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HOME > 遊戯王SS一覧 > 2-2:有馬第一高校カードゲーム部

2-2:有馬第一高校カードゲーム部 作:氷色




「“有馬第一高校カードゲーム部”へ、ようこそ!!」

これからとびきり楽しいショーでも始まるとばかりの笑顔で、彼女はそう言った。

日時は巻き戻って、エビル・デーモン戦後倒れたユウゴが目覚めた直後である。時刻は午前2時をいくらか過ぎた頃。
ユウゴは見覚えのある一室で目覚め、そこには六人の男女が顔を揃えていた。
状況を説明するとして彼らの長らしき長身の女性がまず発したのが、上記の歓迎であった。

「有馬第一高校……カードゲーム部……?」

起き抜けでイマイチ頭が回らないユウゴは困惑の表情。
ただその言葉が正しいなら、やはりここはユウゴの通う有馬第一高校の部室棟の一室で、彼女達はそこの学生ということになる。
それを代表して言ったということは、彼女が部長ということになるのだろうか。

部長らしき女性は軽くウィンクしてみせる。

「そ。あ、ちなみに私達はみんな“CGB”って略してるわ」

“カードゲーム部”で“CGB”……。
あまりセンスを感じない略し方だ。

そうユウゴが感じたのは間違いではなかったらしい。

「何さらっと嘘ついてんスか、部長。誰もそんな呼び方してないッスよ。ゴリ推ししても流行んないッスから、その名前」

一番小柄な少女がため息をつく。
他の者も口にこそ出さないが、似たり寄ったりの表情。

「なんでよ!?こっちの方がカッコいいじゃない!決闘対策課だってDMCDで定着してるしッ!」

どうやら部長の女性は相当この名前を気に入っているらしいが、他の面々にはすこぶる不評らしい。

彼女に矛先を向けられたアスナも渋い顔で無言を貫く。

「いやでもアルファベットで略すなら、普通“カードゲームクラブ”で“CGC”なんじゃ……」

「嫌よ、そんな美味しく食べられちゃいそうな名前」

「ごめんなさいッ!」

おずおずと話に割って入った眼鏡の少女がぴしゃりとした拒絶に首を縮める。
彼女は何も間違ってはいないのだが。

というか全国のCGCグループ関係者の皆様なんかごめんなさい。これからも美味しい食品をどうぞよろしくお願いします。

なおもやいやいと騒がしい女子二名に業を煮やしたように窓際の男がゴホンと咳をついた。
すると二人はピタリと動きを止める。

なるほど。この集団のバランスが知れるというものだ。
部長はこのポニーテールの女子で間違いなさそうだが、暴走しがちな彼女達をまとめているのは実質あちらの男子の方なのだろう。

その暴走部長が二、三回咳をついて、今度は「まずは自己紹介しよっか」と言い出した。
胸に手を当てて高らかに宣言する。

「私は『十六夜 玲(イザヨイ アキラ)』!3年1組出席番号1番!で、この部の部長!崇め奉るように!」

最後に「ちなみにバストはEカップ」と付け加えて胸を持ち上げる仕草も忘れない。
確かにかなりずっしりとした重みが見える。

アキラは例えるならば大輪のバラ。
女性としてはなかなかの長身。赤毛の長い髪をポニーテールで結い、18歳という年齢にしては、大人っぽさとどこか気品のようなものを感じさせるかなりの美人。
モデルのように均整のとれた体型の中で、胸だけが有り余る存在感を主張しており、男女ともに思い描く理想の体型に近いのではないかと思わせる。
総じて、見れば誰もが振り返るかなり派手な風貌だった。

「よろしくね、武藤ユウゴくん」とウィンク。
それから窓際の男子へと視線で次を促した。

それを受けて彼が一歩前に出る。

「同じく3年の『沢渡 健吾(サワタリ ケンゴ)』だ。副部長を任されている」

ケンゴは厳しい顔が印象的な男だった。
顔の造形はなかなかの二枚目だが、その威圧感から近寄り易いとは言えない雰囲気。
身長はユウゴよりも頭一つ高い。おそらく深夜の集合だったにも関わらず制服の着こなしはピシリとしたもので、キチッと結ばれたネクタイが彼の生真面目さを現しているようだ。

口数は多くないタイプなのか、それだけ言うとまた窓際へと下がっていった。

「次はあたしッスね!」

元気に手を上げてその後を引き継いだのは、最も小柄な少女だった。

「『闇川 楓(ヤミカワ カエデ)』、2年ッス!よろしくッス!」

その見た目からてっきり同級生かと思っていたので、年上ということにまず驚いた。
身長は小柄なアスナよりも更に低く、小学生でも高学年なら低い方なのではないだろうか。体型もそれに合わせて幼女のよう。
ショートボブの髪型も相まって、アクティブで元気な印象の少女だった。

アキラが「言わなくても分かると思うけど、カエデはAカップよ……」と、まるで誰か身近な人に不幸でもあったような悲しい表情を作る。

「貧乳は希少価値ッスよ!合法ロリッスよ!そうですよねっ!?」

「なぜ私に同意を求める……」

そんなことには全然へこたれないカエデは、見ていて気持ちがいいほどだった。
それに対して視線を向けられたアスナは不満げに眉をしかめる。

同じ小柄同士とは言え、どこか品があり気難しい猫のようなアスナに対して、カエデはコロコロとした愛嬌があり子犬を思わせる。

というか彼女は17歳だ高校生だ。合法ロリではない。なぜ誰もツッコまない。

「次はイズミっちの番ッスよ」

「え、あーしも?」

カエデは次に未だマニキュアに夢中のギャルっぽい少女に匙を渡したが、当の本人は全く流れを聞いていなかったのか上の空だ。

イズミと呼ばれたそのギャル。
髪は金髪で大きくウェーブのかかった髪型。もはや地の顔が分からないくらいのバッチリメイク。肌は焼いていないらしく色白だ。
身長は平均くらいで低くもなければ高くもない。

カエデはキャラキャラと笑った。
イズミの発言を冗談と思ったのかもしれない。

「イズミっちもカードゲーム部の一員なんだから当然ッスよー」

「えー、ほらあーしってそういう改まった感じとかNGの人じゃん?」

いや知らないよそんなこと。だからなぜ誰もツッコまない。

自分からのバトンを拒否された形のカエデの肩にアキラがそっと手を置く。
そして慰めるように優しく言う。

「イズミを許してやってね、カエデ。仕方ないのよ。だってイズミはBカップだから……」

「あーBカップなら仕方ないッスよねー」

「はぁ!?誰がBカップだし!?あーし、Cはあるし!!」

激昂し反論するイズミとそれを見てニヤニヤするアキラ&カエデ。
その様子にイズミも乗せられたことを悟る。金色にブリーチされた髪をまだマニキュアされてない方の手でがしがし掻くと、観念したようにぽつりと言う。

「『光津 出澄(コウツ イズミ)』。2年。ま、てきとーによろー」

言うとまたすぐにぷいと顔を背けてマニキュアを再開した。

「最後は私ですね」

眼鏡の少女がようやくという風に前に出る。
確か名前はアンリだったか。

「『真崎 杏里(マサキ アンリ)』です。武藤くんと同じ1年生」

そう言って眼鏡の奥ではにかむ笑顔はなかなか可憐だった。

アンリは他の面々に比べると取り立てて自己主張の強い人物ではなかった。
髪も黒く肩口までで切り揃えられており、よく見ると可愛いのだがその控えめな態度からそうはなかなか見えない。
大輪のバラを思わせるアキラに対して、こちらは路傍にひっそりと咲く小さな花か。有名でも派手でもないが、ふと気付くと微笑ましい気持ちになる、そんな花だ。
ただそんな中でも印象深いのは彼女の胸だ。服の上からでもはっきりと分かるその強力さ。流石のユウゴも目のやり場に困るほどだ。

「アンリのバストサイズは、なんと驚きのF!Fよ!F!!復活の『F』!!」

何が復活なのか分からないが、そうやって“F”を連呼し囃し立てるアキラに、アンリは真っ赤になって縮む。
どうやらかなり恥ずかしがりやのようだ。

とにかくこれでカードゲーム部全員の自己紹介が一通り済んだ。

やけに陽気でおっ○い大好きの女部長。
それとは対照的に寡黙な副部長。
元気だけが取り柄と言わんばかりのロリ。
周りに興味ナシのギャル。
恥ずかしがりやの巨乳眼鏡ちゃん。

ずいぶんとバラエティーに富んだキャラクターのオンパレードだ。
彼らが一つのチームとしてどう機能しているのか疑問でならない。

「とりあえずはこれで私達のこと少しは知ってもらえたかしら。で、ここからが本題」

部長のアキラがスッとおちゃらけた態度を正す。
どうやらようやく今の状況を説明してくれるらしい。

「その前にまず最初に謝らなくちゃね」とアキラはアスナに視線を送りはにかむ。
アスナに何か言い含められたか。

「実は私達、昨日一日キミを観察させてもらっていたのよ。エビル・デーモンとのデュエルも、ね」

「えっ……」

全然気付かなかった。
彼女達の追跡スキルが高いのか、自分が鈍いだけなのかは分からないけど。

しかしエビル・デーモンとのデュエルを観ることができたということはーー

「それは俺があんた達と同じデュエリストかどうかを見極めるため?」

ユウゴが訊くと、アキラは素直に肯定を示す。
それは質問に対しての肯定であり、またこのカードゲーム部がデュエリストの集団であるというユウゴの気付きに対する肯定でもあった。

「あっ、でも勘違いしないでね。私達いつもこんなストーカーみたいなことばかりしてるわけじゃないから。ストーカー気質なのはアンリだけ」

「は?」

ストーカー気質だと名指しされた形のアンリに皆の視線が集まる。

アンリはまた真っ赤になって両手をぶんぶんと振る。

「えっ、やっ、違っ……くて……」

もうろれつも回らなくてしどろもどろだ。

この冗談は流石に可哀想になってきてユウゴは周りを見るが、カードゲーム部の面々に茶化したような雰囲気はない。

「いやいやアンリっち。武藤くんがデュエリストかどうか確かめるのに尾行を提案したのはアンリっちッスよ。その時のアンリっちの目の輝きにはアタシらもうドン引きだったッス」

「その尾行への異常な執着が怖くてアンリは尾行組から外したんだもんね。実際に観察してたのは私とカエデよ」

「カエデ先輩も部長もひどいですよ~」

仲間のはずの部員から次々と明かされるアンリのストーカー疑惑。
濃すぎるメンバーの中で唯一の清浄だと思っていたアンリのイメージが崩壊していく。

「アンリの性癖の話はもういいだろう。人には様々な性癖があるものだ。説明を続けてやれ」

静観していたケンゴが逸れ始めた話を修正する。
こうして見ると一番まともなのは彼かもしれない。

「そうね。ゴメンゴメン。で、エビル・デーモンとのデュエルで倒れてしまったキミをここまで運んできたのも私達。キミを治療したのはアンリね」

“治療”という言葉を聞いて初めて気付いたが、そう言えばエビル・デーモンとのデュエルで受けた傷がほとんどなくなっている。
痛みでほとんど動けなかったはずなのに、今はこうしてなんの不自由もなく立てている。

「アンリは、デュエリストの中でもかなり希少な“治癒術者(ヒーラー)”なのよ」

「ヒーラー?」

「対象の魔力をコントロールすることによって、対象の傷を癒したり体力を回復させたりできる者のことだ。普通の傷を治すのはそれなりに時間がかかるが、精霊の攻撃のような魔力によるダメージならば数時間ほどでほぼ完璧に癒せるらしい。私も見たときは驚いた。これほどの腕の治癒術者はDMCDでも極僅かだろう」

アスナがそんな補足でアンリを称賛する。

デュエリストというやつは何でもありか、とそんな気分になるが、一日不可思議なことに触れすぎたせいかこの手の事柄にはある程度慣れてしまった自分がいる。

「ありがとうございます。助かりました」

ユウゴは素直に頭を下げた。
もし彼女達がいなければ、自分は今頃病院のベットの上だ。

「そう言えばキミの友達もウチに送り届けておいたよ。目立った外傷もなかったし、エビル・デーモンの魔力に当てられただけだと思うから心配はいらないと思うわ」

「そうですか……良かった」

ユウゴはホッと胸を撫で下ろした。
これでタツヤに何かあったらユウゴは悔やんでも悔やみきれなくなるところだ。

「とまぁ、状況の説明はこんなとこかな。んで、ここからが私達の本題」

アキラがスッと手を差し伸べる。

「武藤ユウゴくん。キミ、カードゲーム部に入らない?」
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から揚げ
EカップにFカップとは、まさに絢爛豪華ですねぇ!しかもアンリちゃんがストーカー気質でヒーラーだなんて、属性がてんこ盛りで最高ですねぇ!アンリちゃんの巨乳にユウゴの顔を埋めさせていたのは、文字通り回復のためだったんですね!これはますます、マナちゃんとアキラ部長とアンリちゃんがユウゴにパイタッチされる展開が楽しみですねぇ! (2016-10-17 19:44)
氷色
僕の小説にはもれなくきょぬーキャラが出てきますね笑
そして普通乳と貧乳をさくっと無視するから揚げさんステキです笑 (2016-10-19 22:07)

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