第3話：喰らう紫毒、嗤う鴉　作：青き眼の凡人

「ではジャッジはこのアルフレッドが務めさせていただきます。」
「お願いします、アルフレッド…さて！行きましょうルーシャス！」
《了解。DUELMORD》
「よーし！がんばらなきゃ！デュエルモード！」

二人の掛け声に応え、デュエルディスクが変形する。

「「デュエル！！」」

ユーリ LP4000 手札5枚
デッキ35枚

アマンダ LP4000 手札5枚
デッキ35枚

「では先攻後攻を決めましょうか。」

アルフレッドは自分のデュエルディスクを操作した。
すると、二人のデュエルディスクに「YU－RI」「AMANDA」の文字が交互に表示される。やがてその表示は「AMANDA」でストップした。

「それでは先攻はもらいます！あたしは手札から『ゴースト・レイヴン』を守備表示で特殊召喚します！」

ゴースト・レイヴン
DEF1000

「このカードは自分フィールド上にモンスターがいない時に守備表示で特殊召喚できるんです！」


ゴースト・レイヴン※オリカ
レベル4/闇属性/鳥獣族/攻1400/守1000
このカードの(1)の効果は1ターンに一度しか使えない。
(1)自分フィールド上にモンスターが存在しない時、このカードは手札から守備表示で特殊召喚できる。
(2)このカードが墓地に送られた場合に発動できる。デッキから「レイヴンズ」儀式魔法カードを手札に加える。

「そしてあたしはカードを1枚セットしてターンエンドです！」
(守備表示のモンスターを一体、伏せカード1枚のスタートか…)
(えへへ、なかなかのスタートです！)
(だがその程度の布陣ではお嬢様の攻撃をいなすことは難しいぞ。)

伏せカードの内容が何であれ、ユーリがアマンダの布陣を軽々と越えてしまうことはアルフレッドには読めていた。彼はユーリが幼い頃から仕えており、ユーリにデュエルを教えたのも他でもないアルフレッドだ。最近はユーリに連敗しているため、ユーリの強さは屋敷内の誰よりも知っている。
一方、当のユーリはデュエルディスクのメインデッキからカードを引いた。

「わたしのターン、ドローです。」
「ルーシャス、私の手札はなんですか？」
《はい、マスター…》

目が見えないユーリの為にルーシャスが1枚1枚、カードを説明していく。

《よろしいですか？》
「はい、ありがとうございます…さて」

ユーリは一考した。

(ルーシャスに教えてもらった手札であのカードを融合召喚すればあのカラスさんの効果をかわせますが…それだとアマンダの本気が見れないかもしれませんね…。)

ユーリはデュエリストとしてのある信条があった。それは、『初めて戦う相手には本気を出させる』『そしてその本気をいなして勝つ』というものである。実はユーリはアマンダとデュエルしたことがない。当然といえば当然である。名家のお嬢様に勝ってしまっては後でアルフレッドに何をされるかわかったものではないからだ(無論、アルフレッドはそんなことはしないし、単に恐れ多いという理由で遠慮する者もいる)。

そこで、せっかくのいい機会に、アマンダの本気を見ようとユーリは考えた。それが原因で負けても、ユーリは信条を曲げない。長い間仕えてきたアルフレッドでさえも考えを改めさせることはできなかった。

「わたしは手札から『捕食植物セラセニアント』を召喚します。」

捕食植物セラセニアント
ATK100

「さらにわたしは『プレデター・プランター』発動！効果で『捕食植物スピノ・ディオネア』を効果を無効化して特殊召喚！」

捕食植物スピノ・ディオネア
ATK1800

「『融合』を発動！フィールドの闇属性二体を融合します！」

とても目が見えないとは思えない早さでカードを展開するユーリ。(もちろんルーシャスの助けがあってこそだが)その展開をアルフレッドとアマンダは只々見守るしかなかった。

(フィールドの闇属性モンスター二体…来るか、お嬢様のエースが)
(はわわ、もしかしてお嬢様のエース！？どうしましょう〜！！)

「魅惑の花々よ、一つとなりて戦場という名の庭園に新たなる彩りを！」

融合召喚！

「今こそ花開く時！美しき紫毒、『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』！」

スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン
ATK2800

「墓地に送られたセラセニアントの効果でデッキから『捕食防護網(プレデター・ガードネット)』を手札に加えます。バトル！スターヴ・ヴェノムで『ゴースト・レイヴン』を攻撃！紫毒のヴァイオレットフラッシュ！」

ユーリの攻撃命令に従ったスターヴ・ヴェノムは羽を広げて力を溜める。すると禍々しい模様が羽に浮かび上がった。それを見たゴースト・レイヴンは身震いする。これが捕食される者の恐怖なのか。
力を溜め終わったスターヴは口からビームを吐き出す。ゴースト・レイヴンはなすすべもなく破壊された。

「ひぇ〜！！で、でも『ゴースト・レイヴン』の効果でデッキから『レイヴンズ・アドベント』を手札に加えます〜！！」
(伏せカードを発動しなかった？ただのブラフか、それとも…)
(何にせよ、これでアマンダの本気が見られるかもしれませんね、楽しみです。)
「わたしはカードを2枚セットしてターンエンドです。」
「あたしのターンです、ドロー！…来ました！『スペクター・レイヴン』を召喚！」

スペクター・レイヴン
ATK700

「この子の効果で、デッキから『ファントム・レイヴン』を攻守0で特殊召喚です！」

ファントム・レイヴン
ATK0

スペクター・レイヴン※オリカ
レベル3/闇属性/鳥獣族/攻700/守1500
(1)このカードが召喚に成功した時に発動できる。デッキから「レイヴン」モンスターをデッキから攻守0で特殊召喚できる。


ファントム・レイヴン※オリカ
レベル4/闇属性/鳥獣族/攻1500/守1000
(1)このカードが儀式召喚のためのリリースとして墓地に送られた場合に発動できる。デッキから「レイヴン」モンスターを手札に加える。

「いきますよ〜！！あたしは儀式魔法『レイヴンズ・アドベント』を発動！フィールドのスペクターとファントムをリリースします！」

「人々の悪夢を羽に宿し、現世の骸をあざ嗤え！」

儀式召喚！

「降臨です！『ナイトメア・レイヴン』！！」

空中に浮かんだ七つの蒼炎が一つになる。やがてそこからけたたましい雄叫びをあげながら巨大な鴉が降臨した。

レイヴンズ・アドベント※オリカ
儀式魔法
(1)レベルの合計が7になるようにフィールド上の「レイヴン」モンスターをリリースし、手札から「レイヴン」儀式モンスターを儀式召喚する。

ナイトメア・レイヴン※オリカ
レベル7/闇属性/儀式/鳥獣族/攻2700/守2000
「レイヴンズ」儀式魔法カードにより降臨。 このカードは儀式召喚でしか特殊召喚できない。 (1)1ターンに一度、相手フィールド上の儀式・融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムモンスターを対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力の半分の数値分このカードの攻撃力をアップする。 (2)このカードが戦闘・効果で破壊され、墓地に送られた場合に発動できる。墓地から「レイヴン」モンスターを手札に加える。

「ファントムの効果でデッキから『ネクロ・レイヴン』を手札に加えます！」
「ユーリお嬢様！これがあたしのエースです！」
(すごい…！目が見えなくてもあのモンスターの覇気が伝わってきます！)
「…待った甲斐がありました。さあ！いつでもいらっしゃい！」





－－－次回予告

アルフレッド「ついに姿を現したアマンダのエース、『ナイトメア・レイヴン』。」

アルフレッド「それに対抗するユーリお嬢様の『スターヴ・ヴェノム』。」

アルフレッド「やれやれ、とんでもない試合に立ち会ってしまったようだ。」

次回、『勝負は一瞬！鴉と紫毒、決着の時』

アマンダ「鴉は光り物を逃しません♪」
ユーリ「戦場に漂え、美しき勝負の香り！」