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HOME > 遊戯王SS一覧 > 30枚目 古代の機械兵士

30枚目 古代の機械兵士 作:紅瑠璃

私…猫山蜜柑は早朝、この町の子供達とこの生き物で遊んでいた。見た目はドットの塊。掌サイズだから撫でても走らせても可愛い。

「あみゅ…みょー…。」
「可愛いに可愛いが合わさると可愛いね!」

町の女の子にこの生き物を頭の上に乗せてもらったが私は猫…なぜか頭の上に何か乗ると落ち着く。こちらの世界に来る前、朱音にミカンを乗せられたり消しゴムを乗せられたこともあったが、落ち着く。1つ…朱音の父親にビール缶ののせられたことがあったがビール臭くて、落ち着けなかった。

「…あのね。ちょっと前は親がいなくてうるさくならないって思ってたんだけど…。蜜柑さんに教えられて…また、会いたい。」

女の子は私の前で泣き出してしまった。その涙は私の心を刺す。

「ミカに任せて!」

その子の頭を撫でると遠くで人が賑わう音が聞こえた。行ってみると真保とラスがデュエルをしていた。デュエルなら相手とも会話できるからだろう…二人とも楽しそうだ。

「いくぜ!フィールド魔法、化合電界の効果で手札のレベル6、デュアルモンスター…電子戦闘機・フレイをリリースなしで召喚。さらに、手札のユニオンモンスター。電子支援機・フロスをフレイに装備。」

ラスのデッキはデュアルモンスターの電子戦闘機(デジタルバトラー)。ユニオンモンスターの電子支援機(デジタルサポーター)。だとわかった。先程のデュアルモンスターに装備されたユニオンモンスターはどうやら通常モンスター扱いのデュアルモンスターに再度召喚した扱いにすることが出来るようだ。

「デュアル…。私のターン。ドロー…私は手札からモンスター1体を墓地に送ることで手札のチューナーモンスター、バイオゲノム・キャットを特殊召喚。同様の方法でバイオゲノム・ドッグも特殊召喚。バイオゲノム・キャットの効果発動!自分の墓地のカード一枚を除外する。墓地のバイオゲノム・バードを除外。除外されたバイオゲノム・バードの効果発動…フィールドのカード1枚を手札に戻す。私は電子支援機・フロスを手札に戻す。バイオゲノム・キャットはレベル2…バイオゲノム・ドッグのレベルは3…。シンクロ召喚!レベルは5…来て!バイオゲノム・グリフォン!」
「一人で回すな…。」
「バイオゲノム・グリフォンはシンクロ召喚されたとき、自分の除外されているカード1枚を墓地に戻す。シンクロモンスターは除外に送る効果を2回使えるらしいわよ。」
「なっ!?」
「バードとドッグを除外。バードの効果でフレイを手札に戻す。ドッグの効果でデッキから1枚ドロー!グリフォンでバトル!」

楽しそうだ。遠くにアスナもいる。私はアスナに近づこうとしたとき銃声がなる。その方向に向くと仮面をつけた連中が居た。連中は私とアスナに近づくと連れていこうとしてきた。

「何よ!」
「貴方達大人ですね…。連行します。」
「大人…貴方ね!大人を連れていったのは!…うぐっ!?」

アスナは何故かその場で気を失ってしまった。そして私も…意識が…遠く…。

「何故…。止めたの!」
「あそこで刃向かえばあの人たちは何されるか!お前も…何されるか…。」

アスナさんと蜜柑さんが連れてかれているのに私はラスに押さえつけられ、動くことが出来なかった。

「そ、そんなに落ち込むな!その時のためにアスナから頼まれたやつ作ってたんだから…。」
「それは…。」
「受信機だ。アスナには発信器を渡してある。これでどこにいるかわかるはずだ。分かるまでは…動けないだろう。」

私は悔しく、悲しい…楽しかったラスからのデュエルを中断して私はその場を後にした。

「…真保…。」

~謎の場所~

私は油のような匂いで目が覚めた…。ここはどこだろうか…。あのときどうしたっけ?あれ?手が動かない…手錠でもかけられたのか。私の視界にあるのは仮面をつけた連中と一人の男…。

「コイツらがあの町にいた大人か…。」

大人…。そんなワード何処かで…思い出した!

「ここは、何処だ…。」
「ここは…歯車街らしいわよ。」
「アスニャ!」

アスナがいる。そのアスナも手錠がされていた。

「私の名前はボマー…君たちの監視役だ…。さぁ、私のために働け!」

アスナをよく見ると首に何かはめられていた。…どうやら私も何かつけられている。

「それは爆弾だ。私に逆らえば爆破する。さ、連れてけ。」

私は仮面の連中に連れてかれるがその時思った…何か人ではない気配がする…そう感じた。連れてかれた場所で手錠は外され、代わりにピッケルとスコップを渡された。

「こんにゃ首輪…」
「止めときな…爆死よ。」
「でも、こんにゃものでにゃにを…掘れってことはわかるけど…。」

すると二人の男女が私に近づいてきた…パッと見だが、夫婦だろう。

「貴方達…新しく来た人…?」
「あにゃた達は?」
「…ハンス・オントと言います。こちらは妻のメル・オント」

オント…ラス・オントの名を出すとその両親だと言う。すると近くにいた大人たちが私たちを囲んでは「私の子は無事か…あの子は無事か」問いよった。中には安心で足の力が無くなり座る人、中には安心で泣き出す人…。子供を心配する気持ちは皆同じなようだ。

「所で…ここは何を採掘しているのかしら?兵器製造だと思うのだけど…。」
「…それはだな…。」

彼らは魔石を探していると言う。魔石を使い、大爆発起こす兵器を作ると言う…どうやらダイナマイトと言うらしい。そうすると近場で不要なとこ…かつ、破壊力が試せる場所…。

「まさか…シムアテを破壊する気…。」
「そんにゃ!?」

私は足首につけている発信機を見てみる。無事動いている。これで気づいて暮れれば良いが…。

~シムアテ~

あれから真保の様子がおかしい…蜜柑とアスナ…二人が連れ去られたから。それもあるが助けられるかもしれない所で俺が止めたからだ…。結局自分のことしか考えてなかった…。刃向かえば殺されるかもしれない、死にたくない。数日後ようやく情報が入る…それはアスナの位置だ。そんなときがあるかもしれないとアスナに頼まれて作り上げた代物だ…。その事を報告すると真保は…

「…。行ってくる」

そう答えた。

「おい!一人で行くのか?あんたいったろ!無駄死にするのかって…。」
「あのとき…動いていたら!そう思うと自分が情けないの!悔しいの!守られてばっかし…何にもできない。でも、助けることが出来るのなら死ぬのなんかどうでも良いわ。」
「簡単に死ぬのはどうでも良いとか言うなよ…。その、あのときはすまなかった!」
「その言葉…もう4日も聞いたよ…。死にたくなかった…それだけなんだよね。自分のことだけなんだよね。」

なにも言えない。だけど俺もいや皆も自分の親を助けたいんだ!

「…俺は俺たちは助けたい…家族を…この街を…。」
「…。なら、今度は、しっかりと力を貸して。」
「お、おぅ…何か策があるのか?」

私は今思い付いた策があるのだがそれは私一人では行えない。こんなときだからこそ気持ちを入れ換えねば。先程の自分の言動に反省をした。

「私たちを助けてくれた大きい機械はいくつあるの?」
「3機だな…。それが?」

私たちの会話を聞いたのか小さい子供、ラスの友人達が集まってきた。

「猫のお姉ちゃんと赤いお姉ちゃんを助けに行くの?」
「それと、貴方達の家族もね。」
「わ、わたしたちも…何かお手伝いを… 」
「ここで待って、お父さんとお母さんにお料理を振る舞ってあげて」

私はその子の頭を撫でた。料理の本はある。なんとか作れるだろう…。私とラスとその友人はそれぞれ大きい機械に乗り、発進させた。

~歯車街~

「うぅ…。おにゃかすいたぁ…。」
「ほれ、サボるな…。…ここの見張りは機械とは言え、いつこれを爆破されるのか知らないわ。私はね!ヴァルコニア国にもう一回帰るの。その前に…あの島に…。」
「あの島?」
「…私の親友がいる島よ!ある村の子でね…それはきれいな白い髪。美しい女性よ。」
「ミカも見てみたいにゃぁ~。」
「でもね。その村…数年前から疫病で苦しんでいるのよ。助けにいきたかったけど…お父様から止められ、城から出ることすら許されなかったわ…。ふふ、そんなの言い訳よね。」

アスナからふと、ため息が出た。とても悔やんでいるような顔だった。

「…。」
「何よ…。そんな反応する?」
「あ、いや、あの機械兵達…面白いぐらいに肩に歯車があるにゃって…取ったらどうにゃるのかにゃ?」
「そりゃぁまぁ…。動かなく…なる。」
「じゃぁさ、じゃぁさ、見張りはいにゃくにゃるんじゃ?」
「てことは…抜け出せる…。待って!それでバレたら水舞の泡は立たないわよ!」
「それどういう意味?」
「水舞は泡がたって踊れるのよ。その泡がたたないってことは失敗なの。つまり、ここであいつを止めてもバレたら失敗なの。この世界のことわざよ。」
「でも、まだやってにゃいのにそういうことばっかし言っても仕方にゃいじゃん!」

私とアスナがこんなにも合わないとは…。私は考えず行動派、考えてもその通りになる事は少ない。一方アスナは行動する前に考える派…チャンスは今だと言うのに。でも、一人だけで行動するわけにはいかないのは同じ意見だった。何せ戦力が足りないからだもしもの時に巻かせられるのはお互いが目の前にいる人しかいない。

「私は今、レイピアとディスクとデッキがないの。貴方はディスクとデッキ。どこにあるのか知らないのに動きたくないわ。…大丈夫。真保が助けに来るわよ…。」

あぁ…きっと来てくれる。真保は必ず助けに来てくれる。私はそう信じ、ピッケルを手に土を掘っていく

~所長室~

「ボマー。貴方がこの所長…なのはわかったけど、オスクリタ様の許しはあるのかしら?」
「安心しろ!クユリル、バッチリだ。」
「そ。まさか、仮面の連中も見張りも皆「古代の機械」だったなんてね。」

アンティークギア…機械の兵士。彼はこのボマーによって作られ、ここの見張りなどをしている。噂で猫の女も連れてこられたらしいが彼女以外の誰かが攻撃してもびくともしないだろう。しかし、そんな古代の機械兵士でも弱点はあるらしい

「肩の歯車が弱いとは…お粗末なことね。」
「それは言わないでくれ…設計と部品の問題だ…。しかーし!強化体を制作中だ!」
「はいはい…猟犬とワイバーン?ほんと暇ね…。」

私は呆れながら彼の顔と彼の発案書を眺めた。
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