EX04:お祭り企画前座　作：風鼠

楓「よっしゃ～♪私にのみ惚れる惚れ薬できた～♪カンナちゃんに飲ませるぞ～♪」


楓「(ふひひ…お薬をお茶にまぜて飲ませれば…いける！)」

楓は冷蔵庫に置かれていた新品のお茶の小さなペットボトルの蓋をあけ、こっそりと薬をいれる

瑞樹「…カンナちゃん、お茶貰うわね」

カンナ「いいですよ～」

楓「（え）」

瑞樹「ん…ふぅ…。…？(このお茶…いつもと変な味した気が…)」

カンナ「(お茶飲む姿も絵になるなぁ…)」

瑞樹はペットボトルの蓋をあけ、喉を鳴らし1口飲む

楓「み、瑞樹ちゃん、体なんともない？」

瑞樹「きゃ？!か、楓先輩、また納戸に隠れてたんですか?!それに急にどうしたんですか?!」

楓は隠れていた納戸から現れ、お茶を飲んだ瑞樹の体を揺らす

カンナ「お茶に何しこんだんですか～?!」

楓「私にだけ惚れちゃう惚れ薬～♪」

瑞樹「ど、どうやってそんな薬を作ったんですか…」

楓「便利な科学部の友達♪…でもその様子じゃ失敗作だったみたい」

カンナ「失敗作…ですか…」

瑞樹「良かったような…悪かったような…」

葵「ふあぁ…瑞樹ぃ…もう寝よ～…」

葵が目をこすり、眠そうな口調で部屋の奥から現れる

瑞樹「そ、そうね…」

翌朝

葵「良く寝た～♪…あれ、瑞樹まだねてる…の…」

瑞樹「(すやすや…)」

杏奈「どうしたの、葵」

カンナ「どうしたんですか～？」

葵「瑞樹が…小さくなってる！」

葵の言葉を聞いて2人が瑞樹の布団に視線を移すと、そこには瑞樹によく似た少女の姿が

寝息をたて気持ちよさそうに寝ていた

瑞樹「…？」

カンナ「きっと昨日の薬の影響です…かね？」

茜「今、楓、彩愛にこっぴどく怒られてるからね。」

椿「まさか私と同じ位になるとは…」

葵「瑞樹～私の事分かる～？」

瑞樹「…あお…い…？」

小さくなった瑞樹は不思議そうな目をしながら葵の名前を呼ぶ

杏奈「僕の事分かる？」

カンナ「皆の事分かりますか～？」

瑞樹「…ううん…」

カンナちゃんや杏奈に詰め寄れられた事で瑞樹は葵の服の裾を掴みながら顔を横に振る

葵「どうやら、幼稚園児時代の瑞樹みたいだね～♪」

カンナ「瑞樹ちゃんって人見知りだったんですか？」

葵「うん。しっかりし始めたのは、小学生に上がった頃からかな～。ね、瑞樹～♪」

瑞樹「あおい…近いよぉ…」

葵は小さくなった瑞樹に顔に近づける

椿「幼稚園児と同じ身長…でぇすか…」

杏奈「だ、大丈夫だよ。椿ちゃんはこれから身長伸びるから…」

椿「本当でぇすか?!」

杏奈「…多分」

椿「ふ、不安になるような事言わないでほしいでぇす！」

カンナ「それにしても瑞樹ちゃんこの頃から美人だったんですね～」

瑞樹「あう…」

カンナ「あ、ご、ごめんなさい。驚かせてしまって…」

葵「小さい瑞樹は可愛いなぁ♪」

彩愛「皆ご飯で来たわよ。小さい子用もね。」

椿「と、とりあえずご飯食べて元に戻す案を考えるでぇす！」

椿ちゃんはお腹の音を鳴らす。

杏奈「そうだね。」

葵「瑞樹も行こう♪」

瑞樹「う、うん…」

葵が中腰になって手を差出し瑞樹は少し恥じらうようにその手を握る

葵「瑞樹～♪あ～ん♪」

瑞樹「…ん」

葵はスプーンでスープを瑞樹の口元まで運び、瑞樹は少し恥じらいながらもスプーンを咥える

杏奈「あの二人、ホント姉妹みたいに仲良しだね。」

カンナ「でも今日は姉と妹の立場が逆みたいですね～」

葵「ねぇねえ瑞樹、今日は私の事お姉ちゃんって呼んでね♪」

瑞樹「…？あおい…おねえちゃん…」

葵「やったぁ♪瑞樹にお姉ちゃんって呼ばれた～♪」

彩愛「こ～ら。あまり食堂で騒がないの。」

葵「あう！ご、ごめんなさい。」

よろこびのあまり、両手をあげる葵に彩愛が頭をコツンと優しくたたく

椿「うぅ…食べ過ぎたでぇす…」

葵「瑞樹、ご飯美味しかったね♪」

瑞樹「…うん」

葵が笑顔を向けると瑞樹も小さくうなずく

杏奈「瑞樹ちゃん、葵の手、ずっと握ってるね。」

カンナ「ホント仲良しですね～」

葵「瑞樹、この後なにする～？」

瑞樹「…物理の勉強…する…」

杏奈「物理の勉強か…瑞樹ちゃんらしいかな。」

カンナ「ち、小さい子が勉強する内容じゃないですよぉ…」

葵「え～子供は外で遊んだ方が健康的なんだよぉ～」

瑞樹「…あう…頬…つつかないでよぉ…」

葵「瑞樹のほほ、ぷにぷにぃ～♪」

杏奈「もうだめだよ、葵。瑞樹ちゃん嫌がってるよ」

葵「あう！ごめんごめん、つい」

瑞樹「頬痛いよぉ…」

瑞樹は少し涙目になりながら頬を触る。


葵「…」(じー)

瑞樹「…」（かきかき…）

瑞樹が勉強を始めてから1時間、葵は瑞樹の勉強している姿を見つめ続ける

杏奈「この頃から勉強する習慣あったんだね瑞樹ちゃん」

カンナ「ですね。私達も見習わないと…」

椿「うぅ…勉強は苦手でぇす…」

瑞樹「…ん…今日の分終わったよ。あおいお姉ちゃん」

葵「よし！遊びに行こ♪」

瑞樹「え…お、おんぶは…はずかしいよぉ…」

葵は瑞樹が勉強を終えるのと同時に瑞樹をおんぶし、玄関の方へと駆け足で向かう

杏奈「よっぽど遊びたかったんだね。」

カンナ「あ、もう葵ちゃんおいていかないで下さい～」

葵「瑞樹、何して遊ぶ？」

瑞樹「何も考えてなかったの…？」

葵「もっちろん♪」

瑞樹「うぅ…」

杏奈「もう、2人で先に行ったらだめだよ」

葵「えへへ～ごめんごめん。」

カンナ「…で、何して遊ぶんです？」

葵「何も考えてません♪」

杏奈「葵らしいなぁ。じゃあ…かけっこでいいんじゃない？」

葵「さんせぇ～い♪…瑞樹はしろ♪」

瑞樹「…う、うん…」

数時間後

葵「はぁ…はぁ…一杯遊んだね♪」

杏奈「といっても、殆ど走ってたけどね」

カンナ「瑞樹ちゃん、大丈夫ですか？」

瑞樹「…大丈夫…」

椿「私はもう無理でぇす…」

杏奈「瑞樹ちゃんより椿ちゃんの方が大丈夫じゃなさそうだね。椿ちゃんおんぶするよ。」

椿「ありがとでぇす…」

葵「また瑞樹の事おんぶする～♪」

瑞樹「うぅ…だから恥ずかしいよぉ…」

葵は瑞樹を、杏奈は椿を背中に背負う

葵「ふはぁ～♪おふろも気持ちよかったね。」

瑞樹「ふぁあ…ん…うん…」

葵「瑞樹眠そうだね～。もう寝よっか♪」

瑞樹「うん…」

お風呂から上がり、部屋に戻ると瑞樹は眠そうな目しながら欠伸をする

杏奈「じゃ、僕達が布団準備するから、2人はゆっくりしてて」

葵「お言葉に甘えてゆっくりしてる～♪」

数分後

杏奈「ふぅやっと準備できたよ」

カンナ「瑞樹ちゃんの分はあっためておきましたよ～」

葵「皆、しー…っね♪」

瑞樹「(すやすや)」

杏奈「あ、もう寝ちゃってたか」

カンナ「可愛い寝顔ですね♪」

椿「なんだか眠くなってきたでぇす…」

葵「そうだね。皆もう寝よ♪」

3人「はぁ～い」

葵「おやすみ、瑞樹」
数時間後

瑞樹「あおい…おねえちゃん起きてよぉ…」

葵「ふあぁ…どうしたの瑞樹ぃ？」

瑞樹に体を揺らされ、葵は眠そうに欠伸をしながら体を起こす

瑞樹「えと…あの…その…と、といれ…」

葵「怖がり瑞樹め～。一緒に行ってあげる♪」

瑞樹「ありがと…あおいおねえちゃん…」

恥ずかしがる瑞樹が小声で頼むと、察した葵は一緒にトイレへと向かう

瑞樹「(スヤスヤ…)」

葵「もう、瑞樹は～。トイレしたらすぐに寝ちゃった」

瑞樹「(あおいおねえちゃん…)」

葵「こうしてみると瑞樹の寝顔あんまり見たこと無いなぁ。先に寝ちゃうせいかな？」

瑞樹「(ん…)」

葵「よいしょっと。今度こそおやすみ。」

瑞樹「(あおいおねえちゃん…すきぃ…)」

葵「可愛い♪くっ付いてねよ～っと♪」

葵は気持ちよさそうに寝る瑞樹にくっ付くようにして体を近づける

翌朝

葵「ふああ…」

瑞樹「…起きたのね。おはよ。」

葵「あ、瑞樹だ！ちゃんと元に戻ってる♪」

葵が目を覚まし、先に起きていた瑞樹は葵に挨拶する

瑞樹「元に戻ってるって…何の話？」

葵「え、覚えてないの？」

杏奈「昨日瑞樹ちゃん、楓先輩が作った薬で小っちゃくなってたんだよ」

瑞樹「そ、そうなの。…まったく覚えてないわ。」

カンナ「瑞樹ちゃんの意外な一面みれましたよね～」

葵「もうちょっと小さい瑞樹と遊びたかったなぁ～♪」

瑞樹「もう、葵お姉ちゃんは…」

杏奈「あ」

カンナ「あ…ふふ♪」

葵「わぁ～やったぁ♪」

瑞樹「？どうしたの？」

杏奈「今、葵ちゃんの事お姉ちゃんって呼んでたよ」

カンナ「まだ、薬の影響すこし残ってるんですね～」

瑞樹「え！そんなこと…葵おねえちゃ…。!?」

葵「えへ～♪私の可愛い妹瑞樹～♪」

葵は満面の笑みを浮かべ、瑞樹に抱き着く

瑞樹「ちょ!?止めてよ、葵お姉ちゃん！（…また呼んじゃった。なんでお姉ちゃんって呼んじゃうのよぉ）」(///)

瑞樹のお姉ちゃん呼びはその日1日中続いたという

葵「ふぇ～とりあえず前座終わったね～」

瑞樹「ふぅ…やっと完全に元に戻ったわ…」

葵「瑞樹のお姉ちゃん呼び可愛かったなぁ♪」

瑞樹「もう…葵おねえちゃ…葵はもう…」

葵「あ、いま言いかけた！完全に戻ってないね♪」

瑞樹「うぅ…」


葵「じゃ、次のお祭り企画は～私と楓先輩、カンナちゃんのお母さん、カンナちゃん、花梨ちゃんが主役だね♪」

楓「やったあ～♪これでカンナちゃんを襲えるぞ～」

カンナ「はうぅ襲わないで下さいぃ～」

花梨「うぅ…またお嫁に行けなくなっちゃう…」

カンナ母「あらあら、まさかの主役回が来るとわね～」

葵「楽しみですね～親子丼♪」

楓「一杯食べようね♪」