16 騎楽士の猛攻！戦いのコンチェルト！　作：ギガプラント

夏武斗「えーっと…ここか？」


初「誰も……居ないみたい…だよ？」


夏武斗「うーん、やっぱ虱潰しに廻るのは時間がかかるかなぁ？」


初「………」


夏武斗「よし、じゃあ次は……」


初「あの……」


夏武斗「ん、どうした？」


初「スタッフの人に…聞いてみたら、どうかなって…。」


夏武斗「あ……」






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奏「私のターン！ドロー！」


奏「さ、こっちも攻めさせて貰うわよ！私は『騎楽士（インスター）レント』を召喚！」星４・ＡＴＫ１６００

穏やかな表情を崩さない女の子の騎楽士。


奏「連合軍の効果により、攻撃力は４００ポイントアップ！」ＡＴＫ１６００→２０００


奏「さぁこれでこっちの方が攻撃力が上よ！バトル！」


天音「…！」


奏「騎楽士レントで、アプリコット・レイニーを攻撃！！」



天音（よし！）


奏「！」


天音「罠カード発動です！『モンスターン』！」

強烈な向い風が巻き起こり攻撃を妨害する。


天音「相手モンスターの攻撃を無効にし、更に攻撃モンスターより低い攻撃力のモンスター１体を破壊します！」


奏「なるほどね…そう来たか。」


奏「でもただじゃやられないわよ！私は騎楽士レントのモンスター効果発動！」


天音「ここでモンスター効果を…！」


奏「相手が魔法罠カードを発動した時、自分の騎楽士モンスター１体をターゲットとし、そのモンスターのレベル×２００ポイントのダメージを与える！」


奏「私は騎楽士レント自身を選択、…っていってもパストラーレはレベルを持たないから選択できないんだけどね。」


奏「レントのレベルは４、８００ポイントのダメージよ。」

向かい風に耐えながらどこからかとりだしたラッパのような楽器を思い切り吹き鳴らす。


天音「きゃ…！でもモンスターンの効果が発動します！」ＬＰ３７００→２９００


天音「騎楽士レントの攻撃力、２０００より低い攻撃力の、騎楽極士（プレインスター）パストラーレを破壊します！」

強風に飛ばされたレントがパストラーレに衝突。パストラーレは何処か遠くへ跳ね飛ばされる。


奏「戦闘での除去が難しいモンスターはカード効果で対処する。良いわね、正解よ。」


奏「戦士族が減った事でレントの攻撃力は２００ポイント下がる。」ＡＴＫ２０００→１８００


奏「私はカードを１枚セットしてターンエンド。」



天音「私のターンです！ドロー！」


天音「私は『晴天使サニー』を召喚！」星４・ＡＴＫ１８００


奏「攻撃力は１８００…レントと同じね。さぁどう来るつもりかしら？」


天音「私はこのまま、バトルフェイズに入ります！」


天音「晴天使サニーで騎楽士レントに攻撃！シャインフラッシュ！」


奏「ふぅん…相討ち狙い…」


天音「いえ！私は速攻魔法『魔法効果の矢』を発動します！」


奏「あのカードは…。」


天音「フィールド上の魔法カードを全て破壊し、その数×５００ポイントダメージを与えます！」


奏「連合軍を破壊して攻撃力を下げるってことね。いいわよ！けどこちらもレントの効果を発動！」


奏「ターゲットはレント自身！８００ポイントダメージよ！」


天音「くっ…！」ＬＰ２９００→２１００


光の矢は連合軍のカードを吸収し奏に向かって発射される。


奏「っ！」ＬＰ２８００→２３００　レントＡＴＫ１８００→１６００


天音「これで攻撃力はこちらが上です！」


奏「勝負はまだまだこれからよ！罠カード発動！『死力のタッグチェンジ』！」


奏「攻撃表示モンスターが戦闘破壊される時、その戦闘ダメージを０にする！」


奏「更に手札からレベル４以下の戦士族モンスター１体を特殊召喚する！」


奏「特殊召喚するのはレベル４の戦士族！『騎楽士（インスター）ラルゴ』！守備表示！」星４・ＤＥＦ１８００

大きな管楽器を背負った騎楽士モンスター。


天音「守備力は１８００…レイニーじゃ届きませんね。」


天音（モンスターを残してしまいましたか…これはちょっと怖いですね。）


天音「私は晴天使サニーの効果を発動！このカードが相手モンスターを戦闘によって破壊し墓地へ送った時、デッキから守備力０の天使族モンスター１体を手札に加えます。」


天音「手札に加えるのは『曇天使ヴェルクト』。」


天音「これでターンエンドです。」














夏武斗「確かによく考えたら誰かに聞けばいいんだよな。」


初「……」


夏武斗「…あれ？じゃあなんでおまえ一人で迷ってたんだ？確かあそこにも居たろ、スタッフ？」


初「え、えと………」


夏武斗「ん？」


初「それは……」



夏武斗「あれ？あそこに居んのって…」


初「えっ？」


夏武斗「やっぱり天姉だ。ジュニアスペース………なんでこんなとこに、ってそうか。今日はここを手伝うって言ってたっけ。」


夏武斗「でもなんでデュエルしてんだろ？…なぁ初。ちょっと見てこうぜ！」


初「えっ？あ、うん………。」


夏武斗「あ、でも俺ってここ入っていいのかな？……周りは小さい子ばっかりだけど。」


初「…前に、親子でデュエルしてた人が居たから、多分…大丈夫。」


夏武斗「そっか。なら大丈夫だな。だったら行こうぜ！」


初「あ、」


夏武斗「お？あれって…スタッフの制服じゃん。良かったな初、見つかったぜ。」


初「う、うん…。」











奏「私のターンね。ドロー。」


奏「天音ちゃん、とりあえずは合格点よ。突破の仕方にピンチの時の対応力、それだけの実力があるなら大丈夫だと思うわ。」


天音「そう…ですか？ありがとうございます。」


奏「でもまだデュエルは終わってないわ。」

クスリと笑う。


奏「次のはちょっと凄いわよ！私は『騎楽士（インスター）エレガンテ』を召喚！」星３・ＡＴＫ１１００

煌びやかなドレスに身を包みハープを抱えた女性騎楽士。


奏「そして私は騎楽士ラルゴの効果を発動！」


奏「自分フィールドのインスターモンスター１体をターゲットにし、そのモンスターのレベルを１つ上げる！」


奏「この効果のターゲットはエレガンテ！」星３→４

パイプ状の楽器より不思議な旋律が流れる。


天音「レベル４が２体に…！」


奏「更にこの瞬間！エレガンテの効果発動！」


奏「このカードが自分のモンスターのターゲットとなった時、デッキからレベル４以下のインスターモンスター１体を特殊召喚できる！」

大きなハープをかき鳴らすと何処からか新たな音が響いてくる。


奏「さぁ来て！『騎楽士ラメントーソ』！」星４・ＡＴＫ１８００

小笛を持った悲しげな雰囲気の騎楽士。


天音「更にモンスターが！？」


奏「ふふ、私はレベル４のラルゴとエレガンテでオーバーレイ！」


奏「２体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！



現れよ！陽気なる奏者！『騎楽極士（プレインスター）ヴィヴァーチェ』！ランク４・ＡＴＫ２１００




小さな太鼓を沢山携えた陽気な少年騎楽士。

夏武斗「おぉ！今のはエクシーズだ！やっぱり格好良いなぁ！」


初「わぁ……！」


奏「行くわよ！戦いのコンチェルトを聞かせてあげる！」


奏「私は騎楽極士ヴィヴァーチェの効果発動！」


奏「オーバーレイユニット１つを取り除き、自分のインスターモンスター１体をターゲットとする！」


奏「そしてそのモンスターのレベル×１００ポイントこのカードの攻撃力をアップする！」

ドラムのように小太鼓を叩きならすヴィヴァーチェ。


奏「ターゲットはレベル４のラメントーソ！よって４００ポイントアップ！」ＡＴＫ２１００→２５００


奏「そして勿論、これで終わりじゃないわよ？」


天音「また効果の連鎖…ですね。」


奏「その通り！自分のモンスターの効果のターゲットとなった時、騎楽士ラメントーソの効果発動！」


奏「相手フィールド上の表側表示のカード１枚を手札へ戻す！ターゲットは晴天使サニーよ！」

ラメントーソが悲しげな音を紡ぎだす。


天音「くっ！モンスターが…！」



夏武斗「すげえ！効果を繋げて一気に攻めた！！」


初「凄い……。」



奏「さ、バトルよ！私は騎楽極士ヴィヴァーチェでアプリコット・レイニーを攻撃！」


奏「ドラミング・ショック！！」

猛スピードで太鼓を叩き鳴らすと、その音は大きな衝撃波となる。


天音「くうう！！」ＬＰ２１００→１２００


奏「セットカードも無いようだしこれで最後かしら？騎楽士ラメントーソでダイレクトアタック！」



夏武斗「やばい！！」


天音「手札から『アンブレラ・ガーダー』の効果発動！」


天音「このカードを手札から捨てる事で、このターン受けるダメージを１度だけ０にする！」

大きな傘に守られる天音。


奏「…手札から防いでくるなんてね。少し甘く見過ぎてたかしら。」


奏「ターンエンドよ。さぁどう返してくれるのかしら？」



天音「ふう…危ないところでした。」


夏武斗「天姉！ナイスガード！」


天音「あれ！夏武斗君居たんですか！？どうして此処に？」


夏武斗「えーっと…ちょっとな。それより天姉のターンだぜ！」


天音「あ、はい！」


奏「あらお友達かしら？だったら格好良いとこ見せなきゃね！」


天音「はい！行きます！私のターン！」



天音（よし！）


天音「私は『曇天使ヴェルクト』を召喚！」星３・ＡＴＫ１２００


天音「ヴェルクトが召喚に成功した時、墓地から守備力０の天使族モンスター１体を特殊召喚できます！」


天音「私はこの効果で、墓地の『雨天使レーゲン』を特殊召喚！」星３・ＡＴＫ１５００


夏武斗「レベル３モンスターが２体になったぜ！」


初「………（ｺﾞｸﾝ）」


奏「次のターンの展開に繋ぐためのカードを前のターン中に手札に加えてたって事ね。」


天音「まだまだ行きますよ！私は速攻魔法『クイック・サモン』を発動！」


天音「手札からレベル４以下のモンスター１体を効果を無効にして特殊召喚できる！」


天音「私は手札から『晴天使サニー』をもう一度特殊召喚！」星４・ＡＴＫ１８００


天音「そして雨天使レーゲンの効果発動！１ターンに１度、自分フィールド上のモンスター１体を選択し、レベルを１つ下げる事ができます！」


天音「この効果により、私は晴天使サニーのレベルを１つ下げます！」星４→３


夏武斗「レベル３が３体になった！」


奏「これは…！」


天音「私はレベル３の曇天使ヴェルクト、雨天使レーゲン、晴天使サニーでオーバーレイ！」


天音「３体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築！」



エクシーズ召喚！



現れよ！蒼天の操る奇跡の力！『気象喚師（きしょうかんし）ウェザード・キャスター』！！ランク３・ＡＴＫ２３００



分厚いローブを纏った少年魔術師のモンスター。

夏武斗「初めて見るエクシーズモンスターだ！すげえなぁ初ぇ！」


初「うん……凄い…！」


天音「ウェザード・キャスターのモンスター効果発動！」


天音「オーバーレイユニットを１つ使う事で、相手フィールド上の攻撃表示モンスターの攻撃力は、エンドフェイズまで相手の表側表示モンスターの数×５００ポイントダウンします！」


奏「１体につき５００ですって！？」


夏武斗「相手フィールド上には表側攻撃表示が２体だから…。」


天音「２体とも１０００ポイントダウンです！」


天音「さぁ行きます！天召術－ドレイン・スコール！！」

大きな杖を高く掲げると、相手フィールド全体に豪雨が降りそそぐ。


奏「私のモンスターが…。」ヴィヴァーチェＡＴＫ２５００→１５００　ラメントーソＡＴＫ１８００→８００


天音「そして…この一枚で決めます！魔法カード発動！『五月雨の舞』！」


天音「ランク３以下のエクシーズモンスター１体のオーバーレイユニットを１つ取り除く事で、このターンそのモンスターは全ての相手モンスターに１回ずつ攻撃ができます！」


奏「全体攻撃効果！？」


夏武斗「いっけえええ天姉！！」


天音「バトルです！気象喚師 ウェザード・キャスターで、騎楽士ラメントーソを攻撃！」


天音「ミスティック・ヘイズ！！」

杖先より輝く濃霧が吹き付ける。


奏「！！」ＬＰ２３００→８００


天音「これで最後です！続けて騎楽極士ヴィヴァーチェを攻撃！」


天音「もう一度！ミスティック・ヘイズ！！」


奏「へぇ…。」ＬＰ８００→０





ＷＩＮ・天音






奏「お見事ね。」


夏武斗「よっしゃあ！やったな天姉！」


奏「想像以上だったわ。まさか巻き返して来るなんてね。」


天音「あ、ありがとうございます。」


奏「うん、それだけの実力なら大丈夫ね。もしかしたら大人気になっちゃうかも。」


天音「いえ、流石にそこまでは……。」


奏「分からないわよ～？スタッフ内でもたま～に居るのよ、子ども達のターゲットにされちゃう人。」


夏武斗「へぇ…天姉すげえじゃん。」


天音「あ、そういえば…夏武斗君はどうしてここに…？」


夏武斗「そうだった…初！」


初「…は、はいっ！！」


夏武斗「スタッフの姉ちゃん。…なんかこの子、スタッフやってる親戚の兄ちゃんを探してるらしいんだけど。」


奏「親戚？名前は？」


初「えと…上原、光輝…。」


夏武斗「ええっ！？」


天音「あっ…！」


奏「光輝？光輝なら多分もうすぐ……。」







光輝「奏！遅くなってごめん！」

ジュニアスペースに入ってくる光輝。




奏「ほら来た。お～い光輝！あんたにお客さんだぞ。」


光輝「思ったより向こうが長引いて…って、何だって？」


奏「お客さんよ。可愛らしいお客さん。」


光輝「ん？」


光輝「誰かと思ったら天音さん。それに夏武斗君も。」


天音「どうも。」


夏武斗「光輝さん！こないだぶり！」


夏武斗「なんだ、初の親戚って光輝さんだったのか。」


奏「ん…？何よ知り合いだった訳？」


光輝「あぁ。前に社長経由でね。」


奏「…ふ～ん。」


光輝「ところでお客さんってのは君達の事かい？」


天音「いや、私たちではなく…。」


奏「…そっちの子よ。そっち。」


光輝「そっちの……って、初君じゃないか。」


初「光輝兄……。」


光輝「センターに来るなんて珍しいじゃないか。…もしかして、デュエルしに来たのかな？」


初「い、いや……えと…こ、これ。」

包みを差し出す初。


光輝「あっ、そういえばそっちの家に忘れてたんだった。ありがとう初君。」


初「……」



紙袋から箱を取りだし菓子寄りを取り出す光輝。



光輝「実は少し前にちょっとした旅行に行ってね。その時のお土産なんだ。はい、奏。」


奏「あ…ありがと。」


光輝「君たちもどうだい？中々有名なお菓子らしいんだ。」


夏武斗「サンキュー！」


天音「ありがとうございます。」


夏武斗「へへっ、それじゃ早速…。」


天音「あ、夏武斗君！」


奏「残念だけどここは飲食禁止よ。食べるんならあっちね、ぼーや。」


夏武斗「あっと…そうだった。へへ…。」










初「………」



光輝「…良かったら、ちょっとだけでもデュエルしてみないかい？初君。」


初「………え、えと」


夏武斗「おぉ！初もデュエルすんのか！」


初「………あの。」


夏武斗「ん？」


初「………（ｱﾀﾌﾀ）」


光輝「えーっと、初君は…ちょっと人見知りなところがあって…。」


奏「成程ね…まぁなんとなくそんな気はしてたけど。」


天音「…夏武斗君？」





夏武斗「…なぁ初。デュエル、好きか？」


初「え………？」


夏武斗「っていってもまともにデュエルした事無かったんだっけ。分かんねえか。」


初「僕は……。」


夏武斗「でもおまえさっきカードばら撒いた時、すっげぇ大事そうにかき集めてたよな。」


夏武斗「やっぱ実際にデュエルしてみたい…とか思わないかな。」


初「えと……僕」


夏武斗「………」


初「やって………みたい、です。」


光輝「………！」


夏武斗「そっか！だったら話は早え、やってみようぜ！俺が教えてやっからさ！」


初「………うん。」








光輝「夏武斗君…まさかあんなにあっさりその気にさせるなんて。」


天音「…きっと、もう随分前からその気だったんですよ。」


天音「きっと最後の踏ん切りがつかなかっただけなんです。夏武斗君…時々ちょっと強引だから。」


光輝「そういうことか。彼の事、見習わなきゃいけないな。」




夏武斗「いいか。まず基本的なとこをざっくり説明するぜ？」


初「うん……！」




奏「あらら…天音ちゃん、早速仕事取られちゃったわね。」


天音「あ、そういえば……」


光輝「はは、確かに。でも……」


光輝「あの二人は…あのまま続けさせてあげてくれないか。」


奏「大丈夫よ。そんな野暮な事しないわ。」


光輝「ありがとう…奏。」


奏「べ、別に…あのチビッ子の為よ。」





終











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（次回予告）


夏武斗「天姉！格好良かったぜ！」


天音「ありがとうございます。けどまさかジュニアスペースに来ているだなんてびっくりしました。」


夏武斗「へへっ！よし初！俺がデュエルを教えてやるぜ！」


天音「夏武斗君頑張って下さい！」


夏武斗「えーっとまずはっと……ん？誰だおまえ…初の友達か？」


夏武斗「次回！『デュエルデビュー！戦士ＶＳドラゴン』」


夏武斗「自分を信じろ初。お前ならきっと勝てるぜ！」

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・騎楽士の効果は対象時にチェーンするので正しくは「チェーン２：被対象者の効果→チェーン１：対象にした効果」の順の処理となります。エレガンテが特殊召喚する前にラルゴの効果でレベルが上がっているように書いてますが、実際の処理としては特殊召喚が先です。