光と闇 会長・刹那の混沌を操る力！⑨　作：はにわ改

　
ーー刹那のターン。
カードをドローして手札は４枚になる。

「さて・・・ん？」

前の透矢のターンで、このターン動くための準備は済んでいる。
その手順を頭の中で確認しながらふとその視線を観客席の方へ泳がせた。
真希たちがどこに座っているかは把握済みだが、いつの間にかその場所に二人ほどメンバーが増えている。

「（・・・久遠。
それにアルフレッドまで。
ずいぶん遅い到着ね）」

真希たちと再会を楽しんでいる様子の妹の姿、そして連れであるアルフレッドなる白人の青年。
そのアルフレッドは真っ直ぐ、自分の事を見据えているかのようだった。

「（くす・・・さて、透矢くん。
私に恥をかかせないでね？
久遠たちが来て早々に終わっちゃったら・・・君を売り込んだ私の立つ瀬が無くてよ？）」

見つめてくるかのようなアルフレッドの視線から、さっと自らの視線を反らすと、今度は透矢を真っ直ぐ見据える。
このターン、透矢に対策が無ければ終わってしまうのだがーー。

「ーーメインフェイズ！
手札から『混沌天使 リニア』を召喚！」

ミカエルの傍らに召喚される、前のターンにも出現したチューナー・モンスター、リニア。
墓地の光・闇属性モンスターを除外する事でリニアのレベル上昇、混沌天使モンスターの蘇生、と刹那が操るシンクロ召喚において優れた能力を発動する。

「そして２枚のリバース・カードをオープン！
『闇次元の解放』、『リビングデッドの呼び声』！」

「うぐ！？」

「効果は知ってるよね？
闇次元の解放で『混沌天使 ソニア』を。
リビングデッドの呼び声で『混沌天使 ステルヴィア』を、それぞれ特殊召喚！」

発動される刹那の場の２枚の罠カード。
同時に発動しているが、実際は闇次元の解放にチェーンしてリビングデッドの呼び声が発動している。
闇次元の解放は自分が除外している
闇属性モンスターを、リビングデッドは墓地からモンスターを特殊召喚する、どちらも汎用性の高いカードだ。
くどいようだが、混沌天使は光と闇の二つの属性を共有するため、闇次元の解放で特殊召喚が可能だ。

まずリビングデッドの呼び声でステルヴィアが出現し、
闇次元の解放の効果で、刹那の頭上にある『次元の穴』からソニアが降臨する。
どちらも白と黒の翼を蓄えた女性型の天使である。

ステルヴィアはレベルが４で攻撃力が１７００、
ソニアはレベルが３で攻撃力が１０００である。

「フィールドに一気にモンスターが３体召喚された・・・」

妨害する手段のない透矢はただ刹那の為す様を見守るだけ。

「また・・・来るのか、シンクロ召喚が！」

いや、あるいは並べたモンスターで総攻撃か。
しかしソニアとリニアの攻撃力は、『アリアス』の守備力より劣っている。
更にアリアスは１ターンに３回まで戦闘・効果で破壊されない。
攻撃力アップのカードでもない限りは、やはり本命はーー。

「行くわよ、透矢くん。
レベル４のステルヴィア、レベル３のソニアに、レベル２のリニアをチューニング！」

ーーやはりシンクロ召喚。

レベルの合計は９。
すなわちレベル９のシンクロモンスターが現れるということになる。
会場がまたざわめき、滅多に見れないモンスターが現れようという場面に歓喜する。

「ーーその光と闇の翼は、偉大なる知識と癒しを司るーー。
特異点の彼方に封ぜられし天使よ、ここに降臨せよ！」

リニア・ソニア・ステルヴィアがそれぞれレベルの数だけ、光と闇の球体を作り出すと、
合計九つのそれが次元の穴へと吸い込まれ、新たな天使を呼び覚ます。

「シンクロ召喚！
混沌天使！『ガブリエル』！」

ーー降臨、２体目のシンクロモンスター。
ミカエルに匹敵するその能力が透矢に牙を剥く。