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HOME > 遊戯王SS一覧 > TURN 31 家事―最高神の地―

TURN 31 家事―最高神の地― 作:Dann

//最初に、今回も馬鹿みたいに長くなっていますので閲覧の際はご注意を。


 食。
 食。
 食。

 「これ……インスタントラーメンだよな?」
 「ああ……なんでこんなに美味いんだよ……」
 「お気に召されたようで何よりで御座います」

 各々の感想を聞き、雀夜が頷いた。

 「……これ、本当に独学なの?」

 あまりの美味しさに葵が雀夜に尋ねた。

 「まあ、最初の頃は誰に振舞う訳でも無かったからな。あれこれ工夫してたらコレぐらいになったんだ」
 「って事は不味かった事もあるのか?」
 「ああ。あれは……しばらく気絶してたぜ……」
 「そんなに酷かったのか……」

 雀夜の答えに真が唖然とする。

 「まあ、それぞれ腹も膨れた事だし……」

 真がそう言い、全員が声を揃えて

 「「ご馳走様でしたっ」」

 「さて……片付けるぞ……食器洗いは真と俺。葵が台拭きと食器の片しだ」

 狩の指示で皆が作業に入った。

 「余った俺と黒句とラッシュは?」
 「あ、じゃあ部屋の掃除とか洗濯とかお願い」

 葵から依頼を受けた雀夜達は直ぐに動いた。

 洗濯:雀夜。

 「先ずは洗濯機の中の洗濯物出さないとな……」

 そう言いながら雀夜が洗濯機を開けようとして……

 「やっぱダメェェェ!!!」
 「ぶはぁっ!?」

 全速力で駆けて来た葵に思いっきり頬を殴られ、雀夜は勢いよく吹き飛んだ。

 「なんだいきなり!?」
 「さっきよく考えたら、私の洗濯物もある事に気がついたの!!」

 何故か葵の顔は赤く染まっていた。

 「だからそれがどうし……ああ、そういう事か……」

 雀夜が殴られた所を抑えながら、呆れたように言った。
 洗濯物の入った籠の一番上にに日向の洗濯物があったから気付かなかった。

 「やっぱココ私がやる!」


 掃除:チンピラコンビ。

 「ふぅ……一通りリビングの掃除は終わったなぁ……」
 「じゃあ、後は親父さんと葵の部屋ッスね」

 そう言いながら二人は日向の部屋に入った。

 「ふむ……結構な種類の本があるな……」
 「仕事用の資料や趣味の本か。きちんと整理してありますぜ」

 ラッシュが本棚を見ながら言った。

 「目立って汚い所は無いし、パパッと終わらせて次行くぞ」

 文字通りパパッと日向の部屋を掃除し終わり、部屋を出た。
 そして真向かいの葵の部屋のドアに手を掛け……

 「そっちもダメェェェ!!!」
 「ごへっ!?」
 「うぐっ!?」

 全速力で駆けて来た葵が二人に猛烈なドロップキックをお見舞いし、それぞれ綺麗にクリティカルヒットした。

 「い、いきなり何しやがる……!」

 鳩尾を押さえながら、ラッシュが叫ぶ。が、あまり声が出ない。

 「や、やっぱり……自分の部屋は自分で……」

 またしても葵の顔は赤かった。
 すると後ろから雀夜が現れ、

 「年頃の女子は扱いが大変って事だ。理解してやれ」
 「……ああ、そう言う事か……」

 雀夜の一言で黒句は理解した様子だが、ラッシュは今一分かっていないようだ。

 「とにかく、女子の部屋は本人にやらせるのが一番だ。俺たちの仕事は終わりだ」
 「~?」

 黒句に連れられラッシュもその場を去った。


 午後の1時過ぎ。
 主な家事を済ませ、雀夜達は休憩中だった。

 「あ~……これからどうするよ?」

 雀夜が時計を見ながら気だるそうに言った。

 「まだ真昼だし、セキュリティはエリア境にいるよね……?」
 「ああ。今帰ると即座に逮捕、マーカー入れられる」

 葵の問いに真が答えた。

 「サテライトの人達とか、下の人達ってこっちに来るだけで重罪なんだね……」
 「ま、それで不動遊星もマーカー付いたわけだし……」
 「突然だが雀夜、ちょいデッキいじったから相手してくれ。……暇だし」
 「ん? ああ……暇だからな」

 「ああ……旅してえ……」

 雀夜と真が決闘する事になった横で、狩が一人呟いていた。


 「「決闘!」」

――小野寺 真【LP:4000】VS遊幻 雀夜【LP:4000】――

 先攻は真から。

 「ドロー。《マスクド・トルーパー》を召喚」
 【ATK/1600 ★4】

 「カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

――真【LP:4000・手札:3・場:マスクド・トルーパー(ATK)、伏せカード×2】


 「俺のターン。ふむ、《ヴァリアブル・シルエット・B》を召喚」
 【ATK/800 ★3】

 「さらに、手札の《シルエット・フライヤー》は場に《ヴァリアブル・シルエット》が存在する時、特殊召喚ができる!」
 【ATK/1000 ★4】

 「ふむふむ」
 「そして《ヴァリアブル・シルエット》を装備し、その攻撃力分アップする」

 雀夜はモンスターカードゾーンの《ヴァリアブル・シルエット・B》を《シルエット・フライヤー》の真下の魔法&罠カードゾーンへ移動させた。

 【ATK/1000→1800】

 「このままバトルフェイズ。《シルエット・フライヤー》で《マスクド・トルーパー》を攻撃」
 【ATK/1800 vs ATK/1600】

 「罠発動、《クイック・セイブ》。手札の《マスクド・ウォリアー》1体を墓地に送る事で、その攻撃を無効にするぜ」

 真は手札の《マスクド・ウォリアー・ワスプ》を墓地へ送った。

 「むぅ……カードを1枚伏せてターンエンド」

――雀夜【LP:4000・手札:4・場:シルエット・フライヤー(ATK+)、ヴァリアブル・シルエット・B(装備),伏せカード×1】


 「俺のターンだ。ふむ、それじゃあ手札を1枚捨てて罠発動。《マスクド・コア》!」
 「来たな」
 「コイツの効果で、墓地の《ワスプ》を特殊召喚!」
 【ATK/1500 ★7】

 「ワスプ……スズメバチか。この間はあっけなく退場したが」
 「ああ。今回はそうは行かないぜ。効果発動、キャスト・オフ!」

 真は手札を全て捨て、《ワスプ》の攻守を逆転させた。
 【ATK/1500→2900】

 「うぉ、高い……」
 「そして効果《マスクド・トルーパー》の効果発動。自分フィールド上の《マスクド・ウォリアー》が効果を発動した時、カードを1枚ドローする」
 「なるほど、これで手札補充をするのか……」

 この《マスクド・トルーパー》こそが、前回の決闘で手札消費が激しい事に気付いた真が主に調整を入れた部分である。

 「《ワスプ》の効果はまだ続くぜ。自分フィールド上の自身以外のモンスターの攻撃力を400ポイントアップする」
 【ATK/1600→2000】

 「それじゃあバトルフェイズだ。《マスクド・トルーパー》で《シルエット・フライヤー》を攻撃」
 【ATK/2000 vs ATK/1800】

 「……!」
 【LP:3800】

 《シルエット・フライヤー》を戦闘破壊。
 それに伴い、《ヴァリアブル・シルエット・B》も破壊された。

 「続いて《ワスプ》で直接攻撃」
 「それは通さない。《ガード・ブロック》」

 雀夜へのダメージは0になり、雀夜の手札になった。

 「仕方ない、ターンエンド」

――真【LP:4000・手札:1・場:トルーパー(ATK+),ワスプ(ATK)、マスクド・コア(ワスプ)】


 「俺のターンだな。」
 「さあ、どう来るか……」

 真の場には攻撃力2000オーバーのモンスターが2体。
 雀夜は手札を見て唸る。

 「……ふむ。《ヴァリアブル・ツアーズ》を召喚」
 【ATK/1600 ★3】

 「《ツアーズ》の効果で、お前に500ポイントダメージ」
 「おぅ……」
 【LP:3500】

 「そして相手の場にモンスターが居る事で《スカイフライ》を特殊召喚」
 【ATK/200 ★2】

 「ふむ」
 「レベル3のツアーズにレベル2のスカイフライをチューニング」
 【★3+★2=★5】

 「神話より目覚めし人形が、魔の縛を撒き散らす。その姿を刮目せよ! シンクロ召喚。踊り狂え、《ヴァリアブル・マリオネッター》!」
 【ATK/2200 ★5】

 「……!」
 「シンクロ素材になった《ツアーズ》の効果を発動。デッキから《ヴァリアブル・タイガー》を手札に加える」

 デッキからカードを取り出した雀夜がデッキをシャッフルする。

 「バトルフェイズ行くぜ。《マリオネッター》で《トルーパー》を攻撃」
 【ATK/2200 vs ATK/2000】

 「くぅ……」
 【LP:3300】

 《マスクド・トルーパー》を戦闘破壊。

 「……《マスクド・ウォリアー・ワスプ》は仲間が破壊されたとき、このカードも破壊される……」

 《ワスプ》は墓地へ、《マスクド・コア》は手札へ戻った。

 「カードを1枚伏せてターンエンド」

――雀夜【LP:3800・手札:3・場:ヴァリアブル・マリオネッター(ATK)、伏せカード×1】


 「ドロー。魔法カード、《ジョイント・ジャンプ》。デッキから《マスクド・コア》を手札を加える。そしてカードを1枚伏せてターンエンド」

――真【LP:3300・手札:2・場:(モンスター無し)、伏せカード×1】


 「俺のターン。俺は手札の《ヴァリアブル・ブースター》の効果発動。自分フィールド上の《ヴァリアブル》と名の付いたシンクロモンスターのレベルを1つ下げて特殊召喚する」
 【ATK/0 ★1】

 「更に《ヴァリアブル・マリオネッター》、効果発動。このカードのシンクロ素材モンスター1体を特殊召喚する。俺は《ヴァリアブル・スカイフライ》を特殊召喚」
 【ATK/200 ★2】
 《ヴァリアブル・マリオネッター》【★5→★4】

 「なるほど、場に《ヴァリアブル》を出したのは、特殊召喚時の《スカイフライ》の効果を使うためか……」
 「ああ、その通りだ。《スカイフライ》の効果で、場に《ヴァリアブル》が他に2体が存在する時、カードを1枚ドローする」
 「手札枚数キープかよ……キツイな」
 「んじゃ行くぜ。レベル4となったレベル2の《スカイフライ》をチューニング」

 【★4+★2=★6】

 「レベル6か……」
 「血塗られた時代に、白き戦士が立ち上がる。その姿を刮目せよ! シンクロ召喚! 目覚めよ、《ヴァリアブル・ストライカー》!」
 【ATK/2400 ★6】

 「俺はカードを2枚伏せる。《ストライカー》の効果、俺の手札が2枚以下の時、このカードは相手に直接攻撃ができる。“ソード・バック・チェンジ”」
 「手札調整で効果変化……しかも直接攻撃効果かよ……」

 「真の伏せカードはほぼ間違いなく《マスクド・コア》。雀夜のシンクロモンスターは《マスクド・ウォリアー》の守備力を超えるモンスターが少ない……」
 「あ、そうか。ならモンスターとのバトルを介さない直接攻撃ならダメージが通るわけか」

 葵とラッシュが、雀夜が《ストライカー》を出し、効果を変化させた事から戦略を予想する。

 「なら永続罠《マスクド・コア》発動だ」
 「!」

 真は手札の《マスクド・リフレクション》をコストとして墓地に送った。

 「デッキから《マスクド・ウォリアー・ドラゴンフライ》を特殊召喚する!」
 【DEF/3000 ★8】

 「守備力高いな……つか、“キャストオフ”したら攻撃力3000かよ」

 雀夜が次の真のターンに起こる事を予想する。

 「まあいい。今は“今”に集中だ。《ストライカー》で真に直接攻撃」
 「ちぃ!」
 【LP:2100】

 「……ん? 1200ダメージ?」
 「言い忘れてた。“ソードバック”状態での直接ダメージは《ストライカー》の攻撃力の半分になるんだ。そして伏せた魔法カード、《ヴァリアブル・サルベージ》を発動」
 「!」
 「墓地の《スカイフライ》を回収するぜ。ターンエンド」

――雀夜【LP:3800・手札:3・場:ヴァリアブル・ストライカー(ATK),ヴァリアブル・ブースター(DEF)、伏せカード×2】


 「俺のターン! 魔法カード、《戦士の生還》!」

 真は墓地の《マスクド・トルーパー》を回収した。

 「そしてそのまま召喚!」
 【ATK/1600 ★4】

 「行くぜ。《ドラゴンフライ》の効果、“キャスト・オフ”!」

 真は手札を全て捨て、攻守を逆転させる。

 「《トルーパー》の効果で1ドロー。そして《ドラゴンフライ》を攻撃表示に」
 【ATK/3000】

 「うわ、高ぇ……」
 「まだ驚くには早いぜ。《ドラゴンフライ》効果発動。手札を1枚捨てる事で《シューティングエナジートークン》を特殊召喚する。“ライダー・シューティング”!」
 【ATK/1500 ★4】

 水色の光球のイラストが描かれた灰色のカードが場に出された。

 「《トルーパー》の効果で1ドロー」
 「またか……地味に強いな」
 「このトークンは自身を破壊する事で相手モンスター1体を破壊する!」
 「嘘だろ!?」

 雀夜の場の《ストライカー》はその効果で破壊された。

 「そして再び“ライダー・シューティング”!」
 【ATK/1500 ★4】

 真が再びトークンを作り上げた。

 「トークンで《ブースター》を攻撃!」
 【ATK/1500 vs DEF/0】

 《ヴァリアブル・ブースター》を戦闘破壊。

 「あ、負けた……」
 「《トルーパー》と《ドラゴンフライ》の直接攻撃」

 【ATK/1600 vs LP:3800】
 【LP:2200】
 【ATK/3000】
 【LP:0】

 勝者――小野寺 真。


 「……むぅ」
 「あざしたぁ~」

 雀夜は考え込むように唸り、真は勝った事に満足したような表情を浮かべていた。

 「お疲れ、二人とも」

 卓上に並べられたカードを回収する雀夜と真に、葵が二人にコーヒーを渡した。

 「お、サンキュ、葵」

 真が葵に礼を述べる。
 葵が雀夜の方を見ると……

 「ふむ……《シルエット・フライヤー》じゃダメか……攻撃反応型の罠も増やすか、イヤだがしかし……」

 やはりと言うべきか、独り言もとい今の決闘の考察・反省をブツブツと呟いてた。

 「……お、あれは……ハチドリか」

 狩は相も変わらず窓の外の地上絵を見つめていた。


//これ読み終わるのにどれぐらいかかるんだろ……
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