53 ラストターンの駆け引き　作：ギガプラント

夏武斗「ストームシックルの効果発動！このカードより低い攻撃力のモンスター１体を破壊する！」


夏武斗「今ストームシックルの攻撃力はエナジー・コンダクターを上回ってる！そのまま破壊だ！」


光輝（シンクロ・ソニックはおとり…エナジー・コンダクターをカード効果で破壊するのが本当の目的…。）


夏武斗「シェーバースフィア！！」


鎌鼬に斬撃によりコンダクターの全身が切り裂かれる。


光輝（流石だよ夏武斗君……その思い切りとタクティクス、ここまで勝ち残っているのも納得だ！）


光輝「だが！！ここを勝ち上がるのは僕だ！！」


光輝「罠発動！『クラッシュ・スター』！」


光輝「自分フィールド上に存在するシンクロモンスターが破壊された時、手札及び墓地から攻撃力１０００以下のモンスターを１体ずつ守備表示で特殊召喚する！」


光輝「墓地よりより蘇れ！『Ｒ・Ｆ－ノヴァキッド』！」星３・ＤＥＦ１２００


光輝「そして手札から『Ｒ・Ｆ－ブリッツフェアリー』！」星２・ＤＥＦ６００
電子で構成された光り輝く蝶のようなモンスター。


茶ノ畑「上原選手、シンクロモンスターを倒されるもなんとかフィールドにモンスターを残した！これがどう響いてくるのかぁ～！！」


夏武斗「チューナーとチューナー以外のモンスターを１組まるごと特殊召喚……流石だぜ光輝さん！」


光輝「君の方こそ素晴らしいよ。あれだけ追い込まれた状況から一気に場をひっくり返すなんてね。」


光輝「いや、君にとっては『そもそも追い込まれてなどいなかった』と言った方が正しいのかな？」




--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



大駕「攻撃力４２００のシンクロモンスターか…。」


奏「…たったの４２００よ。大したことないわ。」


奏「攻撃力の強化はアイツの専売特許みたいなものだもの。火力で押し切る戦法で光輝には敵わない…。」


大駕「がっはっは！！言うようになったのう奏嬢！普段からそれくらい素直で居れば良いものの！」


奏「…引っぱたくわよ？」



--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



光輝「どんな状況でも折れない心…僕も見習わなきゃな。」


夏武斗「へへ！笑顔は勝利を運んでくるんだ！どんな状況も楽しむくらいじゃなきゃな！！」


夏武斗「俺はレベル５のスターホーン・ビートルにレベル３のブルズアイ・フェアリーをチューニング！」




密林の王者よ！燃えたぎる闘志をその身に宿し、猛き一撃で勝利を掴め！



シンクロ召喚！



出でよ！『ヴィクトリー・ビートル』！星８・ＡＴＫ２５００





夏武斗「俺はこれでターンエンドだ！」


光輝「成程…それが君の強さか…。」



光輝「ならそれを乗り越えさせてもらうよ！！僕のターン！」


光輝「このカードは、元々の攻撃力よりも攻撃力が５００ポイント以上高いモンスター１体をリリースして手札から特殊召喚できる！」


光輝「光輝球体によって攻撃力の上がったブリッツフェアリーをリリース！現れろ！『Ｒ・Ｆ－ビッグバレル！』」星５・ＡＴＫ２４００→２９００
大きな砲塔を複数個装着した機械戦士。


夏武斗「これでレベル合計は…８！」


光輝「これが僕の全力だ！僕はレベル５のビッグバレルにレベル３のノヴァキッドをチューニング！」





燃え上がれ、豪傑なる魂！勝利を導く王者の力、荒ぶる戦場に激震を巻き起こせ！



シンクロ召喚！



立ち上がれ！『Ｒ・Ｆ－ゴールド・ヴィクトリー』！！星８・ＡＴＫ２５００→３０００






--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



初「あ、光輝兄のエースモンスター…！」


竜太「けどまだ攻撃力全然足りてないぜ？」


初「大丈夫……光輝兄ならきっと乗り越える…！」


竜太（やっぱり光輝さんの事だと熱くなるんだなこいつ…。）


竜太「よっし！それじゃ信じてみるとするか。」


--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



茶ノ畑「出たあああ！！一回戦にて圧倒的な力を見せたシンクロモンスター、Ｒ・Ｆ－ゴールド・ヴィクトリー！！」


夏武斗「ほへぇ…やっぱり格好良いな…。」


光輝「ゴールド・ヴィクトリーのモンスター効果発動！ライフ１０００ポイントを代償に、ゴールド・ヴィクトリーの攻撃力をターン終了時まで５００ポイントアップする！」


光輝「ゴールデン・フォース！」ＬＰ２０００→１０００　ＡＴＫ３０００→３５００


光輝「このままバトルフェイズ！ゴールド・ヴィクトリーで、裂刃ストームシックルを攻撃！ゴールデン・ヴィクトリーフィスト！！」

黄金の鉄拳を大きく振りかざす。


夏武斗「っ！？攻撃力はこっちの方が上なのに…！」


光輝「それはどうかな！？僕は速攻魔法『シーソーゲーム・ドレイン』を発動！」


光輝「自分のモンスター１体の攻撃力の上昇分、相手モンスター１体の攻撃力をダウンする！」


光輝「ゴールド・ヴィクトリーの攻撃力は元々の数値より１０００ポイント上回っている、よってストームシックルの攻撃力も１０００ポイントダウン！」ＡＴＫ４２００→３２００


夏武斗「攻撃力が逆転！？ぐあああ！！」ＬＰ４０００→３７００


光輝「それだけじゃない！攻撃力３５００以上のゴールド・ヴィクトリーが相手モンスターを戦闘で破壊した時、そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手ライフに与える！」


夏武斗「！？」


光輝「更に２２００ポイントの追加ダメージだ！レイディアント・グロリアスレイ！！」

拳から放たれた閃光の渦が夏武斗に襲い掛かる。


夏武斗「っわあああぁぁぁ！！！」ＬＰ３７００→１５００


光輝「そしてこの瞬間永続罠シンクロ・ブラストの効果により、５００ポイントのダメージ！！」



夏武斗「っ！！」ＬＰ１５００→１０００

３回弾き飛ばされ地面に突っ伏す夏武斗。


光輝「………」





--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---


天音「夏武斗君！！」


ロバート「あーあ…優男っぽいけど中々にえげつない事しやがるなぁ…。」


仁「………」


天音「怪我していないと良いんですが……。」


ロバート「結構飛んだからな……まぁ多少擦ったり切れたりはしてんじゃねえの？」


仁「…あいつなら骨が折れてもデュエルを続けるだろうがな。」


ロバート「ははっそりゃいいや！」


天音「良くないですよ！！夏武斗君無茶するから…。」


ロバート「あれまぁ…良いお姉ちゃんだこと。」



--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



茶ノ畑「これは思いもよらない大ダメージ！！楠選手ピィィィンチ！！！」


光輝「さぁ夏武斗君、これでもまだ立ち上がってこれるかい…。」




夏武斗「………へへ。」

ゆっくりと起き上がる


夏武斗「やっぱ…デュエルはこうじゃなきゃな。」


夏武斗「光輝さん、俺今すっげえ楽しい…！」


光輝「ふふ…やっぱりか。君はそういう人だと思っていたよ。」


光輝「時々忘れがちになるデュエルを楽しむという根本的な気持ち。それを持ち続ける姿勢は心から見習わせてもらうよ。」


夏武斗「えへへ……昔さ爺ちゃんに教えてもらったんだ。」






夏武斗「まだデュエルを初めたばかりのころの話だけどさ。」



～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～


（楠家実家）


泣きながら帰ってくる夏武斗。

夏武斗「うわ～ん！！また負けた～！！」


爺ちゃん「おう夏武斗、久しぶりに見たと思えば随分と情けねえ顔してんじゃねえか。」


夏武斗「うぁ？爺ちゃん来てたのか…。」


爺ちゃん「来てたのかたぁまたご挨拶だな。はるばる船乗って孫の顔見に来たってのによ。」


夏武斗「悪かったよ…けど今忙しいんだ。」


爺ちゃん「ほおう…デュエルで負けて逃げ帰ってメソメソすんのに忙しいってか？」


夏武斗「うぐ…違えよ！！デッキを改造すんのに忙しいんだ！！」

カードを弄り出す。


夏武斗「今回負けたのは攻撃力不足のせいだ…だからここはこのカードを……」


爺ちゃん「おいおい夏武斗…」


夏武斗「今忙しいって言ったろ！…これはさっき使えなかったからこっちに入れ替えれば……」


爺ちゃん「なぁ夏武斗、デュエルってなぁそんな辛そうにやるもんじゃないだろ。」


夏武斗「なんだって？」


爺ちゃん「んな勝っただ負けただそんなことばっか気にしてっから泣きたくなんだよ。もっと楽しめ。」


爺ちゃん「神様って奴ぁ笑顔にならねえ奴が嫌いなんだ。そんなんじゃいつまで経っても勝てねえまんまだぞ？」


夏武斗「爺ちゃん………」



～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～ ～～～



夏武斗「その後、とにかくデッキに好きなカード詰め込んでデュエルしたんだ。」


光輝「そうしたら勝てるようになったというわけかい？」


夏武斗「いんや、ボロボロのボロ雑巾ｗｗやっぱり負けてばっかだったｗ」


夏武斗「けどさ負けてもなんだか楽しいって思うようになったんだ。」


光輝「負けても笑顔……か。それはきっととても大事な事なのかも。」


夏武斗「けどずーっと負けてばっかだった訳じゃないぜ？俺はこいつと一緒に強くなったんだ！」

ヴィクトリー・ビートルに目を向ける。


夏武斗「笑顔は勝利を運んできてくれた。今回だってきっとそうなるぜ！」


光輝「そうか……。」



光輝「ならそれを見せてみてくれ！僕はカードを１枚セットしてターンエンドだ！」




夏武斗「へへっ！やってやるぜ！こっからがホントの勝負だ！！」







夏武斗「笑う門には！ヴィクトリイイイィィィ！！！」


夏武斗「俺のターン！！ドロー！」


光輝（この状況を打破するカード…君なら本当にそんなものを引き当てられるのかもしれない…。）


光輝（彼の言う通り、ここからが本当の勝負！！）


夏武斗「俺はカードを１枚セット！」


夏武斗「そして、ヴィクトリー・ビートルを守備表示に変更！」ＤＥＦ２０００


光輝「守りに入ったか…。」


夏武斗「更に俺は墓地の『ガーディニアン』のモンスター効果発動！」


夏武斗「このカードをゲームから除外する事で、ヴィクトリー・ビートルは次の相手ターン終了時まで戦闘では破壊されない！」


夏武斗「ターンエンド！」




--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---


ロバート「あれま、守りを固めて終わりか…。」


仁「戦闘破壊はされないがシンクロ・ブラストは健在だ。ダメージを完全に防ぐ事はできない。」


ロバート「とはいえセットカードがあるんだ。あれが逆転の一手かもしれないぜ。」


天音「あのカードを警戒してくれるかもしれません。」


仁「…あくまで可能性の話だがな」


天音「きっと…きっと大丈夫です。」


--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---


光輝「逆転の一手は引けたのかな？僕のターン！ドロー！」


光輝「僕はゴールド・ヴィクトリーでヴィクトリー・ビートルを攻撃！」


夏武斗「！？」


茶ノ畑「上原選手！セットカードを恐れず攻撃してきたぁ！！」


光輝「どんな罠でも恐れはしない！！」


光輝「攻撃力３０００以上のゴールド・ヴィクトリーが攻撃する時、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない！！」


夏武斗「なっ！そんな効果まで……！！？」


光輝「ゴールデン・ヴィクトリーフィスト！！」


夏武斗「ガーディニアンの効果により、ヴィクトリー・ビートルは戦闘では破壊されない！！」


光輝「だが僕にはシンクロ・ブラストがある！自分のシンクロモンスターが攻撃を行った為、５００ポイントのダメージだ！！」


夏武斗「うわああ！！」ＬＰ１０００→５００


光輝「罠で攻撃を防ごうとしたようだが残念だったね。」


光輝「さぁ、正真正銘次が君のラストターンだ。最後まで正々堂々と戦おう。」


光輝「カードを１枚セット！ターンエンド！」



--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---


天音「攻撃時に魔法罠を封じる効果…。」


ロバート「こりゃあもう絶体絶命ってか？」


仁「………」


仁（夏武斗………お前はここで終わるのか？本当に…）


--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



夏武斗「ラストターン…か。」


夏武斗「だったら最後まで悔いなく行くまでだ！！俺のターン！ドロー！」





夏武斗（このカードは………）


夏武斗（このカードを使えば……もしかしたら）


夏武斗（………）


ヴィクトリー・ビートルをしっかりと見据える。



夏武斗「……そうだよな！」








夏武斗「よっしゃ！！いっくぜえええ！！！」


夏武斗「ヴィクトリー・ビートルを攻撃表示に変更！！」ＡＴＫ２５００


光輝「………！」


夏武斗「バトルフェイズ！」


光輝「何っ！！？」


--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --

初「バトルフェイズ！？」


竜太「何もせずにか！？」


楯山「あいつ何を……。」

--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

大駕「いや、奴は何か企んどる！そうに違いない！」


奏「さっきの光輝と一緒だとしたら……！」


奏（光輝…負けちゃったりしたら許さないんだからね…！）

--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

ロバート「なんだか面白くなってきたじゃないの。」


仁「………！」


天音「夏武斗君……！」

--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---



夏武斗「ヴィクトリー・ビートルでＲ・Ｆ－ゴールド・ヴィクトリーを攻撃！！」


茶ノ畑「何と！！楠選手攻撃力の低いモンスターで自らバトルを仕掛けたあああ！！」


光輝（こっちの攻撃力は３０００、対するあっちは２５００…このまま戦闘を行えばこちらの勝ち…！）


光輝（何だ！？何が来る！？僕なら……僕が彼の立場なら…！）






光輝「速攻魔法発動！『虚栄巨映』！」


光輝「ゴールド・ヴィクトリーの攻撃力は１０００ポイントアップする！！」ＡＴＫ３０００→４０００


茶ノ畑「おっと対する上原選手！！攻撃力が勝っているにも関わらず更に攻撃力を上昇させた！！このまま決まってしまうのかあああ！！？？」



光輝（僕なら、ダメージステップが終わるまでにどちらかの攻撃力を変化させる…！）


光輝（だったら手を打たれる前にこちらも攻撃力を上げる！！）


光輝「届けえええ！！ゴールデン・ヴィクトリーフィストオオオ！！！」


夏武斗「！！？」
















夏武斗「罠発動！『リアクション・エンハンス』！！」


夏武斗「モンスターが戦闘を行うバトルステップ時及びダメージステップ時に相手がカードの効果を発動した時！戦闘を行う自分のモンスターの攻撃力と守備力は次の自分ターン終了時まで倍になる！！」


夏武斗「これで攻撃力は２５００の倍！５０００だあああ！！」ＡＴＫ２５００→５０００


光輝「なっ！僕のカード効果に反応して攻撃力を上げるカードだって…！」


光輝「まさか君は……！！」


夏武斗「ヴィクトリーホーン・ストライクウウウゥゥゥ！！！」




光輝「攻撃時に僕がカードを使う事を見越していたのか！！？」



--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

ロバート「つまり、相手が何もしてこなかったら自爆特攻でそのまま自滅してたって事ね。」


仁「…危険な賭けだな。」


天音「夏武斗君…凄いです！！」

--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

大駕「まさか！！こんな捨て身な戦法があるというのか！！」


奏「光輝……！」

--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---




光輝（完全に裏をかかれた……。）


夏武斗「………！」


光輝（この戦法を笑顔を崩さずに…君はなんてデュエリストなんだ…！）


光輝（こんな形で終わらせるのは少々残念だけど…）






光輝「罠カード発動！『エクシード・クライシス』！」


光輝「フィールド上に存在する元々の攻撃力よりも高い攻撃力を持つモンスター１体を破壊し、お互いにその攻撃力の半分のダメージを受ける！」


光輝「僕はＲ・Ｆ－ゴールド・ヴィクトリーを破壊する！」


夏武斗「な！？」


茶ノ畑「ゴールド・ヴィクトリーの攻撃力の半分は１５００…って事は！？」


ゴールデン・ヴィクトリーの身体が眩い閃光を放ち大爆発を起こす。
輝きを含む爆風が二人を大きく弾き飛ばす。



夏武斗・光輝「「ぐわあああぁぁぁ！！！」」ＬＰ５００→０　ＬＰ１０００→０





ＤＲＡＷ










--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---

（次回予告）


夏武斗「引き分けかぁ。惜しかったなぁ。」


天音「でもとっても白熱したデュエルでしたね。」


夏武斗「よっしゃ！次こそは絶対勝ってやるぜ！いっくぞ～……」


仁「…再戦はまだ先だ。」


夏武斗「え？そうなの…？」


天音「次回！『グレイシア再び』！」


天音「次の相手は……」
--- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- --- ---
・記念すべき初ＤＲＡＷ。