紅蓮王国編まとめ、3。　作：黒壱(クロイツ)

紅蓮王国編ラスト。

◎哀れなるかな、敗残者
カウンター罠
①：自分フィールド上に攻撃力3000以上のモンスターが存在し、相手が墓地に存在するカード、または墓地から除外して発動するカードの効果を発動した場合に発動できる。そのカードの効果を無効にし、ゲームから除外する。ターン終了時まで、お互いに墓地に存在するカードの効果を発動できない。
フレーバー：
『貴公らは負けた、ということを理解出来ていないようだ。その天秤に何を乗せようが、天秤に意味があるかを決めるのは此方だ。一切合財、何もかも』
ーー紅蓮王 ヴァーミリオン
イラスト、設定：
交渉のテーブルを剣で叩き割るヴァーミリオンのイラスト。
元ネタはラテン語の成句、「アウェ・ウィクティス」から。ガリアの将軍ブレンヌスがローマを征服した際の逸話。
紅蓮王国的には、王になったばかりのヴァーミリオンが諸国を攻め取っている時代の話。
効果解説：
直接的な【紅蓮王国】とのシナジーは無いが、ヴァーミリオンか姫将軍クリムを立てている時に墓地発動や手札から捨てて発動するカードを防ぐことができる。発動以降そのターンの間墓地発動を防ぐので、特にシャドールに対し特効。


◎紅蓮王の撤退戦
速攻魔法
①：自分フィールド上に存在する炎族モンスター1体を対象として発動する。自分のライフを対象のモンスターの攻撃力分回復し、カードを1枚ドローする。その後、対象のモンスターをゲームから除外する。
フレーバー：
『撤退とは負けた後に行うものじゃない。負けない為の策。要すれば撤退することも勝つために必要なこと。……だから、どうか。勝って、陛下。私はその策となる』
ーー紅蓮王の軍師 セピア
イラスト、設定：
振り向きながらその眼に涙を浮かべ、不器用に微笑むセピアのイラスト。
ハイランディア平和主義共和国との戦いで惨敗を喫した紅蓮王国軍を撤退させるために、殿を申し出た軍師セピア。
ありとあらゆる手を尽くしハイランディアに出血を強いたが、その数ヶ月後、ヴァーミリオンの前に現れたのはハイランディアに心身を侵蝕されその手先となったセピアの、変わり果てた姿だった。
効果解説：
ドローがついた代わりに除外されるようになった中華鍋。全体除去にチェーンして攻撃力の高いモンスターを除外し、一緒に破壊されたファラの効果で帰還させると美味しい。


◎紅蓮王の姫将軍 クリム
炎族・シンクロ ☆8 炎属性 ATK：2800 DEF：0
炎族チューナー＋チューナー以外の炎族モンスター1体以上
「紅蓮王の姫将軍 クリム」の①②の効果は、いずれか1ターンに1度しか使用できない。
①：相手がモンスターの召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。そのモンスターの効果を無効にし、自分のライフをその攻撃力分回復する。
②：相手フィールドに存在するカード1枚を対象に発動する。対象のカードを破壊し、お互いに1000ダメージを受ける。この効果は相手ターンでも発動できる。
③：このカードが相手によって破壊され墓地に送られた時に発動する。自分は2800ポイントのダメージを受ける。
フレーバー：
『遺恨を忘れよとは言いません。ですが、ハイランディアはこの大陸に落ちた毒の雫。彼らは誰とも共存出来ないのです。我々が我々のままで敵を滅ぼすか、全てがハイランディアとなるか。貴方がたは既に戦の当事者なのです』
ーー紅蓮王の姫将軍 クリム
イラスト、設定：
深紅の具足を纏い、馬上でサーベルを振るうクリムのイラスト。
ハイランディアに2度目の戦いでも敗北を喫し、ヴァーミリオン本人も行方不明となった後。クリムは震撼する王国をまとめ上げるために奔走した。
セリフは彼女が諸国に対して発した共闘宣言。
ちなみに当時の彼女は復讐に燃えており、謀略と脅迫を多用しながら戦力を補強していた。
防御主体の戦術を好んだ幼少期と打って変わり、短期決戦を好み火力至上主義を標榜するなど、過激な部分が目立つ。嫌いなものはイカれた宗教と理屈の通らない暗愚。好きなものは圧倒的砲火と徹底的蹂躙。後、自由経済と公共事業も好き。
シンクロ召喚時の口上は
「輝かしきこと暁の如く、ここに勲（いさお）の華と咲け！ シンクロ召喚、進撃せよ！《紅蓮王の姫将軍 クリム》！」
①の効果名は「クイックバラージ」、②は「サテュレイションシュート」、攻撃名は「ディサイシブチャージ」。
効果解説：
【紅蓮王国】唯一のシンクロモンスター。ちなみに高い攻撃力は部隊の統率力であり、低い守備力は個人の武勇。つまり本人はやっぱりか弱い。
貴重な回復能力に加えて敵の効果を無効にし、除去しつつの展開までこなせる。
破壊された時のデメリットとして大きなダメージを負うが、①の効果を使っていないターンならばこれによって蘇生可能。


◎紅蓮王の砲兵 アーティ
炎族・チューナー ☆4 炎属性 ATK：1000 DEF：0
①：1ターンに1度、手札を１枚捨て、相手フィールド上に存在する守備力2000以上のモンスター１体を対象に発動できる。対象のカードを破壊する。
②：このカードが墓地に送られた場合に発動する。お互いのＬＰに800ポイントのダメージを与える。
フレーバー：
「砲声はあらゆる喚声を押し退けて、炎の凱歌を唄い上げる。
『機械油に塗れた彼奴らは、きっと良く燃えるのです』
紅金の髪を靡かせて、復讐の戦姫はからからと嗤った」
ーー紅蓮王国記 第5章「逆襲」より抜粋
イラスト、設定：
名前は砲兵（Artillery）から。
糸目が特徴の青年で、赤い髪をオールバックにしている。「枯れている」と言われるほどに淡々とした性格だが、射撃センスは素晴らしく、座標さえわかれば間接射撃で初弾命中を連発するほど。
ちなみに使用するのは榴弾砲だが、カノン砲でもその精度はほぼ変わらない。
効果解説：
除去つきチューナーというかなりアレな性能をしているが、大型の標的しか狙えず手札も消耗するのが難点。
ヴァリエールから出してクリムに繋げるが、墓地に行くと強制効果で火薬に誘爆する。蘇生の火種にはなるが、取り扱いには注意。


◎紅蓮王の特務長官 カーマイン
炎族・シンクロ・チューナー ☆5 炎属性 ATK：1000 DEF：2200
チューナー1体＋チューナー以外のモンスター1体以上
「紅蓮王の特務長官 カーマイン」の①②の効果は、それぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①：このカードが特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキからレベル4以下の「紅蓮王」モンスター1体を墓地に送り、ターン終了時までこのカードの攻撃力を墓地に送ったモンスターの攻撃力分アップする。
②：このカードが墓地に送られた場合に、相手フィールド上に存在するモンスター1体を対象として発動できる。対象のモンスターの攻撃力を0にして効果を無効にする。この効果は自分フィールド上に「紅蓮王」カードが存在しない場合発動できない。
フレーバー：

「時に、ノエル殿。ひとつ質問をよろしいですかな？」
城内を案内されていたノエルは、目の前の男の言葉に思わず足を止めた。
如何に同盟した相手とはいえ、ノエルは紅蓮王国にとっては元敵国の諜報員である。監視がつくのは当然であった。
ノエルを案内していたのは老境に差し掛かろうかという年頃の男性で、如何にも執事然とした服装をしている。
だが只の執事でないことは、ノエルの目から見れば瞭然であった。
「ええっと、お答えできることであれば」
如才なく微笑みながら、周囲を探る。何者かが潜んでいるような気配は無い。
「……クリム殿下のことは、どのようにお考えですかな」
「え？ クリムですか」少し拍子抜けして、頬をかく。「勿論、凄い人だと思ってますよ。あの年齢で国家の指導者として充分な能力があって、本人もそれを更に伸ばそうと努力してる。見習いたいぐらいですよ」
「それは有難いお言葉です。私共と致しましても鼻が高い。……ですが、私のお尋ねしたいのはそういうことではなく」
俄かに、猛禽類を思わせる眼光が男の目に宿った。反射的に腰の剣に手をやろうとして、すんでで思い留まる。
こんな場所で剣を抜けば大事になる。目の前の男もそれを承知しているのだろう。
男がおもむろに再び口を開く。

「ーー私共の聞きたいのは、殿下を女性としてどう見ておられるのか、ということで御座います」

「……は？」
混乱する。今何と言っただろう。
「えーと、可愛い娘だと思います。友人として誇らしいぐらいに。きっと求婚される殿方も多いのでは？」
「殿下は全ての縁談を断っておいでです」執事は首を振った。「自分は国と結婚する身なのだと。誇り高い決意ではありますが、いささか不憫だと常々感じておりました。しかし、近頃の殿下は政務とは関係無いことを思い患っておられるようなのです」
段々話が見えてきたが、何やら誤解があるようにも思える。
「その、それが自分とどのような関係が……」
「憚りながら、殿下は貴殿と会われるのを、いつも心待ちにしておられるように思えます。……無礼を承知でお聞きしますが、本当に、単なるご友人であられるのでしょうか」
物理的な圧力すら感じる視線が、ノエルを射抜く。
「あの、こう見えても僕は女で」
「存じ上げております」にべも無い。「ですが世の中には、女性同士の道ならぬ恋もありましょう」
「は、はぁ」
「もし、もし貴殿が本気で殿下のことを考えておられるならば、これ以上の無粋は慎みましょう。ただ、貴殿が聖夜教国の騎士として殿下に近付いたのであれば……」
ぎらり。
「決してそのようなことは！ 神と名誉にかけて！」
「……ならばよろしいのです」
即座に否定したノエルに、執事は意外なほど簡単に矛を収めた。
だが、ふと会話の流れを思い返して、ノエルの額に汗が滲む。
（あ、あれ？ いつの間にか外堀が埋められてる？）
「今後も、殿下の良きご友人でいて貰えるでしょうか。勿論、それ以上を望むのであれば、国を捨てる覚悟をして頂きますがね」
冗談ともつかない台詞を口にして、執事は小さく笑った。
それに返すノエルの笑顔は、しかし何とも言えず引き攣っていたのであった。
イラスト、設定：
執事服を着た初老の男性。如何にも好々爺とした印象だが、眼差しは鋭く動作には隙がない。
元々紅蓮王に滅ぼされた国で、半ば飼い殺しの目に遭っていた諜報組織の長。流浪の中でクリムと出会い、その野心と将来性に惚れて配下となった。
効果解説：
紅蓮王初のシンクロチューナー。墓地肥やし、アタッカー、相手弱体化の三役をこなす。
③の効果はタイミングを逃さないため、姫将軍クリムをシンクロして発動に繋がる。