうなるかは自分にはわかりませんが、梓の腕の見せ所になりそうです。
(2018-01-03 14:56)
梓ちゃんも遊路大統領に食べられそうな気がしてならないのはなぜだろう……いやそんなわけないんだけど…ないんだけど。
家出においてスマホと財布を忘れるというのは結構なミスですね。これもお嬢様故でしょうか…。 (2018-01-03 18:01)
嫁同士のギスギスした喧嘩は無いですね。全員で喧嘩し合うよりも遊路を支えて愛して貰おうという意識の一致があるからです。遊路も遊路で全員を気に掛けデートやエッ チの機会を積極的に作ってます。
体で稼ぐ…そんなに厭らしいかなー(棒読み) (2018-01-03 20:47)
遊路は現在5人で手一杯と感じ、これ以上嫁を増やす気はありませんので、あずにゃんのハジメテは遊路に奪われる心配は無いですからご安心を。
忘れ物はよくあること。何故か重要なものを忘れちゃいますよね。 (2018-01-03 20:56)