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HOME > 遊戯王SS一覧 > 22:遊牙先生のデュエル教室

22:遊牙先生のデュエル教室 作:ほーがん

第22話「遊牙先生のデュエル教室」



「よーし、出来たわ!」
扉の前で待っていた遊牙。部屋の中で声がしたと思うと、勢いよく扉が開いた。
「デッキ完成したのか。」
凛香の後ろから、デッキを手に持ったルナが顔を出す。
「遊牙!早くデュエルしよ!」
腰に手を当て凛香は得意げな顔で言う。
「もうルナは完璧よ!遊牙なんかささっと倒しちゃいなさい!」
遊牙は困惑して言う。
「それだと趣旨が違って来るような気が・・・。」
凛香は楽しげに言った。
「まぁ、このくらいの意気込みがないとね!さぁ、ルナ!遊牙とデュエルよ!」
ルナは凛香の調子に合わせて敬礼した。
「了解しました凛香隊長!」
遊牙は肩を竦めて笑った。
「・・・まぁ、いいか。」


青空の下。3人は屋敷の前に出た。凛香は手に持っていたD・ディスクをルナに渡す。
「はい、ルナ。これがあなたのD・ディスクよ。」
「ありがとう凛香!」
それを受け取ったルナは早速自分の腕に嵌め込んだ。
「よいしょっと・・・。うぅ~、これ結構重いかも・・・。」
ルナは左腕に付けたD・ディスクを見て言う。
「そのうち慣れるさ。さぁ、まずはデッキから5枚の手札を引くんだ。」
「ごまい・・っと。」
遊牙の言葉通り、ルナはデッキからカードを引く。
「それが最初の手札になる。まぁ、説明するよりやった方が早い。早速デュエルだ。」
ルナはD・ディスクを構えた。
「よ、よろしくお願いします!」
遊牙は微笑んで言った。
「ああ、よろしくルナ!」


『デュエル!!(LP4000 VS LP4000)』


先に動いたのは遊牙。

「まずは手本を見せよう。俺のターン。」

遊牙は手札を確認し、その中の1枚を取り出した。

「俺は《コープスナイト・ウェイス(☆4/闇/アンデット/1700・0)》を召喚!」

遊牙のフィールドに、剣を携えた闇の騎士が出現する。

「自分のターンにはまずモンスターの召喚や、魔法カードの発動、リバースカードのセットなど行う。そして、その後モンスターで攻撃するか否かを選ぶ事ができる。ただし、先攻1ターン目は攻撃できないから注意だ。」

ルナはこくこくと頷いた。

「俺はこのままターンエンド。さぁ、ルナのターンだ。」



ターンが回る。ルナはデッキに手を伸ばした。

「わ、私のターン!ドロー!」

ルナは手札のカードとにらめっこし、その中から1枚のカードを選んだ。

「ええと、手札から《フレグランス・ガール(☆4/風/植物/1200・1000)》を攻撃表示で召喚!」

ルナの目の前に、花の妖精の少女が舞い降りる。

「なるほど、植物デッキか。ルナのイメージにぴったりだな。」

凛香は得意げに言った。

「まぁね。私がルナに合うように組んであげたんだもの。」

ルナはさらに手札のカードを取り出した。

「私は魔法カード《フレグランス・バースト》を発動!このカードは、自分フィールドに「フレグランス」モンスターが存在する時に発動できる!ええと、相手フィールドのモンスター1体を破壊する・・・で、あってるのかな?」

表示された魔法カードから竜巻が起こり、闇の騎士を吹き飛ばした。

「くっ、やるなルナ!」

その様子に感動したのかルナは感嘆を漏らす。

「おお・・・。次は、どうしようかな?えっと・・・。」

手札を見て迷うルナに、後ろから凛香が言う。

「ルナ!迷うくらいならカードは使った方がいいわよ!」

遊牙は思わず呟く。

「これじゃ、どっちが教えてるのか分からないな・・・。」

ルナは迷った末に手札のカードを取り出した。

「じゃあ、これ使えるのかな・・・。手札から《フレグランス・ダンサー(☆4/風/植物/1800・1300)》を特殊召喚!」

妖艶な雰囲気を漂わす花の妖精が、ステップを踏むようにフィールドに現れた。

「このカードは、自分のフィールドに「フレグランス」モンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる・・・よね?」

ルナの行動に凛香はサムズアップで応える。

「オッケー合ってるわよ!ルナ!」

遊牙は思わず言った。

「この時点で、俺よりもカードを展開しているんだが・・・凛香、もう既に色々教えたな。」

さらに凛香はルナに耳打ちする。

「そうだ、さっき渡したあれ!あれ使ってみたら?きっと遊牙驚くわよ?」

ルナは何か思い出したように顔を上げた。

「おお!・・・ええとモンスターのレベルは・・うん、大丈夫。あってる。」

遊牙は困惑する。

「ルナ?一体なにを・・・。」

そして、ルナは高らかに宣言した。

「じゃあ、行きます!私はレベル4の《フレグランス・ガール》と《フレグランス・ダンサー》でオーバーレイ!」

2体の花の妖精は出現した光の渦へ飛び込んだ。

「な、何!?」

遊牙は驚いた顔をする。ルナは言葉を続けた。

「2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!」

ルナのD・ディスクのエクストラデッキが開き、カードが飛び出す。


「咲き誇れ!ランク4!《月華の奇術師 フレグランス・ソーサラー(★4/風/植物/エクシーズ/2100・500)》!」


花びらの帽子にステッキを持った妖精は、香りを運ぶ風と共にフィールドに降り立った。


「・・・なぁ、凛香。これはもう俺が教える必要ないのでは・・・。」

凛香は言った。

「何言ってるの遊牙!さぁ、ここからどう巻き返すのか、ピンチの切り抜け方も教えないと!」

ルナは困ったように言う。

「ええと、効果を使ってもいい?」

遊牙はすぐに応える。

「ああ、構わないが・・・。」

その返答を聞き、ルナは宣言した。

「じゃあ、私は《月華の奇術師 フレグランス・ソーサラー》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で、相手の手札をランダムに1枚墓地に送る!」

妖精の奇術師はステッキを振ると突風を巻き起こし、遊牙の手札を1枚吹き飛ばした。

「くっ、《コープスナイト・ベル(☆5/闇/アンデット/1900・0)》は墓地へ送られる・・・。」

さらにルナは言葉を続けた。

「そして、この効果で墓地へ送ったカードがモンスターカードだった場合、このカードの攻撃力はターン終了時まで、墓地へ送ったモンスターの攻撃力分アップする・・・んだよね?」

「何!?」

妖精の奇術師は、闇の騎士の力を吸収し、その攻撃力を高める。

「ええと、これで攻撃力は1900アップだから、2100と足して・・・4000?(ATK2100→4000)」

遊牙は焦るように、凛香に訴えた。

「なぁ!やっぱり俺が教える必要は・・・。」

その言葉を遮るように、凛香は声を上げる。

「そんなこと言ってる間に攻撃されるわよ!」

遊牙はルナの方に向き直る。ルナは既に遊牙のフィールドを指差していた。

「バトルします!《月華の奇術師 フレグランス・ソーサラー》で遊牙にダイレクトアタック!」

奇術師は飛び上がり、ステッキを振るう。それと同時に香りを運ぶ突風が吹き始めた。遊牙は慌てて手札のカードを取り出す。

「俺は手札の《コープスナイト・ヴェルナンド(☆6/闇/アンデット/2400・0)》の効果発動!このカードを手札から墓地に送ることで、相手モンスターの直接攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」

遊牙の前に騎士の幻影が現れ、突風を防ぐ。

「あー惜しい!」

悔しそうに凛香が言う。

「惜しいって・・・とにかく、これでこのターンのバトルは終了だ。どうするルナ。」

ルナは手札を確認し、カードを1枚取り出した。

「私はええと、カードを1枚セットして・・・ターンエンド!」

妖精の奇術師の攻撃力が元に戻る。(ATK4000→2100)



その瞬間、遊牙が口を開いた。

「エンドフェイズに《コープスナイト・ウェイス》の効果発動!デッキから《コープスナイト・エリー(☆3/闇/アンデット/チューナー/1000・0)》を手札に加える!そして、俺のターン!」

カードをドローした後、遊牙は手札を確認する。

「ルナ、俺のフィールドにカードは無い。だが、俺はこのターンに決着を付けてみせる!」

その言葉にルナの目が輝く。

「ほんとに!?頑張って、遊牙!」

自分を応援し始めたルナの様子に、遊牙は困惑する。

「なんだか、調子が狂うな・・・。俺は手札から《コープスナイト・エリー》を召喚!」

遊牙のフィールドに短剣を持った少女の騎士が現れる。

「この瞬間!《コープスナイト・エリー》の効果発動!このカードの召喚に成功した時、墓地からレベル4以下の「コープスナイト」1体を特殊召喚する!蘇れ!《コープスナイト・ウェイス》!」

少女の騎士が投げた短剣はフィールドに穴を開ける。そしてその穴から仲間の騎士が釣り上げられ、復活した。

「そして手札から《コープスナイト・アリエル(☆2/闇/アンデット/チューナー/900・0)》を特殊召喚!このカードは自分のフィールドに「コープスナイト」が存在する場合、手札から特殊召喚できる!」

幼い風貌の騎士は、他の騎士に並んで降り立った。

「俺はレベル4の《コープスナイト・ウェイス》にレベル2の《コープスナイト・アリエル》をチューニング!」

2つの輪の中へ『ウェイス』は飛び込み、光を放った。


「闇の甲冑よ!勝利の剣をその手に抱きて、憚る敵を打ち払え!シンクロ召喚!現れよ!《コープスナイト・デッドシェリー(☆6/闇/アンデット/シンクロ/2200・1900)》!」


長剣を携えた姫騎士は、その剣を振るいフィールドに舞い降りた。

「おお・・・。シンクロ召喚・・・。」

ルナは関心するように、遊牙のシンクロモンスターに見入る。

「チューナー以外のモンスターにチューナーモンスターをチューニングして、そのレベルの合計と同じレベルのシンクロモンスターを呼び出す。これがシンクロ召喚だ!《コープスナイト・デッドシェリー》の効果発動!」

遊牙の墓地からカードが迫り出す。

「このカードのシンクロ召喚に成功した時、墓地の「コープスナイト」1体を手札に戻す!俺は墓地から《コープスナイト・ウェイス》を手札に戻す!」

さらに遊牙は言葉を続ける。

「そして、墓地の《コープスナイト・ベル》の効果発動!このカードを墓地から除外する事で、手札の「コープスナイト」1体を特殊召喚する!俺はたった今手札に戻した《コープスナイト・ウェイス》を特殊召喚!」

遊牙のフィールドに再び騎士が召喚された。

「ルナ!これが俺の切り札だ!レベル4の《コープスナイト・ウェイス》にレベル3の《コープスナイト・エリー》をチューニング!」

『エリー』の体は3つの光の輪になり、『ウェイス』の体を包み込んで行く。


「闇の甲冑よ!鋼の闘志をその身に宿し、敵を切り裂く騎士となれ!シンクロ召喚!現れろ!《コープスナイト・デッドジャック(☆7/闇/アンデット/シンクロ/2500・2000)》!!」


誇り高き騎士は、光を切り裂くように剣を振るいフィールドに降り立つ。

「おお!2回目!」

ルナは素直に関心する。遊牙はさらに続けて言った。

「墓地の《コープスナイト・ヴェルナンド》の効果発動!《コープスナイト・ウェイス》を墓地から除外し、その攻撃力を《コープスナイト・デッドジャック》にプラスする!(ATK2500→4200)」

その時、凛香が口を挟む。

「ちょ、ちょっと!遊牙やりすぎよ!」

その言葉を聞いた遊牙はルナの方へ向き、口を開いた。

「ルナは今度の大会に出たいのか?」

ルナはすぐに答えた。

「私・・・出てみたい!皆と・・・一緒に。皆と同じ場所に立って、デュエルしてみたいの!」

遊牙は微笑む。

「ああ。一緒に出ようルナ。そのためにはまず、この攻撃に対処してみるんだ!バトル!俺は《コープスナイト・デッドシェリー》で《月華の奇術師 フレグランス・ソーサラー》を攻撃!」

姫騎士は駆け出し、妖精の奇術師に向けて長剣を突き立てた。しかし、その瞬間。

「わ、私はリバースカードを発動!罠カード《香りの壁》!自分の「フレグランス」モンスターが攻撃を受けた時、その攻撃を無効にしてデッキから2枚ドローする!」

奇術師の前に見えない壁が出現し、姫騎士の攻撃を遮る。そしてルナはデッキからカードを引いた。

「んしょっと、ドローして・・・これでもう一回攻撃されても、私のライフポイントはまだ残る!」

遊牙は言った。

「いい切り返しだ。その対応は大会でもきっと役に立つ・・・。だが、その上を行かれることもある!手札から《コープスナイト・ギリー(☆1/闇/アンデット/100・0)》の効果を発動!」

遊牙は手札のカードをルナに見せる。

「このカードを手札から墓地に捨てることで、このターン、自分フィールドの「コープスナイト」シンクロモンスター1体は2回攻撃できる!もう一度だ!《コープスナイト・デッドシェリー》!」

仲間の力を受け、再び姫騎士は飛び出した。突き出された長剣は奇術師を貫く。

「そんな!(LP4000→3900)」

ルナが見上げた先。そこには闇の騎士が剣を振り上げていた。

「これで終わりだ!《コープスナイト・デッドジャック》でダイレクトアタック!!」

振り下ろされる剣。ルナは笑って言った。

「えへへ!負けちゃった!(LP3900→0)」


『勝者:霧野遊牙』


D・ディスクを仕舞い、遊牙はルナに歩み寄った。
「いいデュエルだった、ルナ。」
ルナは明るい顔で言う。
「ほんとに!やったぁ、褒められちゃった。」
遊牙はボソッと呟く。
「いや、お世辞無しで本当にいい勝負だったと思う・・・。」
凛香が遊牙の肩を叩く。
「ま、これでルナは問題ないわね。」
遊牙もその言葉に頷く。
「ああ。もうすでに並のデュエリストは超えているだろう。もしかしたら、ルナにはデュエルの才能があるのかもしれない。」
ルナは照れ、ニコッと笑った。
「えへへ、そうかなぁ。遊牙、デュエルありがとう!」
遊牙はルナの手を握った。
「ああ、またいつでもデュエルしよう。」
手を握られ、少し顔を赤くしたルナは頷いた。
「うん!」




一方その頃、カケルは。

「だーかーら!そのパネルはこっちに置くって言ってんだろ!」
リチャードはデュエル大会の会場予定地に設置されたパネルを指差して言った。
「いいんだよこれで!ババーンと前に置いた方がかっこいいだろ!」
そこにパネルを設置した本人、木嶋も言い返す。
「おいおい、二人ともこれじゃ作業が進まないぜ・・・。」
カケルが間に入ろうとするも二人は耳を貸さない。
「こうなったら、デュエルで決めようか!!それだったら文句ねぇだろ!!」
リチャードの言葉に合わせ、木嶋はD・ディスクを構えた。
「ああ、良いぜ!叩きのめしてやるよ!!」

その様子にカケルは溜め息をついた。
「はぁ〜、なんでこうなるんだよ・・・。」


次回第23話「意地の張り合い!昆虫レース開幕?」
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ター坊
デュエルするルナちゃんの姿イメージすると可愛いですね。読んでる間、リアルでニヤニヤが止まりませんでした。
さて次回はリチャードVS木嶋さんでしょうか。それにしても、たかがパネルの設置場所決めるためにデュエルってこちらも可愛い(?)ですね。 (2015-06-18 23:11)
ほーがん
ター坊さんコメントありがとうございます。
ニヤニヤしていただけたなら幸いです。これからは、ルナのデュエルもちょくちょくやって行きます。次回は木嶋とリチャード、二人の意地がぶつかります。また読んでいただけると嬉しく思います。 (2015-06-20 06:27)
ギガプラント
最新話が3~4話くらいの時に呼んで以来全く読めていなかったのですが、久し振りに続きを読んだら面白くて一気にここまで読んでしまいました!なんだか2クールアニメを一気視聴したような気分ですw!
キャラクターやストーリーが非常に良く練られたお話だと思います。
次回も期待しております。 (2015-06-21 07:14)
ほーがん
ギガプラントさんコメントありがとうございます。
読んでいただき嬉しく思います。このような拙い文章には勿体ないお言葉ありがとうございます。励みになります。まだまだこの物話は続けていくつもりですので、次回からも読んで頂けると嬉しいです。 (2015-06-22 09:33)

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