第40話 マナニア遺跡 百騎兵サイド　作：ヒラーズ

「中は薄暗いですね、ギリギリ見えるくらいでまだマシですけど」
遺跡内は常に薄暗いが、零華がまだマシと言うのは無理はない。こんな地下だ、何があってもおかしくない。
「・・・」
俺は辺りを見渡し、1つの事を理解した。ここは人間が建造したものじゃない、明らかにここは魔法生物たちが建造した遺跡・・・いや魔法生物たちの前線基地かも知れない。そうでなければこんなSFじみた扉とかが地下にあるはずがない。扉はほぼ自動ドアで開く所があるが、電力がないかのように開かないドアもある。
「ふきゅ・・・（とにかく、開く所に入るか・・・）」
俺と零華は開いている扉の部屋に入る。
中は沢山の機械があり、奥には祭壇のような台が置いてある。
「百騎兵さん、あの台座に刻まれている言葉・・・何語でしょうか？私は読めません」
「・・・（ふむ・・・どれどれ？『山札を捧げよ、さすれば汝本来の力を授けん』だとよ）」
山札・・・デッキの事か？それに・・・俺は何でこの文字が読めたんだ？マナニアにしか読めない言語も存在するんだろうか？俺はその事も頭に入れ、試しに時計仕掛けのデッキを捧げたその時だった。
「えっ？」
「！」
突如、俺の捧げたデッキが祭壇の上で燃えた。炎の色は白く、まるで聖なる炎のようだった。
「！（俺のデッキがあああ！）」
「何が起きたんですか！？」
俺達は驚き、急遽白い炎を消そうとした。
「きっ・・・消えない」
「きゅ・・・（くそっ！俺の頭の灯と同じものか！）」
しばらくして炎は消える、普通は焼き焦げた紙になるが・・・不思議な事にデッキは無事だった。だが、俺が見たときには・・・。
「もきゅ？（あれっ？カードが変わってる！？どう言う事だ！）」
俺がカードを調べると、時計仕掛けではなく、『経典』と書かれたカードが沢山入っているデッキへと変わっている事が分かった。
「・・・（経典・・・見たことないカードだな、その他は闇属性の悪魔と天使の混合デッキ・・・なぜ仲の悪いカードが入っているんだ？）」
俺は1度デッキをしまい、辺りを調べるが、辺りの機械はやけにデリケートで触れることができない。俺達は祭壇のある部屋を出て、別の部屋に入る。
「ここは何の部屋でしょうか？」
俺が辺りを照らし、周囲を見る。どうやらここは一方通行の廊下のようだ。奥には扉がある。
「ふきゅ（ただの廊下だ、奥に扉があるだけで特にない）」
俺達は奥へ進み、扉を開けたその時。
ｸﾞｵﾝ！
辺りが急に明るくなった。恐らくクォーツ達が電源を復旧させたんだろう。
丁度良い、むしろ好都合だ。行動範囲が広くなった。
「明るくなったのは良いんですけど、百騎兵さん、この部屋・・・」
「・・・（この部屋・・・奥に機械の巨人が置いてあるな・・・しかも通路を塞いでる）」
俺がその巨人をずらそうとした時。
ｶﾞｺﾝ
「もきゅ？」
何かが動いた音がしたな・・・まさか！
「シンニュウシャ発見！」
「！」
突然、鉄の巨人が動き、俺達に言う。
「私ヲ決闘デ倒サナイ限リ、コノ先ハ通レマセン」
鉄の巨人が行く手を塞ぎ、どけようとしない。
「どうします？百騎兵さん？」
どうするもこうするも、奴を倒さなければ進めない。
「むきゅ（仕方ない、俺が受けてやる）」
俺はディスクを取り出し、デッキをセットする。
「うにぇ！（デュエル）」
「決闘（デュエル）」


次回　機械族ＶＳ経典