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2-7:父の形見 作:氷色
*
下校時間。
今日はタツヤが部活のため、ユウゴは一人での帰宅である。
一人の時は普段ならば図書室や喫茶店に寄って本を読んで帰るところだが、今日は真っ直ぐ家に帰ることになっている。というのも、母・ロッカからメールが来て、今日は速やかに帰宅するように仰せつかっていたからだ。
ロッカが今夜帰宅するのかどうかやユウゴの帰宅時間を指定するのは珍しいことで、何かあったのかと心配になるが、訊いても返信はなく結局訳は分からないままだ。
ロッカに限って何もないとは思うが、それでもユウゴの足取りは速い。
そのユウゴの足が校門を抜けてすぐにはたと止まった。
背後を振り向く。
そこにはにこやかな笑顔で小柄な美少女が立っていた。
「なんで付いてくる?」
明らかな作り笑顔を浮かべるアスナに、ユウゴは不審さを隠さぬ視線を向ける。
ようやく学校というコミュ障には辛い空間から解放されるという安心からか、彼女の笑みにはそれまでとは違って余裕がある。
「あら、わたくしの帰り道もこちらなのですわ」
と余裕綽々に微笑むが、その瞳の奥には「私の仕事を忘れたか?莫迦者め」という剣呑な色が見てとれる。
まだ学校の近くということもあり、人目を気にして優雅な立ち居振舞い。どうやら学校の周辺ではもうこのキャラで通すことにしたらしい。
それならそれで俺にも優しく接して欲しいものだーー。
仕方なくユウゴは気にしないことにして家路を急いだ。
しかし、学校を離れ、商店街を進み、行きつけの喫茶店を過ぎ、住宅街に入ってもなお彼女は付かず離れず後を着いてきた。
「なぁ、どこまで着いてくる気なんだ?」
そう訊いてみるもアスナの返答はない。
まさか本当に自宅まで着いてくるつもりじゃないだろうなーー。
その疑念は、自宅マンション前で当たり前のように隣に立つアスナによって的中を知らしめさせられた。
ユウゴは頭を抱えてうずくまる。
「ほう、ここがお前のウチか」
ユウゴのウチは別に何の変鉄もないマンションだ。殊更新しいわけでもデカいわけでもない。
しかしアスナは何故かキラキラと目を輝かせてそれを見上げている。楽しそうと言えば楽しそうだが、と言うよりはワクワクと期待に胸を膨らませているといった風。
そんなアスナの様子にクエスチョンマークを浮かべながらも、ユウゴは諦息する。
「まぁコーヒーでも飲んでいくか?」
アスナが何処に住んでいるのか知らないが、せっかくここまで来たのだ、お茶の一杯くらいもてなしてやるか。
ユウゴが誘うと、アスナは何の警戒もなく頷いた。
年頃の娘が無警戒に男の家に上がるなどあってはならないことだが、アスナを力付くでどうこうできる男は少ないだろう。アスナの腕力は、魔力によって強化されているらしくそのか細い見た目からは想像できないほどに強い。たいてい手酷く返り討ちに遭うのがオチだ。
玄関に入ると、アスナは実に興味深げに辺りを見回した。
「ほうほう、この部屋にユウゴは住んでいるのか!狭くて中々良い部屋ではないか!狭くて!」
こいつ、二回も“狭い”って言いやがった。
それはアスナはお嬢様らしいから、彼女の家に比べればウチなど確かに狭いのだろうが。
「たく、人ん家に散々なこと言いやがって。今日は母さんがいるんだから下手なこと言うなよ」
玄関にはすでに母の靴があった。
メールの通り、すでに帰宅しているようだ。
「ああ、分かっている。私もここに住む以上、家主との間に波風を立てたくはない」
「……なんだって?」
非常に聞き捨てならない台詞が聞こえた気がして、ユウゴはすっと無表情になった。
その反応を見てアスナはニヤリと笑う。
するとリビングのドアが開き、ロッカが満面の笑顔で姿を現した。
「おっかえり~!!ユウゴ!アスナちゃん!!」
ロッカのこんな上機嫌な笑顔を見るのはいつ振りだろうか。
最近は仕事が忙しいのだろう、ユウゴの見る母はいつも疲れていた。それが今日はどうだ、このテンションの上がりっぷりは。
「しばらくお世話になります。母上殿」
「んもう!そんな堅苦しいッ!気軽に“ロッカさん”で良いわよぉ!アスナちゃんも自分の家だと思ってくつろいでね!」
深々と頭を下げるアスナと、それを笑い飛ばすロッカ。
二人はきゃいきゃいと談笑しながらリビングへと消えていった。
突然の展開に全く着いていけないユウゴを一人ぽつんと玄関に残して。
*
「一体どういうことなのか説明してくれ!」
リビングに行くと、普段は飾り気のないそこはまるでパーティー会場のように飾り付けられていた。
壁には紙の輪で作られたチェーンがぶら下がり、一番目立つところには「ようこそ我が家に アスナちゃん」と書かれた横断幕、テーブルには色とりどりのご馳走がこれでもかと並べられている。
その光景にユウゴは言葉を失い、カバンはガツンと音を立てて床に落ちた。
ユウゴがすぐにロッカとアスナをソファに座らせ、説明を求めたのは言うまでもない。
「説明って言ったって、簡単なことよ。アスナちゃんがウチにホームステイするってだけの話」
「母さん、こういうのはホームステイとは言わない。これはただの居候だよ」
ホームステイとは留学生等がその国の家庭に入り生活を体験することを言う。この場合は、アスナは同じ国の人間であり、彼女がこの国の生活を体験することを目的にこの家に入るわけでもないので、それには当てはまらない。
ユウゴの指摘に、ロッカは頬を膨らませる。
「まーたユウゴは細かいこと言う。どっちだって良いじゃない。とにかくアスナちゃんはしばらくウチにお泊まりするの」
「俺が聞きたいのはそこだよ。なんでアスナがウチに?」
ユウゴが訊くと、ロッカは恥ずかしそうに頬を押さえる。
「母さんね、女の子もほしかったの」
「は?」
「あ、ユウゴが男の子で嫌だったわけじゃないのよ。でもね、やっぱり一人は娘がほしかったのよねぇ。ほらやっぱり女の子がいると家が華やかじゃない?」
「じゃない?じゃないよッ!」
そう、ロッカは頭は良いのだが、俗に言う“天然”なところがある。
大事な話で意見が食い違っていても、噛み合ってるのか噛み合っていないのかよく分からないやり取りをする内に、ほわほわと結局ロッカの言い分に結論が流されていってしまうのがウチの通例だった。
だが今回ばかりはそういうわけにはいかない。
「高校生の息子がいるのに、普通同年代の女の子を家に泊めないでしょ!?」
「あら、なんで?」
「なんでって、色々問題が……」
ユウゴが言いあぐねているのを見て、ロッカは鼻で笑う。
「なぁんにも問題なんて無いわよぉ。むしろメリットだらけよ」
「メリット?」
「娘がほしかった私が母娘を疑似体験できるでしょ?家の中だってぐっと華やかになるし。アンタにだってメリットはあるわよ?」
「俺に?何のメリットがあるって言うのさ?」
ユウゴが訊くと、ロッカは頭を捻る。
そして出した答えがこれだ。
「……ラッキースケベとか?」
「母親の口から聞きたくなかったよ!そんな言葉ッ!!」
そんなやり取りはしばらく続いたが、ユウゴの精一杯の抵抗むなしく最後は家主の強権を発動され、結局は押しきられてアスナはユウゴの家の居候になることとなった。
*
「本当にそこで良いのかよ?」
「お前もしつこいな。ここで良いからここで良いと言っているのだ」
手を腰に当ててふんぞり返るアスナに指揮されながら、ユウゴは客用の布団を自室の押し入れに敷いた。
一畳分の広さもなく灯りも備え付けられていないこの押し入れがこれからはアスナのプライベート空間となる。
押し入れがあるのはユウゴの部屋だけだ。
ユウゴが他に部屋があること、ユウゴと同じ部屋で暮らすことは問題があること等をいくら説明しても、アスナは頑としてこの押し入れ暮らしを譲らなかった。
ならば、とユウゴが他の部屋に移ることを提案してみるが、それも監視の都合上許されず、結局はまたしてもアスナの言う通りに押しきられてしまった。
我ながらこの押しの弱さには情けないものがある。
これはヘタレ扱いされても仕方がない体たらくだ。
「ここがお前の育った部屋なのだな。意外と殺風景だな」
部屋を見渡してアスナが言う。
「何が言いたい……」
ユウゴがじと目を向けると、アスナは苦笑して手をひらひらと振った。
「他意はない。そう邪険にするな。これから居を共にするのだ、お前とも良好な関係を築きたい」
そう言われても先の前科がある以上、無理な話だ。何かまだサプライズを隠しているのではないかと訝しんでしまう。
アスナは苦笑を深めて、ユウゴのベットに腰を下ろした。
「友宜を深めるためにも話をしようじゃないか。そうだな、私は軽く生い立ちを話したことだし、今度はお前がここでどう育ったのか教えてくれないか?」
「どう育ったのかって……」
言いながらユウゴも椅子に腰かける。
「ここは小学校に入学する時に越してきたんだ」
「なんだ、帝都生まれではないのか。その前は何処に?」
「その前は……まぁ、何処でも良いじゃないか」
ユウゴのその言い方に、アスナは引っ掛かりを感じる。
「なんだ、勿体ぶることはないではないか。では幼い頃はどんな子供だったのだ?」
「……フツーだよ」
ユウゴの口は嫌に重い。
その突然の変化に、アスナは確信する。ユウゴにはこの帝都に来るまでの間に何かしら心にしまい込んでいるものがある。
彼の魔力量から考えて、おそらく幼い頃から精霊の存在を知覚できていたはずだし、身体能力も同年代では桁外れだったはずだ。とてもフツーとは言えない少年期だったはずなのだ。
「……そうか。ああ、そういえばそれとは別に聞きたいと思っていたことがあったのだ」
アスナは思い付いたように言う。
「今度は何だよ?」
「マナから聞いたのだが、エビル・デーモンとの戦いの時、お前はマナに教わることなくデュエルディスクを操作し、デュエルのルールもおおよそ理解していたらしいではないか。精霊のことすら知らなかったお前が何故そんなことを知り得たのだ?」
ユウゴは「ああ、そのことか……」と机の引き出しから何かを取り出した。
それは一冊のノートだった。
ずいぶんと年季の入ったノートで、すでに綴りの部分が破れそうになっている。表紙にはマジックで“vol.1”と書かれていることから、他にも何冊かあるらしい。
ユウゴから手渡されたそれをパラリと開く。
読み進めていくと、アスナの目は見開かれていった。
「これは……!」
それはデュエルに関する研究ノートだった。
驚いたのはその凄まじく緻密な分析だ。デッキ構築、プレイング、運ーーキーカードを初手に握る確率の計算から細かな相手デッキの対処法に至るまで、そこにはデュエルを構成する全てが詰まっているのではないかとすら錯覚するほどの情報量だ。アカデミーの教本でもここまでの物はない。
「凄いだろ?」
誇るようでも卑下するようでもないユウゴの言葉に、アスナはただ素直に頭を縦に振るしかない。
「日付見てみろよ。それ、30年以上も前に書かれた物なんだ」
一つ一つの考察の最後にそれを書いたであろう日付が刻まれている。それは確かに今から30年も前の日付だった。
「こんな物を読みながらお前は育ってきたのか」
それはデュエルルールの講義など必要ないはずだ。
これを完璧に頭に入れているのならばアカデミーの教官にすらなれるだろう。
それほどまでの価値がこのノートにはあった。少しパラパラと流し読みしただけでも目から鱗の内容がいくつもある。これと同じクオリティーの研究ノートが他にもあるならば、DMCDに売れば一財産築けるレベルだ。
「最初は面白くてハマッたけど、途中からは意味が分からなくて。それを読んで育ったわけじゃないよ。たまに見返したりしてただけ」
ユウゴが話す時はその目を見るが、それが終わると自然と視線はノートに吸い寄せられた。
確かにこのノートはデュエルを実感と共に知っている者にとっては一字千金の意義深いものではある。しかし実際にデュエルに触れたことのなかったユウゴにとっては、やったことはおろか見たこともないゲームの攻略本に過ぎなかった。これの本来の意義など分かるはずもない。
「昨日、帰って読み返したら、それが凄いノートだったって初めて分かったよ」
ユウゴは恥じたようにはにかむ。
「だけど不思議なんだ、それだけ緻密に研究してあるのにも関わらず、そのノートには精霊のことが全く書かれていない。まるで、ただのカードゲームを研究してたみたいだ。俺もキミに訊きたいーー」
最後の言葉に力を込める。
それに応じて、アスナも表情から驚愕を消し真剣にユウゴを見る。
ユウゴはその疑問をアスナにぶつけた。
「ーー“デュエル”って何なんだ?」
*
ロッカは完全に気配を消して、息子の部屋のドア前に立っていた。
その意図は、無論年頃の男女が同じ部屋でいることを注意するためではない。
彼女の表情も母親としてのものではなく、研究者としてのそれに変わっている。じっと実験の推移を見守るような、そんな顔。
全神経が両耳へと集中し、その集中力は部屋の中の二人の様子が手に取るように分かるほどだ。
無論二人に気付かれるわけにはいかない。自らの存在を空気と同じになるようにし、それでいて得たい情報はしかと得られるように。それはDMCDの守護官であるアスナに悟られないレベルの高度な穏行である。
そんなことには露ほども気付いていない二人は話を進める。
*
「私もアカデミーで教わったことしか知らないが……」
そう前置きをしてアスナは話し始めた。
それは“現在のデュエル”が始まった創世記。そして“以前のデュエル”が終わりを迎えた終末の話であった。
「30年前まで、デュエルはお前の言う通り、そしてここに書かれている通り、ただのカードゲームだったらしい。しかしその流行は凄まじく、世界がデュエルを中心に動いていたほどだったらしい」
その話にユウゴは眉を寄せる。
そんな話は歴史の授業でも聞いたことがない。というか、それが本当ならとんでもない世界だ。それでは戦争も経済も価値観すら、たった一つのゲームによって左右されていたことになる。
「信じられないかもしれんが、少なくともDMCDではそれがこの世界の正しい歴史だと教えられた。混乱を避けるため、一般の人達には違う歴史が教育されているのだと……」
ユウゴは黙してアスナに続きを促す。
言いたいこと尋ねたいことはあるが、それはアスナの話が終わってからだ。
「30年以前のデュエルはカードゲームであり、カードは普通に流通していたらしい。強力な効果を有するカードはかなりの高額で取引されていたらしく、一枚のカードを売っただけで大金持ちになった者までいたという話だ。国家間の紛争もデュエルの勝敗で解決するレベルだったというから、さもありなん。しかし人々はその状況を楽しみ、誰もが笑顔でデュエルに親しんでいたようだ。だがそんな栄華も30年前に起こったある出来事によって、ぷっつりと途絶えることになる……」
「……ある出来事?」
「ーーデュエルによる戦争だ」
「デュエルの……戦争……?」
ユウゴは思わず訊き返してしまっていた。
国家間の紛争もデュエルで解決していた世界に、デュエルで戦争が起こるという矛盾が腑に落ちない。
「デュエルに依存しきった世界だ、無理もないことかもしれんが、デュエルによって本気で世界を征服しようとした連中が現れたらしい。その名は“教団”。彼らは“闇のデュエル”と呼ばれる、実際にカードの力を物理的に行使できる技術を開発・運用して人々を襲った」
実際にカードの力を物理的に行使する……。それは現在のデュエルの起源と言えるのかもしれない。
昼の話では、デュエリストの持つ力を実際に武力として行使すれば、一人で中隊クラスの威力を持つらしい。戦争そのものが廃れていた世界に於いてはそれ以上の脅威だったに違いない。
「一般人は勿論のこと、各国の軍隊も為す術なく敗れたらしい。それほどまでにデュエルの力は強大だった。しかしそれに対抗しようとする動きも無論起こった。デュエルで教団に立ち向かった者達だ。そして両者の間で戦争になった。デュエルを用いたデュエル戦争だな。その戦いは結局対抗した者達の勝利に終わったらしいが、教団もただでは終わらなかった。最後の力を全て注ぎ、世界を修正した」
「世界を……修正……?」
「そうだ。デュエル中心に動いていた世界をねじ曲げ、次元に穴を開けた。その結果が今の世界だ。デュエルというゲームは世界からも歴史からも人々の記憶からも消し去られ、次元の穴を通ってきたデュエルモンスターの精霊が跋扈する。だが、その時教団に抵抗した者達は当時の記憶を無くしていなかった。その者達がセキュリティとなって集まり、結成されたのが決闘対策課ーーDMCDというわけだ」
「つまり現在のこの世界を作り出したのはその教団って組織だっていうのか?デュエルの本質をねじ曲げたのも」
とんでもないスケールの話で、にわかには信じられない。
たった30年前に世界が作り替えられていたなんて、どこのSFの話だ。
「今は無理に信じる必要はない。しかしこのノートもまたその話を証明する遺産の一つに他ならない。このノートを書いた人物もまた普通に当時のカードゲームとしてのデュエルを楽しんでいた人間の一人なのだ」
そこでふとアスナは思い至ることがあった。
「そういえば、このノートは一体誰が?」
このノートの筆者がユウゴでないことは訊くまでもない。このノートは30年以上前に書かれたものであることは内容からも明らかで、ユウゴが書いたのでは年齢が合わない。
ユウゴに視線を向ける。
そのユウゴはアスナの手の中のノートを見つめている。いや、そのノートを通して別の誰かを見ているのかもしれない。
しばらくの沈黙の後、ユウゴはぽつりと答えた。
「ーー父さんだよ」
「なに?」
「そのノートを書いたのは、俺の父さん。それは父さんが俺に遺した唯一の形見なんだ」
そう、そのノートこそが“ユウゴが優秀すぎて目立つ子供だったからこそ死んだ”父が、亡くなる間際にユウゴに贈った形見のノートだった。
*
下校時間。
今日はタツヤが部活のため、ユウゴは一人での帰宅である。
一人の時は普段ならば図書室や喫茶店に寄って本を読んで帰るところだが、今日は真っ直ぐ家に帰ることになっている。というのも、母・ロッカからメールが来て、今日は速やかに帰宅するように仰せつかっていたからだ。
ロッカが今夜帰宅するのかどうかやユウゴの帰宅時間を指定するのは珍しいことで、何かあったのかと心配になるが、訊いても返信はなく結局訳は分からないままだ。
ロッカに限って何もないとは思うが、それでもユウゴの足取りは速い。
そのユウゴの足が校門を抜けてすぐにはたと止まった。
背後を振り向く。
そこにはにこやかな笑顔で小柄な美少女が立っていた。
「なんで付いてくる?」
明らかな作り笑顔を浮かべるアスナに、ユウゴは不審さを隠さぬ視線を向ける。
ようやく学校というコミュ障には辛い空間から解放されるという安心からか、彼女の笑みにはそれまでとは違って余裕がある。
「あら、わたくしの帰り道もこちらなのですわ」
と余裕綽々に微笑むが、その瞳の奥には「私の仕事を忘れたか?莫迦者め」という剣呑な色が見てとれる。
まだ学校の近くということもあり、人目を気にして優雅な立ち居振舞い。どうやら学校の周辺ではもうこのキャラで通すことにしたらしい。
それならそれで俺にも優しく接して欲しいものだーー。
仕方なくユウゴは気にしないことにして家路を急いだ。
しかし、学校を離れ、商店街を進み、行きつけの喫茶店を過ぎ、住宅街に入ってもなお彼女は付かず離れず後を着いてきた。
「なぁ、どこまで着いてくる気なんだ?」
そう訊いてみるもアスナの返答はない。
まさか本当に自宅まで着いてくるつもりじゃないだろうなーー。
その疑念は、自宅マンション前で当たり前のように隣に立つアスナによって的中を知らしめさせられた。
ユウゴは頭を抱えてうずくまる。
「ほう、ここがお前のウチか」
ユウゴのウチは別に何の変鉄もないマンションだ。殊更新しいわけでもデカいわけでもない。
しかしアスナは何故かキラキラと目を輝かせてそれを見上げている。楽しそうと言えば楽しそうだが、と言うよりはワクワクと期待に胸を膨らませているといった風。
そんなアスナの様子にクエスチョンマークを浮かべながらも、ユウゴは諦息する。
「まぁコーヒーでも飲んでいくか?」
アスナが何処に住んでいるのか知らないが、せっかくここまで来たのだ、お茶の一杯くらいもてなしてやるか。
ユウゴが誘うと、アスナは何の警戒もなく頷いた。
年頃の娘が無警戒に男の家に上がるなどあってはならないことだが、アスナを力付くでどうこうできる男は少ないだろう。アスナの腕力は、魔力によって強化されているらしくそのか細い見た目からは想像できないほどに強い。たいてい手酷く返り討ちに遭うのがオチだ。
玄関に入ると、アスナは実に興味深げに辺りを見回した。
「ほうほう、この部屋にユウゴは住んでいるのか!狭くて中々良い部屋ではないか!狭くて!」
こいつ、二回も“狭い”って言いやがった。
それはアスナはお嬢様らしいから、彼女の家に比べればウチなど確かに狭いのだろうが。
「たく、人ん家に散々なこと言いやがって。今日は母さんがいるんだから下手なこと言うなよ」
玄関にはすでに母の靴があった。
メールの通り、すでに帰宅しているようだ。
「ああ、分かっている。私もここに住む以上、家主との間に波風を立てたくはない」
「……なんだって?」
非常に聞き捨てならない台詞が聞こえた気がして、ユウゴはすっと無表情になった。
その反応を見てアスナはニヤリと笑う。
するとリビングのドアが開き、ロッカが満面の笑顔で姿を現した。
「おっかえり~!!ユウゴ!アスナちゃん!!」
ロッカのこんな上機嫌な笑顔を見るのはいつ振りだろうか。
最近は仕事が忙しいのだろう、ユウゴの見る母はいつも疲れていた。それが今日はどうだ、このテンションの上がりっぷりは。
「しばらくお世話になります。母上殿」
「んもう!そんな堅苦しいッ!気軽に“ロッカさん”で良いわよぉ!アスナちゃんも自分の家だと思ってくつろいでね!」
深々と頭を下げるアスナと、それを笑い飛ばすロッカ。
二人はきゃいきゃいと談笑しながらリビングへと消えていった。
突然の展開に全く着いていけないユウゴを一人ぽつんと玄関に残して。
*
「一体どういうことなのか説明してくれ!」
リビングに行くと、普段は飾り気のないそこはまるでパーティー会場のように飾り付けられていた。
壁には紙の輪で作られたチェーンがぶら下がり、一番目立つところには「ようこそ我が家に アスナちゃん」と書かれた横断幕、テーブルには色とりどりのご馳走がこれでもかと並べられている。
その光景にユウゴは言葉を失い、カバンはガツンと音を立てて床に落ちた。
ユウゴがすぐにロッカとアスナをソファに座らせ、説明を求めたのは言うまでもない。
「説明って言ったって、簡単なことよ。アスナちゃんがウチにホームステイするってだけの話」
「母さん、こういうのはホームステイとは言わない。これはただの居候だよ」
ホームステイとは留学生等がその国の家庭に入り生活を体験することを言う。この場合は、アスナは同じ国の人間であり、彼女がこの国の生活を体験することを目的にこの家に入るわけでもないので、それには当てはまらない。
ユウゴの指摘に、ロッカは頬を膨らませる。
「まーたユウゴは細かいこと言う。どっちだって良いじゃない。とにかくアスナちゃんはしばらくウチにお泊まりするの」
「俺が聞きたいのはそこだよ。なんでアスナがウチに?」
ユウゴが訊くと、ロッカは恥ずかしそうに頬を押さえる。
「母さんね、女の子もほしかったの」
「は?」
「あ、ユウゴが男の子で嫌だったわけじゃないのよ。でもね、やっぱり一人は娘がほしかったのよねぇ。ほらやっぱり女の子がいると家が華やかじゃない?」
「じゃない?じゃないよッ!」
そう、ロッカは頭は良いのだが、俗に言う“天然”なところがある。
大事な話で意見が食い違っていても、噛み合ってるのか噛み合っていないのかよく分からないやり取りをする内に、ほわほわと結局ロッカの言い分に結論が流されていってしまうのがウチの通例だった。
だが今回ばかりはそういうわけにはいかない。
「高校生の息子がいるのに、普通同年代の女の子を家に泊めないでしょ!?」
「あら、なんで?」
「なんでって、色々問題が……」
ユウゴが言いあぐねているのを見て、ロッカは鼻で笑う。
「なぁんにも問題なんて無いわよぉ。むしろメリットだらけよ」
「メリット?」
「娘がほしかった私が母娘を疑似体験できるでしょ?家の中だってぐっと華やかになるし。アンタにだってメリットはあるわよ?」
「俺に?何のメリットがあるって言うのさ?」
ユウゴが訊くと、ロッカは頭を捻る。
そして出した答えがこれだ。
「……ラッキースケベとか?」
「母親の口から聞きたくなかったよ!そんな言葉ッ!!」
そんなやり取りはしばらく続いたが、ユウゴの精一杯の抵抗むなしく最後は家主の強権を発動され、結局は押しきられてアスナはユウゴの家の居候になることとなった。
*
「本当にそこで良いのかよ?」
「お前もしつこいな。ここで良いからここで良いと言っているのだ」
手を腰に当ててふんぞり返るアスナに指揮されながら、ユウゴは客用の布団を自室の押し入れに敷いた。
一畳分の広さもなく灯りも備え付けられていないこの押し入れがこれからはアスナのプライベート空間となる。
押し入れがあるのはユウゴの部屋だけだ。
ユウゴが他に部屋があること、ユウゴと同じ部屋で暮らすことは問題があること等をいくら説明しても、アスナは頑としてこの押し入れ暮らしを譲らなかった。
ならば、とユウゴが他の部屋に移ることを提案してみるが、それも監視の都合上許されず、結局はまたしてもアスナの言う通りに押しきられてしまった。
我ながらこの押しの弱さには情けないものがある。
これはヘタレ扱いされても仕方がない体たらくだ。
「ここがお前の育った部屋なのだな。意外と殺風景だな」
部屋を見渡してアスナが言う。
「何が言いたい……」
ユウゴがじと目を向けると、アスナは苦笑して手をひらひらと振った。
「他意はない。そう邪険にするな。これから居を共にするのだ、お前とも良好な関係を築きたい」
そう言われても先の前科がある以上、無理な話だ。何かまだサプライズを隠しているのではないかと訝しんでしまう。
アスナは苦笑を深めて、ユウゴのベットに腰を下ろした。
「友宜を深めるためにも話をしようじゃないか。そうだな、私は軽く生い立ちを話したことだし、今度はお前がここでどう育ったのか教えてくれないか?」
「どう育ったのかって……」
言いながらユウゴも椅子に腰かける。
「ここは小学校に入学する時に越してきたんだ」
「なんだ、帝都生まれではないのか。その前は何処に?」
「その前は……まぁ、何処でも良いじゃないか」
ユウゴのその言い方に、アスナは引っ掛かりを感じる。
「なんだ、勿体ぶることはないではないか。では幼い頃はどんな子供だったのだ?」
「……フツーだよ」
ユウゴの口は嫌に重い。
その突然の変化に、アスナは確信する。ユウゴにはこの帝都に来るまでの間に何かしら心にしまい込んでいるものがある。
彼の魔力量から考えて、おそらく幼い頃から精霊の存在を知覚できていたはずだし、身体能力も同年代では桁外れだったはずだ。とてもフツーとは言えない少年期だったはずなのだ。
「……そうか。ああ、そういえばそれとは別に聞きたいと思っていたことがあったのだ」
アスナは思い付いたように言う。
「今度は何だよ?」
「マナから聞いたのだが、エビル・デーモンとの戦いの時、お前はマナに教わることなくデュエルディスクを操作し、デュエルのルールもおおよそ理解していたらしいではないか。精霊のことすら知らなかったお前が何故そんなことを知り得たのだ?」
ユウゴは「ああ、そのことか……」と机の引き出しから何かを取り出した。
それは一冊のノートだった。
ずいぶんと年季の入ったノートで、すでに綴りの部分が破れそうになっている。表紙にはマジックで“vol.1”と書かれていることから、他にも何冊かあるらしい。
ユウゴから手渡されたそれをパラリと開く。
読み進めていくと、アスナの目は見開かれていった。
「これは……!」
それはデュエルに関する研究ノートだった。
驚いたのはその凄まじく緻密な分析だ。デッキ構築、プレイング、運ーーキーカードを初手に握る確率の計算から細かな相手デッキの対処法に至るまで、そこにはデュエルを構成する全てが詰まっているのではないかとすら錯覚するほどの情報量だ。アカデミーの教本でもここまでの物はない。
「凄いだろ?」
誇るようでも卑下するようでもないユウゴの言葉に、アスナはただ素直に頭を縦に振るしかない。
「日付見てみろよ。それ、30年以上も前に書かれた物なんだ」
一つ一つの考察の最後にそれを書いたであろう日付が刻まれている。それは確かに今から30年も前の日付だった。
「こんな物を読みながらお前は育ってきたのか」
それはデュエルルールの講義など必要ないはずだ。
これを完璧に頭に入れているのならばアカデミーの教官にすらなれるだろう。
それほどまでの価値がこのノートにはあった。少しパラパラと流し読みしただけでも目から鱗の内容がいくつもある。これと同じクオリティーの研究ノートが他にもあるならば、DMCDに売れば一財産築けるレベルだ。
「最初は面白くてハマッたけど、途中からは意味が分からなくて。それを読んで育ったわけじゃないよ。たまに見返したりしてただけ」
ユウゴが話す時はその目を見るが、それが終わると自然と視線はノートに吸い寄せられた。
確かにこのノートはデュエルを実感と共に知っている者にとっては一字千金の意義深いものではある。しかし実際にデュエルに触れたことのなかったユウゴにとっては、やったことはおろか見たこともないゲームの攻略本に過ぎなかった。これの本来の意義など分かるはずもない。
「昨日、帰って読み返したら、それが凄いノートだったって初めて分かったよ」
ユウゴは恥じたようにはにかむ。
「だけど不思議なんだ、それだけ緻密に研究してあるのにも関わらず、そのノートには精霊のことが全く書かれていない。まるで、ただのカードゲームを研究してたみたいだ。俺もキミに訊きたいーー」
最後の言葉に力を込める。
それに応じて、アスナも表情から驚愕を消し真剣にユウゴを見る。
ユウゴはその疑問をアスナにぶつけた。
「ーー“デュエル”って何なんだ?」
*
ロッカは完全に気配を消して、息子の部屋のドア前に立っていた。
その意図は、無論年頃の男女が同じ部屋でいることを注意するためではない。
彼女の表情も母親としてのものではなく、研究者としてのそれに変わっている。じっと実験の推移を見守るような、そんな顔。
全神経が両耳へと集中し、その集中力は部屋の中の二人の様子が手に取るように分かるほどだ。
無論二人に気付かれるわけにはいかない。自らの存在を空気と同じになるようにし、それでいて得たい情報はしかと得られるように。それはDMCDの守護官であるアスナに悟られないレベルの高度な穏行である。
そんなことには露ほども気付いていない二人は話を進める。
*
「私もアカデミーで教わったことしか知らないが……」
そう前置きをしてアスナは話し始めた。
それは“現在のデュエル”が始まった創世記。そして“以前のデュエル”が終わりを迎えた終末の話であった。
「30年前まで、デュエルはお前の言う通り、そしてここに書かれている通り、ただのカードゲームだったらしい。しかしその流行は凄まじく、世界がデュエルを中心に動いていたほどだったらしい」
その話にユウゴは眉を寄せる。
そんな話は歴史の授業でも聞いたことがない。というか、それが本当ならとんでもない世界だ。それでは戦争も経済も価値観すら、たった一つのゲームによって左右されていたことになる。
「信じられないかもしれんが、少なくともDMCDではそれがこの世界の正しい歴史だと教えられた。混乱を避けるため、一般の人達には違う歴史が教育されているのだと……」
ユウゴは黙してアスナに続きを促す。
言いたいこと尋ねたいことはあるが、それはアスナの話が終わってからだ。
「30年以前のデュエルはカードゲームであり、カードは普通に流通していたらしい。強力な効果を有するカードはかなりの高額で取引されていたらしく、一枚のカードを売っただけで大金持ちになった者までいたという話だ。国家間の紛争もデュエルの勝敗で解決するレベルだったというから、さもありなん。しかし人々はその状況を楽しみ、誰もが笑顔でデュエルに親しんでいたようだ。だがそんな栄華も30年前に起こったある出来事によって、ぷっつりと途絶えることになる……」
「……ある出来事?」
「ーーデュエルによる戦争だ」
「デュエルの……戦争……?」
ユウゴは思わず訊き返してしまっていた。
国家間の紛争もデュエルで解決していた世界に、デュエルで戦争が起こるという矛盾が腑に落ちない。
「デュエルに依存しきった世界だ、無理もないことかもしれんが、デュエルによって本気で世界を征服しようとした連中が現れたらしい。その名は“教団”。彼らは“闇のデュエル”と呼ばれる、実際にカードの力を物理的に行使できる技術を開発・運用して人々を襲った」
実際にカードの力を物理的に行使する……。それは現在のデュエルの起源と言えるのかもしれない。
昼の話では、デュエリストの持つ力を実際に武力として行使すれば、一人で中隊クラスの威力を持つらしい。戦争そのものが廃れていた世界に於いてはそれ以上の脅威だったに違いない。
「一般人は勿論のこと、各国の軍隊も為す術なく敗れたらしい。それほどまでにデュエルの力は強大だった。しかしそれに対抗しようとする動きも無論起こった。デュエルで教団に立ち向かった者達だ。そして両者の間で戦争になった。デュエルを用いたデュエル戦争だな。その戦いは結局対抗した者達の勝利に終わったらしいが、教団もただでは終わらなかった。最後の力を全て注ぎ、世界を修正した」
「世界を……修正……?」
「そうだ。デュエル中心に動いていた世界をねじ曲げ、次元に穴を開けた。その結果が今の世界だ。デュエルというゲームは世界からも歴史からも人々の記憶からも消し去られ、次元の穴を通ってきたデュエルモンスターの精霊が跋扈する。だが、その時教団に抵抗した者達は当時の記憶を無くしていなかった。その者達がセキュリティとなって集まり、結成されたのが決闘対策課ーーDMCDというわけだ」
「つまり現在のこの世界を作り出したのはその教団って組織だっていうのか?デュエルの本質をねじ曲げたのも」
とんでもないスケールの話で、にわかには信じられない。
たった30年前に世界が作り替えられていたなんて、どこのSFの話だ。
「今は無理に信じる必要はない。しかしこのノートもまたその話を証明する遺産の一つに他ならない。このノートを書いた人物もまた普通に当時のカードゲームとしてのデュエルを楽しんでいた人間の一人なのだ」
そこでふとアスナは思い至ることがあった。
「そういえば、このノートは一体誰が?」
このノートの筆者がユウゴでないことは訊くまでもない。このノートは30年以上前に書かれたものであることは内容からも明らかで、ユウゴが書いたのでは年齢が合わない。
ユウゴに視線を向ける。
そのユウゴはアスナの手の中のノートを見つめている。いや、そのノートを通して別の誰かを見ているのかもしれない。
しばらくの沈黙の後、ユウゴはぽつりと答えた。
「ーー父さんだよ」
「なに?」
「そのノートを書いたのは、俺の父さん。それは父さんが俺に遺した唯一の形見なんだ」
そう、そのノートこそが“ユウゴが優秀すぎて目立つ子供だったからこそ死んだ”父が、亡くなる間際にユウゴに贈った形見のノートだった。
*
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Amazonのアソシエイトとして、管理人は適格販売により収入を得ています。
ユウゴも色々と背負ってます。むしろ大したもの背負ってない人間が物語の主人公なんてちゃんちゃらおかしいです。傷のある人間にしかラッキースケベは起こらないのですよ! (2016-11-03 09:00)
もうすぐ第二戦が始まるんだけど、そしたら持ち直すかなぁ。それとも閲覧数は気にしない方がいいのか。
誰か、もうちょっとこうしたら人気出るよとか教えてくれないかな?
下ネタ以外で。 (2016-11-04 14:20)
やはり日常パートが長すぎてテンポが悪いんでしょうか?
作風が全体的に暗いですか?それとも文章が重たいんでしょうか? (2016-11-08 09:45)
第3章からはもう少し日常パートを短くまとめてみようと思います。
ケンゴの言動に関しては、訳あってのこと、くらいしか今は言えません。
これからもよろしくお願いします。 (2016-11-09 15:44)