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HOME > 遊戯王SS一覧 > 二符「開幕、紅き主の剣」

二符「開幕、紅き主の剣」 作:ツバサ

誰もいない門を開き、霧雨魔理沙は警戒しながら紅魔館へと潜入する。
・・・本来、門には居眠りをする門番が立っている。
が、今回に限っては眠っているのかわからない・・・本当に誰もいないからだ。
紅い壁が特徴的な館の中にも・・・メイド妖精1匹すらいない。
気味の悪さから、魔理沙は自然と冷や汗すら掻いていた。


「・・・お邪魔してるぜー?誰かいないかー?
・・・誰もいないんならそこらへんの物を死ぬまで借りてくぜー?」


・・・返事は無い。
それが余計不気味で、魔理沙は思わず辺りを見渡していた。
なら本当に「借りて」みるか・・・?そう思って魔理沙は手近に飾ってあった花瓶に目を付ける。
挿してあった花を抜き、中の水ごとあえて周囲にぶちまける。
こうなれば何らかの反応が見られるはず・・・そう思ったが・・・。


「・・・こりゃマジでやばいな。
こんなことしてあのメイド長が黙ってるはずがないんだ・・・確実に何か起こってる・・・!」


箒に跨り、必死の形相で館を飛ぶ。
目指すは――霊夢ほどではないにしろそれなりの自分の勘が導き出した、大広間だ。




勢いよく扉を開く。
そこには一面紅で染まった部屋が広がる。
その大広間に・・・予想通り、誰かがいた。
ピンクのドレスに身を包み、青みがかった銀髪にナイトキャップをかぶった紅い瞳の少女。
その背中には蝙蝠のような巨大な翼が生えている。
にやにやと微笑みながら玉座のような椅子に腰かけるその少女こそ、この紅魔館の主――「レミリア・スカーレット」である。
そしてこの場には・・・彼女と、霧雨魔理沙の二人しかいない。


「・・・良く来たわね。ちょうど退屈してたところなのよ」

「ああそうかい。なら退屈しのぎに付き合ってやるからその前に質問に答えてくれ。
まず一つ、館の住人はどうした?」


その言葉にレミリアは特に動揺することなく答える。
特に不都合というわけでもないようだ。


「良くわからないのよねぇ?いきなりみんな倒れこんで、咲夜と二人がかりであらかたベッドに運んだところなのよ」

(咲夜と二人がかり・・・なのに今この場にいるのがレミリアだけだと?
・・・うーん?)


咲夜・・・フルネーム、「十六夜咲夜」。
この館でメイド長を務める少女であり、彼女もまたいくつもの異変を経験した強者である。
そんな彼女がこの場にいない・・・となれば。


「その咲夜は途中で倒れた、とかそんな感じか?」

「ええ。なんでかしらね?」


それを聞きたいのは魔理沙の方であるが、当の本人ですらわからないのであれば仕方ないだろう。
が、そのわけが判明しそうな質問がある。
そう、今起こっている異変の原因――


「・・・じゃあ次の質問だ。
レミリア、お前・・・『幻想絆』カードを持ってるだろ?」

「・・・クック・・・やっぱりそうなのね・・・まあ、あなたが今ここに来るとしたら・・・それしかないものねっ!!」


椅子に腰かけたままレミリアが腕を振るうと・・・紅魔館が突如大きく揺れる。
突然の事態に軽くパニックになる魔理沙だったが、すぐに落ち着いて体のバランスを取りつつ立ち続ける。
一方レミリアは・・・顔を伏せた状態で、体中からどす黒いオーラのようなものを放出していた。
明らかに普段のレミリアとは違う。魔理沙は確信した。
揺れが収まると同時に、レミリアは玉座から飛び出し、魔理沙と距離を取った状態で着地する。


「さあ、決闘陣を展開しなさい・・・あなたの『幻想絆』、いただくわ!」

「悪影響を与える作用があるって聞いたが、これは悪影響なんてレベルじゃないぞ!?
ええい、どうにか勝って『幻想絆』を回収するか!決闘陣、展開!!」


レミリアも同時に紅い陣を展開。
魔理沙の黄色い陣と重なり、デュエルスペースを形成した。
そして同時に取り出したデッキをセット、陣が強く光り出すと同時に、二人は宣言する。


――デュエル!!


LP8000のマスタールールで行われるデュエル、互いに5枚のカードを引き、まずは魔理沙が先行を取った。


「先行プレイヤーは最初のターン、ドローすることができない。このままメインフェイズ1へと移行させてもらうぜ。
まずはモンスターを裏側守備表示でセット。
そしてカードを1枚伏せてターン終了だ」


魔理沙の場に、横向きの裏側カードが1枚、その後方に縦向きの裏側カードが1枚出現。
現在横向きのカードがモンスター、そして後方に存在するのが・・・とりあえず魔法、罠カードだ。
まずは無難な一手。それを見てレミリアはクスクス笑いながら自分のターンに移行する。


「ふふ・・・私のターン、ドロー」


後攻であるレミリアには最初のターンでのドローが許される。
ドローしたカードを見たレミリアは・・・狂気の表情で魔理沙を見つめる。


「・・・!?まさか・・・もう引いたのか!?」

「ええそうよ・・・早速行かせてもらうわよ!
私はドローフェイズに引いたこのカードを公開するわ!
このカードは通常のドローで引いた場合、公開し続けることでメインフェイズ1開始時に発動できる通常魔法!
このカード自体はデュエル中1枚しか使用できないのが残念だけど・・・それに見合った効果を発揮することになる!
そしてメインフェイズ1開始時、このカードを発動する!
『RUM-七皇の剣』!!」


高らかに宣言し、そのカードを掲げると、「RUM-七皇の剣」は紅く輝き始める。
思わず手で顔を覆う魔理沙。しかし発動は止まらない。


「このカードはまず、『CNo.』以外のNo101~107のオーバーハンドレッドナンバーズを、墓地、またはエクストラデッキから特殊召喚する!
さあ、現れなさい・・・『No.107 銀河眼の時空竜』!!」


107の文字が宙に浮かんだかと思うと、不思議な形をした物体がその場に出現。
それは少しずつ展開していき、機械的なフォルムのドラゴンとなった。
攻撃力3000、守備力2500のステータスを誇るが、これだけで終わらないのがこのカードの恐ろしさだ。


「そして特殊召喚したモンスターと同じ数字の『CNo.』を、そのカードの上に重ねてエクシーズ召喚する!
タキオンドラゴンでオーバーレイネットワークを再構築!」


ドラゴンは光の粒子となり、上空に現れた渦に吸い込まれていく。
そして渦が爆発すると同時に、その場に新たなドラゴンが現れる。


「――カオスエクシーズチェンジ!
さあ、力の前にひれ伏しなさい!『CNo.107 超銀河眼の時空龍』!!」


黄金に輝くその体、そして3つの首。
攻撃力4500という通常のモンスターでは簡単に倒せない龍が、このフィールドに出現した。


「ちっ・・・序盤から攻撃力4500かよ!冗談きついぜ!」

「ふふ・・・これが力。そして思い知りなさい!
バトルフェイズ、ネオタキオンで裏側表示モンスターを攻撃!
アルティメット・タキオン・スパイラル!!」


3つの首から勢いよく放たれる螺旋のブレスは・・・守備モンスターの姿を見せることなく一瞬で消し去った。
その衝撃は、モンスター越しに魔理沙にも伝わる。


(ちっ・・・この衝撃は、間違いなく本物だ!
あんなのまともに喰らったら無事じゃすまない・・・!
だが、ちゃんと効果は発動させてもらうぜ・・・)

「セットされていたモンスターは『水晶の占い師』。
こいつはリバース効果を持つモンスターだ。攻撃によって表側になったから、効果が発動する。
私のデッキの上から2枚を公開し、そのうち1枚を手札に、もう1枚はデッキの下に置く。
さあ、めくるぜ」


魔理沙がめくった2枚、1枚は「お注射天使リリー」、もう1枚は「マジシャンズ・サークル」だ。
どちらも強力だが、この場で欲しいのはやはりリリーの方である。
魔理沙はリリーを手札に加え、「マジシャンズ・サークル」はデッキの1番下に戻した。


「『お注射天使リリー』・・・下級モンスターながら中々強力なカードだったわね。
けどこのネオタキオンにはまだ及ばない・・・残念だったわね。
カードを1枚伏せ、ターン終了よ」


レミリアの場にも1枚の伏せカード。
序盤から圧倒的不利な状況に立たされた魔理沙であったが、一つ疑問が生まれる。


(・・・ただ裏側モンスターを破壊するだけなら、「CNo.101 S・H・Dark Knight」でもよかったんじゃないか?レミリアは持ってたはずだし、ネオタキオンはそもそも咲夜が持ってたカードのはずだ・・・)


ダークナイトは攻撃力2800と最上級モンスタークラスであり、特殊召喚されたモンスターをエクシーズ素材として吸収する能力も持つ。
さらに、エクシーズ素材を持っている状態で破壊されても墓地に「No.101 S・H・Ark Knight」がいれば即座に蘇り、ダークナイトの攻撃力分ライフが回復する。
魔理沙のセットモンスターがモンスター破壊カードであったら、ネオタキオンではあっさり破壊されるところを、ダークナイトならライフを回復しつつフィールドに留まれるのだ。


(加えてネオタキオンの能力・・・エクシーズ素材を取り除いて、このカード以外の表側カードの効果をこのターン無効にし、相手カードの効果をこのターン発動できなくさせる能力を使わなかったのも不自然だ・・・勿体ないってのはわからないでもないが、それにしたって実質耐性の無いモンスターで無防備に攻撃を仕掛けるなんて・・・。
ええい、どのみちネオタキオンを倒さないとどうしようもない!あれですら「幻想絆」カードの前座なんだ!この程度はまず突破する!)

「私のターンだぜ!」


疑問を振り払いつつカードを引き、手札を5枚とする魔理沙。
既にネオタキオンを倒すカードはそろっている。まずは攻撃力お化けの処理だ。


「私は『お注射天使リリー』を召喚!」


早苗とのデュエルでも見せた、白衣の天使が攻撃表示で出現。
攻撃力は400、しかしライフを払えば圧倒的な攻撃力を得ることが可能となる。


「なるほど、読めたわ・・・あなたが何をするつもりなのか」

「・・・余裕そうな表情なのが気に食わないが、とりあえずいかせてもらうぜ!
手札から装備魔法、『進化する人類』をリリーに装備!
こいつは私のライフが相手より上なら装備モンスターの元々の攻撃力を1000に、逆に下であれば装備モンスターの元々の攻撃力が2400になるカードだ。
今ライフの差は無い。よって攻撃力は400のままだが・・・。
私はこのままネオタキオンに攻撃を仕掛ける!」


自身よりはるか格上のネオタキオンに向かって、巨大な注射を構えながら飛び立つリリー。
ここからがリリーの真骨頂。魔理沙は当然効果発動を宣言する。


「リリーの効果!戦闘を行うダメージ計算時に1度、LPを2000支払うことでそのダメージ計算時のみ、リリーの攻撃力は3000ポイントアップする!」


魔理沙がライフを支払って6000となると、その注射器がさらに巨大になり、リリーの攻撃力あ3400へとアップする。
が、それでもネオタキオンには届かない。しかし今度はリリーにまた別のオーラが纏い始める。


「私のライフがお前のライフを下回ったことで、『進化する人類』の効果が適用される!
リリーの元々の攻撃力は、400から2400に!
そこにリリー自身の効果が合わさって・・・攻撃力5400!
必殺コンボ、叩き込んでやるぜ!検診のお時間だぁ!!」


お注射よ!という掛け声と共にネオタキオンの心臓付近にその巨大な注射針を突き刺すリリー。
たまらず爆発四散するネオタキオン。その爆発はレミリアをも巻き込む。
攻撃力の差は900、よってレミリアのライフは7100へと減少した。
・・・にも関わらず。


「・・・くくく、やってくれるわねぇ・・・ふふ」


その表情は・・・未だに余裕に満ちた笑顔だった。


「・・・ちっ、やっぱこいつは前座かよ・・・。
くそ、一体何を企んでやがる・・・?」


異様な雰囲気に包まれるフィールド。
そう・・・デュエルはまだ始まったばかりなのだ。




後書き

てことでまずは魔理沙VSレミリア・スカーレット戦から始まります。
レミリアは最初からクライマックス状態。トップ七皇の剣ってそうあるようなことじゃないんだけどね・・・。
「幻想絆」カードはまだ出ていないものの、作中でも言及している通り、「ネオタキオンは前座」です。なので次回で登場します。
・・・真面目にネオタキオンを戦闘破壊する人っているのかな。オネスト無しで。
さて、考えているのはここまで。次回からはほぼアドリブで展開していきます。
・・・大丈夫、かなぁ?
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