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HOME > 遊戯王SS一覧 > 故事〜戦乱世界の闇〜

故事〜戦乱世界の闇〜 作:名無しのゴーレム






「そう言えば、その闘技場までどれくらいかかるんだ?」
「結構近いよ。ここからなら……歩いて2時間くらいかな」


それは近いと言えるのか……微妙なところだ。


「そうだ。ただ歩くのも何だから、互いに身の上話でもしようじゃないか。君の故郷はどんなところなんだい?」
「……平和なところだよ。毎日友達と馬鹿やって、そこそこに刺激的で楽しい場所さ」
「それは興味深いね。具体的にはどんなことがあったのかな?」
「大したことじゃないさ。ほとんど幼馴染が原因の事件みたいなものだし……」
「いいじゃないか、幼馴染。僕にはそういう人がいなかったから羨ましいよ」
「羨まれるような奴じゃ無いって。毎回迷惑に巻き込む、歩く火薬庫みたいなもんだ」
「ハハハ、歩く火薬庫とは面白い表現だ。爆発させないように注意しないとね?」
「近くを歩くだけで爆発するんだ、気を使うだけ無理ってもんだよ……で、そっちはどうなんだ?」


このまま話し続けるといつかボロが出そうだ。それを避けるために、ひとまず話を振ってみた。


「僕かい? あいにく、僕の故郷には面白いことは何一つ無くてね……だからこうして旅をしているんだけど」
「旅って、世界中をか?」
「さすがに海を渡ったりはしないよ。大陸中を巡っているのさ。でも歩きだとどうしてもペースが悪くてね……馬でも買うべきか。でも高いんだよなぁ」


やっぱりこの世界の主な交通手段は馬なのか。乗れないんだよな……あ、でもライトも乗れないって言ってたな。


「なら、旅の途中であった面白い話とかは?」
「それなら沢山あるさ。そうだね……僕の友達にフォンザードという女性が居たんだけど、彼女は趣味で色々なものを開発していてね。ある時魔法石なしで通信する機械なんかを作ったりしていたよ。確か……『デンシンキ』、とか言ってたかな?」


デンシンキ……電信機のことか?


「ふぅ〜ん、そりゃあ凄い。でもヘクシエール見てる限り、そこまで普及してないんじゃないのか?」
「その通り。本当なら、もっと改良を重ねて世界に広がって行くはずだっただろうね……」
「…………?」


ライオネルの 含みのある言い方に、思わず首を傾げてしまう。


「…………彼女、行方不明なんだよ。2年前の事件からね、彼女の故郷じゃもう故人扱いさ。仕方ないとは思うけれど」
「そうなのか……2年前に何があったんだ?」
「おや、知らないのかい? 2年前と言えばあの事件に決まってるだろう……各国の英雄、そのほとんどが姿を消した『虚ろなる影』と名付けられた事件だよ」
「虚ろなる、影……」
「……本当に知らないと来たか。とはいえ僕も、というかこの世界の誰もあの事件の詳細は分からないのだけど。あれ以来、世界情勢は滅茶苦茶さ。そりゃそうだ、だって各国のトップがこぞって消えてしまったんだから」


ん? それって、まさか……


「姫様のお父さん……ヘクシエールの前王も、その事件に巻き込まれたのか!?」
「ああ。だがその言い方は少し違うかな……正確には、彼が周囲を巻き込んだんだよ」
「何だよそれ、どういうことだ……」
「ほら、ここが対抗試合の会場だ。帝国の誇る大闘技場、過去の皇帝たちの多くもこの場でその地位を勝ち取っているんだ」
「……え、勝ち取る? 皇帝ってどう決まってるんだ?」
「ま、この国は徹底的な実力主義だからね。デュエルで皇帝に勝てば、一切の例外無くそいつが次期皇帝さ。現に今の皇帝だってそうして今の地位に至ったんだから」
「今の皇帝……アルカ・グランベルゼか」
「彼女の場合は少し事情が異なるみたいだけど……でも、あの強さは本物だ。だから国民たちも彼女を認めている」
「……この前、姫様に負けたのに?」
「その上でも、だよ。さっきも言ったようにこの国は実力主義、強い奴が頂点に立てる場所だ。少なくともこの国の中では彼女より強い人間はいない……それだけの話さ」


徹底した実力主義、最強のデュエリストが皇帝に……それなら、帝国の強さにも頷ける。


「さあ、行って来るといい。ここの衛兵に事情を話せばそう悪いことにはならないだろう。僕はあくまで観客だ、明日までゆっくりさせてもらうさ」
「明日……まさか、対抗試合って明日なのか!?」
「じゃあね遊介君。また会えると嬉しいよ」


混乱する俺をよそ目に、ライオネルはフラフラとその場を去って行った。


「……はぁ。さて、どうしたもんか」





「えっと、すみませーん」
「何だ。一般人は立ち入り禁止だぞ?」
「あ、いやぁ……一応この国の皇帝から招待状を貰ってるんですけど」
「なら、それを見せてもらおうか」
「ああはい……これです」


衛兵は俺が差し出した招待状をじっくりと確認する……


「…………いいだろう。案内の者を呼ぶから、ここで待っておけ」
「分かりました」





––––そうして待つこと十数分。先ほどの衛兵が1人の男を連れて来た。その男は……


「よお遊介。久しぶりだな」
「ああ……久しぶり、ライト」


アルカ・グランベルゼの弟にしてゲヴァルフォスの軍師、ライトだった。こいつが俺の案内係……?


「軍師、クビになったのか?」
「違えよ! 失礼な奴だな……お前が来たってことをたまたま聞いたんで、俺が案内してやろうと思っただけだ。丁度暇だったし」
「暇って……普段仕事してるのかよ?」
「おい、そろそろ本気で怒るぞ? ともかく、これからどうする? 疲れてるならヘクシエール兵士用の宿舎に連れてってやるが」
「……まずはこの闘技場を案内してくれ。まだ真っ昼間だし、宿舎はさすがに早いだろ?」
「それもそうか。分かった、じゃあついて来な」





「……ま、裏方の説明はこんなもんかな。どうだ?」
「す、スゲェな……」


実際に見たことはないが、多分ヨーロッパにあるコロッセオみたいな構造なのだろう。石だけで造られているのに、(人力らしいが)エレベーターまで完備されているそうだ。


「ゲヴァルフォスって、もしかして技術力が高かったりするのか……?」
「どうだろうな。この闘技場は結構前に造られたものらしいが、設計したのは別の国の人間らしいし。それに侵略した国の技術士を引っ張って来たりしてるから、この国自体の技術力は大したこと無いと思うぜ」
「……そうか」


忘れていた。この国は侵略国家で、ついこの前まではヘクシエールもその歯牙に掛けようとしていたんだった。


「姉様が皇帝になってからは特に急スピードで侵略が進んでたから、今世界地図を作ればこの大陸の何割かは帝国領になるだろうよ」
「…………」
「まあこれからどんどん縮小されていくだろうがな。一切の侵略が行えない以上、独立を宣言されればこっちも手出し出来ない。下手すりゃ国家存亡の危機だっての……」
「そんなに危なかったのか、あの約束……よく女帝もOKを出したもんだ」
「姉様の場合は何も考えてないだけだぜ。その分のしわ寄せが国民と俺の胃に来るんだよ」
「……ドンマイ」
「うるせえ」


裏側は一通り見終わったので、俺たちはいよいよデュエル場に行くこととなった。


「デュエル場はもっとすごいぞ? 何たって歴代皇帝がその力を示すために定期的に大会を開くんだからな。その度に演出が派手になったりしてるから、無駄に金使うんだよ。まあ姉様はそういうの気にしないから、今回はその辺も抑え目で済んでるが」
「そんなところで、俺がデュエルするのか……」
「ハハッ、緊張してまともにデュエル出来ませんでした……なんてのはやめてくれよ?」
「当たり前だろ。この対抗試合、ライトは出るのか?」
「俺は軍師だぜ、出るわけ無い……って、言いたかったんだけどな。姉様に脅されて無理矢理出場することにさせられた」
「あはは……」
「笑い事じゃ済まねえんだよ……よし、着いた。ここが帝国の誇る大闘技場だ!」











––––そこに入った瞬間、背筋に寒気が走った。ここは数多くの死闘が繰り広げられた場所、デュエリストには何か感じさせるものがあるのかもしれない。とりあえず周囲を見渡すと……あるものが目に付いた。


「……なあライト。『あいつ』……誰だ?」
「ん? 誰って……げっ」


その人影を見て、ライトはよく分からない声を上げた。


「女の子……だよな? それも、小学生くらいの……」
「小さいからって侮んなよ。あれは姉様クラスの災厄だぞ……」


…………何だって? そんなことを話しているうちに、その少女はこちらへと走って来て……俺に対し、無邪気な笑顔でこう言った。






















「デュエル、しよっ♪」



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ター坊
無邪気系災厄幼女…Fateのイリヤかな?
苦労人のライトも登場して懐かしい顔ぶれが揃うことでしょう。第2章はこの大会がメインになりそうです。 (2017-02-11 14:00)
名無しのゴーレム
ター坊さん、コメントありがとうございます。
本人がヤバいという意味ではイリヤよりも質が悪いです。でもまあ、大体合ってるのかも…
ライトさんマジ苦労人。今回も彼の胃がマッハ。この大会が第2章のメインであることは間違いないですが…それだけではないんですよ(意味深) (2017-02-11 17:46)

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