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バスター・ブレイ道 ~若き破壊剣士の閃き~/竜の渓谷②竜騎士トライデント 作:じゅんぺー

ヴァジュランダは槍を胸の前で構え、切っ先を上空へ向け精神を集中させた。
「轟く雷牙が敵を討つ!捲土重来の狼煙を上げよ!調律奥義(シンクロドライヴ)!」
ヴァジュランダの体から雷のように激しくまばゆい闘気が迸る。

……おそらく、これまでと同じ一点突破の直線的な攻撃……破壊剣一・閃の薙ぐ軌道では簡単に突破されるだろう……なら!
バスターは、相手に対して半身を取り、剣を引き、深く腰を落とし、切っ先で狙いをつけた。


「くらうがいい!轟槍雷烙(ヴァジュラ・イヴァ・シューラ)!!!」
ヴァジュランダは、練った闘気を前方に集中させ、雷電の如くバスター目掛け突撃する。

「……破壊剣!一・閃!!!」
目には目を歯には歯を、
一点突破の一撃に対してバスターは、これまでのような切り払いではなく、破壊の剣気を頂点に収束させ、突きを放った。

「「う、おおぉぉおぉおおぉおッー!!!!」」

膨大なエネルギーがぶつかり合い、音さえ振り切るほどの衝撃が渓谷を駆け抜け、
遅れて、地響きと共に大地が捲れ上がり、空高く舞った土煙が辺りに広がった……

「……なんて威力なの、」

『うむ、破壊力不足を攻撃範囲を絞ることで克服するとはな、さすが我が息子!』
リトルはあまりの衝撃にレイナの腕の中で気を失っている。
「バスターは無事なのかしら……」

渓谷に吹く乾いた風が徐々に視界を晴らしていく。

「……はあ、はあ、」
まず、肩で息をするヴァジュランダの姿が現れた。
「バスター・ブレイダー、と言ったか……即興の型であの威力とは、中々やる……。」


「だが……」

ヴァジュランダの足元から土煙が去ると、そこには、ブレイダーがうつ伏せに倒れていた。
「その有様では、全然受けきれたとは程遠い。……奴と同じブレイダーの名、
竜の怨嗟に塗れたその剣、そして、一騎打ちに敗れた貴様を生かしておく義理はもはや、」
ヴァジュランダは、ブレイダーに止めを刺さんと手にした槍を振り上げた。

「無いッ!」

ギャリイィィン……
「!?」
視界の外から飛び出してきた剣が、突き降ろされた槍の照準を逸らす。

「……彼を殺させるわけにはいかないわ。」
レイナだ。彼女は凍てついた氷柱のように鋭い視線を敵へ向ける。

「ッ!……邪魔をするな!女!戦士の決闘に横槍をさすとは、身の程を知れッ!」

「ふふっ、決闘?笑わせないで。あなたが勝手に突っ掛かってきて始めたことでしょ?
それに、こっちは全部で4人いるの。バスターだけ倒したって勝ったことにはならないわ。」

『え、僕たち頭数に入ってるんですか?』

「……くッ!ならば……ならば負かせばいいのだろう!貴様ら全員!」
ヴァジュランダは高く飛び上がろうと竜の翼を大きく広げる。

「させない」
レイナはすかさず上段から切りかかり、それを阻止し、

「小癪な……!」

さらに、深く踏み込み攻撃をたたみかける!
「はあっ!」
(機動力と瞬間火力では圧倒的に相手が上。だけど、至近距離の斬り合いならまだ望みはあるはず……)

「ぐッ、うっ!」
(……さっきの奥義でサービスし過ぎたか、上手く力が入らん!)

「このまま……押し切るッ!」
レイナの剣がヴァジュランダの槍を高く打ち上げた瞬間、上空より切っ先が3つに分かれた特徴的な形状の槍が地面に突き刺さる。

「地よ震え、海よ興れ、天をも衝かん三叉の神槍。調律奥義(シンクロドライヴ)!」

「天上天下響振刃(ディアシスモス・クスフィオス)!!!」
キイイィィ……ン
「!ッ、なに……これ……」

「この槍は……トライ……デント……」
三叉の槍を中心に広がる三半規管を直接握り揺すられるような異常な音波に、二人はよろめき地に膝をつく。

「はぁ、渓谷の南端の方に強力な力の衝突を感知したので駆けつけてみれば、随分と派手に暴れたようですね。ヴァジュランダ。」
彼らの目の前に、一体の細身の竜が舞い降りた。
全身を包む甲殻は、僅かに陽光揺らめく海中のように蒼く、頭角はその海に沈む古の宝物のように黄金に輝く。その上には竜の甲殻と同じ色の鎧に身に纏った騎士が乗っている。

「……ぐ、2人目の……」
レイナは立ち向かおうとするも視界が揺れ、思うように立ち上がれない。

「これはまた、血気盛んそうなお嬢さんですね。じゃじゃ馬同士、ヴァジュランダとは気が合いそうだ。」

「……ふざけた……ことを言っていないで、早くそいつらを始末するのだ……トライデント!」
ふふ、と微笑する蒼い竜騎士を焚きつけるようにヴァジュランダは息を荒げる。

「そういう訳にもいきません。単純なあなたが彼らを襲った事由はそこで剣を杖にこちらへ近づいてくる剣士を見れば、怒れる類人猿(ゴリラ)でさえ察することができますよ。
またロクな対話も無しに攻撃を仕掛けたのでしょう?それは、調和を重んじる我等が団長、いえ、一族の掟に逆らう行為、ここまで言って自らの非が分からぬほど、愚かではないですよね?」

「……。」

「まあ、谷は今厳戒態勢です。念のため彼らは拘束し、団長に判断を委ねましょう。」
トライデントは、バスターとレイナを竜の足に括り付け、ヴァジュランダはそれぞれの武器を拾い、その場を飛び去った。

リトルとその父を残して。

『……おとうさん、どうしよう。』

『……ホント、どうしようね。』
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