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遊戯王 Devil Dliver/EP8 初めてのチーム戦 作:ター坊


しばらくして、奥の人物が遊季都達のところに歩み寄って来た。
「ようこそデュエル部へ。私は副部長の2年、平戸大助(ひらと だいすけ)と言います」
眼鏡を掛けたおかっぱ頭の副部長は上級生だからと威張ることもなく、下級生の遊季都達に愛想よく挨拶する。
「1年生の赤崎 遊季都です」
「同じく白朧院 梓です」
「黒田 盛雄です」
先輩で副部長ということもあり、3人は礼儀正しく名乗る。
「構いませんよ。…それじゃあ白朧院さんには早速入って頂きましょうか」
「はi…え?」
白朧院は思わず返事をしようとしたが、言葉に引っ掛かり留まる。
「あの…赤崎さんと黒田さんは?」
「ウチの部活は少数精鋭をモットーとしていましてね。白朧院さんはともかく後ろの二人は実力はどうかなと。そういう訳で白朧院さんしか入れないって決めたんですよ。悪く思わないでください」
悪びれる様子もなく平戸は差別とも取れる判断の理由を述べる。これにはさすがに赤崎と黒田も黙っていない。
「ちょっと待ってください!せめて実力を見てからでも判断してください。お願いします」
「そ、そうだぁ!あんまりだぁ!」
抗議する二人に白朧院も加わる。
「私も納得できません!!そのような差別をするなら私も辞退しますわ!」
3人が帰ろうとした時だった。
「逃がすと思わないで下さいよ!閉めなさい!」
「うっす!」
平戸の号令で部員二人が部室の扉を閉めて鍵を掛ける。
「さて、みなさん。ここは密室になったし何があっても外部には分からなくなりました。私達の言うことを聞かなければどうなるか…分かりますね?」
平戸の発言の意味―それは脅迫に等しい内容であった。外部には分からなくなったということは、ここで行われることはここにいる人間以外には明るみにならないという事だ。つまり平戸は逆らったら酷い目に遭わせてやる、と言っているのだ。
「くっ…」
【どうする遊季都くん?悪魔の力でなんとかしちゃおっか?】
【…悪魔、いないよね?】
【うーん。まぁここにはいないみたいだけど】
【なら使わないよ。…相手が人間だったら出来るだけ使いたくは…】
「あの…!」
白朧院が口を開く。
「ん?なんでしょう?」
「私達の入部、大会と同じチーム戦でのデュエルで決めるというのはどうでしょうか?」
「んん?」
「私達が負けたら平戸さんの言う通りにします。ただ、私達が勝ったら赤崎さんと黒田さんの入部を認めて下さい!」
「ふむ…いいでしょう。かかってきなさい。左文字さん、西田さん」
「うぃ~」
「はい!」
「彼らは部内でも上位な腕前でしてね~。デュエル甲子園の候補でもあるんですよ。彼らに勝てますか?」
平戸は鼻で笑う。遊季都達を完全に見下し、自分達の負けはありえない、とでも言いたげそうだ。
「はい、構いません。私、この二人とデュエル甲子園に行きたいんです」
「理解に苦しみますね。こちらに来れば優勝の可能性もあるというのに。訂正はまだ利きますよ?」
「いいえ。存分によろしくお願いします」
「いいでしょう。では先輩として、身の程という言葉の意味を教えてあげましょう!」





チーム戦―それは3人が先鋒・中堅・大将を務め、お互いに一人ずつ戦うスタイルである。今回は強弱によって順番の有利不利が出ないようにくじ引きで役目を決めた。

先鋒戦:左文字 冬馬 VS 黒田 盛雄
中堅戦:西田 五郎 VS 白朧院 梓
大将戦:平戸 大助 VS 赤崎 遊季都

「では先鋒、前に」
審判を務める部員の声が部室に響く。

「だりぃ~」
「左文字さん。軽くでいいですよ」
気だるそうな生徒―左文字は欠伸をしながら出てくる。

「オイラ、だ、大丈夫かな…」
「黒田さん。落ち着いて下さい!」
一方の黒田はこういう事に慣れてないためか、すっかり場の空気に呑まれていた。

不安を感じながらも先鋒戦が始まる。

「「デュエル」」
先攻は黒田に与えられた。
「オ、オイラは…、え、えーっと…セ、『セイバーザウルス』を召喚してターンエンド…」
黒田のフィールドに赤いトリケラトプスのような恐竜が現れる。
「黒田さん…大丈夫でしょうか…」「はい…。通常モンスターを召喚しただけでエンド…、ちょっと心配です」
後ろから見守る遊季都と白朧院も黒田のプレイングに不安を覚える。角度的に手札は見えないが、あれが最善のプレーだったのか、それとも黒田は冷静さを欠いて満足なプレーが出来なかったのか。どちらにせよ万全とは程遠い立ち上がりとなった。
「…めんどくせぇ。俺のターン、ドロー。手札から『ダンディライオン』を切って『クイック・シンクロン』を特殊召喚。んで『ダンディライオン』の効果で綿毛トークン2体を特殊召喚」
左文字のモンスターは召喚権を使うことなく、あっという間にモンスターが並ぶ。
「あのデッキ…まさか!」
「はい…。たぶんシンクロ特化のクイックダンディ…いや、もしあのカードがあったら…」
遊季都の読みは悲しくも当たってしまう。
「そんで俺は『デブリ・ドラゴン』を召喚。効果で『ダンディライオン』を復活。そして俺はレベル3の『ダンディライオン』とレベル1の綿毛トークン2体にレベル4の『デブリ・ドラゴン』をチューニング」
モンスターは輝く星の点と光の輪に変化する。
【なになに?なんか綺麗なんだけど】
【チューナーモンスターって言う特殊なモンスターを使う召喚方法…シンクロ召喚だよ。…『デブリ・ドラゴン』は出すシンクロモンスターに制約があるから出てくるモンスターは絞られる…】
「シンクロ召喚!凍てつく息吹で天空を、大地を、全ての時を止めろ、『氷結界の龍 トリシューラ』」
星の輪から三つ首のドラゴンが吹雪を纏って降臨する。
「トリシューラの効果。お前の『セイバー・ザウルス』と一番右端の手札を除外。さらに綿毛トークンを特殊召喚。今度はその綿毛トークンと『クイック・シンクロン』をチューニング、シンクロ召喚『ニトロ・ウォリアー』。バトル。2体でダイレクトアタック」

氷結界の龍 トリシューラ ATK 2700 + ニトロ・ウォリアー ATK 2800 直接攻撃

黒田:LP 8000→2500

「ほげぇ!」
「カードを1枚セットしてターンエンド」
「オ、オイラのターン…」
「…おい、デブ。めんどくせぇからとっととサレンダーしてくれねぇか?」
左文字は完全に黒田を舐めきり、煽ってくる。
「ええっ!?」
「とっとと諦めた方が利口だぜ絶対。だいたい俺とお前じゃ格が違うからよ。あ、脳みそも脂肪だから分かんねぇか w w w 」
「うぅ…」グズッ
左文字の煽りは腹立たしい。しかし黒田は反論出来ず、唇を噛み、涙ぐむばかりである。悔しいが左文字の煽りは的を射ており、左文字と黒田の力量差は誰が見ても明らかだった。観戦している部員は全員嘲け笑う表情を浮かべる中、
「黒田さん!まだドローしていませんよ!」
「そうですよ、黒田さん!そのドローしたカードでギャフンと言わせましょうよ!」
「は、白朧院さん…赤崎君…。でも…」
二人の励ましを受けるが黒田は今一歩踏ん切りが付かない。
「黒田さん!だったら黒田さん自身が後悔しないデュエルをしてください!」
「オイラ、自身が後悔しないデュエル…」
遊季都の一言で黒田は揺らいだ。ここでサレンダーすれば楽であろう。しかし、それは本当に良いのかと…。
「おいおい早くしてくんねぇか?」
黒田はデッキの上に指を置き答えを出す。
「…ドロー!」
「けっ。やんのかよ」
「オイラは手札から『キラーザウルス』を墓地に送ってデッキから『ジュラシック・ワールド』を手札に加えるぞぉ!」
「けっ…。そんなショボいフィールド魔法で何が出来るってんだ」
「オイラは『ジュラシックワールド』を発動して『レスキューラビット』を召喚!『レスキューラビット』を除外して『セイバーザウルス』2体を特殊召喚。そして永続魔法『一族の結束』を2枚発動!」
現れた恐竜達が力強く吠える。
「黒田さん!凄いですよ!」
「上手いです!『キラーザウルス』を墓地に送ってサーチしつつ能動的に『一族の結束』の条件を満たすなんて!」
「ちっ…攻撃力3800が2体だと…」
「バトルだぁ!『セイバーザウルス』で『ニトロ・ウォリアー』を攻撃!」
「嘘だろぉぉ!」
「これで」







「…なんて言うと思ったかバーカ!」
「えぇっ!?」
「速攻魔法『ツインツイスター』!手札を1枚切って2枚の『一族の結束』を破壊!」
「あああっ!」
黒田のモンスターの打点は『一族の結束』によって支えられている。それを失えば…

セイバーザウルス ATK 2200 VS ニトロ・ウォリアー ATK 2800

黒田:LP 2500→1900

「どうする?攻撃するか?え?」
「…オイラはこれでターンエンド」

バリンッ

ターンエンド宣言と共に『レスキューラビット』の効果で特殊召喚されたモンスターが破壊された。本来はエクシーズ召喚によってこのデメリットはあって無いようなものだが、その思惑も外れ、ただ破壊されるだけになった。
「ドロー。…言ったろ?あばよクソ雑魚。バトル、『ニトロ・ウォリアー』でダイレクトアタック」

ニトロ・ウォリアー ATK 2800 直接攻撃

黒田:LP 1900→0

「うわぁぁ!」
「黒田さん!」
黒田は負けて崩れ落ち、遊季都が駆け寄る。
「あーあ。雑魚と遊んでもなんも得るもんねぇ。マジで時間の無駄だった」


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ギガプラント
瞬殺アザシター
悲しいけどこれが現実……リアルならまぁこんなものだけどせめて創作では…と思ったらあっさりでした。ただこれはこれで強化フラグのように見えなくもない。
ってかデュエル部の民度ェ…。 (2017-10-18 01:49)
ター坊
ギガプラントさん、コメントありがとうございます。
現実は非情である。
デュエル部の強さ(個人的にはクイダンも強いと思いますよ?)と外道っぷりを表すために黒田君には生け贄になってもらいました。 (2017-10-18 02:27)
ヒラーズ
敵さんのデッキが恐ろしいな・・・黒田さんは恐竜族メインのデッキならかなりの差が出る。
味方の敗北はつきものだからいいが(悪口ではない)、次のデュエルで巻き返せるか・・・?
次回が気になります。 (2017-10-18 07:34)
ター坊
ヒラーズさん、コメントありがとうございます。
デュエル部のデッキはどれも強力なものを使用していくつもりです。ショウブ ハ ガチガチ ♪
まぁいきなりストレート勝ちもおかしいですからね。挫折は盛り上がりのスパイスですよ。 (2017-10-18 07:45)
から揚げ
遊季都くん・盛雄くんとの3人でデュエル甲子園に出るとデュエル部の面々に対して啖呵を切っていた梓ちゃんの意思の強さと心優しさに、とても惹かれました!正にヒロインの鑑ですね!

デュエル部の面々もデュエル甲子園出場の候補者と目されるだけあって、いきなり強力なデッキを使ってきましたね。梓ちゃんと遊季都くんには是非とも盛雄くんの分まで頑張って欲しいです!

遅ばせながら、キャラクター紹介回でのご返信に対して返信させて頂きますが、梓ちゃんはラズベリーお姉様に負けず劣らずの魅力に溢れた素晴らしいヒロインなので、梓ちゃんへのパイタッチが見たいです! (2017-10-18 20:53)
ター坊
から揚げさん、コメントありがとうございます。
梓は強いお嬢様ですからね。ちょっと押しの弱い遊季都、盛雄を擁護する立場のキャラにしようかなと考えてます。
デュエル部のデッキはLDSのセイクリッド・ジェムナイト・Xセイバー並に「マジかよ」と言わせるようなラインナップにするつもりです。

梓ちゃんのパイタッチですか…うーん、遊季都くんは前作主人公のようにスケベ心はないですからねぇ。現状は期待薄としか。重要な場面にもしにくいので機会があれば、というところですかね。 (2017-10-18 21:22)
光芒
黒田君はその見た目や喋り方からデスコアラとか使うんじゃないか、って勝手に思っていました。しかし、今の恐竜族ならともかく、古き懐かしい恐竜族ではとてもクイックダンディには太刀打ちできませんよね(同時に黒田君がストラク恐竜族を手にして力に溺れるフラグも立ったような気がしますが)

しかしVRAINSのデュエル部は遊作のデッキを小馬鹿にした島君を部長が注意するなどまだデュエリストに対してのリスペクトの精神があったはずなのに、こっちのデュエル部と来たら…… (2017-10-20 08:41)
ター坊
光芒さん、コメントありがとうございます。
ほら、セイバーザウルスにおとなしいって記述あるやないですか。おっとりした彼にピッタリだと(大嘘)
悪魔と契約している遊季都とお嬢様の梓と違って、盛雄くんは正真正銘の一般人なので、相対的なパワーバランスを弱くするために旧式なデッキを使わせました。この辺はまだまだ弱かった頃の城之内に通ずるものがあります。
ゲス左文字については初戦の黒田をデュエル的にも精神的にもボッコボコにするための前座ですね、強化フラグと言う名の。
(2017-10-20 09:06)
コングの施し
黒田くんは恐竜デッキですか!レスキューラビットを出したとき兎ラギアのトラウマが蘇りそうになりましたw
そしてデュエル部!性格はともかく確かな強さをお持ちで。 (2017-10-29 21:05)
ター坊
コングの施しさん、コメントありがとうございます。
黒田くんは仰る通り兎ラギアです。
デュエル部は性格最悪ながらも強さは折り紙付きです。デュエル甲子園にエントリーできるだけあって。 (2017-10-29 21:49)

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