03. 同盟　作：くちなし

☆★☆★

「んんn、、」

佐々木が声を漏らすと、そこは、、

「あ、起きたか」

悠里の声に反応して、目を開ける3人組。

「え、、！」
「あ、、」
「んな、、！」

佐藤は悠里の左腕に、早柿は右腕、佐々木は膝枕状態。ここはリネン室。

「なに、してるのよ!こんな暗い所で！、、痛てて、、」
「まだ体動かすな。頭冷やしとき」

3人は、悠里によって、応急処置を行われていた。頭には冷やしたタオル、擦り傷の所には包帯、そして、睡眠。

「私達、負けたのね」
「ああ。だが、勝ったとは思ってない」
「どういう事よ。手でも抜いてたって言うの？」
「逆だよ。手を入れ過ぎたってこと。人を傷つけてまで、勝つデュエルは買っても悔しくなる」

3人は黙っている。

「ごめんなさい」
「は、、？」
「あんなこと言って、ごめんなさい」
「最初から気にしてないよ。それにしても、初めて使うデッキは慣れないなぁ」
「初めて、、!?」
「僕の本デッキは別にあるから。」
「そう、、」
「委員会、やらせてくれよな」
「むぅ、、約束だからね。しょうがなくだから！サボりでもしてたらスグに交代させるんだから！」

3人組はとりあえず、それぞれの自宅に帰ろうとする。悠里は、ある事を思い出す。

「そういや、折り鶴、、」

踵を返し、教室へ向かう。教室の電気がついていた。廊下には誰もいない。教室へ入ると、ある人物がいた。

「あ、来てくれた」
「貴方は、、、」

少女の名は安楽木唯、、と、自己紹介の時に行ってたっけか。おしとやかな子である。

「何の用？」
「えっと、、私と、、⋯⋯してくださいっ！」
「ごめん、もう一回」
「私と、同盟を組んでくださいっ！」
「同盟、、？」
「はい」

いきなりクラスメイトに呼び出され、同盟を組む、、なんとも不思議である。

「どういうこっちゃ」
「その、助けてくれるだけで、、」
「助ける、、？何を」
「その、、決闘する、、という事は、タッグもありますよね」
「あるね」
「あと、トレードの実演授業とかもあるんです」
「へぇ、、知らなかった。そんな事もするんだ」
「そういう時に組んでくれたりとか、プリント見せてくれたりとか、その他諸々、、」
「なんで僕なんだい？それと、折り鶴を頭に当てたのは何故だ」
「その、佐々木さんがあなたを誘ってた時、私と似てるなぁ、、って思ったから。折り鶴にしたのは、皆が来るところ
で話すのが、アレだったから、、でも、頭に当たるなんて、、ゴメンね、、」
「、、」
「あの時、貴方だけ入ってない、って言ってたけど、私も入ってないんだ。勧誘すらされてないよｗ」

だから何なんだ。つまり、どういう事だ。同盟に入って、助け合いをしろと？
でも、タッグ組む相手がいないのも困るな。ま、いい。その時だけ相手にすればいいし。

「その、同盟とやら、組んであげてもいいよ」
「ほんと？」
「但し、最小限な。困った事とか、タッグ組んだりとかだけ。そんで、そん時はお互いに助け合う。それでいいか？」

安楽木は静かに頷いた。気持ち沈んでる、というどころか、満面の笑顔で。

「じゃあ、これからよろしくね♪」

そう言って、安楽木は去っていった。
全く、陽気な子である。

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数日後。
いつもの変わりないクラス、、で、本を読んでいた。
女子が話している。

何を話しているんだ。ｎ、、？
いつものクラス、、だけど、何かが違う。様子が変である。
ふと、教室を見渡すと、いつもと全く様子が違う。


ｰｰｰ回想①始

これはひと月ほど前の話である。
いつもの様に登校し、本を読んでいた悠里。そこに、数人の女子の塊が入って来た。

「、、だよねｗｗ」
「じゃあ、今度、行こうよ」
「だね」

何を話していたのかは興味も無いし、一々覚えちゃいない。しかし、少し五月蝿い、位の感情を抱いていた。
まあ、すぐに止むだろう、と思い、読み続けていたら、目に映る物が変わった。


「そんなに読むのが好きなの」
「好きだけど」
「ウケるww」
「マジウケww」

何がそんなに受けるのか、是非ともご教示願いたいものだ。

「あんた、いっつも本ばっか読んでるよね」
「うん」
「がり勉君？」
「根暗でしょｗｗ」
「違う、。ただ好きなだけ」

どうやら彼女等には「本を読む＝がり勉or根暗」という考えが働いているようだ。憤慨だ。

「何の用？」
「別に、ただ気になっただけ」
「本、」
「あ、これ？」
「返してくれる？」
「はいよ」

渡し方が雑である。人に対する態度って物がまるでなっていないようだ。

「ねーね、こんな奴相手しないで、あっち行こ」
「ねえねえ、これ見てよ！」
「わぁ、かわいぃ！」

そう言って、女子の「塊」は去っていった。
実に歯がゆい。

ｰｰｰ回想①終

少し気になるな、、

☆★☆★

数日後。
クラスを見渡す。
今日も居ない。ここ数日、ある人物がいない。
いつもの女子の塊が入って来た

「これ見てよ」
「え、ナニコレ」
「これさ、今と比べてどうよｗ」
「ｗｗ」

何か話しているようだ。何を話しているのかは分からない。盗聴魔じゃないからね。

同日の放課後のこと。

「、、さん、、って、、だよね、、」
「まじ、有り得ないんですけどぉww」
「だよねｗｗｗ」
「ホントに同一人物ｗ？」

何かを見て、にやにやしている。一瞬、僕を見て、視線を反らした。
変だ。
それもそのはず、、ここ数日間、姿を見せない人物がいる。
城ヶ崎火憐である。
佐々木の時に話しかけてきたあの女。あの日の翌日から、一度も姿を見ていない。
一体、何が起こった、、

☆★☆★

その数日後。
もう1人、姿を消した人物がいる。
僕に、同盟を持ちかけてきた安楽木唯。
彼女も、城ヶ崎が姿を消した翌日から姿を見ない。
彼女は、授業の遅刻、欠席、早退、、はあったものの、毎日一度は姿を見る。ほとんどは職員室で。
そんな安楽木が憐日姿を見せないなんてあり得るだろうか。

放課後のこと。

「先生。2人は何故、来ていないか、分かりますか？」
「うーん、、」

お茶を濁さないでもらいたい。こっちはあくまで真剣なんだ。
僕は。「友達は欲しくない」けど、「同盟」となれば話は別だ。城ヶ崎に関してはオマケ同然だが。

「それがねぇ、、不明なんだよ」
「不明、、と言いますと？」
「本人からも、家族からも何も連絡はないんだよ」

音沙汰無し、、(安楽木が)ますます気になる、ああ、なんで同盟なんか結んでしまったのだろう。

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アカデミアは、ペガサス・J・クロフォードと、武藤遊戯の志向によって建てられた教育施設であり、デュエルに
関し、規則は勿論、良心的な心まで育む事を目的とした施設である。
余談だが、アカデミアは1人入学するのに対して、1000人を追い抜かなければならない事から、アカデミア入学
試験は「受験千葬」と呼ばれている。

無断欠席、音信不通、、か。

自宅にて。

「お帰り、悠里♪」
「うん、、」
「どうしたの？」
「ちょっと、考え事してた。何でもないよ」
「あ、そう？それならいいけど、、あ、そうそう。悠里宛に手紙が来てるよ」
「え？手紙、、？」

桜花から真っ黒の封筒と、真っ白の封筒を受け取る
友達の居ない僕に、何故手紙なんか来るのか？不思議だ。
更に不思議な事に、差出人不明の≪親展≫と書いてある。
因みに、現在のシステムでは、相手の住所が分からなくても、宛て名と切手を貼るだけで、GPS機能を使って、
相手に直接届けられる様になっていた。これはストーカー防止と、時間短縮が目的である。

「何だよ、これ、、」

その手紙から、予想もしない事が書いてあった。