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HOME > 遊戯王SS一覧 > 第7話 犬と屋敷と都市伝説

第7話 犬と屋敷と都市伝説 作:イベリコ豚丼

「見つけた! 11時の方向900メートル! 急げ、屋内に入ってしまうぞ!」
消えた男を探して裏路地を駆けずり回っていた遊午の上空で八千代が叫ぶ。別方向に向いていた両脚に慌ててブレーキをかけ、転びそうになりながら裏路地を走り抜ける。どこか生活感の無い通りを700メートルほど進むと、黒い鉄柵に囲われた屋敷が現れた。
「遅い! 奴はもう屋敷の中じゃ」
両開きの門の前で待っていた八千代は、遊午の姿を認めるなり叱咤を浴びせた。
「ここは……」
見上げる洋館は3階建てで、所狭しと蔦が絡まっている。白い壁はぽつぽつと黒ずみ漆喰が剥がれた外壁。煉瓦色の屋根には昔ながらの煙突が伸びているが、もう何年も使われいる様子はなく、手入れもされていなかった。同様に窓ガラスも濁っている。
荘厳というよりは不気味という言葉が似合う様相である。これであとカラスが鳴いてでもいればまさに幽霊屋敷だ。
だが、カラスが寄り付いていない理由はすぐにわかった。

——バウワウワウバウ!!

「おわっ!」
突然柵状の門の隙間から生えた鼻孔に遊午は思わず仰け反った。遠のいた首根っこに喰らい付かんと、茶色いマスチフ犬はさらに顎を食い込ませる。分厚い唇はめくれ上り、鋭い犬歯の間からダラダラと涎が滴り落ちた。
1匹だけではない。
ドーベルマンビーグル秋田犬ポインターダルメシアンシベリアンハスキースピッツゴールデンレトリバーパグダックスフンドボクサーレトリバーペキニーズシェパードグレイハウンドコーギーその他ありとあらゆる品種の犬たちが次々に門に噛み付いていた。あまりの質量に鉄製の門がガシャガシャと揺れる。
いくら群れ意識の高い種族とはいえ、サイズも血統も違う犬がこれだけの数集まっている光景はもはや恐怖でしかない。しかも隙間から覗く限り、さらに後ろにもまだまだたくさんいるらしい。よく喧嘩にならずに仲良く遊午に襲いかかれるものだ。
飛び散る涎を避けつつ、遊午は門の隣の表札を確認する。
そして、自分の予想が正しかったことにため息をついた。
「あぁ、やっぱり……。ここ《犬屋敷》なのか……」
「む? なんじゃ、既知の家じゃったのか?」
「名前はね。実際見たのはこれが初めて。えぇと、ハートピア七不思議っていう、まぁどこにでもあるような噂があるんだけどさ」
遊午は簡単に7つの話を並べ立てる。

ひとつ、議事堂の秘密の部屋に命令を待つ大昔の軍隊。
ふたつ、使われなくなったはずなのに夜な夜な明かりが灯る廃病院。
みっつ、取り壊そうとするどこからともなく集まってきた犬が邪魔をする幽霊屋敷。
よっつ、連れてきた子供たちごと霧のように消え去るテーマパーク。
いつつ、化学工場の廃水から生まれた化け物。
むっつ、異世界へと飛び立つ漆黒の飛行機。
ななつ、ハートピアの地下にはびこる謎の空間。

「で、そのみっつめの幽霊屋敷ってのが多分ここのことなんだと思う。噂に出てきた名前通りの表札が掛かってるし」
子供の頃何度も震え上がらされた眉唾話がまさか実在していたとは。遊午は驚きと呆れの混じった嘆息を漏らす。
よくよく考えてみればさして不思議なことでもないのだ。犬好きの金持ちが大量に囲い込んでいればこんな有様にもなるだろう。数がちょっと(ちょっと?)多過ぎる気もするが。変な噂が立つぐらいに。
『どこからともなく犬が集まってくる』というのはさすがに嘘くさいので、その部分は後からついた尾ひれに違いない。
「ふむ。ではあの男が幽霊屋敷の主というわけか。……匂うな」
「うん…………凄まじい獣臭だ」
「そっちではないわ。匂うのは男のほうじゃ」
「え? あいつそんなに体臭ドぎつかったけ?」
「お主の言語野はどうなっておるのじゃ!? この場合の『匂う』は『怪しい』の意味に決まっておろう!」
「あぁ、そっちか。で? なにが怪しいの?」
何の気なしに放った質問だった。
だが八千代は呆れたように頭を振って、
「なにがもなにも、お主には犬とはいえこれだけの数の獣が一箇所に集まってなんの外力の干渉もなしに統率がとれると思うてか?」
「うん……?」
「だから、この屋敷の主は−No所有者なのじゃぞ」
「! それって……!」
犬は群れ意識とともに縄張り意識も強い。たとえ飼い主が連れてきた個体であっても、そう簡単に新入りを受け入れたりしない。犬の社会は人間の社会以上に信頼関係に厳しいのだ。
その犬が、侵入者に対して全員仲良く襲いかかる? 大型も中型も小型も関係なく?
そんなこと、特殊な力でも無ければ土台無理な話だろう。人智を超えた特殊な力でもなければ。
「……つまり、この犬たちはみんな−Noの力で操られてるってこと?」
「現在進行形で、というわけではなかろうが、全員少なくとも一度は力に支配されたことがあるじゃろうな。その七不思議とやらの『取り壊そうとすると犬が集まってくる』とはつまりはそういうことなのじゃろう」
「犬を使って役所の人間を追い返してるってわけか……」
遊午は前に視線を戻す。無数の犬が今も門を打ち鳴らしている。現状では所詮犬レベルだが、これが軍隊のごとく正確無比なコンビネーションで攻めてくるなど想像するのも恐ろしい。
「さて、どうする? 馬鹿正直に突っ込んでも全身くまなく喰い千切られるだけじゃろうな。それでもお主は死にはせんが、一生胃袋の中というのはあまり楽しいものではないぞ?」
遊午はおし黙った。
敵対すれば、相手は当たり前のように−Noの力を振るってくるだろう。
ならば、こちらの打つ手も決まっている。
目には目を。歯には歯を。人智を超えた力には。
「……決まってる。たとえどれだけ固い壁でも、黙って正面突破。それが出来なきゃ男じゃない」
遊午の言葉に八千代がわずかに微笑み。
そんな彼女を尻目に、遊午は覚悟を目に据え、全身に力を込め、冥界の扉のごとき鉄門を飛び越え————なんてしないで普通にその隣のインターホンを鳴らした。

「ガッカリじゃ! あぁガッカリじゃ! あれだけ格好いいことをほざいておいてインターホンじゃと!? なんじゃそれ! みっともなさすぎじゃろう! 『それが出来なきゃ男じゃない』とか、ふざけるのも大概にしろよこの腐れ葉鶏頭! これなら無様に喰い千切られておった方が100万倍マシじゃわ! というかもう今から喰われてしまえ! ドッロドロのグッチャグチャになって消化しきれんかった残りカスとともに排出されろ!」
「罵詈雑言が妙に具体的で怖い! あと葉鶏頭にチキン野郎みたいな意味はないよ!?」
今にも火を吐きそうな八千代を遊午はなんとかなだめる。どうやら遊午の『もはんてきかいとー(笑)』は八千代の逆鱗に触れたらしい。
「飛べばよいじゃろうが! 門も犬っコロも無視して屋根にでも着地すればよいじゃろうが! 何故飛ばん!? お主の翼は飾りか! それともどさくさに紛れて女子2人に抱きつくためだけのものなのか!? おぉ!?」
「俺の数少ない武勇伝になんて脚色を!」
半泣きで慟哭する遊午。
遊午だって好き好んでこんな普通の行動選択肢を選んだわけではない。もちろん、これ以上慣れない空中浮遊をしたら色々吐きそうだからでもない。
単純にリスクリターンの問題だ。
意表を突くために無断で乗り込めば、どんな理由があれその時点で敵対者と見なされても文句は言えない。そして敵対者になるということは相手は−Noの力を存分に振るってくるということだ。あたりは付いたといえ詳細のはっきりしない超常の力をいきなり相手取るのは少々危険が過ぎるだろう。極論、屋根に着地した瞬間ガブリということもあるかもしれない。死にはしないが。
そういう逡巡の末、遊午は真っ向からの対話を試みたのである。
と、まだまだ続きそうな八千代の喧々諤々非難轟々の隙間にインターホンから声が帰ってきた。
『おや。君はさっきの……』
「あ、突然すいません」
慌ててインターホンに面を向ける。
インターホンにはカメラこそ付いていないが、自宅の前で変な男が(しかも傍目には一人で)騒いでいるのがバレたら迷わずセキュリティに通報されかねない。わざわざここまで追ってきたのにそれは困る。
遊午は乱れた息を整えにかかる。
『もしかしてどこか怪我でもしていたのかい? だとしたら本当にすまなかったね。遠慮なく病院に行ってくれ。治療費はこちらが出すよ』
「あぁいや、そうではなくてですね…………あの、直接会って聞きたいことがあるんですけど、いいっすか?」
『…………?』
男が訝しむように首を捻ったのがわかった。
そりゃあたまたまぶつかっただけの見ず知らずの少年にいきなり聞きたいことがあるなどと言われれば困惑もするだろう。けれどそこはなんとか飲み込んでもらうために、遊午は見えない相手に頭を下げた。
「少しだけでいいんで、お願いします」
『ふむ……』
インターホンの向こうでカチャカチャとなにかを操作する音が聞こえて、
『構わないよ。上がりたまえ』
同時。
キギキギィッと錆びた鉄を軋ませながら両開きの門が開いた。ついでにあれだけ群がっていた犬たちが一斉に下がっていき、門の奥にある庭が明らかになった。
(よかった、一応話は通じるみたいだ)
遊午はこれまでに出会った二人の−No所有者を思い出して苦笑する。あの二人はそもそも話をしようという気すら無かった。
少し気が楽になって、軽い足取りで門の内側へと踏み込み————しかし遊午はゾッとした。
全身の皮膚が粟立つ。首筋がチリチリとひりつく。脳の奥底で本能がけたたましく警鐘を鳴らしている。
門の隙間から見えていたのは所詮一部に過ぎなかったことを思い知らされた。
庭に、緑が無い。
草花が植えられていないわけではない。靴の裏を刺激する感覚からそれはわかる。
だが見えない。そこにあるはずの緑色が、別の色で塗り潰されている。
白、黒、茶色、種々の犬たちの体色で。
「うぶっ……!」
遊午は思わず片手で口元を押さえた。ペットショップや動物園とは違う、無秩序に会した異種族は吐き気をもよおす違和感を生む。もはや好き嫌いの次元の話ではない。立ち込める臭いが、絶え間ない唸り声が、沸き立つ熱気が、目の前にある全てが薄皮一枚はさんだ神経を逆撫でしてくる。可愛げなどカケラも残っていない。
ここは外部から完全に隔絶された異界だ。
未開のジャングル。
宇宙の果て。
そういう人が踏み込んではいけない空間だ。
喰われる——ただそれだけの動物的感情で遊午の頭が埋め尽くされた。
「遊午、大丈夫か?」
八千代が心配そうに声をかける。遊午はこみ上げてくる異物感をなんとか押し戻した。
「ごめん……大丈夫……だと、思う」
語気に力が入らない。手の平と額が脂汗でびっしょりとぬめっている。
「ならよいが……。気を抜くなよ。ここはもう敵陣じゃ」
気付けば、屋敷の入り口まで一本道ができ上がっていた。説明するまでもなく、傍らに並んだ犬の頭でできた道だ。海が真っ二つに裂けたようにまっすぐ伸びている。
遊午にはその道が、巨大な犬の顎に続く道のように思えた。
しかし、このまま立ち止まっているわけにもいかない。一歩一歩、今にも逃げ出しそうになる脚を駆り立て、ゆっくりでも前に進む。
それでも、歩を進めるうちに耐えきれなくなって、遊午はつい立ち止まって視線を上に逃がした。
当然のように洋館が目に入る。翠嵐の店からそう遠くないこの地域で、こんなサイズの洋館はまずありえない。普通なら泥棒や強盗の格好の餌食になっている。そうならないのも、この多過ぎる番犬のせいであろう。
視線を戻し、再び扉を目指そうとしたところで、遊午はふと気付いた。
3階左端、くすんだ窓のひとつから、誰かがこちらを見ている。
(……女の子?)
金色の髪と物憂げな青い瞳が特徴的な女性だった。年の頃は20を少し越えたあたりだろうか。身に付けたシックな黒いタートルネックのセーターから大人びた雰囲気が漂っている。
「おい、ぼーっとするな」
「あっ、うん」
ふいに八千代から呼びかけられて、遊午は意識を引き戻した。形式的に無言の謝罪をして足を動かす。
途中でもう一度窓を見上げたときには、そこにはもう誰の姿もなかった。

年季の入った扉を押し開くと、外見に違わず豪奢な、そしてやはりうす気味悪いバロック様式の内装が広がっていた。
深紅のカーペットが廊下に敷かれ、床はひとりでにぎしぎしと軋む。埃まみれのシャンデリアが放つ光は鈍い。窓枠の溝を指でなぞるだけでも、随分長い間掃除を怠っていることが見て取れた。

——ワォン

空疎な玄関ホールに低い吠え声が通った。見れば、シャンデリアの真下、玄関の中心に1匹のドーベルマンが行儀よく鎮座していた。
ドーベルマンは一瞬遊午と目を合わせると踵を返し、上階に続く階段を駆けていった。
「ついて来い、ってことかな……?」
「じゃろうの」
遊午と八千代はドーベルマンの背を追って階段を上る。
2階に進み、突き当たりの階段をまた上る。ランプを模した電灯が並ぶ薄暗い廊下をしばらく歩くと、一際大きなドアが現れた。
ドーベルマンは前足で器用にドアノブを回し、遊午の顔を見てまたもワン、と吠えた。
ここがゴールらしい。
ドーベルマンに続いて部屋に入る。その部屋はどうやら書斎のようだった。
小難しそうな本がぎっしり詰まった本棚が壁際に2、3据えられ、煉瓦造りの暖炉の中で薪がパチパチと焼けている。毛の長い絨毯の上に、ダークブラウンの文机と同じ色の椅子。それとは別に、暖炉の傍には瀟洒な安楽椅子。調度品のどれもがアンティークな、悪く言えばかび臭い雰囲気を醸し出していた。
「やぁ。来たね」
穏やかなバリトンが響く。
黒い髪と髭、丸眼鏡、それから黒いタートルネックのセーターと黒い長ズボンを召したガタイのいい中年。安楽椅子に腰掛けていたのは、紛れも無く数十分前に駅でぶつかった男だった。
「よかったよかった。ムルガはちゃんと案内してくれたようだ」
「ムルガ?」
「この子の名前さ。それからこっちがオルトとルベロ。みんな優しく賢くて、私には出来過ぎた家族だよ」
そう言って、男は遊午たちを引き連れてきたドーベルマンの頭をゴツい右手で撫でる。男の足元にはさらに2匹のドーベルマンがじゃれついていた。
「君は?」
「え?」
「君の名前だよ」
「あぁ……白神 遊午です」
「囲 番士だ。白神くん、前にどこかで会ったかな?」
「いいえ。今日が初対面のはずです」
「となるとますますわからないな。慰謝料を請求しに来たわけでもない。面識があるわけでもない。では君はいったい何をしに来たんだい」
どこから説明したものかと迷った末、手っ取り早く核心を突くことにする。
囲も−No所有者だ。どうせ八千代の姿は見えているだろう。遊午は特に隠す素振りも無く『−No.39 天騎士ウィングリッター』を受け取った。
しかし、囲の眉間に皺がよったのを見てしまったと後悔する。
−No所有者だからといって八千代がどういう存在かを把握しているわけではないのだ。得体の知れない背後霊からカードを受け取ったように思われたかもしれない。
(つっても、今更言い訳したところで意味ないか)
それ以上考えるのを止めて、遊午は会話を再開する。
「囲さん。このカード、いや、これと同じようなカードに心当たりがありますよね?」
相手に見えやすいようにカードを胸の前で構える。覗き込むようにテキストを確認した囲は、黒い瞳を大きく瞠った。
「成る程……。数字が割り振られている時点で予測はしていたが……」
言って、囲はすっとムルガの頭から手をのける。すると、なんの指示も出していないのにムルガは文机の上のデュエルディスクを咥えてきた。
中から1枚のカードが取り出される。
そのまま見せてくれるのかと思いきや、遊午に向けられたのは茶色い裏面だった。
「このカードの正体は? 君はこのカードについて何を知っている? このカードにできることはなんだ?」
立て続けに質問を浴びせかけられて、遊午はわずかにたじろぐ。それに気付いたのか、囲は少し気まずそうにかぶりをふって語調を緩めた。
「いや、すまない。何分私はこんなカードを他に知らなくてね。どんなことでもいいから教えて欲しいんだ」
「えっと……」
CHESSのメンバーと違い、囲は曲がりなりにも一般人だ。どこまで話していいのだろうか。遊午は伺うように八千代を見上げる。
「妾のことは伏せろ。あとは別に構わん」
真剣な表情で宙に制止していた八千代からつっけんどんな返事が返ってくる。
「(りょーかい)」
あらためて囲と顔を見合わせた。
「囲さん。そのカード……−Noは、人の欲望が形になったものです。他の全てを切り捨ててでも成し遂げたい欲望。事情は知りませんが、囲さんにもそういうなにかがあったんでしょう。そして、−Noはそんな欲望を糧に生まれた。欲望を現実にするための、人智を超えた力を携えて。実際、−Noを手に入れてから囲さんの願望は進展したんじゃないですか?」
言いながら、遊午はあまりに荒唐無稽な話だと心の中で自嘲した。自分たちの世界を自分たちの手で造り出せるほどに文明が発達した現代で、なにを非科学的な話をしているのかと。
だが事実は事実。どれだけ嘘みたいでも信じてもらわねばならない。
その嘘みたいな世界の一端に触れてしまった相手なら、なおさら。
「でも、人智を超えた力なんてものがいい側面だけしか持ち合わせていないわけがないんだ。その力は、いずれ持ち主をも脅かす諸刃の剣なんです。……現に、力に飲み込まれて、普通じゃない死に方をした人間を俺は見ました」
脳裏に浮かぶのは、まるで電子レンジで温められたように内側から破裂した嵯峨野の姿。
あんなのは人間の死に方じゃない。
人間に降りかかっていい死に方じゃ、ない。
遊午は目の前の男に同じ目にあって欲しくないと純粋に思っていた。
互いの欲望をぶつけ合うデュエルになれば、最後の最後まで自分の欲望を諦めきれずにどうしても暴走のリスクは増す。話し合いでなんとかなるならそうすべきなのだ。
「だから、お願いします。カードを渡して下さい。今ならまだ間に合う。取り返しのつかないことになる前に、力を手放して下さい」
本心を素直にぶつけて頭を下げる。たとえ詳しいことがわからなくても、自分の思いの丈が相手に伝わるように誠意を見せる。
「…………。」
囲はカードを持っていない方の手で口元を隠し、神妙な面持ちで目を伏せていた。暖炉の炎で眼鏡のレンズが橙色に染まっている。なんとなく、遊午にはその表情が力を捨てるか否かではないもっと別のことで悩んでいるように感じられた。
沈黙が部屋を支配し、しばらく経って。
「……仮に、断ると言ったら?」
「……そのときは、力ずくでも回収させてもらいます」
「そんな方法があるのかい?」
囲が安楽椅子から身を乗り出す。
「はい。デュエルして、俺が勝てば、囲さんの−Noの所有権は俺に移動します」
今度は確かな覚悟をのせて、真っ直ぐに相手の双眸を見つめる。
「そうか……」
囲はもう一度安楽椅子の背もたれに身体をあずけた。深く息を吐いて、陰影のついた天井を仰ぐ。
遊午はなんとなく、多分デュエルになるんだろうな、と予想していた。
話し合いで解決するに越したことはないが、そもそも−No自体がエゴの塊である。他人に説得されて簡単に諦めきれる欲望なら、最初から発現していない。さっき驚いたように見えたのも、逆に自分が勝利すれば遊午の−Noを奪えると考えたからなのだろう。
だから思考するべきはどうやってデュエルに勝利するかであり、デュエル終了後にどうやって−Noを暴走させないかだと。
そう思っていた。
だから、続く言葉を聞いたとき、遊午は相手がなにを言っているのか理解できなかった。

「では悪いが、今日は帰ってくれたまえ」

…………、…………。
「…………は?」
「ん? あぁ、二度と来るなということじゃあない。そうだな……1週間ほど時間を空けてから出直してくれればいい。話の続きはその時にしよう」
意味が、わからなかった。
出直す? 1週間後に? いったいそれでなにが変わる?
「……仮に、断ると言ったら?」
奇しくも、遊午は先程の囲と同じ台詞を繰り返していた。
「そのときは、丁重にお帰りいただくだけさ」
刹那。
囲の首筋と、その手に収まるカードが淡く輝き始めた。
そして。

——ウゥグルルルゥゥッ!!!

足元に伏せていた3匹のドーベルマンが唸りを上げ、今にも遊午に喰らいつかんと犬歯を剥き出しにする。
変化はそれだけに止まらなかった。
力強く床を咥え込んだ合計12本の四肢がまるでポンプのように膨れ上がった。隆起は肩から胴へと順々に移動してゆき、最終的に丸太並みのサイズに変貌した首が赤い首輪を千切り飛ばす。剥き出しになった首筋には——力の影響下にある証拠なのだろう——薄白い光を放つ幾何学模様の刻印。目を爛々と輝かせ、牙も爪も鋭利に尖り、大きく引き裂かれた顎から粘着質の涎がダラダラと漏れている。
みるみるうちに3匹のドーベルマンは数秒前から倍以上のサイズへと変貌を遂げ、奇怪な化け物と化した。
「さぁ、お客様のお帰りだ。きちんとお見送りして差し上げなさい」
薄暗い部屋に冷徹な囲の言葉が響いたときにはもう、ドーベルマンたちは遊午の腕や足へと飛びかかっていた。
「な……っ!」
咄嗟のことに足がすくむ。
全身が針金でがんじがらめにされたように強張る。
動かない。動けない。
このままでは、今度こそ本当に喰われ————
「阿呆が……っ!」
ぐいんっ、と遊午は背中側から引力を受けてふっとんだ。喉が締まる。思わず呻きを漏らす間も無く、遊午は書斎前の廊下を転がり、サンドイエローのデイパック越しに背後の壁にぶつかった。
事態についていけず壁にもたれかかったまま呆然としていると、今しがた遊午のパーカーの襟を引っ張った八千代が今度は全力のビンタを食らわせる。
「べぶっ!」
「はよう立て愚か者! そんなに餌になりたいか!」
「わ、わかっ……ぶふっ! わかったからちょ待っ……だばっ!」
なおもビンタを繰り返す八千代の小さな手を受け止め、立ち上がる。
よろめきつつも来た道を引き返す。
直後に、ついさっきまでいた場所に黒い塊が殺到した。
3匹の化け物の着地を受け止めた木製の床が今にも抜けてしまいそうな音を立てて揺れる。それだけで今の襲撃がどれだけの威力を秘めていたかわかろうというものだ。
脅しやパフォーマンスではない。あの化け物たちは本気で遊午たちを狩ろうとしている。
「うおぉぉぉぉおおおっっっ!!」
追いつかれないように必死に走る。ようやく上ってきた階段が見えてきた。
「一直線の廊下……ふむ。遊午、なにか金属を持っておらぬか?」
と、背中ごしに化け物たちを見やっていた八千代が問いかけた。
「き、金属? なんでまたそんな?」
「見ておればわかる。あぁ、素材はなんでもよいぞ」
内心首を傾げながら、カーゴパンツのポケットから家の鍵を取り出し手渡す。八千代はしばらくそれを手の中で転がしたあと、くるりと振り向いて、
「くっくっく。さぁて犬畜生ども。貴様らが誰に牙を剥いたか教えてやろう」
悪の帝王みたいな笑みを浮かべ、鍵を宙に弾き、歌うように口ずさむ。

「RoR.12://大地縫いつけし鋼の牢獄《トラジック・エレジー》」

一瞬の出来事だった。
ランプに照らされながらくるくると落下していた真鍮製の鍵が、

爆音とともに肥大化した。

「…………、…………、…………。」
遊午の顎があんぐりと開いたまま固定される。それほどまでに目の前の現象は規格外だった。
尖った先端が床も天井も無視して3階建ての洋館を貫いていた。平たい持ち手はあたかもシャッターのごとく廊下いっぱいに、どころか壁をぶち抜いて広がり、完全に空間を二分している。側面に刻まれたメーカーのロゴが逆に作り物みたいだ。というか、そのまま直立しているということは随分深々と地面に刺さっているのではないだろうか。『聖剣エクスカリバー』みたいに。
「…………、…………、…………。」
顎はまだ閉じないまま、なぁにこれと斜め上を見上げる。だがしかし、八千代はむしろ不満気に手首をぐっぱぐっぱと動かしていた。
「ちっ。彼奴等ごと押し潰すつもりが少々手加減が過ぎたか。やはりまだ出力調整の感覚が戻っておらんな」
ほほう。これで手加減したとな。古屋とはいえ屋敷を真っ二つにしておいて。だったら最大出力だとどうなるんでしょうな。屋敷解体? 地砕き? はたまた星ごと半分に? はっはっは、冗談が過ぎるぜお嬢さん。そんなひげ……げん……じ…………ぷぁ。
「ん? どうした阿呆みたいに白目を剥いて。おい遊午? おーい」

元の持ち主《やちよ》が行使する−Noの力のわけわからんスケールに、遊午は思考停止《フリーズ》した。



——きて……起きて……
干したての布団に包まれるかのような優しい声が耳をくすぐる。頰を撫でる涼風の冷気が心地よい。
背中にはチクチクとした芝生の感触。よく知ったものとは違う。まさかこれが天然芝というやつだろうか。
「起きて」
再びの声。応じるようにまぶたを開く。
「……っ」
網膜を刺激する陽の光に、慌てて目を細める。慣れるまで待って、今度はゆっくり目を開けた。
途端、透き通るような青が視界いっぱいに広がった。どこまでも高く、それでいて手を伸ばせば届きそうな空。羊を積み上げたような入道雲。青と白の2色で描かれたキャンパスにとんびの鳴き声が添えられる。
「あら、起きたのね?」
あの声だ。後頭部にもちもちとした弾力を感じながら少し頭を動かす。
黒水晶の瞳がこちらを覗きこんでいた。高い鼻梁、はりのある頰、白磁のような肌、桜色の唇。安物の染髪剤でコーティングされたものとは明らかに差がある綺麗な茶髪に囲われた小顔はさながら美術品のようだった。
この位置に相手の顔があるということは、どうやら膝枕をされているのか。となると先ほどの弾力はふともものものらしい。
しかし……誰だろう。見覚えがない。こんな美人忘れるはずはないのだが。
よく確かめようと体を起こす。
その額が。

ぽよんっ

なにやら二つの大きなゴムボールに跳ね返された。またもやふともものベッドに横たわる。
どうしてこんなところにゴムボールが……と思いかけて、気付く。
この潤い。この質感。そしてこの位置にあるということは。
「おぱーい……?」
「やん♡ もう、気が早いんだから。あんまりえっちだとお姉さん怒っちゃうよ?」
艶っぽい声とともに白く長い指先で鼻をつん、と小突かれる。
どうやらお姉さん、年上らしい。はて。そう多くない年上の知り合いにこんな魅力的なおぱーい(推定Fカップ)の持ち主はいただろうか。
記憶を探る。探る。探る。探って探って探って探って探って探って——思い当たった。
自分は彼女を知っている。よく知っている。何度も顔をあわせたことがある。けれど一度も会ったことはない。
そう。
彼女は。
彼女の名は。
「アズサ、ちゃん……?」
「なぁに? 遊午くん?」
彼女はアズサ。あの『巨乳女子大生紀行』の看板娘アズサちゃん(21)である。そして当然のように黒のマイクロビキニ着用である。
「なんで……ここに……」
「やだ、忘れちゃたの? 今日はみんなでピクニックに来たんだよ」
「みんな?」
言うと、アズサはぐるりと周囲を見回した。釣られて体を起こし、彼女の視線を追う。
しかして緑広がる丘の上には。
「おはよ、遊午君」
「やーやー、元気ー?」
「うふふ。まだ寝ぼけた顔してるわよ」
ミライ、シオン、マナ、いつも雑誌を華やかに彩る美女たちが立ち並んでいた。もちろん際どい水着装備で。
「みんな……どうして……!」
「遊午くんが今月号買ってくれないからみんなで迎えにきたのよ」
「ひどいよー! 寂しかったんだからね?」
「あ、ご、ごめん」
「あらあら。いいじゃないシオン。こうして会えたんだから」
「まーそれもそうだねー」
あはははっと美女たちが笑い合う。
「ほら、遊午くん。遠慮しないで触っていいのよ」
「ほ、ほんとに!?」
「そうだよ。誰からでも、全員一緒にでも」
迫り来る8つの霊峰。冒険者を捕らえるトラップのごとき柔壁の侵食。男たるものこれに抗うことができようか。拒むことができようか。いやできまい。反語。
そうか、快楽天《ユートピア》はここにあったんだ。我は選ばれし者。さぁ、約束の酒池肉林《アヴァロン》へといざ行かブプァ。

「あ、起きた」
触れ合った壁は微塵も柔らかくなかった。そっちはそっちで趣のある貧乳
にたどり着いたというわけではなち。もっと硬い、骨張った、というかシンプルに正拳。
「…………えーと、俺どんぐらいトリップってた?」
「2秒ぐらいじゃ」
「早いね。決断が早すぎるね。バイオレンスの前にもう少し何段階かステップを踏んでほしかったね」
壊れた電化製品も真っ青な八千代の手の早さに遊午は鼻血をたれ流しながら遠い目になる。断じて淫夢由来の鼻血ではない。ないったらない。
「で、これからどうするの? ドーベルマンたちを足止め出来たはいいけど、これじゃ俺たちも部屋に戻れないよ?」
鍵のシャッターの向こうから断続的な衝突音と吠え声が聞こえる。なんとか破ろうと躍起になっているようだが、バランスそのままスケールが数百倍になったのなら厚みも相当なものだろう。いくらなんでもすぐに破られるということはないはずだ。
「犬っころを操っておる力はあくまで−Noの副産物に過ぎん。爆発的な筋力強化もそう長くは続くまい。妾たちはここで戦略でも立てながらゆっくりと時間切れを待っておればよい」

ドタ

「おぉ、さすが八千代ちゃん。あったまいいー」
「ふふん。妾の頭が良いのは当然のことじゃがあらためて讃えられるのも悪くはない。もっと崇め奉ってもよいぞ?」

ドタドタドタ

「ひゅー! 天才美少女! 七色の脳細胞! 頭脳の申し子!」
「よしよし、愛い奴め。近うよれ近うよれ」

ドタドタドタドタドタドタドタッ!!!

「ははー。ところで、そんなインテリ美人に聞きたいんだけど、さっきから聞こえてるこの『ドタドタ』ってなんの音?」
「よぅし答えてくれよう。この音はじゃな…………多分外の犬どもが玄関を突き破って侵入してきた音じゃ」
「絶対絶命じゃねぇか!!」
長い長いフリを終え、ようやくフラグが回収された。
「わ、わかっておるわ! ほれ、さっさと次の金属を渡せ! こっちの階段も塞ぐぞ!」
「もう! 八千代ちゃんのドジっ子! でも可愛いから許しちゃう!」
言いながら遊午は財布からゲームセンターのメダルを取り出す。八千代が宙に弾くいなや、それは階段を塞ぐ大金庫の扉に姿を変えた。
同時に異常な数の犬が殺到した。
「う……おっ!」
間に扉を挟んでいるにもかかわらずすさまじい圧力が押し寄せる。周囲を包む空気が衝突の衝撃を伝えてビリビリと震えた。
「ちょっ、これほんとに大丈夫!? なんかグワングワンいってるんだけど!」
「も、問題な……」
そこで、八千代の言葉を遮るように扉がズンッ! と下にずれた。隙間ができ、吠え声がわずかに鮮明になる。
「……くないな。このままでは扉より先にそれを支える屋敷のほうが壊れかねん!」
「ッ!」
遊午は慌てて周囲を見回す。同時に屋敷全体が軋んでまたも扉が下にずれた。
近くに隠れられそうな部屋は……無い。
床を壊して下りる? どうせ階下も犬で埋め尽くされているだろう。
壁を蹴破って空に逃げる? 逃げたとして再び先程の部屋に戻れなければ意味が無い。
あれは駄目。これも駄目。駄目。駄目。駄目。駄目。駄目。
そして三度激しい揺れとともに扉がずれる。ついに小型犬ならギリギリ通り抜けられそうは間隙が生まれてしまう。
(なにか、なにかないのか! この状況を一発でひっくり返せる策は!)
躍起になって頭を掻きむしる。
その頭上から、彼を呼ぶ声があった。
「こっちよ!」
「え? は!?」


☆ ☆ ☆

地響きとともに床が崩れ落ちる。巨大な鉄扉は幾枚かの木板を破砕しながらコンクリートの土台へと墜落した。
犬たちは怒張した筋肉で幅数十センチの谷を跳び越え、開いた道の先へと進出する。その中には階段を回り込んできたムルガやオルト、ルベロの姿もあった。
しかし、確かにいたはずの標的の姿だけがどこにもなかった。
無数の鼻が床や壁を嗅ぐ。−Noの力によって強化された嗅覚だ。狙った獲物を逃すことなどありえない。
だが、嗅覚細胞を刺激するのは嗅ぎ慣れた香りだけだった。

「やり過ごした……?」
「そのようじゃな」
犬たちが獲物を探して移動するのを、遊午たちはちょうど真上、屋根裏部屋の床の裂け目から覗いていた。
「ぶふうぅぅぅぅ〜〜〜〜」
大仰なため息を吐いて脱力する。思った以上に精神が追い詰められていたようだ。額に玉のような汗が幾粒も浮かんでいた。
「ありがとうございました。えーと……」
振り返ってここまで引き上げてくれた女性に礼を言う。
「来世。呼び捨てで構わないわ」
黄金色のミディアムボブと青瞳のせいでいまいち年齢が読みづらいが、来世は20を少し超えているように思える。
「来世……さん、確か庭にいたとき目があいましたよね?」
さすがに年上の女性を呼び捨てにするのはどうかと思っての判断である。
来世は少しむっとしたように見えたが、とくに取り上げることもなく話を続けた。
「えぇ。役人以外の人間なんて初めて見たから興味があったのよ。いったいどんな人がこんな怪しい家を訪ねてきたのか」
その割には無表情だが。
「って、初めて? んな馬鹿な」
この辺りは治安が良くはないといえ、誰も住んでいないわけではない。そもそも狭苦しい箱庭に国中の人間を詰め込んでいるのだ。ハートピアの人口密度は年中過密状態である。
「嘘じゃないわ」
そこで来世は、物憂げな表情にいっそう陰を落として。

「だって私は、生まれてこのかた一度だってこの家から出たことがないもの」
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ター坊
相変わらずハイテンションだね遊午くん。犬に追われたり、グラドルの幻影にトリップしたり、八千代ちゃんと夫婦漫才したり。-No.の持ち主との対決はどうなるのか?女性が鍵を握ってそうですが…。 (2017-10-31 15:40)
イベリコ豚丼
》ター坊さん
コメントありがとうございます!
今話は初の一般人−No所有者ということで遭遇からデュエルまで色々詰め込んで迷走した感が無きにしも非ずです。テンプレから外れると書き手の実力の無さが露わになる……。 (2017-10-31 17:58)
ギガプラント
犬は怖いです。怖いです。
一見穏やかそうに見えたマイナン所有者番士さん(なんて読むんだろ…。)ですが、お帰り頂く手段が非常に強引で怖いですね。しかしながら断ったわけではないのでなんかしら事情はある様子…。
そしてこれまた新キャラ来世さん(ら、らいせさんでいいのかな??)家から出たことが無いというあからさまに込み入った事情持ちのキャラクターですね。助けてくれましたが味方といえるわけでもない…次回に期待です。 (2017-10-31 23:27)
イベリコ豚丼
》ギガプラントさん
コメントありがとうございます!
毎度毎度読みづらい名前ですいません……役柄に関連した名前付けするとどうしてもこんな名前に……。そんな悩みを解消するためにも管理人さん、どうかssにもルビを付ける機能をっ!
それはそうと読みは『番士(ばんし)』と『来世(らいせ)』でございます。 (2017-11-01 10:43)

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