6　精霊を狩る者、求める者　作：19

　スピン「あぁ、負けっちゃったのねぇ。残念だわぁ」
　オピス「いやぁ危ないデュエルだったぜ。まさに命がけだったな」
　縁「私は本当に命がけよ…、オピスは見てるだけだったじゃない（汗」
　オピス「なんだと？！俺の攻撃力と効果があってこその勝利だろ！」
　ホワイト「まぁ、いいじゃない。勝ったみたいだし」
　オピス「ホワイト、生きていたのか」
　ホワイト「何で殺されてるのよ…。３体１で何度も闘ってたけど、なんかもう面倒だったから５体１もして蹴散らしてたわ。中々面白かったわよ～。ダメージは受けてないですけどね」
　縁「ホワイトさん凄い…」
　オピス「コイツだったらタコ殴りにされてたな」
　縁「何よー、私だってやる時はやるわよ？」
　スピン「じゃあ、私はカードに戻るわぁ。大事に…使ってね」
スピンは光に包まれ、一枚のカードになり、縁のカードケースに入っていった。
　縁「ぁぁ、なんだか生き返るような気分…」
　オピス「おい、なんか喋り方がアイツと同じような気が…」
　ホワイト「その内戻るでしょう」

一時間後

　縁「私の寿命があとどのくらい残ってるか、オピスわかる？」
　オピス「うーむ、ざっと９年ってところだな。さっきの蜘蛛女もかなりの実力者だったみたいだ」
　縁「苦労してゲットした甲斐があるわね」
　オピス「俺の予想では、寿命１年伸ばすのに、２年はかかりそうな気がしてたんだが、案外上手くいってるな。それも、俺の渡したデッキのおかげか…」
　縁「私の実力も認めてほしいわね」
　オピス「実力、か…。そうだ大会に行こう」
　縁「大会？遊戯王の？」
　オピス「そうだ。その大会に行って。精霊を持ってる奴を探すんだ。そうすれば、短期間で結構寿命は延ばせるぞ」
　縁「大会かあ、でもなあ…私程度が勝てるかわからないや」
　オピス「なぁに、俺と、俺のデッキとお前の力があれば、百戦錬磨間違いなしだぜ」
　縁「そう…ね。行ってみましょうか」

大会が開催される場所までバイクを走らせる。

　？「…おお！アイツ、精霊のカードを５枚も持ってやがる！」
　？２「５枚か…、かなり集めているな。俺たちでも３枚なのに。かなりの実力者と見た」
　？「しかも、その内の３枚は結構強力な精霊だ！合計で１５年は寿命が延びるんじゃないか！？」
　？２「そうだといいな。あの方向、２日後に大会があるって町だな。精霊を持ってるくらいだ。俺らと同じか、単に精霊を探して寿命を引延ばすだけなのか…。俺たちもいくぞ」
　？「了解！」

大会開催の街

　縁「わぁ、久々に人を見た気がするわ…。昨日は精霊と戦ってばかりだから、自分しか人がいないんじゃないかとも思ってたくらいよ」
　オピス「そこまで思ってたのか…まぁ、非現実的ではあるな、精霊を探している側は、結構必死なんだろうけど」
　青年「お、かっこいいねぇそのこお兄ちゃん。一緒に写真でもどうだい？」
　オピス「いや、俺はいい…？！」
　青年「どうした？」
　オピス「お前、俺が見えるのか！」
　縁「え…？」
　青年「そりゃもちろん、俺だって精霊を探してるんだもん。それなのに、こんな近くで精霊と話してる子を見かけたら、そりゃ会話に入りたくもなるさね」
　縁「…オピスを狙ってるの？」
　青年「オピス？…あぁ、この男の人か、いやいや。狙いはしないさ。でも…」
　オピス「…「俺以外」の精霊は奪おうってか？」
　青年「、いいや、君強そうだし可愛いし、倒して精霊を奪おうなんて思わないよ。ただ」
　縁「ただ？」
　青年「そんな強そうな君を見込んでいうけど、一緒に大会に参加してくれないか？」
　縁「え？」
　青年「え？知らないの？今回の大会は、二人一組での参加のみだよ。その代り賞金もその分高くなってるけどね」
　縁「貴方は、お金が目的なの？」
　青年「まぁね、精霊を集めないと早死にするってのも知ってるけど正直、集まる気がしなくてねぇ。他人からカード奪ったり、精霊のその今までの自由な生活を奪い取るようなまねはしたくないからな」
　縁「そうなの…」
　オピス（そういえば、俺やホワイトはともかく、蜘蛛女は多少無理矢理だったな。しかも子供置き去りだったし…）
　メル「あ、俺の名前、フォンって言うんだ。メル・フォン・リンネ。ちょっと長いけど、好きに読んでくれ」
　縁「わかったわ、じゃあ…メルで。あ、私は縁っていうの」
　メル「縁ちゃんか、くぅ可愛いなぁ！頭撫でてもいいかい？」
　縁「え？（汗」
　メル「おっとっと…ごめんごめん、悪い癖がでちゃった。可愛い子とかと喋ってるとついそう言っちゃうんだ。実行したこともなんどかあるけどね」
　縁「へ、へー」
　オピス「コイツ大丈夫かよ」
　メル「まぁ、そうと決まれば早速、エントリーしに行こうか。ついてきて」
メルに連れられて、着いた建物は、ドーム状の大きな建物で、中に人が結構な数がおり、その大半がデュエルディスクを腕に付けている。これだけ参加するのであれば、勝率が低いのは明確だろう。
　オピス「…お？おお？おおお？」
　縁「どうしたの？」
　オピス「精霊持ってる奴、数える限りでは１０人超えてる…」
　メル「そうなの、よかったじゃないか、縁ちゃん」
　縁「そうね。精霊のカードを持ってる人と当たればいいんだけど…」
　メル「あー、そうそう。精霊が見える人と寿命の短い人の話が、最近世間に広まってるんだけどさ。それがまた面倒な事になってるっぽいんだよね」
　オピス「面倒な事？」
　メル「少しでも長生きしようと、世界の色々な所で精霊を探し回って、狩るようにカードを奪って行く人たちが増えたらしい。精霊にも、数に限りがある。それを乱獲してしまえば助けられる命も助けられないだろうに…。縁ちゃんも、精霊のカードを持ってるなら気を付けな～」
　縁「精霊、狩り…」