第15話：黄泉帰る鴉　作：青き眼の凡人

飛車鳥「ハロー！ナイトドミノー！ついにこの大会も二回戦だ！一回戦を突破してきた猛者達よ、さらに熱いデュエルを期待してるぜー！」
飛車鳥「さあ、早速だが二回戦第一試合の組み合わせ発表だ！対戦するチームは…」

飛車鳥「ジャジャン！決闘貴族と従者たち、チームダークロードVS展開！頭脳戦！チームエンターブレイン！」

選手控えスペースで作戦会議を行うチームエンターブレイン。

「まだ二回戦、そうそう手の内は見せないだろう。一回戦と同じメンバーを出すことが予想される。」
「となれば、悪魔族メタデッキの俺の番だな！行ってくるぜ！」

飛車鳥「さあ、チームエンターブレインの一番手は！リューゴ！」

リューゴ(かかってきやがれ！インフェルニティ！)

右肩を回し、闘志を漲らせるリューゴ。確かにインフェルニティは悪魔族がメインとなるが…

飛車鳥「対するチームダークロードの一番手はアマンダのようです！」

リューゴ(なに！？)

読みが外れてしまったリューゴは動揺する。このままでは悪魔族メタが機能しないかもしれない。

リューゴ(もう取り消しは効かねえ、どうにかするか！)

反対側からアマンダが入場する。その時、観客席から疑問の声が上がった。

観客「なんだ？あの白地のマント…」
観客「でかでかと鴉が描かれてる…」

飛車鳥「変わった格好ですねチェックさん。…チェックさん？」
チェック(あのマント…まさか！？)

良経「あいつ…！？」

観客席で観戦していたキングダムクラッシャーズの良経が目を見開く。

竜泉「知り合いか？良経。」

隣に座っていた竜泉が尋ねる。

良経「…ああ。」







良経「昔馴染みさ。」




アマンダ「それではよろしくお願いしますね〜。デュエルモード！」
リューゴ「やれるだけやってやる！デュエルモード！」


飛車鳥「互いの準備は整った！デュエル開始イイ！」


「「デュエル！！」」

アマンダ
LP4000 手札5枚 デッキ35枚

リューゴ
LP4000 手札5枚 デッキ35枚

リューゴ「先攻は俺だな。」

リューゴ(インフェルニティ使いじゃなかったか…頼むぜ〜！悪魔族メタ刺さってくれよ〜！)
リューゴ「俺はモンスターを一枚セット！カードを二枚伏せ、ターンエンド。」

チェック「堅実な出だしですね。ここからどうなるかです。」

アマンダ「あたしのターン！ドロー！」
リューゴ「ドローの瞬間！永続罠二枚発動！『聖なる封魔陣』『スキルドレイン』！」
リューゴ「『聖なる封魔陣』は、場に存在する限り、悪魔の特殊召喚を封じるカード！」

聖なる封魔陣 ※オリカ
永続罠
(1)このカードが魔法・罠ゾーンに表側表示で存在する限り、お互いに悪魔族モンスターを特殊召喚できない。

リューゴ「そして『スキルドレイン』！こいつは自分のライフを1000払い、フィールド上のモンスター効果を封じる！」

リューゴ
LP4000→3000

アマンダ「…あたしはモンスターを一枚セット！カードを一枚伏せ、ターンエンド！」

飛車鳥「こちらも堅実な動きです、静かな開始ターンでしたね。」

リューゴ(さて、『聖なる封魔陣』が刺さったのか、相手が悪魔族デッキじゃなかった時の為に入れた『スキルドレイン』が刺さったのか、それとも単に伏せモンスターが墓地起動なのか…わからねえな。まあ、悩んでてもしょうがねえ。)
リューゴ「俺のターン！ドロー！」
リューゴ(ドローしてから考える！…ってこのカード！いける！)
リューゴ「俺は伏せていた『ジェルエンディオ』をリリース！このカードは光属性・天使族モンスターをアドバンス召喚する時二体分のリリースとなる！」

麟「二体のリリースが必要な光属性・天使族？」
アルフレッド「…まずい！」

リューゴ「アドバンス召喚！『大天使クリスティア』！」

大天使クリスティア
ATK2800

アマンダ「『大天使クリスティア』…！お互いの特殊召喚を封じるカード！」
リューゴ「その様子を見ると、いい感じに刺さってるらしいな！バトル！『大天使クリスティア』でセットモンスターに攻撃！」

アマンダ「セットモンスターは『マスカレイド・レイヴン』！戦闘破壊され、墓地に送られた時に効果発動！次のターンのエンドフェイズまで、相手フィールド上のモンスター一体を、『レイヴン』モンスターとして扱います！」

リューゴ(…ん？そんなことに何の意味が？)
リューゴ「…ターンエンド！」

アマンダ「あたしのターン！ドロー！」

チェック「…思い出しました。アマンダ選手。どうりでどこかで見たことがあるわけだ。」
飛車鳥「えっ？チェックさん、アマンダ選手と過去に面識が？」
チェック「…10年前の大会を最後にナイトドミノカップから姿を消した小学生のみで構成されたチーム、シップウ団をご存知ですか？」
飛車鳥「有名な二つ名は知ってますよ。確かメンバーは、『黒雨の黒羽』『鎮魂歌の鴉』『革命の隼』『夢幻の梟』『乱舞の鶴』なんて呼ばれてたって話ですが…」
チェック「…その『鎮魂歌の鴉』のデュエルを、目の前で見ていると言ったら信じますか？」
飛車鳥「えっ？」

観客「おい、なんか鴉の声がうるさくねえか？」

スタジアムにはおびただしい数の鴉が集まっていた。

アマンダ「あたしのターン！」

アマンダ「あたしは手札から、『レイヴンズ・クロス・アドベント』を発動！レベルの合計が儀式召喚する『レイヴン』モンスターと同じになるように自分・相手フィールド上の『レイヴン』モンスターリリースし、手札から『レイヴン』モンスターを儀式召喚します！」
リューゴ「ぬなっ！？クソッ！このためかよ！」

良経「懐かしいな〜！俺もよくやられたぜ、アレ！」

鴉が一斉に喚き出す。まるで、リーダーの帰りを喜ぶかのように。

アマンダ「『レイヴン』扱いの『大天使クリスティア』をリリース！」
アマンダ「血塗られし十字架を翼に背負い、凄絶な歌を響かせろ！」

儀式召喚！

アマンダ「舞い降りよ！『ブラッディクロス・レイヴン』！」

『ナイトメア・レイヴン』と同等の大きさの翼に紅い十字架が描かれている鴉が舞い降りる。周りの鴉は一層鳴き声を張り上げる。その様子を見て観客が震え上がった。

観客「思い出した…！このデュエル、あのマント…！」
観客「ああ…『鎮魂歌の鴉』だ…！帰ってきたのか！」

ブラッディクロス・レイヴン
ATK2800

アマンダ(懐かしいな〜。シップウ団のみんなで優勝目指して戦ったあの日々…まさかまたここでデュエルできるなんて…)

アマンダ(ハヤテ…クロロ…クラン…そして、)






アマンダ(ヨシツネ団長…！皆、見ててね！皆が作ってくれたこのデッキがもう一度羽ばたくところを！)

アマンダ「まずは下準備！手札の『スカル・レイヴン』は相手フィールド上の罠カードを墓地へ送って特殊召喚できる！『スキルドレイン』を墓地送り！」

スカル・レイヴン
ATK1200

リューゴ「器用な真似する鴉だ…！」

アマンダ「バトル！『ブラッディクロス・レイヴン』『スカル・レイヴン』の順でダイレクトアタック！」

リューゴ「…やれやれ、クリスティアをリリースして儀式召喚、スキルドレインを墓地へ送って特殊召喚…」
リューゴ「予想外のデュエルだったぜ、『鎮魂歌の鴉』。」

リューゴ
LP4000→0

飛車鳥「勝者ッ！アマンダ！」



良経「…決めたぜ、羅刹！」
羅刹「…何をだ？」
良経「決勝戦、俺はアマンダとデュエルする！あの頃のチームメイトとして、どんくらい強くなったか見てやる！」
竜泉「…そのためには決勝戦まで勝ち上がねばならないな。」
プレア「任せてー！決勝まで頑張るヨー！」
ミドラ「…ドウセザコバッカダシ。イイヨ、ヤッテアゲル。」
良経「お前ら…！」

良経(ありがとう、俺は『また』、いい仲間を持ったぜ…！)










－－－次回予告。

飛車鳥「お得意の頭脳戦が早くも崩れてしまったエンターブレイン！二回戦はどうなるのか！？」

「くっ！またしても読みを外すだと？どうなっているんだ相手チームは…！」

麟「悪いけどね！常識じゃ測れないのがうちのチームなのよ！」

次回、要塞VS要塞！

「…こいつ相手には使いたくなかったんだがな…！」