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HOME > 遊戯王SS一覧 > 19枚目 ヒドゥン・ショット

19枚目 ヒドゥン・ショット 作:紅瑠璃

クラヌの剣とアスナさんのレイピアが打ち合う。私…宮野真保はどこか不思議に感じた。互いに攻撃をし、弾き、攻撃する…それが流れ作業かのように行われている。「おかしいとこはないじゃないか」何て言う人もいるだろう…それはちゃんとみてないからだ。互いの攻防がスムーズ過ぎる…まるで相手と事前に打ち合わせを行ったかのように、相手の動きがわかっているように見えた。クラヌはアスナさんと関わりがあるのか?

「何故…攻撃が届かない…。」
「お前はそんなものか?」

私…アスナ・キルディムは苛立ちがあった。相手の攻撃を跳ね返せてもこちらの攻撃は跳ね返される。しかし、何故かこちらが押されている。しかし…「この剣術…どこかで…。」そう思うと何か昔の記憶が過った。その記憶を見ながら目の前の…クラヌを見る。

~オジネクス王宮前~

「うーにゃっ!」

ここは…どこだ?多分王宮的な所だろう。兵士が必死に戦っている。逃げ惑う人もいる。その人らは王宮へと一時的な避難をしていて平気だが、私が通ってきた道は血と鉄の匂いしかしなかった。危うく野性的になりそうだった。ここにいる敵は片付け終えた。蜜柑が王宮を後にしようとしたとき、2発の銃声が鳴り響いた。そして後ろで倒れる兵士。

「にゃにが…。」
「不味そう…。」

かすかに声がした。そちらに顔を向けると一人の女が立っていた。両手には銃…。

「お前は…。」
「名乗るのなら、自分から名乗ってちょうだい。」
「あ…うん。私は猫山蜜柑!」
「本当に名乗ったよ…。まぁいいや。私はクユリル。クユリル・シェイクバーン。オスクリタ様に支える者よ。」

オスクリタ…やはり闇の組織。私…猫山蜜柑は拳を構える。しかし相手は攻撃を仕掛けない。

「そんな野蛮な事をしに来たんじゃないの。宝玉?あれをとらなきゃならないの。そのあとはクラヌと~…うふふっ…。」

クユリルは妄想を終えると、軽々と私を飛び越え、王宮の中へと浸入する。当然、兵士はそれに構ってられない。何故なら魔物が大量に現れ、こちらに集中しなくてはならない。私はクユリルの後を追う。

~シャンシェル通り~

ここはシャンシェル通りと言い市場が多く普段は人で賑わっている。ここから教会や、コロシアムが近い…。しかし、今は人ではなく魔物で賑わっている。俺…サーチェスがこの通りに来たときには回りの店や、家の扉は固く閉じられ中へ入れさせず外に出れないような細工をされていた。きっと中ではその家にすむ人々が身を震わせ生きるか死ぬか考えていることだろう。

「黒い騎士さん!」
「私たちと遊ぼうよ!」

黒い騎士…俺のことか?そうも考える間もなく黒と白の鎧を着た二人の子供だろうか?その子供等が攻撃してきた。すかさず俺も剣を振るう。

「そうだよ!刺激的だ!僕はこう言うのを欲しかったんだ!」
「でも刺激的なものを持ってるなんていいなぁー。」
「刺激的なものなど無意味だ。…この戦いを止められるかが意味をなす。」

俺は襲いかかる魔物を斬り倒す。実に30秒…残りは黒い鎧と白の鎧を着た二人組のみ。斬り倒す…その前に黒い鎧を着た男から提案された。

「こう言うのはさぁ…ゲームで決着つけようよ!2対1の方が刺激的でしょ?」
「ゲーム…そんなものに興味は…」
「デュエルをしたいんだよ。」

辺りに不思議な空間ができる。それは壁のような…魔術で言う結界と言うのか。

「デュエルで勝敗を決めなければこの空間から脱出できない。さぁ!始めようよ!」

デュエルをするしかない…俺は滅多につけないコンパクト型デュエルディスクをつけ、デッキをセットする。

「手身近に行かせて貰う。…俺はカード3枚を伏せ、ターンエンド。」
「ドロー。僕とドラゴディウスのフィールド、墓地、ライフは共有させて貰うよ。僕はハーピィの羽根箒発動!その3枚の魔法?罠?破壊!」
「無駄にはさせない。俺は「ファントム・キル・セイバー」発動。デッキから一枚ドローする。」

残りの2枚は破壊されてしまった。しかしこれでいい。俺のデッキは…。

「な、何故モンスターが2体も存在している!」
「俺が破壊された2枚は「アンデット・キル・セイバー」…破壊されると墓地からモンスター扱いで特殊召喚される。この2枚を守備表示で特殊召喚させてもらった。さらに、墓地から罠カードの効果が発動した場合、墓地の「ファントム・キル・セイバー」を除外して発動。デッキから戦士族を手札に加える。俺が加えたのは「グランド・セイバー」。さぁ、お前のターンだったろ?」
「魔装戦士テライガー召喚!効果で手札のゼラの線士を守備表示で特殊召喚。カード一枚伏せてエンド。」
「皆ばっかりずるい…ドロー。魔装戦士アルニス召喚、一枚伏せてエンド。」

ようやく回ってきた。俺はカードを引く。素材は揃ってる…。俺はアンデット・キル・セイバー2体を生け贄に、レベル8…グランド・セイバーを召喚した。

「俺は永続魔法「魂の祭壇」を発動。このターンにアドバンス召喚したモンスターは1度のバトルフェイズに生け贄にしたモンスターの数分攻撃回数を増やせる。俺はグランド・セイバーの生け贄に2体を使用した。よってこのターン、グランド・セイバーは3回の攻撃が可能!」

俺は攻撃力3000のグランド・セイバーでゼラの戦士を攻撃、続いてテライガー、アルニスに攻撃をする。二人のライフを2500削った。しかしアルニスの効果でデッキからアクア・マドールが守備表示で特殊召喚された。

「グランド・セイバーの効果でバトルを行ったターンのバトルフェイズ終了時、墓地の「キル・セイバー」カード1枚を自身の魔法、罠ゾーンにセットする。俺は「アンデット・キル・セイバー」をセットし、エンド。」
「ドロー。モンスター1体セット、カード1枚伏せてエンド。」
「弱気だな…サレンダーするか?」
「そうしてられるの!今のうちよ!」

そうムキになったのは白の鎧を着た女の子…確か…ドラゴディウスだったか?

「ドラゴノックス…出せる?」
「出せるよ!」
「私のターンドロー!やって!」

白いのがドラゴディウス…黒いのがドラゴノックスか…ドラゴディウスの合図でドラゴノックスは先程伏せたカードを発動した。

「デュアル・スケール発動。デッキから同じスケールのペンデュラムモンスターを魔法、罠ゾーンにセッティングする!僕はスケール7の魔装戦士ドラゴノックスと黒き鎧をセッティング。」
「ダブル・サイクロン発動。私たちのフィールドの黒き鎧とあなたの魂の祭壇を破壊!さらに、魔装戦士ドラゴディウスを魔法、罠ゾーンのペンデュラムスケールにセッティング。これにより、レベル3~6のモンスターが同時に召喚可能!ペンデュラム召喚!魔装邪龍イーサルウェボン。効果でグランド・セイバーを除外して!」

俺のモンスターを除外した。二人で息のあったデュエル…追い込まれてる。ただし、追い込まれているだけで巻き返せない訳でない。勝てない訳でない。

「アドバンス召喚を得意とするのかしら…でも私たちもアドバンス召喚を得意とするの!アクア・マドールと伏せたモンスターを生け贄に…魔装混沌龍イーサルウェボンをアドバンス召喚!」
「レベル8…そのスケールではペンデュラム召喚は出来ないんだな。」
「バトルフェイズ…魔装邪龍イーサルウェボンでダイレクトアタック!」

そこまで燃えるのはなんだ…自分より強い者がいる嫉妬心か?勝利と言う欲望心か?嫉妬や欲望に満ちた者には俺は届かない。

「俺は自身のフィールドの魔法、罠を1枚破壊し、手札のガード・セイバーの効果を発動。守備表示で特殊召喚する。そして、俺が破壊したのは「アンデット・キル・セイバー」…効果はわかるよな?」
「それでも…魔装邪龍イーサルウェボンの攻撃力とアンデット・キル・セイバーの守備力ではこちらが勝ってる!」
「くっ…アンデット・キル・セイバーは破壊された。」
「次はガード・セイバー…守備力を300上回ってる!」

ガード・セイバーには効果がある。1ターンに1度、戦闘効果では破壊されない。その効果でこの局面を切り抜けた。俺のターン…カードを引く。ペンデュラムゾーンのドラゴディウスとドラゴノックスの効果が厄介だ…。だが突破できない訳ではない。今はできないだけ…。カードを伏せてエンドをする。

「ドロー。このペンデュラムスケールを使ってエクストラデッキから黒き鎧を守備表示で特殊召喚。…ターンエンド。」

当然だ。魔装邪龍イーサルウェボンではガード・セイバーを突破できない。魔装混沌龍イーサルウェボンでは突破できそうだがガード・セイバーの効果で突破できない。無理に攻撃する意味がない。

「ドロー。黒き鎧と魔装邪龍イーサルウェボンを生け贄に…魔装混沌龍イーサルウェボンをアドバンス召喚!さらに、ペンデュラム召喚。魔装邪龍イーサルウェボン。あなたのガード・セイバーを除外!」

2体目の混沌龍…再度現れた邪龍。これらの攻撃を受けると俺のライフは尽きる。900程オーバーする。俺は伏せたカードを発動せざる終えなかった。

「ナイト・キル・セイバー…発動。」

~王宮内~

「待て!」

私はクユリルを追っている。よくわからないがこの中に宝玉があるのだろうか?そもそも何故宝玉を狙うのか?姑息な盗賊ではない…。非力な山賊でもない…何故? 曲がり角を曲がろうとした時私の目の前を…本当に目の前だまつ毛当たったのではないかと思うほど目の前を弾丸が通る。

「にゃぉ…。はぁ…はぁ…はぁ…。ミカ生きてる…生きてる…。」
「可愛い反応ね…食してしまいたいけど…急ぎの用事があるの。」
「にゃぜ…宝玉を狙う?その宝玉ってにゃに!」

クユリルは私の目を見るなり…何かを考え、再度私を見る。

「あなたが可愛いから話してあげる。私たちが狙うのは「ヴァルキリーの心臓」と呼ばれる宝玉。何も珍しい宝玉だからではない。星の源だからよ…。」
「星の…源?」
「えぇ…この世界を創造した神は自らを3つの力に分け、3人の神を生んだ。その神々はさらに、3つに力を分けた合計9つの力をはこの世界の各地にばらまかれたのだけど…それがどんな力かわからないわ。でもその9つの1つがあのヴァルキリーの心臓と呼ばれる宝玉と言うわけ。」
「…全て集めてにゃにをする!」
「大雑把に…闇に染める。使い方次第では光にも闇にもなる神…私たちは闇に使うのよ。さて…」

クユリルは私に銃口を当てる。

「話してあげるとは言ったけど生かすとは言ってないわ…。」
「変身!」

私はすかさず怪物の体に変身する。その怪物の姿にクユリルは驚きを隠せない。

「魔物!?」
「グシー…。」
「はは…こわっ…逃げるしかない!」

クユリルは私の姿を見るなり逃げた…いや、捜索を開始したのだろう。私はそれを追いかける。

~コロシアム付近~

アスナさんはクラヌの何かに気がついたのか?ゆっくり立ち上がる。

「真保…そこの人たちを連れて安全なとこに…。兵士さんも連れて…。」
「え…あ、はい!皆さん!ほら、王様も…」

王様が言うに王宮が安全なとこらしい、兵士さんも一般人連れてその王宮を目指す。

「これでここには私とあなたしかいない。…何でそこにいるの…。」
「…」
「顔を仮面で隠しても私にはわかるわ。その剣の使い方…ねぇ…教えて!何で闇に生きてるの!」
「…」
「答えてよ…兄さん。」

そう思いたくない…だがそう思うしかない。目の前の仮面を付けた男は私の兄である事を…。
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