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第14話:押し付けられる恋心 作:ドクダミ2号
「好きッス!付き合って下さい!」
昼休み。自動販売機に行く為廊下を歩いていた櫻と六花は1年生であろう男子に告白を受けていた。
「………。ですって、六花。」
「ふぇ!?私!?」
櫻が六花には返答するよう促す。この学校に置いて六花はアイドル的な存在である。一緒に居て六花が告白されるシーンを嫌という程見て来た。今回もどうせ六花が告白されたのだと思っていた。しかし。
「違うッス!俺は……櫻さんに言ってるんッス!」
その男子の返答は余りにも意外なものだった。
「………え?」
余りの出来事に、言葉を失う櫻。その横では六花が少しニヤついている。
「え…ええと……。ごめんなさい………。」
櫻はとにかく、謝る事しか出来なかった。
ーーー
「えええ!?告白されたんですか!?」
「シー!声がデカイ!」
恋については凛が適任と思い、凛に相談しに行った櫻だが、凛の驚き方を考えれば相当意外だったようだ。
「それにしても凄いですね。まさか櫻さんを好きになる人がいるなんて。」
「しばくわよ。………私だって驚いたわよ。」
そう言う櫻の表情は意外と満更でもなさそうだった。それに気付いた凛は、この恋を何としても実らせようと思った。
「……それで、その男の子は?」
「返事を待つって言ってどこか行ったわ。」
「はぁ……。それでどうするんですか?」
「……断るわ。あの子には悪いけど。」
櫻は意外な回答をした。凛からすればさっきから意外な事ばかり起きている。意外とは一体……などと思いつつも、しっかり受け答えする。
「そうですか……せめて部活とかが分かれば良いんですけどね。」
「……多分、あの子……水球部じゃないかしら?」
「え?」
一体何故櫻があの男子の部活を知っているのか、聞いて見たところ……どうやら3年生女子の間で有名になってる生徒らしく、櫻曰く「爽やかかつ可愛い系のイケメンらしい」との事。
「へぇ……。うーん、ボクにはそう言うのよく分からないなぁ。そもそもボクには心くんがいるし……。」
「あんたの惚気なんて聞く気ないわよ。…あぁ、そうそう。この話が広がると厄介だから、変に口外しないでね。クラスの話題の人になるなんて絶対嫌よ。」
櫻にとって嫌な事。それは多くに人から注目される事。彼女は元から静かに暮らすのが一番と考えており、騒がしいのは余り好きではなかった。……ただ、デュエルで有名になってしまったことに関してはなんとも思っていないようだが。
「……ま、大丈夫だとは思うけど。」
「うっ凄い威圧感。……わかりましたよ、このことは忘れます。」
「そうしてくれると助かるわ。」
ーーー
しかし、次の日。櫻が教室に入ると、クラスメートの大群に襲われた。
「櫻!お前告られたってマジ!?」
「櫻ちゃんに告るとか……どんだけ命知らずな奴なんだ!?」
「しかも話によればあの1年生らしいじゃない!」
何故こうなっているのか。凛にはきつく言ったはずなので違うだろう。……となれば。
「……六花。」
「え……な、何?」
「喋ったでしょ。」
「わ、私知らないよ!」
そう言う六花は、明らかに目を合わせないようにしている。これは六花が嘘をついている時の癖だ。
「……口が緩いわよ。」
六花はごめん、と謝るもすでに遅い。多分この話は校内に広がってしまっているだろう。
「帰ったら……覚えてなさい。」
「はい…。」
その日に授業はなんともなかった。ただ1つ、周りの目線が気になる。必ず2・3人はこちらを見ている。櫻はこれが嫌いだった。
(こんなの小学生の時以来………やっぱり大っ嫌いだわ。)
ーーー
その日の昼休み。櫻はある重大な事に気がついた。
「あら?お弁当は?」
いつもバッグに入れてあるはずの昼食が入っていなかったのだ。
「……はぁ。しょうがないわ、学食で何か買うしかないわね。」
六花を誘い、学食に向かった櫻。その途中……
「あ。」
雷だ。どうやら彼も学食に向かうらしい。
「ふーん、雷君もお弁当忘れたの?」
「いえ、俺は元から学食で昼を食べてましたよ。」
何の隔てもない会話をしていた。そこにある人物が横槍を入れてきた。その人物とは。
「櫻さん!昨日の返事はどうしたんっスか!?」
櫻が「ゲッ」と声を上げる。……今の発言によって少しだけ周りがざわついてきた。
「あのね……時と場所と状況を考えてほしいわ。」
櫻が呆れた様子で話す。相手側の反応は例えるなら犬の様に、ただじっと話を聞いていた。
「……まぁ、いいわ。どうせだしあなたも来る?」
「はい!」
ーーー
学食でも彼は彼だった。まず櫻が注文する。その後、櫻が席に着いたタイミングで彼が同じ物を注文する。その様子を見ていた六花と雷はもはや絶句の域に達していた。
「ありえねぇ……。」
「ちょっと…あれは………。」
……そういえばこの3人で彼の事を詳しく知っているものはいない。と言うか名前すら知らなかった。
「……ねぇ。」
切り出したのは櫻だった。
「何スか?」
「名前、教えて。」
櫻が普段よりワントーン低い声で話す。これは「もう近づいて欲しくない」という合図である。
「俺の名前っスね!俺は海野太陽って言うんス!」
「そう、太陽くん。お願いがあるの。」
「ドーンと来いっス!」
一瞬間を空けて、櫻が言葉を放つ。
「もう2度と、私に近づかないで。」
そう言って櫻は足早にその場を去った。
「俺……何かしたっスか?」
「「した」」
六花と雷の無情な一言が、太陽の心に突き刺さった。
次回に続く
昼休み。自動販売機に行く為廊下を歩いていた櫻と六花は1年生であろう男子に告白を受けていた。
「………。ですって、六花。」
「ふぇ!?私!?」
櫻が六花には返答するよう促す。この学校に置いて六花はアイドル的な存在である。一緒に居て六花が告白されるシーンを嫌という程見て来た。今回もどうせ六花が告白されたのだと思っていた。しかし。
「違うッス!俺は……櫻さんに言ってるんッス!」
その男子の返答は余りにも意外なものだった。
「………え?」
余りの出来事に、言葉を失う櫻。その横では六花が少しニヤついている。
「え…ええと……。ごめんなさい………。」
櫻はとにかく、謝る事しか出来なかった。
ーーー
「えええ!?告白されたんですか!?」
「シー!声がデカイ!」
恋については凛が適任と思い、凛に相談しに行った櫻だが、凛の驚き方を考えれば相当意外だったようだ。
「それにしても凄いですね。まさか櫻さんを好きになる人がいるなんて。」
「しばくわよ。………私だって驚いたわよ。」
そう言う櫻の表情は意外と満更でもなさそうだった。それに気付いた凛は、この恋を何としても実らせようと思った。
「……それで、その男の子は?」
「返事を待つって言ってどこか行ったわ。」
「はぁ……。それでどうするんですか?」
「……断るわ。あの子には悪いけど。」
櫻は意外な回答をした。凛からすればさっきから意外な事ばかり起きている。意外とは一体……などと思いつつも、しっかり受け答えする。
「そうですか……せめて部活とかが分かれば良いんですけどね。」
「……多分、あの子……水球部じゃないかしら?」
「え?」
一体何故櫻があの男子の部活を知っているのか、聞いて見たところ……どうやら3年生女子の間で有名になってる生徒らしく、櫻曰く「爽やかかつ可愛い系のイケメンらしい」との事。
「へぇ……。うーん、ボクにはそう言うのよく分からないなぁ。そもそもボクには心くんがいるし……。」
「あんたの惚気なんて聞く気ないわよ。…あぁ、そうそう。この話が広がると厄介だから、変に口外しないでね。クラスの話題の人になるなんて絶対嫌よ。」
櫻にとって嫌な事。それは多くに人から注目される事。彼女は元から静かに暮らすのが一番と考えており、騒がしいのは余り好きではなかった。……ただ、デュエルで有名になってしまったことに関してはなんとも思っていないようだが。
「……ま、大丈夫だとは思うけど。」
「うっ凄い威圧感。……わかりましたよ、このことは忘れます。」
「そうしてくれると助かるわ。」
ーーー
しかし、次の日。櫻が教室に入ると、クラスメートの大群に襲われた。
「櫻!お前告られたってマジ!?」
「櫻ちゃんに告るとか……どんだけ命知らずな奴なんだ!?」
「しかも話によればあの1年生らしいじゃない!」
何故こうなっているのか。凛にはきつく言ったはずなので違うだろう。……となれば。
「……六花。」
「え……な、何?」
「喋ったでしょ。」
「わ、私知らないよ!」
そう言う六花は、明らかに目を合わせないようにしている。これは六花が嘘をついている時の癖だ。
「……口が緩いわよ。」
六花はごめん、と謝るもすでに遅い。多分この話は校内に広がってしまっているだろう。
「帰ったら……覚えてなさい。」
「はい…。」
その日に授業はなんともなかった。ただ1つ、周りの目線が気になる。必ず2・3人はこちらを見ている。櫻はこれが嫌いだった。
(こんなの小学生の時以来………やっぱり大っ嫌いだわ。)
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その日の昼休み。櫻はある重大な事に気がついた。
「あら?お弁当は?」
いつもバッグに入れてあるはずの昼食が入っていなかったのだ。
「……はぁ。しょうがないわ、学食で何か買うしかないわね。」
六花を誘い、学食に向かった櫻。その途中……
「あ。」
雷だ。どうやら彼も学食に向かうらしい。
「ふーん、雷君もお弁当忘れたの?」
「いえ、俺は元から学食で昼を食べてましたよ。」
何の隔てもない会話をしていた。そこにある人物が横槍を入れてきた。その人物とは。
「櫻さん!昨日の返事はどうしたんっスか!?」
櫻が「ゲッ」と声を上げる。……今の発言によって少しだけ周りがざわついてきた。
「あのね……時と場所と状況を考えてほしいわ。」
櫻が呆れた様子で話す。相手側の反応は例えるなら犬の様に、ただじっと話を聞いていた。
「……まぁ、いいわ。どうせだしあなたも来る?」
「はい!」
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「ありえねぇ……。」
「ちょっと…あれは………。」
……そういえばこの3人で彼の事を詳しく知っているものはいない。と言うか名前すら知らなかった。
「……ねぇ。」
切り出したのは櫻だった。
「何スか?」
「名前、教えて。」
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そう言って櫻は足早にその場を去った。
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