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HOME > 遊戯王SS一覧 > 始まり〜不可思議な歴史〜

始まり〜不可思議な歴史〜 作:名無しのゴーレム




「……ハァ、全然進まねぇ」



ーー夏休みに1人、近所の図書館で歴史書とにらめっこ。よそから見れば勤勉な男子学生に映るだろうが、その実情はやや異なる。



「それにしても旭(あさひ)の奴、こうなるのが分かってて俺とペアを組みやがったな? ……クソッ、まんまとハメられたってわけか」



その経緯をざっくりと説明するならばーー俺と旭は夏休みの課題、『自分たちである歴史のテーマを定め、それを調査する』においてペアを組んでいた。だが……



『あ、ユウ君? 私さ〜、明日からちょっくら海外まで行かないといけなくなったんだ。だからさ、あの課題、ケイ君がやっといてくれない?』
『……は? いや待て、お前、何言って……』
『本当!? ユウ君、ありがとね! じゃあ後は任せた!』
『おい、誰もいいなんて……切りやがった。……マジかよ』



そんな一方的な電話により、俺は1人で課題を終わらせることとなった。とりあえずこうしていろいろ探してはいるのだが……




「『ペガサス・J・クロフォードが作り上げたとされているデュエルモンスターズ。だがしかし、その起源は遡ること古代エジプトにあるとされ』……本当かねぇ」





テーマについては学校で旭と話し合ったが、旭の『デュエルモンスターズの歴史なんて面白そうじゃない?』という一言で決定していた。だが……




(……それっぽい本があったと思って手に取ってみたが、胡散臭さがスゲェ。なんだよ、『十二の次元』って。そこらのオカルト本よりも凝ってるんじゃないか?)







「……ねぇ君。デュエルモンスターズの歴史に興味があるのかい?」
「……?」



突如、後ろから声をかけられた。振り返ると、そこには1人の男性が。



「……誰、ですか?」
「ああ、失礼。僕はここの者でね。君、ずっと歴史書のエリアにいただろう? 僕も歴史は好きだから気になったんだ」
「いやぁ、それが……」



失望するかもしれないが、彼には事実を話そう……




「……なるほど。それで、発表の内容をまとめるのに四苦八苦していたと?」
「はい。でも、どうにもいいのがなくて……」
「ふむ。……なら、これはどうだい?」



そう言って、彼は1冊の本を取り出した。



「……それは?」
「これは僕のお気に入りなんだ。良かったら1度読んでみてくれないか?」
「……それじゃあ」







……おいおい、なんだよこれは。






「…………」
「あ、読み終わったのかい?」
「はい。でも、これ……」
「なかなか面白かったろう? 君の感想を聞かせて欲しいな」
「……他の歴史書とは中身が異なりすぎて、漫画や小説を読んでいる気分でした。それにしてもこれ、本当のことなんですか?」
「らしいよ。……まあ、歴史なんて多かれ少なかれ尾ひれが付いているものだとも言うし」
「いや、それにしても……1つの大陸の君主がすべて女性だった時代があって、しかも闘いがカードゲームで行われていたなんて、やっぱり漫画みたいで……」
「事実は小説より奇なり、だったかな? ともかく、そういう記述があるのは紛れも無い事実だからね」
「…………」
「……ところで、君の1番好きな女王様は誰なんだい? ほら、ここに肖像画があるだろう。見た目でもいいし、もちろん内面でも……どうだい?」
「そうですね……」



肖像画と言ってはいるが、何人かのそれは酷くぼかされていて、きちんと容姿が分かるのはごく少数であった。今読んだだけではあまり彼女たちの内面を掴むことも出来なかったため、選ぶとすればやはり見た目重視に……



「……それなら、彼女ですかね」
「……そうかい。それは良かった」



何故か、彼は今までよりも嬉しそうな表情を見せた。


「……ところで、決め手はやっぱり見た目かい?」
「そ、それは……」



というかそれ以外に選びようがないだろ、これ。……まあ、それを差し引いても『彼女』は綺麗だった。この肖像画を見ても俺と大して変わらないくらいの年齢に見えるし、それに……



「……ぶっちゃけタイプだったり?」
「そ、そんなことは……」
「隠さなくてもいいんだよ。……実は、僕も彼女のことが気に入っていてね。彼女は、前王ーー父を亡くしてから子供ながらに国を守るために奔走しているんだ。本当、苦労も絶えなかっただろうね……」



そう言えば、そんなことも書いてあったような……急に国を治めろなんて言われて、彼女は何を思ったのだろうか……




「……彼女のことが、気になるかい?」
「……はい。だってこの本、途中から白紙で何にも書いてないんですから……」




その歴史書は、ある強国が『彼女』の国に攻め込んだーーそれから先は、すべて白紙となっていたのだ。これでは気になるのも仕方がないだろう……



「じゃあ君は、どんな結末であって欲しい?」
「……そりゃあ、負けて欲しくはないな……としか」
「……なら、君も彼女の力になりたいと?」
「…………?」



一体、何を……



「答えて欲しい。君は、彼女のために戦いたいかい?」
「……そんなの出来るわけないでしょ。それに、俺一人が加わったところで歴史が変わるとも思えないし……」
「つまり、可能であるのならば力になりたい、と」
「いや、だからそんなこと……」
「よし、じゃあ行くか!」
「……え?」



パチンッ!



彼が指を鳴らすと、突然視界が……



「な、何だよ、これ……」
「……さぁて、一緒に頑張ろうぜ、我が主のために……」



彼のその言葉を聞いたのが、俺が意識を失う前に覚えている最後のことであった……



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ター坊
ドヒャー!三本目の連載。創作のアイディアが湧いて羨ましい。
意外と今までにないファンタジー(?)な設定は新鮮に映ります。ユウ君はおかしな男の手でどこに連れ去られるのか? (2016-02-19 22:38)
名無しのゴーレム
ター坊さん、コメントありがとうございます。
実はアイデアだけなら3、4作分くらいあるという……書く時間がないからアイデアのまま放置してありますが、とりあえず短く仕上げられそうなこの作品を書き始めてみました。まあ完結するとは言ってないんですけど(意味深)。大体2週間くらいで終わらせます。
次回はいきなりデュエル回です。短編ですからテンポよくいかないと……ああ、次の日のことを考えずにssが書けるって素晴らしい! (2016-02-19 23:46)

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