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風民と異徒の物語/1話・《青年は夜風に 少女はそよ風に》 作:パニー



男「ぐあああ!!!」


ドウウウン


夜の街の端で、男が轟音と共に吹き飛んでいった。


青年「あァらま、負けちゃったね。でもよく頑張った方だよ。他のギルドの雑魚決闘者なんて、ライフポイントを1つも削れなかったんだから。」


青年は男のダメージで立てなくなっている男に話し掛けた。
何と青年はライフポイントをたったの100しか削られずに勝利したのだ。


青年「でも約束は約束だ。この街はしっかりと滅ぼさせてもらうよ。
罠発動-影依の原核-」


青年は有言実行のためにとあるカードを決闘盤にセットした。そのカードを発動すると、青年の後ろから黄色の糸で構築された竜の化け物が複数体出現した。
  


ガアアア!!!



 グオオオ!!!

 

 シャアアア!!!




化け物は迫力のある咆哮をあげ、大気を震わせる。


男「させるものか・・・。
これ以上させるか!これ以上させてたまるか!これ以上させてたまるものかぁ!!」


青年「ッ!?」  ドスッ


男は持てる力を振り絞り、隠し持っていたナイフを青年の懐に突き刺し、高台から突き落とした。


男「ハァッハァ、、ハァ・・・。

やっと終わった・・・か。






























な!何!?」


男はとても驚いた。何故なら、さっき突き落としたはずの青年が頭と腹部から血を滴らせながら浮遊してきたのだから。


否、紫色の龍に乗って上がってきたのだ。


精霊の少女「マスター。この男はどういたしましょうか。最も、マスターを殺そうとした罪は存外重いですが。」


龍の主であろう少女は、マスターである青年に男をどうするかを問うが


男「な、なぜだ!何故だ!何故死なぬ!この精霊使いめが!! 貴様らなど、消えて無くなってしまえ!」


男は決闘者の誇りをかなぐり捨てて青年を罵倒し始めた。


精霊の少女「貴様、よくもマスターを・・・!」


これには少女も怒りを覚えた。
しかし


  



男「フン!大体貴様も何だ!精霊のくせにこんな者に付きおって!
どうせ貴様のようなプライドのない女何ぞ、あの男の慰み者に・・・」




青年「ッ!!」  バキッ




単に五月蝿くてイライラしていたのか、それとも青年の琴線に触れたのか、青年はいきなり男を突き倒し、思い切り男の手を踏みつけ、砕いた。

折れた骨が手のひらを貫通し、血が吹き出た。







男「ああァッ!!ぐうゥッ!」


男は想像を絶する痛みに悶えた。手から吹き出た血が、男のカードをベットリと濡らした。


青年「おいッ、何してるんだよ・・・。カードを汚すなよ、なァ!!」


手を踏みつける力が更に強くなる。
男はその痛みに耐えきれず、ついに気絶してしまった。


精霊の少女「マスター。その辺にしてください。半径1km以内に生物の反応。おそらくギルドの決闘者です。


青年「早いねぇ。もう来たのか。
でも、もう全てが遅い。
もう誰にも僕には追いつけやしない。」


青年は、再びカードを発動した。
青年の言うとおり、もう全てが遅い。


青年「さあ、いよいよだ。




征(い)けェ!原核(ルーツ)よ!命を喰い荒らせ! 血を飲み乾せ!!」





ついに命令(オーダー)が下された。原核が生んだ化け物達は、高台から一気に死を送りに行った。




















何だァ、ありゃあ!






きゃあああ!! 






誰かぁ!助けてくれ!!私の娘が、足を挟まれているんだ!!






何だよ、オレこんな所で死んじまうのか・・・。クソッ!






うわあああ!ああッ!オレの体が、ちぎれちまってる!






お母さん、たすけ・・・ バリバリ







君だけでも逃げるんだ!
駄目よ!もう間に合わないわ・・・
だけど、君には・・・


きゃあああ!!   バクッ


そ、そんな・・・よくも、よくも俺の妻をオオオ!!


夫であろう男は勇敢にたち向かおうとするが、その視線の先には複数の化け物に食いちぎられボロ雑巾のように変わり果てた妻の姿が

う、うわあああ!  バクッ












死を運びに召喚された化け物達は、
現れたと同時に亜人や精霊を無差別に食べ始めた。
本来、彼らには食事の必要は無い。何故なら元となっている原核(ルーツ)からエネルギーを得て生きているからだ。




原核は強力なエネルギーを持っているが、そのエネルギーにも限界がある。原核の欲するエネルギーとは、すなわち生物の「命」である。




青年は、原核(ルーツ)のエネルギーを補充するために必要な「命」を集めるために、ただひたすらに殺し続けるのだ。








青年「良いぞ!もっとだ!!
もっと壊せ!!もっと殺せぇ!!人々を恐怖のどん底に叩き落とせェ!!」


青年は狂ったように叫び続ける。まるで神に教えを請い、異端を殲滅する狂信者のように。


精霊の少女「いいよ。その調子。
もっと壊して、殺していいよ。







私がずっと守ってあげるからね。」





青年を冷静に見つめる少女。その瞳は寸分の狂いなく青年に向けられ、その口元は微笑んでいるようにも見えた。

結局、この街の住人を含めた約1000万人が死亡した。街からはいまだに火が上がり続け、おまけに死臭が漂っているので誰も近づけない。
この街は、まさに「死の街(ゴーストタウン) 」と呼ぶに相応しくなってしまった。
唯一生き残った老夫婦も、目の前で娘を食いちぎられる所を見てしまったショックで、何も聞けないまま自ら命を絶ってしまった。






その2時間後


青年「もう終わっちゃったか。でも(あの方)の事だからまだまだ殺させるつもりだろうね。」


精霊の少女「そうでしょう。さて、次はどこへ行きましょうか?」


少女は青年と次の行き先を決めようとしている。すると、青年後が「じゃあさ、シオン村はどうかな?」と言ったので、次の行き先をシオン村に決めた。

シオン村とは、青年達の現在位置から一番近い農村である。比較的高緯度で、あまり人が入って来ないので人口は少ない。しかし栄養をたくさん貯えた土で育った野菜は、この国の中でもかなり有名なブランド商品となっている。
ほとんどの村が工業をメインとし都市化して街となっている中、この村だけは変化を拒み続け、農村のままとなっている。
その影響もあってか、都会での生活に疲れた若者たちがこの村の新鮮な空気を吸い、癒やされに来ることもあるのだ。
青年達は、今度はそんな村を滅ぼしに行くと言うのだ。


精霊の少女「では、私の愛騎(ホロウ)に乗って行きましょう。

来て、ホロウ!!」


少女は天高く叫ぶと、上空から紫色の龍が飛んできた。青年はホロウがやってくると「いつもありがと♪」といい、ホロウの頭を撫でてあげた。これにはホロウも「グルル♪」と嬉しそうに鳴いた。


精霊の少女「ホロウばっ
かりずるい・・・。私にもしてよ・・・。」


青年「? どうかしたの?」


少女「な、何でもありません。
それより、早く私の肩に掴まってください。置いてっちゃいますよ!」


少女は照れ隠しと言わんばかりに青年を急かした。




青年「そうだね。じゃあよろしくお願いします、

エルシャドール・ミドラーシュ








もとい我が同胞《ウィンダ》。」


精霊の少女→ウィンダ
「改めてよろしくお願いいたします。













  






マイマスター《シャロック》。」








2人と1匹は天空へと飛び立った。













 


そのころ、もう1人の旅人である少女は、相棒の「ラム」を抱えて森を駆けていた。


少女「はあっはあ、はぁ・・・
もうっ、だめ。あしがいたいよぉ・・・。」


少女の足は限界だった。朝の7時から11時まで、休み休みとはいえずっと走り続けていたのだ。


ラム「キュウウウ・・・。(済まねえ、おれが弱ぇばっかりに苦労を掛けさせちまって・・・。) 」


ラムは申し訳なさそうに鳴いたが、少女には逆効果だった。


少女「だいじょうぶ、わたしまだまだがんばれるから!」

 
少女は勢いよく走りだしてしまった。しかし・・・


少女「うわあ! あいてて~。
あれ、ラムは?どこなの?」


少女は前を向いて走っていたため、ついうっかり小石に躓いてしまった。そのあげく、足を軽くひねってしまった。


ラム「キュウ!(おれはお前の尻の下だ!早くどいてくれぇ~!) 」


運良くラムはピリカの尻の下じきになっていたため、離れ離れになることはなく無事(?)だった。
よかったね!


醜男「おやおやぁ~、こんな所に女の子がひとりでどうしたんだぁい?」


ピリカ達が再開を喜んでいる中、いかにも怪しげな醜男が話し掛けてきた。
 

少女「あのね、少しこまってて・・・」




少女は自分たちの事情を説明した。すると、男は目的の村まで背負って連れてくと言い出したのだ。


少女「いいの?うわぁぁい!
おじさんだいすき!」 ダキッ


醜男「うおぉっ!
(って、オレ今女の子に抱きつかれてる?キタコレ!)
げへへぇ!」


男は可愛い女の子に抱きつかれたので、ついつい下品な笑いを浮かべてしまった。それを見かねたラムが「キュウウ?(おいおいいいのかよ。こんな不細工なツラした男について行ってよぉ?) 」と少女に質問するが「こんな親切な人にわるい人なんていないよ!」と言われ、何も言えなくなってしまった。


醜男「せっかくだから、お互いに名前を教えようぜ!
オレの名前はサムソンだ。
君の名前は?」


少女「わたしは・・・















ピリカ!ピリカって言うの!」


醜男→サムソン「ピッ、ピ、ピリカだってぇぇ!!それってもしかして、(ガスタ)の民の名前か?」


少女→ピリカ「うん!あとね、みんなから(しんえい)ってよばれてるよ!」


サムソン「し、神裔・・・。」
ヘナヘナ


男はついへたり込んでしまった。
何せ目の前にはもう絶滅したとも言われている「ガスタ」、しかも神裔ときたのだから、驚かずにはいられないだろう。


ピリカ「どうしたのおじさん?
さっきかはぼぉ~っとしちゃってさ?」


サムソン「お、おう!
じゃあ早速、行こうじゃないか!
しっかりと掴まれよ!」


ピリカ「うん。
おじさんのこと、ぎゅってしてるからね♪」 ぎゅっ


サムソン「げ、げへ・・・

いやいや、落ち着けオレ!
いいかい、こうやって叫ぶと気持ちいいぞ!
イヤッホオオオォォォゥ!!!」

 
ピリカ「いやっほおおう!
これでいいかな?」 


イヤッホオオオォォォゥ!!!
いやっほおおう!
キュウウウ!!
そんな大声が森に響く。










2人と1匹は、地を駆けていった。



















旅人の邂逅は近い・・・。













次回予告




「貴様、精霊使いか?」





「ねえねえおじさん、ここほんとうにしんりょうじょなの?」





「おお、コイツは高くつくぜぇ!」





「了解です、マスター。」





「さあさあ、楽しい愉しい決闘の始まりだ!!」





次回 風民と異徒の物語

2話《ホープなきワールド》




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人喰い
はじめまして! 人喰いです。
出だしからなかなかゾクゾクしました笑
応援してます。 (2017-03-18 09:20)
パニー
人喰いさん、ありがとうございます!
私も、人喰いさんの「遊戯王Ph.X」を毎回楽しみにしているものです。
「応援してます」と言われてしまうと、頑張らざるを得ませんねw (2017-03-18 14:07)

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