第22話：闘神　作：青き眼の凡人

羅刹「……」

デュエルコートの上で一人、仁王立ちをしているのは、チームキングダムクラッシャーズのリーダー、皇 羅刹。燃え盛る炎を思わせる真っ赤な髪、熊のような体格、鷹のような鋭い目。その姿に観客達は恐怖していた。

良経「いつになく気合い入ってんな羅刹の奴。」
竜泉「チームメイトの俺ですら少しビビる。」
プレア「ガンバレー！羅刹ー！」
ミドラ「アイツ、アレデ『キコンシャ』ダカラオドロキダヨネー。」

さらりと放たれる衝撃の真実。

竜泉「え？」
良経「は？」
プレア「エ？」





「「「えええーー！？」」」




羅刹「……(ミドラめ…余計なことを)」

ユーリ「奥さんが、いるんですか？」

羅刹「…聞かれていたか。どうやら卿は視力の代わりに聴力が発達しているようだな。」

ユーリ「数少ない私の特技かもしれませんね。」

羅刹「そうか…さて、無駄話はもう終わりだ…始めるぞ。」
ユーリ「はい！ルーシャス！」
ルーシャス《かしこまりました。デュエルモード！》

飛車鳥「ここで全てが決まるのか！？それともまだ終わらないのか！？注目の第3デュエル、お互いの準備は整った！デュエル開始イイ！」


「「デュエル！」」



時を同じくして、何かを企む者達がいた。

「チョーヒマー。」

うさ耳デザインのパーカーを着た女が退屈そうにしている。

「まだデュエルが始まったばかりじゃぞ。」

それに答えたのは古風な喋り方をする女。

「私の見立てでは、3ターン目位が頃合いかと思いますよ…」

ナイフを何本も持った紳士服の男がそう言う。

「べーだーべーだーいんべーだー。キルズの予想はいつも外れる。」

すかさず否定する女。その頭上には、謎の白い光輪が浮いていた。






羅刹「先攻は我のようだな…我はスケール5の『羅刹衆ー天上』と、スケール7の『羅刹衆ー天下』で、ペンデュラムスケールをセッティング！」

2本の光の柱に浮かび上がる鬼の侍達。

チェック「これでレベル6のモンスターが同時に召喚可能になりましたね…」

羅刹「オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ！毘沙門天に仕える鬼どもよ、我に力を与え給え！」

ペンデュラム召喚！

羅刹「レベル6！『羅刹衆 ー 鏡花』！『羅刹衆 ー 水月』！」

羅刹衆 ー 鏡花
ATK2300

羅刹衆 ー 水月
ATK2300

羅刹「『羅刹衆 ー 天下』の効果発動！1ターンに一度、自分フィールドの『羅刹衆』ペンデュラムモンスターをエクストラデッキに送り、融合召喚を行う！フィールドの鏡花と水月を融合！」

融合召喚！

羅刹「来い！『羅刹衆 ー 鏡花水月』！」

羅刹衆 ー 鏡花水月
ATK2700

羅刹「鏡花水月の効果発動！デュエル中に一度、相手の手札を確認し、その中から二枚選択して墓地に送る！」

アルフレッド「ハンデス効果！？」

ユーリ(まずい…確か私の手札は『捕食植物オフリス・スコーピオ』『捕食植物コーディ・セップス』『捕食接ぎ木』『融合』『捕食惑星』…この状況で捨てられるのは十中八九『融合』と『捕食接ぎ木』！そうなったら次のドロー次第で勝負を決められる！)

羅刹「……我が選ぶのは、『捕食植物コーディ・セップス』と『捕食惑星』！」

ユーリ「えっ…」

羅刹「我はカードを一枚伏せターンエンド。…さあ、かかってくるがよい！」

ユーリは、羅刹のその台詞で全て理解した。

ユーリ(試している、というわけですか。ならばご期待に答えなければいけませんね！)

ユーリ「私のターン！」
ルーシャス《引いたカードは、『捕食植物ドロソフィルム・ヒドラ』でございます。》
ユーリ「私は手札から、『捕食植物オフリス・スコーピオ』を召喚！手札を一枚捨て、この子の効果発動です！デッキから『捕食植物セラセニアント』を特殊召喚！さらに『融合』発動！フィールドの二体を融合します！」

羅刹「…そうだ、それでいい！卿のデュエルで、もっとこの鬼どもを昂らせよ！」

ユーリ「魅惑の花々よ、一つとなりて、戦場という名の庭園に新たなる彩りを！」

融合召喚！

ユーリ「今こそ花開く時！美しき紫毒、『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』！」

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ATK2800

ユーリ「セラセニアントの効果で、デッキから『捕食遊戯(プレデター・ゲーム)』を手札に加えます！…行きましょう、スターヴ・ヴェノム！」

－－－ああ！

ユーリ「『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』の効果発動！融合召喚に成功した時、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター一体を選び、その攻撃力分だけ、ターン終了時までこのカードの攻撃力をアップします！」

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ATK2800→5500

ユーリ「バトル！」

飛車鳥「これが通れば、大ダメージは避けられない！どうなる！？」






羅刹「『羅刹衆 ー 天上』の効果発動！相手のバトルフェイズ開始時に、ペンデュラム召喚可能なモンスターをエクストラデッキから可能な限り特殊召喚できる！」
ユーリ「なっ！？」
アルフレッド「相手ターンに！」
飛車鳥「ペっ、ペンデュラム召喚〜！！？」

羅刹「再び力を与え給え！『羅刹衆 ー 鏡花』！『羅刹衆 ー 水月』！」

羅刹衆 ー 鏡花
DEF1200

羅刹衆 ー 水月
DEF1200

羅刹「『羅刹衆 ー 天上』の効果を発動したこのターン、この効果でペンデュラム召喚したモンスターにしか相手は攻撃宣言できない！」

ユーリ「…鏡に映る花と水面の月は斬れない。そのモンスター達は守備表示の時戦闘破壊されない効果を持っていますね？」

羅刹「……そうだ。」

ユーリ「…ターンエンドです。」

羅刹「エンドフェイズ時に永続罠発動！『羅刹衆の真言(マントラ)』！相手ターンのエンドフェイズ毎に発動できる。自分フィールド上の『羅刹衆』モンスターの数だけ、デッキからカードをドローする！ペンデュラムゾーンの二枚を除いて、我のフィールドにいるのは三体！よって三枚ドロー！」

羅刹「そして我のターン！ドロー！」

観客「すげえ…手札を0枚から一気に4枚にまで増やしやがった…」

羅刹「我はペンデュラム召喚を行う！オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ！」

ペンデュラム召喚！

羅刹「『羅刹衆 ー 千変』！『羅刹衆 ー 万化』！」

羅刹衆 ー 千変
ATK2300

羅刹衆 ー 万化
ATK2300

羅刹「『羅刹衆 ー 天下』のペンデュラム効果発動！フィールドの『羅刹衆 ー 千変』と、『羅刹衆 ー 万化』を融合！」

融合召喚！

羅刹「現れよ！無貌の鬼！『羅刹衆 ー 千変万化』！」

目も鼻も口も無い、いわゆるのっぺらぼうの鬼が出現する。

羅刹衆 ー 千変万化
ATK？

麟「攻撃力不明のモンスター？」
ゴードン「これは何か仕掛けてくるな…」

羅刹「『羅刹衆 ー 千変万化』の効果発動！このカードか融合召喚に成功した時、相手のエクストラデッキを確認し、その中の一枚を選んで発動できる！ターン終了時までこのモンスターは、選んだモンスターと同じ攻撃力、守備力となり、同じ効果を得る！」

羅刹「我が選ぶのは、『捕食植物キメラフレシア』！」

羅刹衆 ー 千変万化
ATK？→2500

羅刹「バトル！千変万化で、スターヴ・ヴェノムに攻撃！この時、キメラフレシアと同じ効果を得た千変万化の効果発動！このカードが相手の表側表示モンスターと戦闘を行う攻撃宣言時に発動できる！
ターン終了時まで、その相手モンスターの攻撃力は1000ダウンし、このカードの攻撃力は1000アップする！」

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ATK2800→1800

羅刹衆 ー 千変万化
ATK2500→3500

－－－ッ！まさかこんな手で破ってくるとはね…

ユーリ
LP4000→2300

ユーリ「スターヴ・ヴェノム！」

－－－大丈夫。ボクの効果を発動するんだ！

ユーリ「スターヴ・ヴェノムの効果発動！このカードが破壊された場合に発動できます！相手フィールドの特殊召喚されたモンスターを全て破壊します！」

羅刹のフィールドのモンスター達が一掃される。

羅刹「…ターンエンド。(先程エクストラデッキを確認したが…妙だな、なぜ『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』が一枚しか存在しない？そしてその派生カードであるはずのあのカードも入っていなかった…)」


ユーリ「私のターン！」
ルーシャス《引いたカードは…》
ユーリ「…なるほど、ならカードを二枚伏せてターンエンドです。」

羅刹「…我のターン！(！ このカードは…くだらぬ疑問など捨てろとデッキが呼びかけているのか？)」


プレア「羅刹のあの顔…『アレ』を出すみたいだヨー！あのユーリって子、すごいヨー！羅刹があれを出すのは久しぶりだもん！」
ミドラ「デモ、コンナタイミングデヒクナンテネ、ヤッパリアイツカミサマニアイサレテルヨ。」
良経「当然だろ？だって、それが…」



良経「俺達のリーダーでもあり、」
竜泉「『闘神』と呼ばれる男、皇 羅刹なんだからな。」





羅刹「我は手札から『悪鬼羅刹融合』発動！自分の手札、フィールド、ペンデュラムゾーンの『羅刹衆』カードをエクストラデッキに送り、融合召喚を行う！」

羅刹「我は！ペンデュラムゾーンの『羅刹衆 ー 天上』と『羅刹衆 ー 天下』、そして手札の『羅刹衆 ー 唯我』と『羅刹衆 ー 独尊』を融合！」

羅刹「オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ！天地を統べる最強の鬼よ！ここに降臨し、武の頂点が誰かを証明するがいい！」

融合召喚！

羅刹「我が武、ここに極まれり！『羅刹衆 ー 天上天下唯我独尊』！」



羅刹衆 ー 天上天下唯我独尊
ATK4000



馬の下半身と人型の上半身のケンタウロスのような構造。


上半身には六本の腕を生やし、それぞれの腕が、剣、槍、斧、槌、戟、棍を持っている。






まさに闘神と呼ぶにふさわしい鬼が現れた。