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風峰Days/Ep5 運命の出会い 作:ター坊



「そろそろよろしくお願いしまーす!」
女性スタッフが控え室で待っている遊路とGジャスティメンに声を掛ける。
「は、はい」
「はっはっはっ!少年、そう強ばるでない」
やや緊張気味の遊路にGジャスティメンは笑いながら肩をバンバン叩く。
「世界を舞台に戦った男がこんなイベントで何を躊躇する?」
「いえ、グレートさんは慣れてるかもしれませんが…」
今日はとあるショップでの小学生低学年を対象としたデュエル教室の仕事だ。遊路もこういう企画はサニーアップ事務所に所属してから何度か参加したが、赤ん坊とは勝手が違い、どうも慣れないでいた。
「なーに。場数を踏めばなんとでもなる。行くぞ」
遊路はGジャスティメンの後ろについてくるように会場に向かった。



「うわぁ…たくさんいますね」
「他人事のように言うな。大多数は恐らく少年が目当てだぞ」
特設ステージ袖から来場者を見ると、今か今かとウズウズしている様子のチビッ子達が待っていた。それもそのはず、Gジャスティメンが言うようにデュエリンピック優勝の遊路は謂わばデュエリストのスター、憧れの対象なのだ。そんな憧れの存在に子供が興奮しない訳がない。
「さて、そろそろ始まるみたいだぞ」
進行役の女性スタッフがマイクを持ってステージに出てきた。
「ちなみに一言スピーチみたいな事もあるからな」
「えっ!?そ、そんな話聞いてませんよ!?」
Gジャスティメンの突然の発言に遊路は慌てる。プロとして戦う以上、大観衆の前でデュエルすることもデュエル後に報道陣からのインタビューに受け答えすることも慣れていたが、大勢の人間の前に立って自分から喋るという経験は乏しいため何を話せば良いのかと頭の中をグルングルン回して言葉を探す。
「それではお待たせしました!今回のデュエル教室の先生は正義のデュエルヒーロー、Gジャスティメンと、あの!世界一に輝いた最強デュエリスト!!風峰遊路さんです!!どうぞ!」
進行役の女性スタッフが話し終えると音楽が流れる。
「フハハハハ!!良い子のみんなー!デュエルを楽しんでるかーい!?」
音楽と共に叫びながらステージに上がるGジャスティメン、後ろを控えめについてくる遊路、登場にだいぶ差がある。
「今日はこのGジャスティメンがぁぁっ!みんなに最強のデュエルを教えてやるぞぉぉぉ!!みんなも今日ここで学べばぁぁっ!このGジャスティメンのように強くなれるぞぉぉぉ!!!」
Gジャスティメンはヒーローショーのようにハイテンションかつポーズ付きで自己紹介する。
「えっと…き、今日は、みなさんにで、デュエルを、あーっ…楽しんでもらえるようにがんばりますので、よ、よろしくお願いします」
一方の遊路は緊張を引き摺り、スムーズに言葉が出なかった。





「ゆーじせんせー。ここってどーいういみー?」
「それはね、相手のモンスター1体を選んで…」
「ゆーじせんせー!これでいいのー?」
「そうそう。飲み込み早いな」
「ゆーじせんせー、あくしゅしてー!」
「はーい」
イベントは大盛況だった。入れ替わり立ち替わり、チビッ子達が遊路を頼ってルールを教わったり、握手やサインを求められたりとすっちゃかめっちゃかだった。
「…」
「あの…すいません」
遊路の人気にちょっとGジャスティメンが不機嫌そうな感じもした。
「ゆーじせんせー」
「今度は何かな…ん?」
遊路はふと妙な違和感を覚えた。まるでじっと睨むような視線―その方向に目をやると一人の少女が気になった。全体像は人混みに紛れてよく見えないが髪は長く、研いだナイフのような鋭い目力で遊路を突き刺す。
「ねぇ、ゆーじせんせー?」
「あ、…ごめんね?で、どうしたのかな?」
チビッ子の声にふと我に帰った遊路は急いで目の前の仕事に戻った。








デュエル教室が終わったのは夕方頃。終わった後は事務所に帰り、今日の活動報告書を書いて勝彦会長に提出する。
「遊路くん。今日はお疲れさんな」
「少年、次はスピーチ頑張れよ」
「あはは…。お疲れ様でした」
遊路は事務所を出て家に急ぐ。晩ご飯は何を作ってくれているんだろうか、食卓でどんな今日の出来事の話を聞けるんだろうか、今日はどっちと夜を興じようか…。遊月と美羽と大和に思いを馳せると足取りも軽くなる。
通り道の繁華街に差し掛かった時だった。
「ねぇ」
誰かに呼び止められる。遊路が振り返るとそこにはあの目があった。



ネオンに照らされる長い髪―

身長は低いが胸部は大きく膨らみ、服もシックな黒で、全く幼さを感じさせない姿形―

そして濃いアイシャドウが引かれた魅惑的な、男の心を射抜くような鋭い眼



「私を抱いてみない?」








おまけの次回予告

勝彦「遊路くん。こういう企画はどうだい?」
遊路「えーっと…『ドキドキ☆ドローの度に弾む私のハート』…写真集ですか?」
勝彦「そうそう。牛坂くんと遊月ちゃんでグラビアを組んで」
遊路「却下です」
勝彦「だけどね」
遊路「却下です」ジー
勝彦「ま、まるで養豚所の豚を見るような目だ…。残酷な目だ…」
遊路「では失礼致します。俺には見なければならないものがあるので」

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