45.茅原香織の心化 Ⅳ　作：くちなし

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海の見える丘公園の大きな樹の下にいたのは香織だった。桜花ではなく。

「、、」
「待ってたましたよ。。」

声も出ないな。なぜここにいるんだ、、てか何故来ることを知っているんだ、、

「私が呼んだからですよ。。ここに悠里くんが来るように」

義姉さんに嵌められた、、ちきしょう、、

「その。。この前はごめんなさい。。っ！」
「あ、、いや、、別に気にしてないし、、」
「そうですか。。でも、その割には顔が少し赤いようですが、、？」
「そのにやけたような顔をやめろ！なんだ、、ここに呼んだのはそれだけか？」
「いえ、私と一日、デート。。してください」
「！？、、」

なんだこの展開は。まるでゲームのシナリオのように仕組まれているようだ。

「では行きましょ。。？」

軽い足取りで前へと進む香織。

「悠里くん？」
「え？あ、待てよ、、！」

慌てて後を追いかける悠里。

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「何買うんだ？」

付いていった先は大型ショッピングモール。
真っ先に小物売り場に向かう香織。

「、、(子供みたい、、)」

垂れ下がっているキーホルダーを眺めては目をキラキラしている。
うさぎのキーホルダーを手にとっては触っていて、大層触り心地が良かったのか、手に持っては顔を微笑ませている。

「欲しいのか？」
「え？あ。。別に。。」
「貸せ」
「え？」

香織からキーホルダーを受け取ると、足早にレジに並ぶ。

「買ってやる」

ーーー

「ほらよ」

会計が終わって、キーホルダーを香織に手渡す。

「あ。。ありがとうございます」
「別にいい、、(これからまた長い付き合いになりそうだしな、、)」

「次はどこに行くんだ」
「決まってるでしょう。。遊園地です！」

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その頃、瑞穂宅にて。

「で、ここに集まったのはなぜ？」
「あぁ～暑いわね～、溶けてしまいそうや～」
「この暑さも夏の証拠やんねっ！」
「まあまあ、、」

そこには理沙、火憐、有希、瑞穂、氏家さん、そして海清がいた。

「で、なんであんたまでいるのよ、海清、君？」
「呼ばれたんだよ。ここに来るようにね」
「そう、あたしが呼んだの」

得意げな顔で言う瑞穂。

「氏家ちゃん、出場選手の登録は？」
「既にやってあるやんね！」
「よーし！じゃあ、ゆきりんは他の出場選手の調査！氏家ちゃんはこのチームのデッキの詳細を調べて！自分で調べるよりも気付くことが多いと思うから！」
「了解っさ～！」
「、、理解した」
「、、で、私たちは何をすればいいの？」
「2人は今からDホイールのことについてみっちり海清から教えてもらって！」
「Dホイールってあのバイクみたいなやつでしょ？知ってるよ」
「あのねぇ、、形だけじゃなくて性能やスピード、耐久性や加速度の調整とかもしっかり覚えてなきゃダメなのよ。だから海清に教えてもらってちょうだい」
「なら彼1人でいいじゃない」
「はぁ、、高嶺くん1人に私たち全員のをやらせる気なの？きっと過労死するわよ。だから3人でベンチでそういう系統のことを調べるの！」
「ああ、、一理あるね」
「っというわけで高嶺くん、よろしく！」

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遊園地、、は電車を乗り継いで40分くらいの酔道橋駅付近のところにあった。

「チケットはもう買ってありますので、入りましょう！」

手を引かれては引かれるがまま進む2人。

ーーー

「うわあぁぁ！！！」
「ひぇぇぇ、、、！！！」


「回るーよ回るー時代ーは回るぅー、、」
「悠里くんたら、、それ何年前ですかｗ？」


「せかいーじゅーうーどこだーあーってー。。」
「それは違うところだ」

ーーー

ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランドに乗ってひと段落している。

「最後は、、あれですよね。。！」

指さしたのは大きな観覧車。

「そうだな」

運がいいのか、さほど混んでもいなかったのですぐに乗ることができた。

「なあ、部長さん」
「何でしょう、、？」
「その、、自分も、、この前はごめんなさい！」
「え？あ。。その。。。」
「結構いろいろ考えてくれたみたいなのに、ごめんなさい、、」
「良いんです。。今日こうやって楽しめたので。。それに、キーホルダーもありますし。。」
「、、、」
「でもまだ終わってはないですよ？」
「え、、？」

向かい側に座っていた香織が、悠里の隣に座る。

「その。。良いですか。。？」

な、なにをするつもりなんだ部長、、？
うっとりした目で見られても僕はテレパシーではないので、何を考えてるかは解りませんよ？

「その。。」
「！？」

ゆっくりと顔を近づけてきたその時、、唇を、、、奪われた。またもだ。

「これで。。すっきりしました」
「すっきり、、？」
「わたしのファーストキスがあんなのじゃ中途半端で後味が悪いので。。」
「そりゃ、、どーも」

自分の唇を撫でてみる。ちょっと湿ってるなぁ、、

「あの。。今日は一日、ありがとうございました」
「え？あ、、そっちが楽しめたならよかった」
「あの。。下の名前で呼んではくれませんか。。？」
「、、香織、、？」
「。。はいっ！」

香織はたいへん嬉しそうである。

「あの。。抱きついてもいいですか、、？」
「、、、」

そうだな、、

「え。。？」
「、、」

黙って抱きついてやる。
香織は少しびっくりするようで、でも笑っている。

「えへへ。。ちょっとうれしいです」
「ちょっとかぁ、、残念だなぁ、、ｗ」
「嘘です！ほんとはすっごくうれしいです！」
「そりゃありがと。でも、香織の私服姿もまた見てみたいものだな」
「え？。。。ありがとうございます」

観覧車は下降の中心を超えようとしていた。

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その頃、瑞穂たち。

「、、瑞穂っち！一応まとめられたよ！あとは彼だけっさ！」
「氏家ちゃん、ありがと！ゆきりんは？」
「、、何人かだけ。、、特に留意すべき人物だけ確認はできた」
「それでも十分よ！」
「オレたちはもうちょい時間がいるかな」
「じゃあそこは各自で終わらせておいて！」
「そーそー瑞穂っち、物は相談なんだけどー」
「、、？」
「ユニフォームうちで手配しようか？デザインも考えておくやんね！」
「ほんと！？それは助かるわ！お願い！」
「ついでにDホイールのカタログも持ってくるっさ！」
「ほんとにありがと！」
「エンジンかかり始めてきたわね」
「Dホイールのこと覚えるの大変やけど、うちもみんなのために頑張るで！」
「よし！じゃあ今日は、、解散！！」

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電車に揺られる中、香織は手をつないだまま寝てる、、
ったく。ボクがいなきゃ何されるかわかったもんじゃないな。

「The next station is Ikehukuro,,,The doors on the light side will open....」

明日瑞穂になんて言われるのやら。

「The next station is,,,,」

降りる駅か、、

「おい、、起きろ～」

声をかけると声を漏らして目を開く。

「はっ。！ご、ごめんなさい、、！わたしったら、手握って。。」
「別にいい。それより、着くぞ」
「あ、はいっ！」

空は夕日に照らされて橙に光っていた。


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