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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Episode73:異次元の亡霊 作:カズ

RIN→LP:8000 手札:5 デッキ:35 Mゾーン:0 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0


 V S


LILLY→LP:8000 手札:5 デッキ:55 Mゾーン:0 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0


*TURN01
 先攻はリリーから。常にセンターポジションを保持していたリリーのペンデュラムテーマ、【異界亡霊】が長き呪いの鎖を壊す時が来た。


「うんうん、今日も良い感じの手札ね。まずは手札から魔法カード『パラレル・ドロップアウト』を発動!このカードは、私のデッキの上から20枚を墓地へ送る!」
「うっ…!いきなりそのカードを……」
LILLY→デッキ:35


 60枚デッキに於いて、自分のデッキを大量に墓地へ落とせるカードといえば『隣の芝刈り』が有名だが、そのカードはミラーマッチ、つまり相手も60枚デッキを使用する場合では意味をなさない。しかしこのカードの場合、無条件で自分のデッキトップから20枚を落とせるのだ。
凛もネットでこのカードの効果を確認した時には「はあ?!このカード、ぶっ壊れじゃないの!」と、ものすごい剣幕で机をバンバン叩いた。


「墓地へ送られた罠カード『パラレル・ディメンション・ペンデュラム』の効果発動!墓地からスケール3の『異界亡霊リプル』とスケール10の『異界亡霊レンド』を選んでペンデュラムスケールをセッティング!!」


 手札消費を全く行なわず、墓地のカードを活用してペンデュラム召喚のための布石を打ったリリーだが、ここからが【異界亡霊】の真の力が発揮される場面だ。


「まだこんなものじゃないわ!『パラレル・ディメンション・ペンデュラム』の発動にチェーンする形で、墓地へ送られた『異界亡霊リプル』の効果発動!相手フィールドのモンスターが3体以下のため、貴方はデッキの上から3枚を墓地へ送りなさい。さらに『異界亡霊ランス』の効果も使って、墓地からチューナーモンスター、『異界亡霊ルーパー』を蘇らせて500ダメージを与える!」
「くっ…!」
RIN→LP:7500 デッキ:32


 このデッキはペンデュラム召喚を扱うデッキではあまり見ない「墓地肥やし」という側面を備えているが、それは何も自分のデッキだけではない。相手のカードを墓地へ送る「デッキ破壊」までも、1つのカテゴリ内に包めてしまったのだ。


「さあて、挨拶代わりの前奏はこんな感じでいいかしら?それじゃあ早速やらせてもらうわ。グレイブ・ペンデュラム召喚!!」
「…来る!」


 『異界亡霊』と名のついたモンスターがデフォルトで備わっているペンデュラム効果によって「グレイブ・ペンデュラム召喚」と「エクセプション・ペンデュラム召喚」と呼ばれる2つの特殊なパターンを可能にした。これらの名付け親はもちろんリリーだが、いずれもほぼノーリスクで盤面を埋め尽くすことを可能にする究極のペンデュラム召喚というべき技である。


「奏でよ!お化けたちのプレリュード!!墓地から蘇りなさい!『異界亡霊リック』『異界亡霊ラップ』『異界亡霊ランス』『異界亡霊レンド』!!」


 魔法カード1枚からペンデュラムスケールを揃え、尚且つモンスターゾーンに5体の「異界亡霊」を瞬時に埋め尽くした。必要なカードを全て墓地で賄っていることでペンデュラム召喚の弱点でもあった「大量の手札消費」を完璧に克服したのだ。事実リリーはこのターン、手札からモンスターを1体も召喚しておらず、発動したのは1枚の魔法カード。


「ペンデュラム召喚に成功した3体のモンスター効果を順番に解決していくわ。まずはリックの効果で、デッキの上から3枚を墓地へ送るわ。次にラップの効果で、デッキの上から4枚を公開し、その中の罠カード『パラレル・ポルターガイスト』をセット!それ以外の3枚を全て墓地へ。最後にランスの効果で、墓地の『パラレル』カード5枚をデッキに戻してシャッフル!その後に2枚ドローして、手札から永続罠『パラレル・ポゼッション』を墓地へ送るわ」
LILLY→手札:5 デッキ:31


チェーン1:異界亡霊ランス
チェーン2:異界亡霊ラップ
チェーン3:異界亡霊リック



 先攻1ターン目からの動きとは全く思えないほど、リリーは自分の手足のように円滑なデッキ運びをみせている。彼女はまだ通常召喚さえ行なっていないが、このターンではその必要も全くない。


「続いて私は、レベル7の『異界亡霊レンド』、レベル6の『異界亡霊ラップ』、そしてレベル4の『異界亡霊ランス』の3体でアナザー・ディメンションゲートを解放!」


 ビヨンド召喚はペンデュラム召喚と同様に1ターンに1回しか行使できないが、ペンデュラムと同様に1度に呼び出せるモンスターの数に制限はない。エクストラデッキに合計5枚までしか投入できない制限を設けられているとはいえ、召喚に必要な素材を除外すれば何度でもフィールドに呼び戻せるという、除外されているモンスターをペンデュラム召喚できる【異界亡霊】との相性は抜群だ。


「響かせよ、亡霊たちのノクターン!ビヨンド召喚!!グレード7『異界亡霊レイン・ボウ』、グレード6『異界亡霊ラベル・デビル』、グレード4『異界亡霊ライ・ストライダー』!!」


 リリーのエースモンスターであるグレード8のビヨンドモンスター『戦慄の異界亡霊ライアー・フライヤー』と呪縛竜はこのターンでは呼ばなかったが、彼女の墓地には既にレベル8のモンスターが存在している。いきなりエースモンスターを呼ぶことよりも、最初のターンは自陣を整えることを優先したのだ。


「カードを2枚伏せてターンエンド!」
LILLY→LP:8000 手札:3 デッキ:31 Mゾーン:5 M・Tゾーン:3 Fゾーン:0 Pゾーン:2



*TURN02
(こういう時ほど、百聞は一見に如かずって言葉を考えた人を褒めたくなる……)
「私のターン、ドロー!」


 事前に調べたとはいえ、いざ相手にするとここまで厄介なデッキだとは全く思わなかった凛だが、まだリリーは純粋に大量展開と墓地肥やしを行なっただけと割り切れば、凛次第だが対処は可能だ。


「まずは手札から永続魔法『黒い旋風』を発動して、『BF-極北のブリザード』を召喚!そしてモンスター効果を使い、墓地の『BF-精鋭のゼピュロス』を特殊召喚!」


 凛は『黒い旋風』の効果を使い、デッキから『BF-上弦のピナーガ』を手札に加えた。このカードは条件を満たすことでデッキから新たに「BF」をデッキからサーチできる能力を持っているが、元々の攻撃力が低いために『黒い旋風』でサーチできる対象が少ないというデメリットがあった。それを冒してでもこのカードを加えたということは、彼女にも考えがあってのことだろう。


「私はレベル4のゼピュロスにレベル2のブリザードをチューニング!シンクロ召喚!!『BF-星影のノートゥング』!!」


〇BF-星影のノートゥング(Lv6 闇)
鳥獣族/シンクロ/効果
攻2400/守1600
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
「BF-星影のノートゥング」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが特殊召喚に成功した場合に発動する。相手に800ダメージを与える。その後、相手の表側表示モンスター1体を選び、その攻撃力・守備力を800ダウンする。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに「BF」モンスター1体を召喚できる。



「ノートゥングがシンクロ召喚に成功したことで、リリーさんに800ダメージを与える!そしてライ・ストライダーの攻撃力と守備力を800ポイントダウンさせる!」
「んっ…!」
LILLY→LP:7200


 リリーがビヨンド召喚したライ・ストライダーの元々の攻撃力は1500と心許ないが、「墓地か除外されている『パラレル』カード3枚につき攻撃力が300アップする」底上げ効果によって攻撃力が3600にまで上昇していた。今彼女がデッキから墓地へ送った、または除外したカードは合計で23枚。攻撃力を2800まで下げてもまだ届かなかったが、打ち込める楔を全力で打たなければ一瞬で足下を掬われる覚悟で、凛はこのデュエルに臨んでいた。


「ノートゥングが存在する限り、私はもう一度だけ通常召喚が出来る!このターンに手札に加えた『BF-上弦のピナーガ』を召喚!そしてデッキから『BF-砂塵のハルマッタン』を手札に加え、それを特殊召喚!」



〇BF-上弦のピナーガ(Lv3 闇)
鳥獣族/チューナー/効果
攻1200/守1000
「BF-上弦のピナーカ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。このカードをS素材とする場合、「BF」モンスターのS召喚にしか使用できない。①:このカードがフィールドから墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。デッキから「BF-上弦のピナーカ」以外の「BF」モンスター1体を手札に加える


〇BF-砂塵のハルマッタン(Lv2 闇)
鳥獣族/効果
攻800/守800
「BF-砂塵のハルマッタン」の①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。①:自分フィールドに「BF-砂塵のハルマッタン」以外の「BF」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。②:このカードが召喚・特殊召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールドの「BF」モンスター1体を対象として発動できる。このカードのレベルをそのモンスターのレベル分だけ上げる。



「特殊召喚したハルマッタンの効果発動!このカードのレベルを、ピナーガのレベル分だけアップさせる!これでハルマッタンのレベルは5に上がった!」
「…いきなりやるつもりね?」
「いきます!レベル5となったハルマッタンに、レベル3のピナーガをチューニング!遙かなる未来を守護する竜よ、漆黒に染まりし翼はためかせ、世界に光を!シンクロ召喚!!レベル8『封印竜ノーブル・フェザー』!!」


 リリーの【異界亡霊】はペンデュラム召喚を続ける限り決して息切れすることはないのだが、凛の場合はそうではない。だからこそ1ターンでも早く、より多くのライフポイントを削り取らなければボードとハンドの両方のアドバンテージで確実に大差をつけられてしまう。


(私にはペンデュラム召喚もビヨンド召喚もない。けど、私が今持てる全力を出し切れば、絶対に届く!)
「バトル!まずはノーブル・フェザーで、『異界亡霊ライ・ストライダー』を攻撃!」
「くっ…!だけどこのモンスターがフィールドを離れたことにより、私はデッキの上から3枚を墓地へ送るわ。そして墓地からレベル6の『異界亡霊ランプ』を守備表示で特殊召喚!」
LILLY→LP:7100 デッキ:29


 どれだけモンスターを大量展開しても、ライフポイントが先に尽きてしまえばその時点で決着となるのがデュエルの基本。凛のデッキは速攻型でありながら持久力も併せ持っており、ペンデュラム召喚を前にしても怒濤の展開力で相手を追い詰められる。


「次!ノートゥングで『異界亡霊ラベル・デビル』を攻撃!」
「だけど、ラベル・デビルが除外されたことで、ラベル・デビルのモンスター効果とリプルのペンデュラム効果発動!お互いのプレイヤーは手札、フィールド、またはデッキから合計9枚のカードを墓地へ送る!私はデッキの上から9枚を送るけど、貴方はどうする?」
「……私も、デッキの上から9枚を墓地へ」
RIN→デッキ:20
LILLY→LP:5700 デッキ:20


 お互いに1ターンしか経過していないのにも関わらずデッキが恐ろしい速度で削れていく。リリーに至ってはこの2ターンで何と35枚ものカードを墓地へ落とすか除外している。このままでは最悪の場合、両者ともにデッキアウトを起こしてドローゲームを迎えてしまうが、リリーにはそれを防ぐ術がある。


「私は墓地へ送られた永続罠『パラレル・オーバー・ラップ』の効果を使うわ。これでフィールドの全てのモンスターは『異界亡霊』となる!」


 リリーが発動した永続罠によって、凛のモンスターも「異界亡霊」として扱われた。突如としてカタカタと不協和音が響き始めた中で、バトルフェイズを終えた凛が次の一手を興じようとしていた。


「メインフェイズ2に入って、私は手札から魔法カード『黒羽の方札』を発動!手札の『BF-白夜のグラディウス』を除外して2枚ドロー!カードを2枚伏せて、エンドフェイズにピナーガの効果発動!デッキから『BF-蒼炎のシュラ』を手札に加えてターンエンド!」
「悪いけど、このタイミングで永続罠『パラレル・ポルターガイスト』を発動させてもらうわ!このカードは、相手ターン終了時に相手の手札を1枚捨てさせる効果を持っているの。貴方の手札は残り3枚だから、じゃあ…左端のカードで」
「ううっ…今度はハンデスまで……!」
RIN→LP:7500 手札:2 デッキ:18 Mゾーン:2 M・Tゾーン:3 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN03
「私のターン、ドロー!」


 対戦相手が嫌う戦術を惜しみなく使ってくるプレイングは、生前よりもその精度が上がっている。しかしこれ以上リリーが同じ戦法を繰り返せば互いのデッキアウトにより引き分けになるという、前代未聞の結果になってしまうがその対策も抜かりなかった。


「切り札を呼ぶ前には、二重三重の下準備が大切なのよね。というわけで、私はレベル6の『異界亡霊ランプ』にレベル2の『異界亡霊ルーパー』をチューニング!シンクロ召喚!!『爆竜剣士イグニスターP(プロミネンス)』!!」


〇爆竜剣士イグニスターP(Lv8 炎)
ドラゴン族/シンクロ/効果
攻2850/守0
チューナー+チューナー以外のPモンスター1体以上
①:1ターンに1度、フィールドのPモンスター1体またはPゾーンのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊し、フィールドのカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。②:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。デッキから「竜剣士」モンスター1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはS召喚の素材にできない。



「ルーパーを素材としてシンクロ召喚されたモンスターは『異界亡霊』として扱い、種族もアンデット族に変更される……だからこんな風に、ペンデュラムモンスターが素材に必要なシンクロモンスターとの相性も良いってワケよ。ま、このデッキには竜剣士は一切入っていないんだけどね」
「それでも、かなり厄介なモンスターを……」
「慈悲は与えないわ!イグニスターPの効果発動!ペンデュラムゾーンのレンドを破壊して、あなたの『黒い旋風』をデッキに戻させてもらうわ。そして破壊されたレンドのペンデュラム効果も発動!私の墓地にある5枚の『パラレル』カードをデッキに戻した後、デッキトップを墓地へ送るわ」
LILLY→デッキ:23



 ハンデス、デッキ破壊、おまけにキーカードまでもがデッキバウンスされるという、リリーの多彩すぎる戦術に翻弄されてばかりだった。全くボロを見せる気配すら感じさせないリリーのデュエルタクティクスの高さに脱帽するばかりだが、凛は集中を切らすことなく、刹那のチャンスを伺っていた。


「私は手札からスケール10の『異界亡霊リック』をペンデュラムスケールにセッティング!これで再びレベル4から9のモンスターを同時に召喚可能になったわ。グレイブ・アンド・エクセプション・ペンデュラム召喚!!冥界より舞い戻れ!!」


 リリーが今回行なったのは墓地と除外されたモンスターを同時にペンデュラム召喚する合体技であり、墓地からはレベル8の『異界亡霊ライアングル』、そして除外ゾーンからは前のターンでビヨンド召喚のために除外した『異界亡霊ランス』と『異界亡霊レンド』を呼び戻した。
 ペンデュラム召喚したリックの効果を使い、リリーは再びデッキの上から3枚を墓地へ落とした。これで残りのカードは20枚になったが、早くもリリー自身のエースモンスターが静寂(しじま)と共に復活する時が来た。


「さあ、これで準備オッケー!私はレベル8の『異界亡霊ライアングル』とレベル7の『異界亡霊レンド』、レベル4の『異界亡霊ランス』の3体でアナザー・ディメンションゲートを解放!」







―――響け、戦慄のレクイエム!ビヨンド召喚!!―――





―――グレード8!『戦慄の異界亡霊(フィアース・パラレルゴースト)ライアー・フライヤー』!!―――



〇戦慄の異界亡霊ライアー・フライヤー(グレード8 闇)
アンデット族/ビヨンド/ペンデュラム/効果
攻3300/守2500
【Pスケール 青10/赤10】
このカード名の①のP効果は1ターンに1度しか使用できない。①:通常のP召喚を行なっていないターンの自分メインフェイズに発動できる。自分の墓地か除外された「異界亡霊」Pモンスターを5体まで選んでP召喚扱いで特殊召喚する。この効果を使用したターン、自分は通常のP召喚を行えない。②:1ターンに1度、もう片方の自分のPゾーンにカードが存在しない場合に発動出来る。自分の墓地か除外されているPモンスターを1体選び、自分のPゾーンに置く。
【モンスター効果】
レベル8以上のP召喚した「異界亡霊」Pモンスター×1
レベル8がP召喚可能な場合にEXデッキの表側表示のこのカードはP召喚できる。このカード名の④の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードをB素材とする場合、このカードは、このカードのグレードと同じ数値のレベルを持つモンスターとしても扱う。②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手フィールドの全てのモンスターの攻撃力・守備力は自分の墓地か除外されている「パラレル」カードの数×100ダウンする。③:? ④:? ⑤:モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。このカードを自分のPゾーンに置く。



「さらにグレード6の『異界亡霊ラベル・デビル』とグレード4の『異界亡霊ライ・ストライダー』も同時にビヨンド召喚!!」
「また同時にビヨンド召喚を……」
「私は似非エンターテイナーの清水ルーナとは違って、常に死力を尽くしてるの。まずは墓地の永続罠『パラレル・ポゼッション』の効果発動!」


 このカードの効果を墓地から発動させるためには、フィールドに『異界亡霊』と名の付くモンスターが「6体以上」存在しなければならない。普通ならばまず不可能な話だが、リリーが前のターンに落とした『パラレル・オーバー・ラップ』によって相手フィールドのモンスターも『異界亡霊』へと変貌させたことでそれを可能にした。
 ポゼッションとは日本語訳で「憑依」、人間を媒体にして霊が乗り移る心霊現象の一種だ。ノーブル・フェザーはその影響を受け、呪われてしまった。


「このカードに憑依されたモンスターは戦闘では決して破壊されず、スタンバイフェイズ毎にレベルを1つ下げ、貴方の魂を800ポイントずつ蝕んでいくの。そしてライアー・フライヤーがモンスターゾーンに存在する限り、貴方のモンスターの攻撃力と守備力は墓地か除外された『パラレル』カード1枚につき100ポイント下がる。それらのカードは全部で26枚あるから、合計で2600ポイントダウン!」
「……ノートゥングの攻撃力が0に」
「あとは数でなぶり殺すだけ。バトル!ライ・ストライダーで星影のノートゥングを攻撃!」
「させない!罠カード『ブラック・ソニック』を発動!相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て除外する!」


 凛が発動したカードは今までのデュエルでも使ってこなかったがためにリリーでも対処できなかったが、このカードは相手モンスターを「破壊せずに」除外する効果を持っている。故にライアー・フライヤーが「破壊された」場合にペンデュラムゾーンへ移動できる効果の発動も許さず、リリーは再びビヨンド召喚を行なわなければ切り札を呼べなくなってしまった。
 しかし彼女にエクセプション・ペンデュラム召喚がある限り、戦慄の異界亡霊は何度でも蘇る。早めに勝負を決めたがるリリーがいつ呪縛竜を召喚するのか、そのタイミングを伺いながらのデュエルは、凛が今までに経験したことないほど高度な駆け引きであり、それと同時に世界と己の命を懸けることが想像以上の重圧になっていることを彼女は感じていた。リリーという強敵にして宿敵を相手にして初めて得た感覚だが、最後まで気圧されずにこのデュエルを続ける覚悟が出来ていた。


「リリーさん、今の貴方は呪縛竜があります。でもそれは、生きていた時の貴方の努力を全て……とは言い切れませんが、無下にしています!」
「人生の先輩に向かって失礼ね。人は何かを失わない限り、掴みたいものも掴めないの。私は自分の命を失った代償として呪縛竜という、世界をリセットするための力を得たのよ?それって素晴らしいことじゃない」
「確かに、どんなデュエルでもお互いに勝ちは譲れませんし、力を得て強くなることは大切です。でも、希ちゃんやお兄ちゃん、それにユートさん……今まで私が出会ったデュエリストは皆、力を得た後に何かを失うことはなかった!」


 デュエルには人間性が出るというが、一際特殊なペンデュラム召喚を用いた【異界亡霊】には「たとえどれだけ辛い思いをしても何度でも立ち上がり、求める世界を意地でも掴み取る」という生前のリリーを表したかのような特徴が出ている。デッキに込められた思いを蘇ったリリー本人が軽んじる行為を取っているように見えた凛は、未熟だと自覚したうえでこれまでの経験をぶつけ、リリーの目を覚ます切っ掛けを作ろうとしていた。
しかし、どんなに綺麗事を並べてもデュエルで全てを決めるのがこの決戦。封印竜使い全員がやるべき「覚醒竜降臨」を、6人の少年少女達が完遂させるために必要なことは他に何があるのだろうか。


「私がこの世で生きている限り、生きていた時のリリーさんの思いは呪わせない!」
「鬱陶しい小娘ね。私はこれでターンエンド」



~現在の状況~
RIN→LP:7500 手札:2 デッキ:19 Mゾーン:2 M・Tゾーン:2 Fゾーン:0 Pゾーン:0


 V S


LILLY→LP:5700 手札:3 デッキ:20 Mゾーン:0 M・Tゾーン:3 Fゾーン:0 Pゾーン:2
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ター坊
に、20枚墓地送りだって!?
異界亡霊、ペンデュラムデッキの魔境ですな。けどソウル・ドレイン一発で止まりそうな気もする。シンクロとペンデュラムの応酬、どうなるのか? (2017-09-13 06:54)
カズ
ター坊さん
コメントありがとうございます。【異界亡霊】はエクストラデッキからではなく墓地からペンデュラム召喚することを主軸に据えているので、何気に新マスタールールの影響もほぼ受けずに大量展開できるという鬼畜テーマと化してしまいました(※【異界亡霊】のP効果を考えたのは新マスタールール発表前からです...)。
毎ターン5体展開が約束されたリリー対して、凛がどう対応していくのか。お楽しみに。 (2017-09-14 16:00)

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7 Episode64:渇望と葛藤 176 2 2017-03-23 -
5 Episode65:麗しき孤月 149 2 2017-03-29 -
44 Episode66:月夜のイリュージョン 223 2 2017-04-21 -
15 Episode67:常闇に消える月華 292 1 2017-05-05 -
10 Episode68:模索者たち 106 4 2017-07-22 -
12 Episode69:純黒の反逆者 118 0 2017-07-27 -
8 Episode70:紅と黒の禁呪 117 2 2017-08-07 -
7 Episode71:希望は往く 116 3 2017-08-17 -
9 Episode72:リリーの過去 102 2 2017-08-24 -
5 Episode73:異次元の亡霊 95 2 2017-09-13 -
4 Episode74:覚醒の鼓動 91 3 2017-09-22 -
5 Episode75:挑戦者の儀 96 0 2017-10-05 -
3 Episode76:神速の決闘 65 2 2017-11-14 -

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