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HOME > 遊戯王SS一覧 > ep.3 暗闇に咲く白百合III

ep.3 暗闇に咲く白百合III 作:イツとき

イツキ「っ!…がぁあぁぁあぁぁぁ!!」

…頭が…割れる

これも…マキナの影響…?

「何が起こっている!ハクア!」

男の怒号が響く

男の声など聞こえていないのか、ハクアは呆然とつぶやく

ハクア「始まった…適応反応…」

適応…反応、なんだよ…それ

くそっ!今すぐ…聞き出したいのに…意識が…もう…

XXX

イツキ「…っ、ここは…?」

眩しい…さっきまで俺は暗闇の中でデュエルしていたはずだ

それがどうしてこんな場所に…?

見渡す限りの白亜の大地、その向こうに見える波一つ立たない凪いだ海

そこには俺が立ち尽くすのみで他には何もない

でも何処か懐かしいような優しいような、いつまでもここにいたくなる

「それは、此処が君の心の中だから」

何もないはずの背後から聞こえた声に思わず振り返る

そこにいたのは黒いドレスを着た白い肌に薔薇色の髪の少女だった

歳は対して変わらないように見える

それより彼女の言葉だ、俺の心の中ってどういうことだ?

「そのままの意味だよ。ここは君の心の中、精神世界もしくは魂の可視化…まぁ呼び方は人それぞれだけどそういう類の空間」

どうにも信じがたい、それが本当だとしたらここにいる彼女は何者だ

なんで俺の心に別の誰かがいる?

いきなり目の前の少女の口元が人を小馬鹿にしたように歪む

「わからないの?あんなに苦しんでたのに?」

苦しんで…まさかー

「そう!それだよマキナだよ!!
私はあなたに根を張ったマキナなの!」

マキナと名乗った少女は嬉々として騒ぎ出す

というか…

イツキ「お前ー」

マキナ「お前じゃないー!マキナ!」

なんかムカッときたがまぁいいか

イツキ「マキナ、お前さっきから俺の心読んでるよな」

マキナ「うん。まぁ読んでるわけじゃないんだけど」

さも当然と言うようにマキナは頷く

マキナ「ほらさっき言ったでしょ私はイツキに根を張ったって、つまり今私とイツキは一心同体…いや二心同体ってとこかな?私の根もあなたの精神に接続されている。だから私はイツキの精神に現れられるし、イツキの精神が考えてることもわかるってわけ」

イツキ「待て、確かにマキナは俺の体に根を張っていた、だがさっきお前も言った通り精神は不可視のものだ。それなのにどうやって根を張ることができる?まさか頭に根を張って…なんて言わないよな」

精神は不可視であり、質量を持たない。そんなものにどうやってあの白百合が根を張るというのだ

だがマキナの表情はさっきから変わらないニヤニヤ笑いのままだ

マキナ「そうだよ、精神には質量がないし触れることもできない。でもそんなの私には関係ない」

マキナ「マキナの本体はあの花じゃない、マキナっていうのは簡単にいえば死者の魂なの」

死者の魂…

イツキ「どういうことだ、じゃあの花は何のためにー」

マキナ「あぁもう、あの花はイツキがボロボロだったから回復のために植えただけ。あの体じゃマキナの適応反応にはたえられないからね」

絶妙にイラつくな…ってこれもあいつには聞こえてるのか。

まてよ

イツキ「マキナ、さっきお前の精神が俺に接続されているから俺の考えが読めるって言ったよな?」

キョトンとした顔で首をかしげるマキナ

その後すぐにさっきまでの嘲笑を浮かべる

マキナ「あぁ、なんでイツキにわたしの心が読めないかって話?簡単だよさっきも言った通りわたしの魂は死んでる。すでにわたしの魂は活動を停止してるの」

マキナは自分の口を指差す

マキナ「死人に口なし。死人は生者の声を聞けるけど生者に死人の声は聞こえないの」

そう言ったマキナの嘲笑の陰に少しの寂しさが見えた気がした

マキナ「でも、ここは自分の家みたいに居心地が良いよ」

イツキ「どういうことだ?」

突然うごきだしたマキナは俺の周囲をグルグルと歩き回る

規則的なマキナの靴音が何もない空間に響く

マキナ「知ってるイツキ?人は心の中に部屋をつくるの。大切なものを入れておくための部屋…いやなものから守ってくれる部屋、そういう部屋をみんな持ってるの」

さっきまでとは違う、どこか懐かしむような…心にしみてくる言葉達

イツキ「いきなり、それがなんだってー」

マキナは自分の唇に指を当て俺の言葉を制す

俺が黙ったのを確認するとマキナはもう一度話を再開する

マキナ「それともう一つ、人の感情っていうのは少しのことでも揺れ動く。普段何にも気にしてないことでも実は揺れてるの、水面に広がる波紋のように」

マキナは立ち止まる

マキナ「でも見て!ここにはなーんにもない!」

マキナは大声をあげ両手を広げて嬉々として笑いだす、天を見上げてはしゃぐ子供のように

マキナ「大地には部屋があり、海は感情の波で揺れる!それが人の心!
でもここには…イツキの心には何一つない!」

豹変したマキナに俺は声も出せずにいた

マキナ「君の心は空っぽ、何も感じてない…まるでわたしと同じ…死んだ心の作り物!」

心が…死んでる?作り物…?

今こんなにもショックを受けている自分も…全部偽物?

マキナは俺の方を向くと一言

マキナ「だから、わたしが貰うね?」

突如空間の至る所に裂け目ができ、そこから伸びた鎖が俺の四肢を拘束する

イツキ「くそっ!なんだこれ…外れない!」

最後にマキナはこれまでとは違う満面の笑みを俺に見せた

マキナ「バイバイ、死人さん…」


XXX


「聞いていないぞハクア!これはどういうことだ!」

光を失った瞳で立ち尽くすイツキを見ながら男は怒号を響かせる

ハクア「今彼の精神はマキナに…」

???「あ〜うるさいなぁ〜」

ハクアを遮った声はイツキから出たものだった

イツキ?「せっかくのデュエルなんだから楽しませてよ」

さっきまでとはまるで雰囲気の違うイツキに対し男は殺気を纏う

「お前は誰だ」

男の言葉に口角を吊り上げ、イツキの姿をした何者かが嬉々とした表情を浮かべる

イツキ?「今更だね、わたしは君達が追い求めていたもの…マキナだよ」

その場に戦慄が走る、男は見開いた目でマキナを捉える

マキナ「あれ〜?もしかして君は自分が何を追っているかも知らずにここまで来たの?バカなの?」

「っ…!そんなことは関係ない、俺はただマキナを奪うだけだ!さぁ続けろお前のターンだ!」

マキナの顔はさらに嬉々としたものとなりもはやイツキの面影は少しもない

マキナ「いいよ、いいよ!そうこなくちゃ!」

マキナ「改めて、わたしのターン!手札から魔法カード「降魔竜染」を発動!
フィールド上の闇属性モンスター1体の攻撃力を自分のドラゴン族モンスター1体の攻撃力に加える。ドーンウィングにイドラ・スピクスの攻撃力を加算!」
ドーンウィング ATK2200→4400

男の顔に焦りの色が浮かぶ

マキナ「でも、この効果の対象になったモンスターの戦闘で相手の受けるダメージは半分になっちゃうの。まぁこのカードがあれば関係ないんだけど」

マキナは手札からカードを1枚抜き取りちらつかせる

男はそのカードを憎しみの表情で睨みつける

「どうしたの?怖いの?当然だよね、なんたってわたしが相手なんだから!さぁさぁ行くよ、魔法カード「カースマキナ」発動!」

「カースマキナ」がデュエルディスクに叩きつけられるとイツキの体から黒い瘴気が立ち昇り、天井のすぐそばまで到達すると形を作り始める

マキナ「カースマキナの効果でエクストラデッキからレベル5の「バーニングクロードラゴン」とレベル4の「スカーレットサラマンダー」を墓地に送る」

黒い瘴気は形を形成し終えると徐々に晴れていく、姿を現したのは中央に血管のように白百合の根と紫の閃光の走る歯車状の黒い巨体な円盤

「これが…マキナ」

男は目を見開き数歩後ずさる

黒い円盤の、その機械の中央に稲妻状の亀裂が走り左右に重々しく開き始める

マキナ「そして、この効果で墓地に送ったモンスターのレベルの合計と同じレベルを持つSモンスター1体をS召喚扱いで特殊召喚する」

開いた機械の奥に広がる虚空、そこに2体の竜が断末魔を響かせながら吸い込まれて行く

マキナ「呪われし魔神機よ、白百合の契約に従い、かの厄災を降臨させよ」

2体の竜の断末魔の響きをも飲み込んだ虚空の彼方から黒い瘴気が放たれ、その場を満たす

マキナ「漆黒の翼は世界を覆い、絶望が産声を上げる…」

その瘴気の中黒い巨体が虚空から降りてくる

マキナ「今こそ終焉を齎せ!『カースマキナ・カタストロフドラゴン』」
(星9 闇 ドラゴン ATK3500)

黒い巨体は自ら包む翼を広げ、その姿を顕現する

広げられた八枚の漆黒の翼の上を、光を発しながら走る血脈。その先には黒い羽毛に覆われた腕の切り落とされた体とそこから伸びる竜の頭。肩から先の無い腕を補うように黒炎が竜の手を形作り本来あるべきところに滞空している。

悲しみと絶望、憤怒の満ちた紅い瞳が真っ直ぐに男を見つめる

男は声も出せずにただその瞳を睨み返す

マキナ「恐れなさい絶望しなさい、そうじゃなきゃ楽しめない!カタストロフドラゴンの効果発動、このカードのS召喚に成功した時このカード以外のフィールド上のカード全てを破壊する」

黒き竜は黒雷の瘴気を放つ

「リバースカードオープン、「スパイラル・ナイトメア」自分のナイトメアカードの破壊を無効にし、墓地の「D.nightmare」モンスター1体を手札に戻す」

この効果で男は「D.nightmare レイジ」を手札に加えた

結果として破壊されたのはマキナのフィールド上のドーンウィングとリバースカードのみとなった

だが、マキナの表情に変化はなく口角は嘲笑で歪んだままだ

マキナ「あーあ、そんなことしても無駄なのに…カタストロフドラゴンがその効果でモンスターを破壊した時、その攻撃力の合計の数値をこのカードの攻撃力にできる」
カタストロフ ATK3500→4400

マキナ「さらにドーンウィングの効果、ドーンウィングがカードの効果で破壊された時1度だけ蘇生できる」

これでマキナの場には攻撃力の4400となったカタストロフドラゴンと2200のドーンウィングが、男の場には攻撃力の2200のイドラスピクスが並ぶ

マキナ「さっさと終わらせて上げる、カタストロフドラゴンでイドラ・スピクスに攻撃!!」

カタストロフの黒炎の手にイドラスピクスは握り潰された

unknow
4000→1800

「破壊されたイドラ・スピクスの効果発動、このカードが墓地へ送られた場合、墓地のこのカード以外の「D.nightmare」モンスター1体を特殊召喚できる。俺は「D.nightmare マリス」を守備表示で特殊召喚(DEF1500)
そしてマリスの効果でお前の場にナイトメアトークンを特殊召喚(ATK1500)」

マキナ「ふん、ドーンウィングでマリスを攻撃。続けてナイトメアトークンでダイレクトアタック」

unknow
1800→300

マキナ「めんどくさいなぁーターンエンド」

Itsuki→Makina
H1M3B0

男はなんとか耐えたがそのLPは僅か300

「俺のターンドロー、このターンを迎えられれば俺にも勝算はある」

「俺は「D.nightmare グラッジ」を召喚(星4 闇 悪魔族 ATK1000)、さらに相手の場にナイトメアトークンがいることで手札からレイジを特殊召喚(星4 闇 悪魔族 ATK200)」

これで男のフィールドにはまたも同じレベルのモンスターが2体

「俺はレベル4、D.nightmare グラッジとレイジでオーバーレイネットワークを構築、漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙! 今、降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク4「ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン!」(ランク4 闇 ドラゴン族 ATK2500)」

艶めかしい黒竜が雷鳴とともに現れる

「カタストロフドラゴンを対象にダーク・リベリオンの効果発動、トリーズン・ディスチャージ!」
ダークリベリオン ATK2500→4700
カタストロフドラゴン ATK4400→2200

マキナ「それぐらいで、勝ったつもり?!
カタストロフドラゴンの効果発ど…!」

(人の体で好き勝手してるんじゃねぇよ!)

マキナ「何!?…う…ぐ…あぁあぁぁあ!」

突如苦しみだすマキナとともにカタストロフドラゴンも呻き声を上げる

見るとカタストロフの翼が朽ちて行っている

マキナ「まさか!私の力に抗えるっていうの!?」

マキナは驚愕の声を上げながらその口元を苦痛で歪ませる

苦しむその体、その胸に一つの光が灯っている

マキナ「邪魔…しないで…」

(それはこっちの…セリフだ!!)

マキナ「あぁ…あぁあぁぁあ!!!」

胸の光は膨れ上がりついにイツキの体を包む

次第に光は収まりその中から瘴気の消えた体が現れる

そして小さな笑いとともに顔を上げる

イツキ「戻ってきたぜ、悪夢野郎」

その胸には赤い石の埋め込まれた金色のロケットが光っている

男はそのロケットに目を見開きやがてゆっくり閉じ、口元を綻ばせる

小さな声で「そうか…」と呟くと男は目を開けイツキをしっかりと捉える

「悪いが他にやることが出来た、この勝負はお預けだ…イツキ」

男は笑顔でそう言うとダーク・リベリオンに飛び乗る

イツキ「おい、ちょっと待て!」

イツキは男を呼び止めようとするがダーク・リベリオンの羽ばたきに遮られる

「またいつか会おう、決着はその時だ。
それまでそのマキナを守っていろ!」

男が手元の端末を操作すると地下の閉ざされていた扉が開きダーク・リベリオンはそこから飛び去る

なんなんだ、いったい…ってそれよりハクアさん!

そう思い振り向くとその姿はとうに消えていた

残ったのは、とてつもない疲労と謎とこの「マキナ」だけだった
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イツとき
しばらくの間更新できず申し訳ありませんでした、この「暗闇に咲く白百合」は次で完結となります。
次はそんなに長くはないので直ぐに更新できると思います。
また、次で皆さんにご報告がありますのでそちらも読んで頂けると嬉しいです (2016-03-28 03:49)

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