第五幕 決戦、そして　作：名無しのゴーレム

拓人＆義暁 LP8000
少女＆？？？ LP8000


「俺のターン！ 手札から通常魔法、ペンデュラム・コール発動！ 手札を1枚捨てて、デッキから竜穴の魔術師、賤竜の魔術師を手札に加える。」
「ふぅん……またペンデュラム召喚ね……」
「手札からスケール1の竜脈の魔術師とスケール8の竜穴の魔術師でペンデュラムスケールをセッティング！ ペンデュラム召喚！ 来い、賤竜の魔術師！」
「ペンデュラム召喚！？ 何だよそれ！？」


拓人のやつ、いつの間にあんなものを！？


「義暁、これはな……」
「……ペンデュラムショウカン。ワレワレガコノセカイニモチコミ、ニンゲンタチガソレヲモホウシタモノダ。」
「……な、何だと！？」
「…………」


……なんてこった。こいつらの影響が、まさかここまでとは……


「……続けるぞ。賤竜の魔術師の効果発動！ 墓地の慧眼の魔術師を手札に加える。ゾンビキャリアを召喚！ 俺はレベル6の賤竜の魔術師にレベル2のゾンビキャリアをチューニング！ シンクロ召喚！ 美しきその翼を羽ばたかせ、今飛翔せよ！ 閃こう竜 スターダスト！」
「またペンデュラムシンクロ？ 懲りないね。」
「俺はカードを1枚セットして、ターンエンド！」


拓人＆義暁 LP8000 ペンデュラムゾーン 竜穴の魔術師、竜脈の魔術師 モンスターゾーン 閃こう竜 スターダスト 伏せカード1枚
少女＆？？？ LP8000


「私のターン、ドロー。面倒くさいし、このターンで終わらせちゃうか。手札から永続魔法、地獄門の契約書発動。効果でデッキからDDD制覇王カイゼルを手札に。さらにカードを1枚セット。私はスケール4のDDD死偉王ヘル・アーマゲドンとスケール8のDDプラウド・オーガでペンデュラムスケールをセッティング！ ペンデュラム召喚！ 現れろ、DDD制覇王カイゼル！」


やつもペンデュラム召喚を使うのか……だがスターダストは1度だけ破壊されない。1体なら……


「制覇王カイゼルのペンデュラム召喚に成功したターン、相手フィールドの表側表示のカードの効果は、ターン終了時まで無効になる。さらに、私の魔法・罠ゾーンのカードを2枚まで破壊して、このターン、カイゼルはその枚数分追加攻撃が可能になる。」


なっ……！？ スターダストの効果を使えず、さらに攻撃力2800の3回攻撃だと！？


「まだまだ！ ヘル・アーマゲドンのペンデュラム効果発動！ カイゼルの攻撃力を800ポイントアップ！ さらにプラウド・オーガのペンデュラム効果発動！ ライフを500ポイント支払うことでカイゼルの攻撃力を500ポイントアップする！」

少女＆？？？ LP8000→7500

DDD制覇王カイゼル 攻撃力2800→4100

「攻撃力……4100？」
「……これで終わりだね。バトル！ カイゼルでスターダストを攻撃！」

拓人＆義暁 LP8000→6400

「カイゼルでダイレクトアタック！」

拓人＆義暁 LP6400→2300

「ぐううっ……」
「くそっ！ これで終わりなのか！？」
「残念だったね！ カイゼルでダイレクトアタック！」


……これが通れば俺たちは負ける。そして俺の手に逆転の手はない。くそ……


「……リバースカードオープン！ 通常罠、星墜つる地に立つ閃こう！ 相手の特殊召喚されたモンスターのダイレクトアタック宣言時、そのモンスターの攻撃力が俺のライフを上回っているときに発動出来る！ その攻撃を無効にして、カードを1枚ドローする！ さらにその後、エクストラデッキ・墓地からスターダストを特殊召喚出来る！ 蘇れ、閃こう竜 スターダスト！」
「……凌がれちゃった。私はクリバンデットを召喚。カードを1枚セット。私はこれでターンエンド。この瞬間、クリバンデットの効果発動。このモンスターをリリースして、デッキの上から5枚をめくって、その中から魔法・罠カードを1枚手札に加える。私は魔神王の契約書を手札に、残りを墓地に送る。」

DDD制覇王カイゼル 攻撃力4100→3300


……墓地を肥やしたか。あの『闇』のデッキはダークモンスターを中心としたもの。墓地に闇属性モンスターが増えるのは厄介だ……


拓人＆義暁 LP2300 ペンデュラムゾーン 竜穴の魔術師、竜脈の魔術師 モンスターゾーン 閃こう竜 スターダスト
少女＆？？？ LP7500 ペンデュラムゾーン DDD死偉王ヘル・アーマゲドン、DDプラウド・オーガ モンスターゾーン DDD制覇王カイゼル 伏せカード1枚


……なんとか、俺にターンが回ってきた。ライフも少ない。早く決着をつけなければ……


「俺のターン、ドロー！ E・HERO エアーマンを召喚！ エアーマンの効果でデッキからE・HERO ブレイズマンを手札に！ 俺は……」
「義暁、ペンデュラム召喚だ！ 今なら手札からレベル2から7のモンスターをペンデュラム召喚出来る！」


……なるほど、それがペンデュラム召喚なのか。


「……なら、使わせてもらうぜ。ペンデュラム召喚！ 来い、E・HERO ブレイズマン！ブレイズマンの効果発動！デッキから融合を手札に加える。通常魔法、融合発動！ エアーマンとブレイズマンを融合！ 吹き荒れる烈風纏う英雄よ、戦場を駆け抜けろ！ 融合召喚！ E・HERO Great TORNADO！ TORNADOの効果発動！ 相手モンスターの攻撃力を半分にする！」

DDD制覇王カイゼル 攻撃力3300→1650

「バトルだ！ TORNADOでカイゼルを攻撃！」

少女＆？？？ LP7500→6350

「行け！ スターダストでダイレクトアタック！」

少女＆？？？ LP6350→3850

「……ふ～ん、さすが世界チャンピオンってところかな。」
「ヤハリ、ワガウツワニフサワシイ。」
「……誉められてんだかどうか分かんねぇな。」


まあ、このまま俺たちが勝てば関係ないが。


「カードを2枚セットして、ターンエンドだ！」


拓人＆義暁 LP2300 ペンデュラムゾーン 竜穴の魔術師、竜脈の魔術師 モンスターゾーン 閃こう竜 スターダスト、E・HERO Great TORNADO 伏せカード2枚
少女＆？？？ LP3850 ペンデュラムゾーン DDD死偉王ヘル・アーマゲドン、DDプラウド・オーガ 伏せカード1枚


「ワタシノターン、ドロー。リバースカードオープン、ハリムシノソウクツ。デッキカラゴマイヲボチニオクル。ペンデュラムショウカン。ジャテイガイウス。」


アドバンス召喚ではないから、ガイウスの効果は発動しないが……


「ボチニヤミゾクセイモンスターガヨンシュルイイジョウアルコトニヨリ、ダテンシゼラートヲアドバンスショウカン。ゼラートノコウカハツドウ。テフダノヤミゾクセイモンスターヲステテ、スベテノアイテモンスターヲハカイスル。サアゼラートヨ、スベテヲヤミニツツミコメ。」
「させるか！ スターダストの効果発動！ TORNADOの破壊を無効にする！」
「バトル。ゼラートデトルネードヲコウゲキ。」


ゼラートの黒く染まった剣とTORNADOの風を纏った拳、両者が互いの身体を打ち砕く。


「リバースカードオープン！ 通常罠、ヒーロー・シグナル！ デッキからE・HERO シャドー・ミストを特殊召喚する！」
「ジャテイガイウスデシャドー・ミストヲコウゲキ。」
「くうっ……シャドー・ミストが破壊されたことにより、デッキからE・HERO バブルマンを手札に加える。これで凌ぎきったぜ。」
「……ターンエンド。」


拓人＆義暁 LP2300 ペンデュラムゾーン 竜穴の魔術師、竜脈の魔術師 伏せカード1枚
少女＆？？？ LP3850 ペンデュラムゾーン DDD死偉王ヘル・アーマゲドン、DDプラウド・オーガ モンスターゾーン 邪帝ガイウス


「俺のターン、ドロー！ 墓地のゾンビ・キャリアの効果発動！ 手札をデッキの1番上に戻して、このモンスターを特殊召喚する！ ペンデュラム召喚！ 来い、エクストラデッキから賎竜の魔術師！ レベル6の賎竜の魔術師にレベル2のゾンビ・キャリアをチューニング！ シンクロ召喚！ 荒れ狂う灼熱の力よ、覇の力を持って並みいる敵を殲滅せよ！ えん魔竜 レッド・デーモン！」


ペンデュラムモンスターを用いたシンクロ召喚……拓人のやつ、ペンデュラムモンスターを使いこなしてやがる。


「レッド・デーモンの効果発動！ このモンスター以外の表側攻撃表示モンスターを破壊する！ 王者の力、今見せつけろ！」
「よし！ これで大ダメージだ！」
「ああ、行くぞ！ レッド・デーモンでダイレクトアタック！」
「ボチノネクロ・ガードナーノコウカハツドウ。コノモンスターヲジョガイシテ、アイテモンスターノコウゲキヲムコウニスル。」


防がれたか。だがレッド・デーモンの攻撃力は3000。次の俺のターンまで生き残れば、そのままゲームエンドまで持ち込めるだろう。


「カードを1枚セットして、ターンエンドだ。」


拓人＆義暁 LP2300 ペンデュラムゾーン 竜穴の魔術師、竜脈の魔術師 モンスターゾーン えん魔竜 レッド・デーモン 伏せカード2枚
少女＆？？？ LP3850 ペンデュラムゾーン DDD死偉王ヘル・アーマゲドン、DDプラウド・オーガ


「私のターン、ドロー。DDケルベロスを召喚。手札から永続魔法、魔神王の契約書発動。効果で墓地のDDD制覇王カイゼル、DDリリスを除外して、DDD神託王ダルクを融合召喚！ ヘル・アーマゲドン、プラウド・オーガのペンデュラム効果発動！ ダルクの攻撃力をアップする！」

少女＆？？？ LP3850→3350

DDD神託王ダルク 攻撃力2800→4100

「バトル！ ダルクでレッド・デーモンを攻撃！」

拓人＆義暁 LP2300→1200

「…………」
「これで終わりだよ！ DDケルベロスでダイレクトアタック！」


……確かに、これを食らえば俺たちの負けだ。だが……


「……やれ、拓人！」
「ああ！ リバースカードオープン！ 通常罠、ヒーロー見参！ 相手モンスターの攻撃宣言時に発動し、俺の手札を1枚ランダムに選択して、そのカードがモンスターなら特殊召喚できる。」
「……だが、今拓人の手札は1枚。つまり……」


拓人がその1枚を明かす。それは……


「この1枚、それは……オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン！ 来い、オッドアイズ！」
「……全部織り込みずみってことね。認めるよ、確かにあなたたちのコンビネーションは本物だ。私はこれでターンエンド。」

DDD神託王ダルク 攻撃力4100→3300


拓人＆義暁 LP2300 ペンデュラムゾーン 竜穴の魔術師、竜脈の魔術師 モンスターゾーン オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 伏せカード1枚
少女＆？？？ LP3350 ペンデュラムゾーン DDD死偉王ヘル・アーマゲドン、DDプラウド・オーガ モンスターゾーン DDD神託王ダルク、DDケルベロス


「俺のターン、ドロー！ 手札から通常魔法、ミラクル・フュージョン発動！ 墓地のE・HERO エアーマン、閃こう竜 スターダストを除外する！ 眩き光の英雄よ、闇を照らして勝利の道への道を示せ！ 融合召喚！ E・HERO The シャイニング！ シャイニングの攻撃力は除外されているE・HEROの枚数×300ポイントアップする！」

E・HERO The シャイニング 攻撃力2600→2900

「さらに手札からフィールド魔法、摩天楼―スカイスクレイパー―発動！ バトルだ！ The シャイニングでダルクを攻撃！ スカイスクレイパーの効果で、E・HEROが攻撃力の高いモンスターに攻撃するとき、攻撃力を1000ポイントアップする！」

E・HERO The シャイニング 攻撃力2900→3900

少女＆？？？ LP3350→2750

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでDDケルベロスを攻撃！ オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが相手に与えるダメージは2倍になる！」

少女＆？？？ LP2750→1350

「……これで攻撃も終わり。まだ……」
「……いや、このデュエル、俺たちの勝ちだ。手札から速攻魔法、超融合発動！ 手札を1枚捨てて、俺の場のシャイニング、オッドアイズを融合する！ 暗闇に生きる英雄よ、闇の中から希望を見いだせ！ 融合召喚！ E・HERO エスクリダオ！」


……これが、俺たちの結束の力の到達点。


「エスクリダオの攻撃力は、墓地のE・HEROの枚数×100ポイントアップする！ よって300ポイントアップ！」

E・HERO エスクリダオ 攻撃力2500→2800

「……はあ。」
「コレガ、コノセカイノチカラカ。」
「そうだ！ しっかり胸に刻み付けて帰りな！ エスクリダオでダイレクトアタック！」

少女＆？？？LP1350→0





「……さあ、早く立ち去りな。」
「……アア、ソウシヨウ。……ドノミチ、ジカンギレナノデナ。」
「……！？」


見通せない闇、それがだんだんと薄れつつあった。


「……あーあ、もう消えちゃうんだ。」
「アトハマカセタゾ。イズレフタタビ『ゲート』ガヒライタトキ、ソノトキコソ、ワタシハ……」


最後まで言い切ることなく、闇は姿を消した。……なら、後は……


「後はお前だけだ。」
「……まあ、その通りなんだけど。それでも、帰るわけにはいかないんだよねぇ……」
「？ 何故だ。」
「……！！ お前、まさか！？」


拓人が何かに気づいたようだ。


「拓人、何があったんだ？」
「……その身体、誰のものだ？」
「……もちろん、私じゃない誰かの物だよ。今は私が借りてるけど。」
「……！！」


こいつ、既に器を手に入れていたのか！？


「テメェ、早くその子から離れろ！！」
「いいの？ 私が居なくなったら、この子死んじゃうよ？」
「何？ どういうことだ。」
「簡単な話だよ。ほら、これを見てみなよ。」


少女が服を捲って見せる。そこには……


「な、何だよそれ……」
「見て分からない？ 刃物で刺された跡だよ。この傷、誰が付けたと思う？ なんと、この子の両親だよ？ いやー、人間は怖いよね。」
「……そんな。」


傷跡は1箇所では済まない。他にも殴られたような跡だって……


「分かった？ 今、この子は私の力で生きているの。だから私はまだ帰るわけにはいかないわけ。」
「…………」
「……クソッ。」


……悔しいが、すべて事実だ。俺たちはこいつを追い払うことは出来ない。


「……ん？ あれは……」


少女が振り向いた、その先には……


「たっくん、よっしー！！ 良かった、無事なんだよね！！」
「姉さん！？」
「それに和希も、どうしてだ！？」
「……私が連れてきた。はじめまして、竜見 義暁、和泉 拓人。私は佐久間 遼。デュエルモンスターズの裏側に潜むものを研究しているものだ。」


この真っ黒な服装の男が……


「……はじめまして。佐久間さん、……どうしてその2人と一緒に？」
「私が一緒に行きたいって言ったのよ。佐久間さんから話は聞いてるわ。……よかった、彩葉ちゃんも居る。」
「それにしても、どうしてここに……？」
「……師匠には俺が連絡しました。デュエルが始まる前に。」


なるほど、そういう訳か。



「……ところで、お前が異世界から来た者だな？」


佐久間が少女の方に向き直る。


「……うん。知らないだろうけど、この身体は……」
「……我々にお前を引き剥がす手段はない。この世界に居座る気なら好きにしろ。だが……お前には私の監視下に入ってもらう。」
「……その話、私が受ける理由がないね。私も新しい目的が出来たし、私は私の好きなようにさせてもらうよ。」
「無駄だ。例えこの場を逃げおおせても、私が、私の意志を継ぐものが、必ずお前を捕らえる。」
「……ふーん、そのときを楽しみにしてるよ。じゃあね。」


その瞬間、突風が吹いたと思うと少女は姿を消していた。逃げられたということか……






「……ん、あ、おとーさんだ……」
「……彩葉、すまない。もう絶対にこんな目には遭わせないからな。」
「……うん、まだちょっとねむいや、おやすみ、おとーさん……」
「……ああ、おやすみ。」


あの様子なら彩葉ちゃんも無事そうだな。



「御三方、1つ提案があるのだが。」


しばらくして、佐久間がそう切り出した。


「そこの少女―和希を、私が引き取ってもいいだろうか。」
「……そりゃまたどうして。」
「またいつ奴等がこの世界に来るか分からない。再び彼女も危険な目に遭うだろう。それなら私の保護下に置いておけば……」
「佐久間、ちょっと待てよ。それを決めるのは俺たちじゃないだろう？」
「……ならば、誰が？」
「決まってる。和希、お前はどうしたい？」
「……え？」
「彼女自身に決めさせると？ それは愚行だ。こんな子供に正しい判断が出来るわけが……」
「正しい判断なんて大人でも出来ねぇだろうが。大切なのは本人の意思だ。俺たちはそれを見届けて、支えてやるだけだ。」



――そう、おばさんが俺の夢を絵空事と笑わずに、ずっと応援してくれたように。



「……いいだろう。」
「……和希、お前は今、悪いやつらに狙われているんだ。だから今のままじゃ危ない。お前はどうしたい？」
「…………」


和希は黙り混む。やはり、子供には難しい選択か……？


「……なら、よしあきと一緒に居る。」
「そうか、俺と……ん？」


なんだって？


「……俺と？」
「よしあきと。世界で一番強いんだよね？」
「まあ、そうだが。」
「だから。」
「…………」


困った。まさかこうなるとは……


「いいじゃない。よっしーが引き取っちゃえば。」
「姉さん、そんな簡単に……」
「よっしーが言ったんでしょ？ 和希ちゃんの意思を尊重するって。約束は守らないとね。」
「……ぐ、ぐうの音も出ねぇ……」
「……だめ？」


和希が上目遣いで俺を見る。……仕方ないか。


「……よし、分かった。和希、俺と一緒に来い。俺がお前を守ってやるよ。」
「……ん、ありがとう。」
「どーも。……渚、手伝ってくれるよな？」
「私を誰だと思ってるの？ 子供たちのヒーロー、和泉 渚よ？」
「自分で言うなよ……」
「たっくんうるさい。……ほら、和希ちゃんも眠そうよ。保護者として、まずはおんぶしてあげなさい。」
「……へいへい。ほら和希、乗れ。」
「……うん。」


……よいしょ、と。意外と重いな……和希はそのまま眠ってしまったようだ。


「……決まったか。」
「ああ、佐久間、済まないな。」
「気にしなくていい。こちらからもいくらかのサポートを行う。ひとまず、もう帰るといい。追って連絡する。」
「……ありがとよ。」
「たっくんは彩葉ちゃんを連れて帰ってあげて。私はよっしーと『すずめのさえずり』まで行ってくるから。」
「ああ。……義暁、これから頑張れよ。」
「おう、頼りにしてるぜ先輩。」




こうして、俺の日常は大きく変化した。慣れない育児に戸惑うことは多々あったが、拓人や渚、おばさんの手助けも借りつつ、ゆっくりと俺たちの間の絆を育んでいった。





――そして、10年後……