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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第153話:竜領域のナンバーズ

第153話:竜領域のナンバーズ 作:光芒




「報告!報告!」

 灰色の鱗と橙色の身体を持つ小さなドラゴンがその一団を率いる部隊長であるドラゴンの下に帰還した。ドラグニティ・聖刻連合軍と幻獣機部隊の戦いの状況を見定めるために斥候に赴いていた“アームド・ドラゴン LV3”である。


※アームド・ドラゴン LV3
効果モンスター
星3/風属性/ドラゴン族/攻1200/守900
自分のスタンバイフェイズ時、フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地へ送る事で、手札またはデッキから「アームド・ドラゴン LV5」1体を特殊召喚する。


 アームド・ドラゴン LV3は上位種が持つような破壊効果を持たず、攻撃力も低いため戦闘に加わることは無い。しかし、身体が小さく未成熟なことで逆に敵に見つかりにくい、ということを買われて部隊では斥候任務を一任されていた。

「我らの対空攻撃により、敵部隊は混乱。戦況、味方優勢です!」

 味方優勢の報告にアームド・ドラゴン部隊からは「おおっ!」と歓声が上がる。しかし、沸き立つ陣営を1体のドラゴンが収めた。

「そう喚くな。お前たち……このアームド・ドラゴン部隊を率いているのは誰だ!?」
「それはもちろん!」
「3!」
「5!!」
「7!!!」
「アームド・ドラゴン LV10様だ!!!」

 アームド・ドラゴン部隊を率いる部隊長であるアームド・ドラゴン LV10はモンスターとしても精霊としても竜領域では強い力を持っている。
 そのためこうして竜領域の陸戦部隊の一部隊を任されるほどの存在なのだが、やや調子に乗りやすいところがあり、戦いで戦果を挙げた後にはこうしていつも率いている部下である下位種のアームド・ドラゴンやダーク・アームド・ドラゴンらに自らの名前とレベルを叫ばせているのである。
 最もその奇妙な儀式的やり取りは精霊界でも名物となっており、竜領域で猛威を振るうアームド・ドラゴン部隊の名を一躍轟かせることになっているのだが、

「相変わらずだな、アームド・ドラゴン」
「誰だ! 俺様を呼び捨てにするのは!っ……貴様は!?」

 アームド・ドラゴン LV10が振り返ると、そこにいたのは水色の身体に巨大な翼を持った戦士の姿があった。
 E・HERO ネオスは仲間であるネオスペーシアンと融合することで様々な姿に変身することができる。風のネオスペーシアン、エア・ハミングバードと水のネオスペーシアン、アクア・ドルフィンの2体と融合したネオスは水と風の力を1つにした嵐の英雄、“E・HERO ストーム・ネオス”と化したのである。


※E・HERO ストーム・ネオス
融合・効果モンスター
星9/風属性/戦士族/攻3000/守2500
「E・HERO ネオス」+「N・エア・ハミングバード」+「N・アクア・ドルフィン」
自分フィールド上の上記のカードをデッキに戻した場合のみ、エクストラデッキから特殊召喚できる(「融合」魔法カードは必要としない)。
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時にフィールド上の魔法・罠カードを全て破壊できる。
また、エンドフェイズ時、このカードはエクストラデッキに戻る。この効果によってこのカードがエクストラデッキに戻った時、フィールド上のカードを全て持ち主のデッキに戻す。


「ネオス……何故お前が」

 アームド・ドラゴン LV10もまたネオスとは知らない仲ではなかった。アームド・ドラゴン LV10がまだLV5だった頃、彼は自分をより高めるために自ら竜領域を離れて放浪の旅をしていた時期がある。そんな最中、彼はネオスと出会った。
 竜領域と戦士領域は過去にいざこざがあり、未だにそのわだかまりが残った形となっている。そのため今でも一部を除いては互いに険悪な感情を抱いている者同士が多いのだが、ネオスとアームド・ドラゴンは種族同士の壁を超えた友情を築いていたのである。
 そんなライバルでもあり親友でもあるネオスとアームド・ドラゴン LV10は今ここで敵同士として出会ってしまった。

「話せば海より深くなるな。だが、少なくとも今俺はお前たちと戦っている立場にある」
「戦士領域の英雄が機領域の侵略に力を貸すか……ヒーローの名が廃るぞ! ネオス!」
「侵略?」
「そうだ、機領域の奴らが竜領域を侵略しに来た! だからこそ俺たちは部隊を編成して迎撃に出たんだ!」

 アームド・ドラゴン LV10のその言葉にネオスは首を傾げる。その様があまりにもあからさまだったため、アームド・ドラゴン LV10は逆にそんなネオスの様子が気になっていた。
 デステニー・レオはあくまで「演習」や「訓練」として幻獣機たちに出撃を命じている。それなのに何故竜領域では「演習」や「訓練」が「侵略」に置き換えられているのか。デステニー・レオが虚偽の報告をした、ということもあるがネオスは戦士領域の一統治者としてデステニー・レオがその指示を周辺の領域に出す瞬間に立ち会っていた。そのため、デステニー・レオが嘘の報告をしたというのはネオス自身が否定できることなのだ。

「幻獣機たちは演習として他領域に事前報告していた。それを侵略と決めつけたのはお前たちじゃないのか? アームド・ドラゴン、お前は誰から機領域の部隊が侵略行為をしていると聞いたんだ?」
「……俺は竜領域のナンバーズから出撃命令を受けている。空のレヴァテインやアトゥムスもそのはずだ」
「なるほど……」

 そうなれば誰が幻獣機たちを侵略者として定義したのが自ずとわかってきた。アームド・ドラゴンや上空のドラグニティ、聖刻龍たちはあくまで上からの指示に従っただけに過ぎず、彼らはNo.たちの意向に従っているだけなのだ。No.が配下の部隊に迎撃を命じる。そして竜領域においてそのNo.に指示を出せる存在などただ1体しかいない。

「アームド・ドラゴン。俺たちは刃を交える必要はないぞ」
「何だと?」
「お前たちはナンバーズ……いやその上のオーバーハンドレッド・ナンバーズに利用されているに過ぎないんだ」

 ネオスはアームド・ドラゴンたちに自分たちの本当の目的、そしてこの世界で今何が起きているのかを話した。機領域の軍勢の本当の目的は竜領域にいる時空竜の下へ行くことであり、捕らわれている人間の少女を助け出すこと。そしてその捕らわれている人間の少女は時空竜が人間の世界から連れ去ってきた少女であるということも。

「バカな、時空竜様がそのようなことを……」
「そうだ。まあ時空竜様の本当の目的は俺にもわからないがな」
「……だが、俺たちの使命をそうやすやすと……」

 アームド・ドラゴン LV10がそう言いかけた時、哨戒に行っていた別のアームド・ドラゴン LV3が戻ってきた。彼の報告によると、数百メートル離れた森林の中にはコヴィントン率いるマシンナーズ部隊、そして数十機のマシンナーズ・フォートレスが控えていることがわかったのだ。
 マシンナーズ・フォートレスはカードでは破壊されると相手のモンスター1体を破壊する効果を持っている。それは精霊界でも同じようであり、アームド・ドラゴンであっても下手にマシンナーズ・フォートレスに手を出せば被害は免れないだろう。無用な被害を部下に強いるような真似は指揮官としても精霊としても恥ずべき事、アームド・ドラゴン LV10はそう思っていた。

「ネオス、これもお前の策略か?」
「……どうだかな。ただ俺とマシンナーズ部隊を相手に戦えるだけの戦力があるのであれば……俺は相手になる」
「ヒーローの癖に随分とあくどい手を取るんだな」
「清いだけではヒーローは名乗れないさ。清濁構わず飲み込めるだけの者だけなければな」
「ふん、お前らしいな。全軍、退くぞ。俺はこの戦いに意義を見出せん」

 踵を返したアームド・ドラゴン LV10の続いてアームド・ドラゴン部隊が撤退していく。ネオスは結果的にアームド・ドラゴンたちにも後方に控えるマシンナーズ部隊にも1体の被害も出さずに刃を収めることができたのである。
 使命を受けて出てきたアームド・ドラゴン LV10であったが、旧友でありライバルでもあるネオスとはやはりこのような戦いで刃を交えたくなかったのである。

「部隊長、本当にこれで宜しかったのでしょうか?」
「……構わん。何かあったとしても責を負うのは俺だ。お前たちは気にする必要はない。それよりも俺たちには別の仕事ができたぞ……」

 アームド・ドラゴン LV10の脳裏にはこれから自分たちが何をすべきかがはっきりと浮かんでいた。それが竜領域のみならず精霊界全体に影響を及ぼしかねないことであろうとも。

「ネオス殿!」
「コヴィントン、援軍感謝する。俺だけじゃアームド・ドラゴンたちを説得できなかったよ」
「お褒めに預かり光栄であります! ところで我々はこれからどうすれば……」
「そうだな……取り敢えずこの辺りを哨戒していてくれ。まだ別の相手が出てくるかもしれないからな。俺は空に向かう。幻獣機にもドラゴンたちにも被害が出過ぎている」

 そう言ってネオスは空高く飛び上がった。アームド・ドラゴン部隊が撤退したことで幻獣機に対する対空攻撃が止んだことで幻獣機たちは再びトークンを作り出してはドラゴンたちへの反攻に移り出そうとしていたのだ。
 幻獣機たちはアームド・ドラゴン部隊の対空攻撃によってトークンを悉く破壊され、破壊耐性を失ったところをドラゴンたちに攻撃されかなりの数が撃墜されていた。しかしトークン生成が妨害されなくなった今、撃ち落とされた仲間の仇と言わんばかりに逆襲を図っていたのである。
 一応ギアーカ、ガーカは無傷でエンタープラズニルに対しても攻撃が届いていないことから、指揮系統は失われいないのでネオスにも付け入る隙があるのは不幸中の幸いと言えた。

「よし、それなら……!?」

 幻獣機たちを制するにはまず指揮官であるギアーカとガーカの下へ向かわなければならない。すぐにエンタープラズニルの方へと飛び立とうと思ったネオスは目を疑った。ギアーカとガーカの飛行している位置から遥か上空から何者かが迫ってきていたのだから。











「ギアーカ姉様、敵の対空攻撃が止みました。どうやらネオスとマシンナーズが止めたようです」
「……そうですか」

 ギアーカは内心複雑だった。ネオスたちの助太刀があったからこそ自分たちは敗北の危機を免れたが、ネオスは客人であり、マシンナーズはいわば緊急時の護衛部隊である。
そんな彼らの手を借りてしまうことは精霊界の空を翔ける幻獣機部隊の誇りに傷がついてしまうことを意味していた。それ故にギアーカはネオスとは違い、ここを武力を以て押し通ろうとしていた。

「ならば戦線を立て直しつつ前進しましょう。このまま押し切れれば竜領域へと入ることができるはずよ」
「わかりました。全幻獣機部隊、トークンを生成し再度攻撃に移りなさい!」

 ガーカの指示の下、幻獣機たちが再度出撃する。傷ついた幻獣機たちはギアーカ、ガーカの姉妹やエンタープラズニルに控えていた後詰めの部隊が時間を稼ぐ間にエンタープラズニル艦内で修理を施されていた。万全に回復した幻獣機たちはトークンと共にドラゴンたちへ突っ込んでいく。
 再び開かれる戦端。トークンを伴った幻獣機たちは相手の攻撃がトークンに集中する中、後退した戦線を押し上げていく。しかし、好転した戦況がギアーカの目を眩ませてしまっていた。

(……っ。何……何かっ……!)

 ガーカの全身に震えが走った。彼女は首を上げ、空を見上げる。雲一つない晴天だった空には暗雲が立ち込めていた。
 天気が変わるほど長い間戦っていたのだろうか、と思ったが空を主戦場とする幻獣機たちは天気にも気を遣う。それならば天候の移り変わりに誰よりも敏感な自分たちが天候の変化に気付かないわけがない。

「まさかっ……姉様っ!!」

 ガーカがギアーカの真上に飛び出した。その次の瞬間、ガーカの右の翼が砕け散った。

「ガー……カ……?」
「……右翼損傷……飛行……不能……そんな、馬鹿……な……」

 右の翼を根元から折られたガーカは苦しそうに悶えながらエンタープラズニルの甲板へと不時着した。それを見て初めてギアーカは天空より迫ってきていた敵に気が付いた。

「真上……直上……!?」

 上を見上げたギアーカの目の前には3体の巨大な龍の姿があった。未だ事態を飲み込めずにいたギアーカに龍たちは憐れみと侮蔑を込めた眼を向ける。

「ふん。幻獣機部隊の司令官とあろうものが我らの接近にすら気付かぬとはな」
「その名が廃るぞ。機領域の小娘よ」
「あまり言ってやるでないわ……儂の幻影を見破れる者はそうはおらんじゃろうに」

 1体は赤い身体と翼を持ち、右の翼の付け根には「05」の刻印が刻まれていた。身体の前では十字型の物体が5つ飛び交っており、ガーカを一撃の下に叩き伏せたのはこのドラゴン族モンスターであった。そしてその左には腹部に「92」の数字が刻まれた黒い龍、その右には白い身体に老人のような口調で話す右の翼に「46」の数字が刻まれている白い龍の姿があった。

「……“CNo.5 亡隴龍 カオス・キマイラ・ドラゴン”、“No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon”、“No.46 神影龍ドラッグルーオン”……まさか、竜領域の誇る三大ナンバーズが一堂に……!!」


※CNo.5 亡隴龍 カオス・キマイラ・ドラゴン
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0
レベル6モンスター×3体以上
(1):このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×1000アップする。
(2):このカードが攻撃を行ったダメージステップ終了時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。このカードは相手モンスターに続けて攻撃できる。
(3):バトルフェイズ終了時、LPを半分払い、自分・相手の墓地のカードを合計2枚対象として発動できる。その内のカード1枚を持ち主のデッキの一番上に置き、もう1枚をこのカードの下に重ねてX素材とする。


※No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon
エクシーズ・効果モンスター
ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻0/守0
レベル9モンスター×3
このカードは戦闘では破壊されず、このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
相手のエンドフェイズ時、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、相手フィールド上の、このターンに召喚・特殊召喚・セットされたカードを全てゲームから除外する。
エクシーズ素材を持っているこのカードが破壊された場合、このカードを墓地から特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚した時、このカードの攻撃力はゲームから除外されているカードの数×1000ポイントアップする。


※No.46 神影龍ドラッグルーオン
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守3000
ドラゴン族レベル8モンスター×2
自分フィールド上にこのカード以外のモンスターが存在しない場合、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●手札からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。
●相手フィールド上のドラゴン族モンスター1体を選択してコントロールを得る。
●相手ターン終了時まで、相手フィールド上のドラゴン族モンスターは効果を発動できない。


 竜領域は精霊界でも随一の広さを誇り、かつ精霊も強力な者が多いためそれだけに統治する側の精霊も強力な力を持った者が選出される。そんな中でもドラゴン族のNo.でオーバーハンドレッド・ナンバーズである銀河眼の時空竜に次ぐ力を持つと言われているのがギアーカの前に対峙する3体のドラゴン族のNo.なのである。

「私の部下が遺した通信……亡隴というのは聞き間違いではなかったようですね。まさか本当にナンバーズが出てくるとは」
「……あの先遣隊共のことか。お前たちの侵攻が無ければあいつらも命を落とすことはなかっただろうな」
「っ……私たちは竜領域に侵攻しに来たのではありません。演習として通知しているからこそ他の領域の領空を通ることを許されたんです!」
「演習か。成る程、結構な建前だ」
「儂らは銀河眼の時空竜にこう命令されたのじゃよ。“精霊界の秩序を乱さんとする機領域の者どもが人間を伴って攻めてくる”とな」
「!?」

 綾香とエヴァの存在はやはり感知されていた。予想していたことであったとしても、見透かされているというのは気持ちのいいものではない。

「そうですか、人間の方々の存在まで知られていますか。ならば私の取る手は1つだけです! トークン展開!!」

 ギアーカは自身の周辺に自身を象った2体のトークンを出現させる。いかにナンバーズであったとしてもトークンを随伴させている幻獣機を破壊することはできない。トークンを撃ち落としていた地上部隊がいなくなった今、ナンバーズたちにトークンを一斉に消し去る手段はないはずだ。
 力は大きく及ばないとしても、打ち負けることがないとわかっていればギアーカであっても刺し違えることくらいならできるはず。しかし、ギアーカはまたしても大きな思い違いをしていた。

「蒙昧この上ないな。先遣部隊のトークンを撃ち落としていたのがアームド・ドラゴンたちであったと本当に思っているのか?」
「えっ……?」
「我が力の前に消え去れ! 幻影よ!!」

 Heart-eartH Dragonの咆哮が響き渡った瞬間、ギアーカの生成した2体のトークンが消え去った。Heart-eartH Dragonのカードとしての効果はそのターンのうちに召喚・特殊召喚・セットされたカードを全てゲームから除外する効果を持っている。
 精霊としての力もそれに準じたものを持っており、出現して時間が経ったものには通用しないのだが、現れたばかりのものであれば瞬時に消し去ってしまう。それがHeart-eartH Dragonの持つ力だった。
 ドラッグルーオンの力でその身を隠し、Heart-eartH Dragonの力で敵を殲滅する。そして自身の力で絶えずオーバーレイユニットを補給しては高い攻撃力と連続攻撃で相対する敵を葬るカオス・キマイラ・ドラゴン。この3体は備え持つ力こそ異なるが、それ故に3体揃って相手をするとなればオーバーハンドレッド・ナンバーズであっても苦戦させるほどの力を持っているのだ。

「しまっ……」
「さあ、次はこっちの番だ。行くぞ!!」

 カオス・キマイラ・ドラゴンの鞭のようにしなる尻尾の一撃がギアーカの身体を打ち付ける。ギアーカの身体には激しい鈍痛のようなものが走った。カオス・キマイラ・ドラゴンはオーバーレイユニットを消費することでモンスターに対して複数回の攻撃が可能になる。
 精霊としての効果もそれを応用したものであり、相手が立ち上がり続ければ続けるほどオーバーレイユニットを補充して連続攻撃を仕掛けることができるのだ。

「がはっ……!!」
「ギアーカ!!」

 カオス・キマイラ・ドラゴンの前に何もできず、ただ嬲られるだけのギアーカを助けようとネオスが急ぎ駆けつけようとする。しかし、そんな彼の前にはドラッグルーオンが立ちはだかった。

「くっ……」
「お主は戦士領域のネオスか。まさかこのようなところでお主と相対するとはのう」
「ドラッグルーオン殿……何故あなたまで」
「すまんのう……これも竜領域の、精霊界の平和のためなのじゃ。ここを通りたければお主の力をもってこの儂を押し退けてみせるのじゃな」
「……ならば仕方ない」

 ネオスが拳を構え、ドラッグルーオンが戦闘態勢を取る。奥ではHeart-eartH Dragonに巻き付かれて動けないギアーカをカオス・キマイラ・ドラゴンが痛めつけていた。ギアーカに残された時間は少ない。彼女を助けるためにはここで手間取っている場合ではなかった。ネオスがドラッグルーオンに攻撃を仕掛けようとした瞬間である。カオス・キマイラ・ドラゴンとHeart-eartH Dragonがギアーカから突如として離れていったのは。
 何が起きたのか、と思って目を白黒させているネオスの眼に映ったのは咆哮と共にエンタープラズニルから飛び立った光子竜、スカーライト、スターダストの姿だった。




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95 第84話:決意を秘めた決闘者 1422 9 2016-03-07 -
71 第85話:歩み始めた決闘者 1507 13 2016-03-08 -
112 第86話:真意を告げた決闘者 1560 7 2016-03-09 -
102 第87話:ポンコツ揃いな決闘者 1587 7 2016-03-10 -
58 第88話:とにかく可愛い決闘者・1 1480 10 2016-03-11 -
90 第89話:とにかく可愛い決闘者・2 1526 8 2016-03-13 -
87 第90話:五人五色な決闘者 1428 6 2016-03-14 -
122 遊希たちが4月改訂を語るようです 1455 8 2016-03-16 -
69 第91話:夕刻迎えし決闘者 1366 6 2016-03-16 -
86 第92話:解き放たれた決闘者 1606 6 2016-03-18 -
68 第93話:秘密を打ち明けた決闘者 1727 7 2016-03-20 -
62 第94話:一計案じる決闘者 1250 8 2016-03-22 -
74 第95話:絆深める決闘者 1431 10 2016-03-23 -
71 第96話:矛を交える決闘者・1 1376 9 2016-03-25 -
113 第97話:矛を交える決闘者・2 1307 6 2016-03-27 -
109 第98話:矛を交える決闘者・3 1402 7 2016-03-29 -
69 第99話:矛を交える決闘者・4 1385 7 2016-03-31 -
82 第100話:熱戦の決闘者・1 1362 6 2016-04-02 -
116 第101話:熱戦の決闘者・2 1400 10 2016-04-05 -
76 第102話:熱戦の決闘者・3 1415 11 2016-04-07 -
68 第103話:熱戦の決闘者・4 1367 6 2016-04-09 -
101 第104話:熱戦の決闘者・5 1496 6 2016-04-11 -
93 第105話:熱戦の決闘者・6 1437 6 2016-04-13 -
57 第106話:決戦に臨む決闘者・1 1368 6 2016-04-15 -
115 第107話:決戦に臨む決闘者・2 1438 11 2016-04-18 -
70 第108話:別れの時を迎える決闘者 1430 10 2016-04-20 -
65 番外編前編について遊希たちが語るようです 1464 6 2016-04-21 -
95 第109話:2通の手紙 1548 11 2016-04-23 -
92 第110話:青き眼のアトラクション 1475 6 2016-04-25 -
120 第111話:新時代のデュエル 1418 6 2016-04-27 -
79 第112話:ドラグーン 1337 6 2016-05-01 -
103 第113話:アクセラレーション! 1413 7 2016-05-03 -
105 第114話:熱気溢れしサーキット 1228 6 2016-05-06 -
126 第115話:新たなるブラックフェザー 1282 5 2016-05-10 -
128 第116話:疾走の果てに 1488 7 2016-05-12 -
47 第117話:ノンストップ・ガールズ 1511 6 2016-05-14 -
66 第118話:夏の終わり 1435 9 2016-05-16 -
111 第119話:謎の美少女 1490 4 2016-05-19 -
79 第120話:真・究極 1348 8 2016-05-21 -
54 第121話:遊希の動揺、遊望の微笑 1318 4 2016-05-23 -
56 第122話:聖夜の悲劇 1278 6 2016-05-25 -
50 30000アクセス記念企画を少々。 1206 5 2016-05-27 -
72 第123話:姉として 1325 3 2016-05-29 -
62 第124話:対峙する竜と龍 1362 3 2016-06-01 -
54 第125話:顕現せし遊望の精霊 1400 5 2016-06-03 -
54 第126話:No.(ナンバーズ) 1416 4 2016-06-06 -
101 第127話:届かぬ言葉 1403 7 2016-06-08 -
68 30000アクセス記念企画 1605 4 2016-06-10 -
59 第128話:白紙のカード 1340 6 2016-06-14 -
114 第129話:青空の下で 1227 3 2016-06-17 -
123 第130話:白いドラゴンとの邂逅 1496 4 2016-06-20 -
64 第131話:試練のデュエル 1332 4 2016-06-23 -
59 第132話:第四の精霊 1257 5 2016-06-26 -
105 第133話:舞い降りる閃珖竜 1385 4 2016-06-29 -
59 第134話:親友に託された力 1242 3 2016-07-02 -
95 第135話:涙の誓い 1310 4 2016-07-06 -
95 第136話:次元転送装置 1268 3 2016-07-09 -
90 第137話:新たなる竜星 1424 5 2016-07-12 -
53 第138話:綾香の忘れたもの 1240 4 2016-07-15 -
128 第139話:決闘者たちの選択 1215 5 2016-07-19 -
98 第140話:2人の真意 1278 7 2016-07-24 -
62 第141話:精霊界への旅立ち 1312 4 2016-07-28 -
57 第142話:黒き魔術師と弟子 1252 3 2016-08-02 -
115 第143話:七星将軍の襲撃 1312 3 2016-08-05 -
86 精霊界 登場キャラクター(9/14更新) 1333 0 2016-08-07 -
64 第144話:英雄と炎拳・1 1224 5 2016-08-10 -
67 第145話:英雄と炎拳・2 1194 4 2016-08-14 -
60 第146話:騎士王の覚醒 1206 6 2016-08-17 -
72 第147話:竜姫神と岩の合成獣・1 1272 3 2016-08-21 -
67 第148話:竜姫神と岩の合成獣・2 1247 2 2016-08-23 -
45 第149話:過去への鎮魂歌 1289 7 2016-08-26 -
85 50000アクセス記念企画~短編集・1~ 1321 3 2016-08-28 -
81 第150話:機械の身体に宿る心 1129 0 2016-08-31 -
52 第151話:空を超えて 1101 0 2016-09-03 -
112 第152話:竜と機械の大会戦 1181 0 2016-09-08 -
54 第153話:竜領域のナンバーズ 1201 0 2016-09-13 -
78 50000アクセス記念企画~短編集・2~ 1452 7 2016-09-17 -
102 遊希たちが10月改訂を語るようです 1281 4 2016-09-19 -
77 第154話:望まぬ戦い 1160 2 2016-09-23 -
63 第155話:正しさと過ち 1143 4 2016-09-27 -
54 第156話:少女の決意 1257 2 2016-10-01 -
115 第157話:遊希に起きた異変 1336 4 2016-10-05 -
109 第158話:未知なるデッキ 玻星光 1275 3 2016-10-08 -
108 第159話:玻璃の如く純粋に 1276 2 2016-10-12 -
105 第160話:限界を超えて 1247 3 2016-10-15 -
127 第161話:決戦 1256 3 2016-10-18 -
94 第162話:精神の成長 1226 2 2016-10-21 -
46 第163話:聖なる珖放つ神の竜 1254 4 2016-10-24 -
39 第164話:絆が紡いだ道 1355 6 2016-10-27 -
65 第165話:戦いの終わり 1320 4 2016-10-30 -
57 番外編 Trick or Treat 1194 5 2016-10-31 -
105 第166話:終わりの始まり 1378 9 2016-11-04 -
106 第167話:最期のワガママ 1432 4 2016-11-07 -
117 第168話:声なき再会の誓い 1308 4 2016-11-10 -
87 番外編:11月11日 1189 5 2016-11-11 -
68 第169話:七皇激突 1140 3 2016-11-15 -
47 第170話:怒りに生まれし竜 1117 3 2016-11-17 -
128 第171話:紅き新星竜 1410 5 2016-11-19 -
76 第172話:未来を賭けた戦い・1 1309 4 2016-11-22 -
115 第173話:未来を賭けた戦い・2 1216 3 2016-11-24 -
125 第174話:未来を賭けた戦い・3 1213 4 2016-11-28 -
132 第175話:神の目覚め(修正済) 1221 5 2016-11-30 -
147 第176話:ゴッド・ナンバーズ 1564 5 2016-12-02 -
97 第177話:次元を越える想い 1445 4 2016-12-05 -
137 第178話:天地創造の龍 1439 3 2016-12-07 -
102 第179話:希望への道 1346 3 2016-12-09 -
133 第180話:別れの時 1263 4 2016-12-11 -
103 第181話:少女たちの帰還 1204 5 2016-12-13 -
57 遊希たちが1月改訂を語るようです 1157 7 2016-12-15 -
121 第182話:バースデイ 1404 3 2016-12-17 -
94 第183話:星龍皇覚醒・1 1228 3 2016-12-19 -
102 第184話:星龍皇覚醒・2 1200 4 2016-12-21 -
80 第185話:星龍皇覚醒・3 1115 4 2016-12-22 -
95 番外編:一番のプレゼント 1204 5 2016-12-25 -
116 第186話:星龍皇覚醒・4(修正済) 1310 3 2016-12-26 -
97 星龍皇 設定・カード紹介 1294 0 2016-12-29 -
61 第187話:星龍皇覚醒・5 1208 4 2016-12-30 -
99 番外編:新年 1213 4 2017-01-01 -
74 第188話:星龍皇覚醒・6 1077 2 2017-01-04 -
114 第189話:星龍皇覚醒・7 1202 3 2017-01-07 -
56 第190話:神星龍皇と課せられた運命 1391 3 2017-01-09 -
125 エピローグ:未来 1656 10 2017-01-13 -
91 番外編:2月3日 1156 4 2017-02-03 -
89 番外編:愛と友情のチョコレート 1028 4 2017-02-14 -
77 番外編:桃(色)の節句 1078 4 2017-03-04 -
125 感謝とお知らせ 1248 2 2017-05-04 -
78 番外編:Gift 1105 2 2017-12-25 -
140 ゴブリンと青眼(ブルーアイズ) 1083 2 2018-01-14 -
112 アフターストーリー:星乃 綾香編・1 1740 2 2018-05-24 -
83 アフターストーリー:星乃 綾香編・2 984 2 2018-05-28 -
95 アフターストーリー:星乃 綾香編・3 908 2 2018-05-30 -
120 アフターストーリー:星乃 綾香編・4 1021 2 2018-06-03 -
112 アフターストーリー:星乃 綾香編・5 1069 4 2018-06-06 -
52 アフターストーリー:陽川 千夏編・1 829 2 2018-08-14 -
62 アフターストーリー:陽川 千夏編・2 826 3 2018-08-20 -
102 アフターストーリー:陽川 千夏編・3 859 3 2018-08-23 -
62 アフターストーリー:陽川 千夏編・4 819 2 2018-08-25 -
35 アフターストーリー:陽川 千夏編・5 759 3 2018-08-30 -
62 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・1 901 2 2018-09-01 -
203 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・2 1013 3 2018-09-07 -
92 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・3 733 0 2018-09-09 -
58 『雪と光竜と夢幻世界』コラボ・4 837 3 2018-09-12 -
118 番外編:願う幸福 1415 2 2018-12-25 -

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