TURN01 進化の奇跡・トランス召喚　作：217

ここは日本のどこかにある町、魅蘭市。数十年前に登場したデュエルディスクによって、世界がデュエルによって支配された時、魅蘭市は日本におけるデュエルの中心地となり、デュエルアカデミアや世界大会が行われるほどの場所となっている。そして、現在大多数のデュエリストたちが、自分の腕を確かめるため、デュエルの勉強をするため、ただデュエルを楽しむために魅蘭市に集まっている。


?「さて、これでチェックメイトだな。俺は真紅眼の黒竜でダイレクトアタック！黒炎弾！」

男「うわーっ！」

男 LP 0
? LP 4000

勝者 ?

男「くそっ・・・！俺がこんなやつに負けるなど・・！」

?「だてにこの町に住んでねえよ。さ、こいつから奪ったカード、返してもらおうか？」

男「ちっ！ほらよ！こんなクズカード、いらねえよ！」


そういうと男はカードを１枚投げつけるように渡すと、ぶつぶつと何かを言いながら去っていった。


?「ったく、決闘(デュエル)を知らねぇ癖にごちゃごちゃと・・・。ま、いいか。ほれ、このカード、返すぜ」

少年「ありがとう！黒帽子のお兄さん！」

?「そんなに大事なカードなのか？」

少年「うん！これはね、お父さんが僕のために初めて買ってくれたカードなんだ。お父さんは、交通事故にあっちゃって、もういないんだけどね・・・。だから、このカードはお父さんの形見でもあるんだ！」


このとき、少年の眼に少しずつ、涙がたまっていった。

少年「でも、あいつは僕からこのカードを取っていったんだ。少しぶつかっちゃっただけなのに・・・。」

?「そうか」


そういうと、?はとてもあたたかい笑みを浮かべ、少年の頭を撫でた。


少年「あいつ、このカードのこと・・・」

?「ああ、さっきあいつはクズカードだと言った。確かにそのカードは、強いカードかと言われると、そうでもない。だが、カードの強さを決めるのはその持ち主だ。お前と一緒なら、このカードは無限の力と進化の可能性を持てるんだよ。」

少年「・・・グスッ・・・本当に？」

?「ああ！俺とこのカードみたいにな」


そういって、少年に真紅眼の黒竜を見せた。


少年「・・・うん、わかったよ！僕がんばるよ！強くなって、お父さんに成長したところ、見せてやるんだ！」

?「おう！その意気だぜ！」

少年「本当にありがとう！黒帽子のお兄さ・・・」

?「橘遊騎（たちばな　ゆうき）だ。」

少年「遊騎お兄ちゃん、ありがとう！強くなったら、いつかデュエルしてね！」

遊騎「おう！いつでも決闘、受けてやるよ！」


そして少年は、力強い走りで去っていった。


遊騎「さて、んじゃ、そろそろ家に・・・」

?「お～い！遊騎～！」

遊騎「・・・帰れないか。ったく・・。何か用か、愛華」

愛華「向こうのほうで、襲撃事件があったみたいなの！しかもかなり有名なデュエリストが襲われたそうよ！」


遊騎の目の前にいる、スラッとした長く細い足に、豊満なバストを備え、まるで黒いダイヤのような、腰まである長い髪を持つモデルのような女性は、美月愛華（みつき　あいか）。21歳。遊騎の幼馴染である。


遊騎「で、用はその犯人とっ捕まえて、セキュリティにでも差し出せばいいんだろ？」

愛華「そう！」

遊騎「はあ・・・めんどくせえなぁ・・・」

愛華「もう！そんなんじゃ、”賞金稼ぎ”の名が廃るわよ！」

遊騎「はいはい。いきゃいいんだろ」


賞金稼ぎ。それはデュエルを用いて犯罪を犯す犯人をデュエルによって捕まえ、セキュリティに渡すことで報奨金をもらっている人のことを指す。
世界がデュエルを支配したのと同時に、世界中でデュエルによる犯罪が急激に増加してしまい、デュエリストが集まる魅蘭市では特に多くなることから、魅蘭市では大変な課題となっている。セキュリティだけでは処理しきれないことから、こうして報奨金を出すことにより、賞金稼ぎたちにも協力してもらう体制をとっているのである。

黒のジーンズに、青いジャケットを着た青年、橘遊騎もまた、魅蘭市の賞金稼ぎである。


愛華「全く！最近やる気がないわね。どうかしたの？」

遊騎「別に。ただやる気がねえだけだよ。」

愛華「ならいいんだけど。さ、早く向かいましょ♪」

遊騎「へいへい。ほれ、後ろ乗れよ。」


遊騎は黒いＤホイールの後部座席に愛華を乗せると、目的地まで爆走していった。
遊騎のもつＤホイールは、ある事情によって２人乗りが可能となっている。

～10分後～

キキーッ！！

遊騎「ここか・・・結構人が集まってんな」

愛華「ええ。犯人は・・・まだいる！」


遊騎と愛華の前には、１つのデュエルが行われていた。


犯人「ははは！これで終わりだ・・・ダーク・アームド・ドラゴンでダイレクトアタック！」

有名デュエリスト「この私が・・・この私がー！」

有名デュエリスト　LP0

勝者　犯人


モブ女「そんな・・・あの人が負けるなんて・・・」
モブ男「ありえねえ・・・。」

愛華「あの有名デュエリスト・・・最近の勝率は８割５分と聞いているけど、その人が負けるなんて、あの犯人・・・強い。」

遊騎「別に勝率だけが決闘者の強さを示してるわけでもねえだろ。ま、強そうではあるけどな」

犯人「ふははは！こんなものか、お前の実力は！ 弱い！弱すぎる！」

愛華「遊騎、気をつけ・・・」

遊騎「わーってるよ。愛華はそこで見てろよ」


そういうと、遊騎はＤホイールから降り、犯人に近づいていった。


遊騎「よう、そこのお強そうなあんた。まーた何でこんなことしてんの？」

犯人「あぁ？なんだてめえ」

遊騎「おっと、紹介遅れたな。俺は橘遊騎ってんだ。よろしく」

犯人「ふん！どこのガキかしらねえが、何の用だ？」

遊騎「あんたがここで何やってんのか、聞きたいだけだよ。ま、大体想像はついてるがな。」

犯人「俺はただ、自分の実力を試したかっただけだよ！最近こいつの顔を見るようになったからな。俺様の最強伝説の礎にしてやろうとね！」

遊騎「でも、有名デュエリストさんにデュエルでここまで負傷させるのは、さすがに駄目だね。犯罪だぜ？」

犯人「ふん！知ったことか！」

遊騎「ま、なんでもいいんだけど・・・。さ、話してるのもなんだ、続きは決闘でやろうぜ！」

犯人「ふん！よかろう！お前も俺の伝説の礎にしてやる！俺の名前は桐生剛介（きりゅう　ごうすけ）だ！覚えときな！」

デュエルモード、オン。SV(ソリッドビジョン)システム、スタンバイ。システム・・・オールクリア。


デュエル！

遊騎　LP 4000 手札５枚
　
剛介　LP 4000 手札５枚


遊「先攻はもらうぜ！俺のターン！俺は手札から、真紅眼の黒騎士を召還！」


真紅眼の黒騎士（レッドアイズ・ブラックナイト）
効果モンスター
星4/闇属性/戦士族/攻1800/守1500
「真紅眼の黒騎士」の効果は１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードの召還に成功したとき、デッキから「真紅眼」モンスター１体を手札に加えることができる。
(2)：このカードをリリースすることで、墓地に存在するレベル７以上の「真紅眼」モンスターを１体特殊召還することができる。


遊「この効果により、俺はデッキから真紅眼の黒竜を手札に加える。そして、カードを１枚伏せて、ターンエンド」
遊騎　手札4枚　伏せ１枚

剛「俺のターン、ドロー！俺は手札から、召還僧サモンプリーストを召還！」


召還僧サモンプリースト
効果モンスター
星４/闇属性/魔法使い族/攻 800/守1600
(1)：このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。
このカードを守備表示にする。
(2)：このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードはリリースできない。
(3)：１ターンに１度、手札から魔法カード１枚を捨てて発動できる。
デッキからレベル４モンスター１体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。


剛「この効果により、手札の闇の誘惑を墓地に送り、デッキから終末の騎士を特殊召還！」


終末の騎士
効果モンスター
星４/闇属性/戦士族/攻1400/守1200
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
デッキから闇属性モンスター１体を墓地へ送る事ができる。


剛「この効果で、俺はデッキからサモン・サポーターを墓地に送る！そして、墓地のサモン・サポーターの効果発動！」


サモン・サポーター
効果モンスター
星４/闇属性/悪魔族/攻1300/守1600
(1)：墓地にあるこのカードをゲームから除外することで、このターン通常召喚に加えて１度だけ、悪魔族を通常召喚できる。また、この効果を使用したターン、闇属性モンスターのリリースに必要なモンスターは１体少なくなる。


剛「俺は場の終末の騎士をリリースして、デビルカイザー・クリシュナをアドバンス召喚！」


デビルカイザー・クリシュナ
効果モンスター
星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守2000
このカードの(2)の効果は、１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
相手フィールド上のモンスターをすべて守備表示にする。
(2)：このカードが守備表示モンスターを戦闘で破壊したとき、自分フィールド上の闇属性モンスターを1体墓地に送ることで、攻撃力を500ポイントあげ、もう１度攻撃することができる。
(3)：このカードの攻撃力が相手モンスターの守備力を超えていたとき、越えている分のダメージを相手に与える。


遊「このモンスターは・・・！」

愛「かなりのレアカードのはず・・・あいつ、もしかして今までにも！？」

剛「こいつはあるやつから昔とったカードでな、それからというもの、俺の相棒となっている！」

愛「まずい・・・あれで攻撃されたら、遊騎は！」

剛「はははは！これで終わりだ、クズデュエリスト！クリシュナで真紅眼の黒騎士に攻撃！ヘルフレイム・バースト！」

遊「くっ！」

遊騎　LP 4000→2500

剛「さらに効果により、サモンプリーストを墓地に送ることで、攻撃力を500あげてもう一度攻撃する！」

愛「遊騎！」

遊「速攻魔法発動！真紅の盾！」


真紅の盾
速攻魔法
(1)：自分の墓地の「真紅眼」モンスター１体をゲームから除外し、このターン受けるダメージを半分にする。


剛「悪あがきだー！」

遊「ぐっ・・・！」

遊騎　LP2500→750

剛「はん！首の皮１枚残ったな！しぶといやつだ。まあいい。次のターンでケリつけてやる！俺はカードを１枚伏せて、ターンエンド！」

剛介　手札2枚 伏せ１枚

剛（ふふふ・・・俺が伏せたのはくず鉄のかかし。これがあれば、あいつがどんなに強いカードできても、それを防ぐことができる。それに、俺の手札にはダムドと大嵐。これで俺の勝ちは決定したも同然！）

遊「んだよ、これで終わりかよ」

剛「何！？」

遊「もうちょい楽しませてくれると思ったんだけどなー」

剛「ふん！強がっても意味はないぞ！」

遊「強がりじゃねえっての。んじゃ、こっから、決闘ってのを教えてやるぜ！俺のターン、ドロー！」

遊騎　手札5枚

遊「俺は手札から、真紅眼の従者を召喚！」


真紅眼の従者（レッドアイズ・サーヴァント）
効果モンスター
星3/闇属性/戦士族/攻1000/守1300
このカードの効果は、１ターンに１度しか使用できない。
(1)：このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、
手札の「真紅眼」モンスター１体を特殊召喚できる。


遊「こいつの効果で俺が呼ぶのは、こいつだ！来い！真紅眼の黒竜！」


真紅眼の黒竜（レッドアイズ・ブラックドラゴン）
通常モンスター
星７/闇属性/ドラゴン族/攻2400/守2000
真紅の眼を持つ黒竜。
怒りの黒き炎はその眼に映る者全てを焼き尽くす。


剛「はははは！何かと思えばレッドアイズか！そんなモンスターじゃ、俺のクリシュナは倒せないぜ！素直に手札にいたチューナーでも使って、シンクロ召喚でもすればよかったんじゃないか？それとも、それすらもできない感じか？」

遊「うるせえなぁ・・・ったく。なら、よく見てな！俺にのみ扱える、この力をな！」

剛「何！？」

愛「くる！」


遊「このモンスターは、自分フィールド上に存在するレベル７以上・闇属性・ドラゴン族・攻撃力2400以上のモンスター１体をリリースすることで、エクストラデッキから姿を現す！俺は真紅目の黒竜をリリース！いくぞ！トランス召喚！」

剛「ト、トランス召喚、だと！？聞いたことねえぞ！？」


真紅眼の黒竜は空へと飛翔し、雲の中へと消えていった。そしてその瞬間、まばゆい光が雲から発せられた。

遊「その体に宿すは紅き眼と煌く閃光。悪しきものを照らし出し、その眼に秘められし炎で全てを焼き尽くせ！現れろ！真紅眼の閃光竜！」

剛「こ、このモンスターは！？」

遊「見せてやるよ。俺の力、トランスモンスターの力を！」


次回に続く・・・