TURN 21闇闘―光統べし者達の裁き―　作：Dann

　真夜中の神崎家にも、ソレは来ていた。

　「なんなのよ……あなた……」
　「これが、ＩＤの敵なのか……？」

　葵と日向の前には黒ずくめで腕に蜘蛛の痣を持つ男が立っていた。

　「我らダークシグナーの邪魔者となるであろうＩＤよ。ここで消えてもらう」

　男がデュエルディスクを構えると、辺りに紫色の炎が現れ、周りを囲った。

　「これで何人もここに入れず、出ることも出来ない。出る方法は唯1つ」
　「……！？」
　「我と決闘をし、勝つ事だ」

　葵もまたディスクを展開し、前に出る。

　「なら話は早いわ。デュエ……」
　「待て。その決闘、私が受けよう！」
　「な！？」

　前に出た葵を止め、日向が代わり決闘を受けようとした。

　「ほう……力無き者がダークシグナーと決闘をする事が、いかに愚かな事だか教えてやろう」
　「お父さん！？　止めて！」
　「雀夜君にも言われただろう？　妻を守れなかったなら、せめて自分の娘は守ってやらねばならない！」
　「行くぞ……！」

　「「決闘！！」」

――ダークシグナー傀儡【LP：4000】VS神崎　日向【LP：4000】――

◆

　所変わってサテライト、蜘蛛の地上絵のコース内。


――遊幻　雀夜【LP：4000】VSダークシグナー傀儡【LP：4000】――

　先攻は雀夜から。
　「俺のターンドロー！　モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドだ！」

――雀夜【LP：4000・手札：4・場：伏せモンスター×1　伏せカード×1】


　「我がターン！」

　雀夜【SP：1】 ダークシグナー傀儡【SP：1】


　「我は《ライトロード・モンク　エイリン》を召喚！」
　【ATK/1600】

　正義を執行する光の軍勢の先発部隊の1人である、格闘戦士が現れた。

　「……【ライトロード】……？」

　「“ダークシグナー”のクセに【ライトロード】だと！？」
　「名前と使うデッキが正反対だな……」

　「《ライトロード・モンク　エイリン》でセットモンスターを攻撃！」
　「ちっ……セットモンスター、《ヴァリアブル・ダイバー》のリバース効果……」
　「《エイリン》はそんな効果を発動させはしない！　《エイリン》のモンスター効果を発動！」

　《エイリン》はセットモンスターのカードを蹴り飛ばし、デッキへと戻した。

　「なに！？」
　「このカードが守備モンスターを攻撃した時、ダメージ計算前にデッキに戻す！」

　デュエル・ディスクがオートシャッフル機能でデッキをシャッフルする。
　それと同時に《エイリン》は雀夜を睨みつけた。

　「厄介だな……」
　「このターンエンドフェイズ、我はデッキから3枚のカードを墓地に送る」
　「自らデッキを削る……《ライトロード》の特徴か」
　「墓地に送られた《ライトロード・ビースト　ウォルフ》の効果を発動！　このカードがデッキから墓地に送られた時、特殊召喚ができる！」
　【ATK/2100】

　「ターンエンドだ」

――ダークシグナー傀儡【LP：4000・手札：5・SP：1・場：エイリン（ATK）、ウォルフ（ATK）】


　「俺のターン！」

　雀夜【SP：2】 ダークシグナー傀儡【SP：2】


　「……ゆっくりはしていられない」

　決闘はまだ始まったばかりだ。