【完結】虹彩竜と歩むもの【お知らせあり】/第78話:豹変 作:光芒






☆TURN08(陸)


「俺のターン、ドロー!!」

 パシウルのデメリット効果を覚悟で守りを固め、反撃のための盤面を着々に整えている涼夏。それも彼女のドローが導いた結果であった。
 それならば自分もそれを乗り越えるだけのカードをドローしなければならない。もちろんデッキのドローカードに関してはデュエリストにどうこうできる問題ではないのだが、ここで良いカードを引けるかどうかが自分と彼女との差になるのではないか、と陸は思っていた。

「……俺のスタンバイフェイズ。パシウルの効果でダメージを受けてもらうぜ」

涼夏 LP7800→6800

「覚悟の上です。いくら巨大な超重武者の攻撃であっても、戦闘ではパシウルは突破されませんから」
「戦闘だけとはいえ、破壊できないってのは厄介なことだよな。俺のデッキじゃ尚更だよ。でも、破壊できないことがデメリットになることだってある」
「……どういう意味ですか?」
「こういう意味だよ! 俺はビッグベン-Kに対して、手札から超重武者装留イワトオシの効果を発動!」


※超重武者装留イワトオシ
効果モンスター
星4/地属性/機械族/攻1200/守0
(1):自分メインフェイズに自分フィールドの「超重武者」モンスター1体を対象として発動できる。自分の手札・フィールドからこのモンスターを装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。
(2):このカードの効果でこのカードを装備したモンスターが守備表示モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が超えた分だけ相手に戦闘ダメージを与える。
(3):このカードがフィールドから墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「超重武者装留イワトオシ」以外の「超重武者」モンスター1体を手札に加える。


「イ、イワトオシ……!!」
「おっ、そのリアクションを見る限り、イワトオシの効果を知っているようだな。イワトオシを装備したモンスターは貫通効果を得る! いくら戦闘で破壊されないとはいえ、パシウルの守備力は0だ!」

 パシウルの防御は岩より硬いと言っていいだろう。しかし、そんなパシウル相手だからこそ岩をも貫くイワトオシの力が際立つのだ。

「バトルだ! 超重武者ビッグベン-Kでパシウルを攻撃! 超重・岩融撃!」

超重武者ビッグベン-K DEF3500 VS X-セイバー パシウル DEF0

涼夏 LP6800→3300

「きゃあああっ!!」

 イワトオシを装備したビッグベン-Kの一撃は凄まじく、パシウルの守りを貫通してダメージとなり涼夏に襲い掛かる。リアリティを追及して精度の上がったデュエルディスクは痛みこそ発生させないものの、大きなダメージを受けた場合は衝撃波となってデュエリストに襲い掛かる。そしてその衝撃はか弱い少女をその場から吹き飛ばさせるには十分すぎるものであった。

「わー、派手に吹っ飛んだな……でもこれもデュエルだからごめんね? 俺はこれでバトルフェイズを終了。ターンエンドだ」
「……リバースカードオープン。罠カード、ガトムズの緊急指令を発動」


※ガトムズの緊急指令
通常罠
(1):フィールドに「X-セイバー」モンスターが存在する場合、自分・相手の墓地の 「X-セイバー」モンスターを合計2体対象として発動できる。そのモンスター2体を自分フィールドに特殊召喚する。


「墓地のX-セイバーモンスター……XX-セイバー ガトムズとXX-セイバー フラムナイトの2体をフィールドに特殊召喚……」


XX-セイバー ガトムズ ATK3100→3200


 貫通ダメージの影響で吹き飛ばされて倒れたまま、ガトムズの緊急指令を発動する涼夏。カードの発動を宣言できるために意識こそははっきりしているようだが、倒れたまま起き上がらない涼夏に周囲がにわかに騒めき出す。

「やっぱりガトムズの緊急指令か。召喚制限を満たしているからシンクロモンスターのガトムズを蘇生できるのは強いよな。で、大丈夫か? さっきから倒れたままだけど」
「……ったな」
「えっ?」







―――よくも……やりやがったな!!―――







「ええっ??」


涼夏 LP3300 手札:2枚
デッキ:28 モンスター:3(XX-セイバー ガトムズ、XX-セイバー フラムナイト、X-セイバー パシウル)魔法・罠:1(炎舞-「天キ」)墓地:4 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:14(0)
陸 LP6200 手札:4枚
デッキ:30 モンスター:3(超重武者ビッグベン-K←超重武者装留イワトオシ、超重武者ワカ-O2)魔法・罠:1(超重武者装留イワトオシ)墓地:2 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)


☆TURN09(涼夏)


 これまで歓声が所々から鳴り響いていたスタジアムであるが、ある瞬間から静寂に包まれていた。

「えっ?」

 そしてその静寂を招いた者を見る陸や遊大たち、遊誉たちは事態を未だに理解できずにいた。陸と対峙していたのはまるで天使のような穏やかな笑みを絶やさなない美少女であったのだが、今彼と対峙しているのは美しくも恐ろしい悪魔のような憤怒の形相を見せている涼夏であった。

「あの……えーと……どこか頭でも打ったのかな?」
「ああ!? 頭なんか打ってねーよ!!……人が丁寧に対応していたら付け上がりやがって……このアタシを怒らせた代償は高くつくぜ、ノッポのチャラ男野郎!!」
「いや、さっきまでと性格が違うから。なんだったらデュエルを一時中断して保健室にでも……」
「性格が違う? 違うも何もこれがアタシの素だ! 文句あんのか!? アアッ!?」
「ありません!」

 ウエスト校代表・羽々斬 涼夏はウエスト校でもトップクラスの実力を持つデュエリストである。そのデュエルは柔らかい物腰から想像もできない圧倒的なものであり、入学以降ライフが半分を切ったことがないと言われるほどのものである。
 しかし、彼女が「ライフを半分以上減らされない」デュエルを継続していたのには圧倒的な勝利以上の理由があった。それが、彼女のこの性格である。
 涼夏は一度頭に血が昇ると、デュエルにおいてはライフを半分以上削られるような屈辱を味合わされると、今まで必死に隠してきたこの悪魔のような本性が剥き出しになるのだ。対戦相手となるセントラル校側はもちろん、仲間であるユニオン側の生徒も微かに違和感を抱いていた遊誉と虫の知らせで彼女に手を出すことを躊躇っていた彩奈以外は涼夏のこの姿に感付くことすらできなかった。

「……ま、何にせよアタシのライフを半分以上削ったことは褒めてやるよ。ウエスト校にはアタシをここまで追いつめたデュエリストなんていなかったからな」
「そ、それはどうも」
「だからお前にはアタシの全力をぶつけてやるよ。泣いてもゲロっても許してやらねぇ……徹底的にぶちのめしてやる」
「……マジで?」
「マジも何も大マジだ! アタシのターン、ドロー!! アタシのフィールドにX-セイバーモンスターが2体以上存在することにより、手札からXX-セイバー フォルトロールを特殊召喚する! そしてフォルトロールの効果で墓地のダークソウルを特殊召喚だ!」

 涼夏のフィールドにはXX-セイバー ガトムズを中心に5体のX-セイバーモンスターが一堂に会する。本性を露わにして、言動共に粗暴になった涼夏であるが、そのデュエルスタイルには一点の曇りもない。むしろ研ぎ澄まされた刃の如く冴え渡っていた。

「アタシはレベル3のXX-セイバー ダークソウルに、レベル2のチューナーモンスター、X-セイバー パシウルをチューニング!“心なき破壊兵器よ、闇の力を以てその瞳に映る全てを殲滅せよ!”シンクロ召喚! ぶっ潰せ!“A・O・J カタストル”!」


※A・O・J カタストル
シンクロ・効果モンスター
星5/闇属性/機械族/攻2200/守1200
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードが闇属性以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。


「カタストル……そう来たか」
「カタストルは闇属性以外のモンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのまま破壊する。いくら高い守備力を持っていても地属性である以上、カタストルには勝てない! バトルだ! A・O・J カタストルで超重武者ビッグベン-Kを攻撃!“ジャスティス・オブ・ダークネス”!」

A・O・J カタストル ATK2200 VS 超重武者ビッグベン-K DEF3500

「カタストルの効果! ビッグベン-Kを破壊しろ!」

 カタストルの頭部から放たれた紫色の光がビッグベン-Kを包み込み、まるで爆弾を処理するかのように誘爆させて破壊する。かつてビッグベン-Kにガトムズを破壊された涼夏は、これによってガトムズの仇を討った形となり、陸は涼夏に味合わさせた切り札を打倒される辛さをお返しされる形になった。

「ビッグベン-K!!」
「エースを破壊される気分はどうだ?」
「……やっぱり来るものはあるな。だけどただじゃ終わらせない! 墓地に送られたイワトオシの効果で俺はデッキから“超重武者装留バスター・ガントレット”を手札に加える!」
「バスター・ガントレット……ワカ-O2は戦闘じゃ破壊できねえんだよな? だったらガトムズでそのセットモンスターを攻撃だ! クロス・アロンダイト!」

XX-セイバー ガトムズ ATK3200 VS 巨大ネズミ DEF1450

「2体目の巨大ネズミだと!?」
「破壊された巨大ネズミの効果で俺は2体目のビッグベン-Kを特殊召喚するぜ! そして特殊召喚されたビッグベン-Kは守備表示になる!」
「せっかくぶっ潰したんだがな……まあいい。アタシはバトルフェイズを終了する。そしてメインフェイズ2、レベル5のカタストルに、レベル3のフラムナイトをチューニング!」
「カタストルをシンクロ素材に!?」
「“打ち棄てられた鉄屑よ。命得て竜となり、曇天の空に舞い上がれ!” シンクロ召喚! 吠えろ!“スクラップ・ドラゴン”!」


※スクラップ・ドラゴン
シンクロ・効果モンスター
星8/地属性/ドラゴン族/攻2800/守2000
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分及び相手フィールド上に存在するカードを1枚ずつ選択して発動する事ができる。選択したカードを破壊する。
このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、シンクロモンスター以外の自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して特殊召喚する。


「スクラップ・ドラゴンの効果! 1ターンに1度、アタシとテメエのフィールドのカード1枚ずつを選択して発動、選択したカードを破壊する! 破壊するのは天キとビッグベン-Kだ!」
「っ……!」

XX-セイバー ガトムズ ATK3200→3100

「ダメージこそ与えることはできなかったが、これで完全に流れはこっちのもんだ。アタシはカードを1枚セット。これでターンエンド。エンドフェイズに墓地に送られたダークソウルの効果でアタシは2体目のボガーナイトを手札に加える」


涼夏 LP3300 手札:3枚
デッキ:26 モンスター:3(XX-セイバー ガトムズ、スクラップ・ドラゴン、XX-セイバー フォルトロール)魔法・罠:1 墓地:7 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:12(0)
陸 LP6200 手札:5枚
デッキ:28 モンスター:1(超重武者ワカ-O2)魔法・罠:0 墓地:6 Pゾーン:青/赤 除外:0 エクストラデッキ:15(0)


☆TURN10(陸)


「俺のターン、ドロー! カタストルにスクラップ・ドラゴン……X-セイバー以外のシンクロモンスターを上手く使いこなしてる。口調変わった時はびっくりしたけど、君やっぱり強いな!」
「なんだよ突然。ま、当然っちゃ当然だよな。アタシはウエスト校で一番のデュエリストなんだからよ。あ、おべっか使ったっからって勝たせてなんかやんねーからな?」
「そんなん俺も望んでねえよ。俺もシンクロ使いとして、それに応えるデュエルがしたい、って思っただけさ。俺は“超重武者テンB-N”を召喚!」


※超重武者テンB-N
効果モンスター
星4/地属性/機械族/攻800/守1800
「超重武者テンB-N」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):相手フィールドにモンスターが2体以上存在し、自分フィールドにモンスターが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
(2):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、「超重武者テンB-N」以外の自分の墓地のレベル4以下の「超重武者」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。


「テンB-Nの召喚に成功した場合、墓地のレベル4以下の超重武者モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。俺はレベル4のイワトオシを特殊召喚する!」
「なるほど、でもイワトオシを装備させたところでガトムズはおろかフォルトロールすら倒せねーぞ?」
「ああ、なんてったってガトムズはX-セイバーの総司令官。そんじょそこらのモンスターじゃ倒せないってことくらいわかってるさ。だから俺もシンクロ召喚の力を使わせてもらう! 俺はチューナーモンスター“超重武者ホラガ-E”を特殊召喚!」


※超重武者ホラガ-E
チューナー・効果モンスター
星2/地属性/機械族/攻300/守600
(1):自分の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、このカードは手札から特殊召喚できる。この方法で特殊召喚に成功したターン、自分は「超重武者」モンスターしか特殊召喚できない。
(2):自分の墓地に魔法・罠カードが存在せず、このカードをリリースして「超重武者」モンスターのアドバンス召喚に成功した場合に発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。


「ホラガ-Eは俺の墓地に魔法・罠カードが存在しない場合、手札から特殊召喚できる! そして俺はレベル4の超重武者ワカ-O2と超重武者テンB-Nに、レベル2のチューナーモンスター、超重武者ホラガ-Eをチューニング!!」
「レベル10の……シンクロモンスターだと!?」
「そうだ!“天より追われし荒ぶる神よ! 神剣をその手に握り、魔に蹂躙されし大地へ降臨せよ!” これが俺の全力だ! シンクロ召喚! 目覚めよ、神の名を与えられし超重武者!―――“超重荒神スサノ-O”!!」

 日本神話において八岐大蛇を退治し、現代においても三種の神器の一つとして伝わる草薙剣をその手に収めたとされる神。その神の名を持つ荒ぶる武者が轟音と共に鎮座した。







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ター坊
割と前(迷宮編)の留奈の抱きつきといい、陸は女難の相でもあるのかな?
シンクロ合戦となり陸が決めたスサノ-O、能力も心強いですが、これで逆転となるのか?双方2勝2敗の状態で、勝った方がチーム勝利のリーチな訳なので否応なく盛り上がりますね。
(2017-12-17 11:32)
光芒
ター坊さん
陸は高身長でイケメンという設定がありますので、多少女性関係では痛い目を見て貰っています。決して非モテ非リアの作者の当てつけではありませんので悪しからず(悪意

と言っても留奈の場合は女難というより役得な気がするんですがどうなんでしょうか。

>シンクロ合戦となり陸が決めたスサノ-O、能力も心強いですが、これで逆転となるのか?双方2勝2敗の状態で、勝った方がチーム勝利のリーチな訳なので否応なく盛り上がりますね。
一応ライフでは陸、モンスターでは涼夏優勢ですが、ここからどう転ぶかわからないのがデュエルモンスターズですからね。次の話で決着がつきます。 (2017-12-20 08:17)

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10 第116話:征圧 197 2 2018-10-10 -
16 第117話:両雄(修正版) 199 3 2018-10-15 -
12 第118話:負担 158 2 2018-10-17 -
12 第119話:確信 163 2 2018-10-20 -
8 第120話:無限 201 4 2018-10-22 -
5 第121話:必然 160 2 2018-10-25 -
9 第122話:悲劇 178 2 2018-10-28 -
5 第123話:鬼気 153 2 2018-10-31 -
10 第124話:捕食 160 3 2018-11-02 -
12 第125話:一輪 161 2 2018-11-05 -
4 第126話:後悔 182 3 2018-11-07 -
5 第127話:神話 142 2 2018-11-10 -
12 第128話:仮説 180 3 2018-11-12 -
7 第129話:伝心 179 3 2018-11-14 -
11 第130話:対立 175 2 2018-11-16 -
11 第131話:残酷 170 3 2018-11-18 -
6 第132話:涙雨 153 3 2018-11-20 -
8 最終章予告 177 3 2018-11-21 -
11 番外編:歓喜 216 5 2018-11-22 -
8 第134話:決戦・1 179 2 2018-11-23 -
8 第135話:決戦・2 141 2 2018-11-25 -
7 第136話:決戦・3 159 2 2018-11-27 -
8 第137話:決戦・4 160 3 2018-11-28 -
8 第138話:決戦・5 193 3 2018-11-30 -
10 第139話:覇王 176 3 2018-12-02 -
11 第140話:精霊 157 3 2018-12-04 -
11 第141話:落涙 210 4 2018-12-05 -
13 第142話:命脈 196 3 2018-12-07 -
9 第143話:終焉 176 3 2018-12-08 -
6 第144話:帰還 170 3 2018-12-10 -
3 遊大たちが19年1月制限について喋ります 197 3 2018-12-11 -
6 第145話:三様 226 2 2018-12-12 -
8 第146話:光明 130 2 2018-12-15 -
8 第147話:竜星 169 3 2018-12-16 -
10 第148話:斬撃 133 3 2018-12-18 -
8 第149話:神竜 138 3 2018-12-20 -
4 第150話:新竜 145 3 2018-12-21 -
5 第151話:共鳴 130 3 2018-12-24 -
8 第152話:前夜 141 3 2018-12-25 -
6 第153話:星竜・1 138 3 2018-12-28 -
9 第154話:星竜・2 121 3 2018-12-29 -
11 第155話:星竜・3 141 3 2018-12-31 -
14 エピローグ:雪夜 207 6 2019-01-01 -