39.実験台　其の壹　－儀式－　作：くちなし

☆★☆★

翌日ー。
文芸部に入ったものの、活動日程すら不明なもので、特に予定のないボクはそれとなーく、
興味本位で文芸部室に赴いてみることにした。

「入るぞー」
「どうぞー」

かわいらしく、優しい声で出迎えてくれたのは、、いつもの巫女服を着た香織である。

「部長さん、、どうも」
「あら、悠里くん。昨日はどうも、、」

照れ笑いしないでください。思い出すだけでも恥ずかしいです。
あ、そうか。ボクと彼女はもう、、ま、いいや。

「あと、わたしのことは名前で呼んでください、、」
「は、はい、、」

なぜか敬語になってしまうのはなぜだろう。

「あ、お茶淹れますね」

はぁ、疲れた。今日は特に疲れたなぁ、、

「はい、お茶です、、」
「部長さん、ありがとうごz、、」
「名前で呼んでください、、」
「えっと、、茅原さん」
「それ苗字です」
「、、そういや、瑞穂はデッキを組み直す的な事前言ってましたが、どうなったんでしょうね」
「、、論点ずらさないでくださいっ、、！確かにそれも少し気になりますけど、、」
「ハロー！！」
タイミング良くか悪くか、ドアを蹴り飛ばすような勢いでノックもせずに入ってきたのは瑞穂である。

「機嫌よさそうだな」
「とりあえず、できたのよ！」
「何がだ」
「デッキよ！！」
「おめでとさん」
「なによ、関心が低いわね。せっかくだから教えてあげるわよ」

なんで他人の作り上げたデッキにそこまで関心を持たにゃいけんのだ。
別にそこまで知りたくもない。

「私からデッキのこと言うことはないんだからね！」
「来たやんね～っ！」

氏家、、さんだっけ？どーもこんにちはー。

「やあ、少年、この前は雨降っちゃって先帰っちゃった！ごめんよ＾～」

いや、気にしなくていいです。

「で、デッキだけど、今回はこれにしてみたわ」

ホワイトボードに大きく文字を書いていく。

「リ、、チュ、、ア？」
「儀式テーマじゃねーか」
「そうよ」
「影霊依でよかろうよ。なんで変えるんだ？」
「他のも使ってみたいのよ。経験値積むためよ」
「てか、今回って、、」
「あくまで試験品だから。いろんなの作って、強いのを作るの！」

そうかい。

「で、悠里！あんた、私とデュエルしなさい！」
「ボクが？」
「あんたが！」

てなわけで、拒否権なしでデュエルすることになった。

「主審は私が受け持つやんね！」

『決闘！』　(瑞穂LP8000 VS 悠里LP8000)

Turn01　TP 瑞穂　手札5

「先攻は私ね！手札から儀式魔法、リチュアの儀水鏡を発動！」


リチュアの儀水鏡　儀式魔法
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。
①手札・自分の場から、儀式召喚するモンスターと同じ☆になるようにモンスターをリリースしなければならない。
②墓地に存在するこのカードをデッキに戻す事で、自分の墓地に存在する「リチュア」と名のついた儀式モンスター１体を選択して手札に戻す。


「手札の☆4のシャドウ・リチュアを墓地に送り、儀式召喚！」

☆4の儀式モンスター？そんなモンスターっていたか？いや、リチュアではいないはず、、

【儀式召喚！☆6、イビリチュア・テトラオーグル！】

イビリチュア・テトラオーグル　ATK2600

「シャドウ・リチュアは1体で儀式素材にできるやんね!」

なるほど。シュリットのリチュア版か。

「効果発動！」

イビリチュア・テトラオーグル　水属性、☆6、儀式効果
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
①ターンに1度、カードの種類（モンスター・魔法・罠）を宣言して発動する事ができる。お互いのプレイヤーは宣言された種類のカード１枚をデッキから墓地へ送る。相手は手札を1枚捨ててこの効果を無効にする事ができる。

「、、罠カードを指定するわ！」
「、、無効にする」
「なら、永続魔法、強欲なカケラを発動！」

カケラ。。まるで強欲な壺、の目みたいだ。

「カードを2枚伏せてターンエンドよ」


Turn02　TP 悠里　手札4→5

さっき、ボルト・ヘッジホッグを墓地に落とせたはいいが、手札が減ってしまった。
だが、墓地利用のできるのがあって良かった。

「ジャンク・シンクロン、召喚！効果で復活させるよ、、」

ジャンク・シンクロン　ATK1200
ボルト・ヘッジホッグ　ATK800

「さっき捨てたカードね」
「そうだ。☆2のボルト・ヘッジホッグに☆3のジャンク・シンクロンをチューニング」
「S召喚はさせないわ！罠カード、次元障壁！」
「んな、、！？」

次元障壁、、EXデッキから出す特殊召喚を限定的に封じることができる罠カード。
この状況だと、言うまでもなくS召喚を封じるだろう。

「このターン、S召喚はさせないわよ！」

「、、カードを2枚伏せてターンエンド」


【フィールド】
瑞穂　LP8000　手札0
イビリチュア・テトラオーグル　ATK2600
強欲なカケラ

悠里　LP8000　手札2
ジャンク・シンクロン　DEF1200
ボルト・ヘッジホッグ　ATK800
伏せカード2枚


Turn03　TP 瑞穂　手札0→1

「スタンバイフェイズ時に強欲なカケラにカウンターが1つ載るわよ」

強欲なカケラ、、ドローソースのつもりか。しかし、効果起動まであと1ターンある。

「テトラオーグルの効果！指定は、、モンスターカードよ！」
「、、使わせてやる」
「私はデッキから、、ブリューナクの影霊衣を墓地に送るわ」
「ボクは、、ドッペル・ウォリアーを落としておく」
「、、(わりと汎用的なモンスターを落としてきたものね。。)」
「、、(厄介なモンスターを落としたな、、)」
「ターンエンドよ」


Turn04　TP 悠里　手札2→3

「☆2のボルト・ヘッジホッグに☆6のアクセル・シンクロンをチューニング！」

≪真紅の炎、、烈火の竜となりて現れよ！≫

【S召喚！琰魔竜 レッド・デーモン！】

「来たわね！レッド・デーモン！」
「レッド・デーモンの効果！自身以外の攻撃表示モンスターをすべて破壊する！」
「私のモンスターが、、！」
「レッド・デーモンで攻撃！」
「うぐっ、、！」

瑞穂LP8000→5000

「ターンエンドだ」


Turn05　TP 瑞穂　手札1→2

「私のモンスターは犠牲になったけど、これでカウンターは溜ったわよ、、！」

スタンバイフェイズ、カケラにカウンターが載り、壺が完全に完成した。

「カウンターが2個載った強欲なカケラを墓地に送り、2枚ドロー！」
「、、」

ドローしたカードを見た時。瑞穂は少し微笑んだ。

「運がいいわ、、」
「、、？」
「ブラック・ホールを発動し、モンスターを全破壊してから、儀式魔法、影霊衣の万華鏡を発動！」

万華鏡、、！場にモンスターはいない、、EXデッキからリリースするつもりか、、！

「EXデッキから、、獣神ヴァルカンを墓地に送るわ」

【儀式召喚！復活せよ、ブリューナクの影霊衣！】

ブリューナクの影霊衣　ATK2700

「、、！」
「まだよ！魔法カード、ソウル・チャージ発動！」

イビリチュア・テトラオーグル　ATK2600
シャドウ・リチュア　ATK1200

瑞穂LP5000→3000

「そして、最後の手札、装備魔法、リチュア・ウェポンをテトラオーグルに装備！攻守が1500上がるわよ！」

イビリチュア・テトラオーグル　ATK2600→4100

「バトル！全軍突撃！」
「ぬぉぉぅっ！！」

悠里LP8000→5300→1200→0

ーーー

「瑞穂、やったやんね！」
「いてて。。。ジャストキルとはやるな」
「悠里くん、大丈夫ですか、、？」
「まぁな、」
「あんた、あの2枚、なに伏せてたのよ」
「あれか？両方魔法カードだ」
「ふーん、、」

☆★☆★

「では、わたしは用事があるのでおさきに失礼します」

ボク以外の人が文芸部室から立ち去った。いや、もう1人いた。

「はぁ、、」
「で、話だけどさっ」

お！びっくりしたぁ、、！何の話だろう、、

「WRGPの話っ！キミはDホイールに乗れるのかいっ？」
「、、乗れないです」
「乗れるようにしときなよっ！ライディングデュエルだからっ！さっと乗ってキラーンって走ってデュエルするの、楽しいよっ！」
「確かに、、ライディングデュエルだから、乗れないとマズい、、」
「あとっ！出場許可は誰がとるんだいっ？」
「さあ？でも瑞穂が言い出したことだからあいつが取るんじゃないですか？」
「、、ま、焦らなくてもいいよっ！だけど、相手が何のデッキ使うかわからないから、いろんなテーマについて調べて知識を得ておくことを言っとくよっ！」
「ありがとうございます」
「そーんな堅っ苦しいのは無用！おんなじ学年なんだし、けーごはいらないよっ！」

助言、ありがとうございます。

「じゃ、先に帰るとするっさね！じゃーねー！」

すごい元気な人だな、、