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HOME > 遊戯王SS一覧 > 8枚目 レッド・ドラゴン

8枚目 レッド・ドラゴン 作:紅瑠璃

私と蜜柑さんは馬車に揺られグリムゴート王国からヴァルコニア王国に向かっていた。「全てを思い出した」と言ったが結局なぜあんなとこに居たのか…誰に落とされたか…どんなやり取りをしていたのか…思い出せない。あいにく、私の自作のデュエルディスクにはデュエルログ、録音等がない。まぁあったとしても川に流されている間壊れ、蜜柑さんとのデュエル後に使えなくなった。私が使ったデッキはニルスに返したがあのカード…「リンクモンスター」「リンク召喚」のことがわからない。それとさも当たり前かのようにデュエルをしていたがNo.の力なしにモンスター達が実態を持っていたことだ。
リアルNo.はナンバーズネットワークにより実体がある100枚のカード。リアルNo.の主な能力としては各々の能力が使用できる事とデュエルディスクを出す事だ。その能力で出したデュエルディスクを使用し、デュエルを行うと出したモンスター達は実体を持つことができる。しかし、こないだのデュエルではNo.を使用していなくともモンスター達は実体を持っていた。この世界と私たちの世界はルールが違うようだ。

「真保ちゃん!」
「ん?何?」

蜜柑さんに呼ばれたので振り向く。どうやら険しい顔をしていたようだ。それについて聞かれるが「何もないよ」と答えた。しかし、頭の中ではかなり考えていた。「どのようにしてナンバーズネットワークを立ち上げたのか」「この世界と私たちの世界のルールの違い」考え出したらきりがなさそうだ。それにしても私は皆に迷惑をかけた…今は目の前の事に集中した方が良さそうだ。

「もうすぐでヴァルコニア王国に到着です。お二人とも、支度の方を…。」

もうヴァルコニア王国につくのか…やはり馬車をあのときにも頼めばよかった…過去に物申しても遅い。ヴァルコニア王国はグリムゴート王国と同じように活気に溢れていて美しい。

「ありがとうございました。」

私たちは御者に礼を言うと城に入っていった。城の中はかなり豪華だ…まぁ城だから当たり前なのだが…。

「みゃー…。」
「お客さま…どのようなご用件で?」

城の中のメイドさんが応対してくれた…私はアスナ・キルディムさんに手紙が届いているかを確認し、会うよう伝えた。この国ではよくあることなのか用件を受けるとその場を後にした。その数分すると一人の女性が現れた。その女性は綺麗な赤い髪に綺麗な顔立ち…そして自分をアスナ・キルディムと名乗った。歳は…そうだな。蜜柑さんの2つ3つ位上だろうか。

「あなた達は?」
「猫山蜜柑です。こちらの眼鏡の子が宮野真保です。」

また眼鏡呼ばわり…。アスナさんは私たちの名を聞くと話を進めた。

「あぁ!父上が提案した旅のお供…う~ん。普通な人たちね。それにしても遅い。手紙が届いてから3日位経ってるけど…」
「それはですね…」

私は出来事を伝えた。それを聞くと仕方ないか…みたいな雰囲気になった。

「立ち話もなんだから…客室に案内するわ。」

~客室~

「さて、あなた達は…この本を読んだことあるかしら?」
「「3人の光を抱く者の冒険」?読んだことありません…てか、信じられないかもしれませんがこの世界の人ではないので…。」
「そう…この世界の人じゃないなら何をしに?」
「闇の存在を倒すの!…けどどんにゃ奴にゃのかわからにゃくて…」
「あなた…「な」って言えないのね。さてと…話しはわかったわ。けど、あなた達が本当に信用できるのか敵か否かは私自身の目で決めさせてもらうわ。待ってなさい…すぐに城の者を集めるから…。」
「ど、どうやって決めるのですか?」
「勿論…デュエルに決まってるでしょ?」

そういうとアスナさんは退室した。どうするか…蜜柑さんのデッキはあるが私のデッキはない。それどころかこの世界のルールは知らない。

「入るわよ~。ふっ、逃げないのは自信があるのかしら…さ、ついてきなさい。」

とうとうデュエルの時が来た。デュエルをする場はダンスホールだ。回りにはギャラリーが多くいた。

「さ、デュエルするのはどちら?私としては二人同時に来ても良いのだけど…。」
「蜜柑さん…お願いします!」
「うみゅぅ…私がやるよ!」

蜜柑さんはメイドの人からディスクを借りて腕につけた。

「私の忍者…戦えるかにゃ…。」
「さぁ!あなたから来なさい。」
「行くよ!…黄昏の忍者-シンゲツ召喚し、カード1枚伏せてエンド。」
「ドロー。妖精物語-ガールを召喚。召喚、特殊召喚時、手札から「妖精物語」と名のつくモンスターまたは「妖精鍵物」と名のつく魔法カードどちらか1枚を手札に加える。」

アスナ・キルディムのデッキは「妖精物語」らしい…「妖精物語」と書いて「フェアリーストーリー」。「妖精鍵物」と書いて「フェアリーキーアイテム」と読む。アスナさんは妖精物語-ガールの効果で妖精物語-ウルフを手札に加えた。

「私は融合を発動!フィールドの妖精物語-ガールと手札の妖精物語-ウルフを墓地に…融合召喚。終末物語-ブラッド・チェーンソー。」

融合…「終末物語」でバッドエンドストーリー…。見た目は…赤ずきんだろうか。

「攻撃力は2300…だけど…。黄昏の忍者-シンゲツに攻撃!」
「罠オープン…機甲忍法フリーズ・ロック。バトルフェイズを終了させる。」
「面白い…永続魔法…妖精鍵物-七人のドワーフを発動して、ターンエンド。」
「ドロー。成金忍者を召喚し、手札から罠カードを捨てることでデッキから忍者マスターHANZOを特殊召喚。特殊召喚に成功したのでデッキから機甲忍者アースを手札に加える。忍者マスターHANZOと成金忍者でエクシーズ!No.39 希望皇ホープ。ホープでブラッド・チェーンソーを攻撃。」
「このとき!永続魔法の妖精鍵物-七人のドワーフの効果発動…。自分または相手の攻撃宣言時に発動できる。自分フィールドに「妖精物語-ドワーフトークン」を1体特殊召喚する。この効果はこのカードが表側に存在する限り、7回発動でき、妖精鍵物-七人のドワーフはフィールドに1枚しか存在できない。」
「そのままブラッド・チェーンソーを破壊。シンゲツでトークンに攻撃。」
「攻撃宣言時、トークンを特殊召喚。」
「攻撃だ!…ターンエンド!」
「ドロー。」

アスナさんのフィールドにはトークンとあと五回効果が使える七人のドワーフ。するとアスナさんは「妖精鍵物-玉手箱」を発動した。手札を1枚捨て、2枚ドローする効果だ…その後アスナさんは1枚魔法罠ゾーンに伏せてエンドした。

「ドロー。バトルフェイズ…ホープで攻撃。」
「ドワーフトークンを特殊召喚。」
「シンゲツで攻撃。」
「ドワーフトークンを特殊召喚。」
「1枚伏せてエンド。」
「罠カードオープン。フェアリー・ブックマーク・フュージョン。手札、フィールドから融合モンスターの素材に決められたカードを墓地に送ることで融合召喚する。融合素材には墓地のカードも使用できるが使用する場合除外する。私は墓地の妖精物語-ウルフと手札の妖精鍵物-三匹の子豚と三つの家で融合召喚。終末物語-フレイムウィンド・ホームピッグ。」

魔法とモンスターが融合した…。この人は融合召喚を得意とするのか…。すると透かさず蜜柑さんは機甲忍法ラスト・ミストを発動した。これでフレイムウィンド・ホームピッグの攻撃力は半分になった。

「デュエルとは…名も戦術も知らない相手であろうと1、2手見ると戦術がわかってしまうのよね…そして相手の1、2手先を読む。否、5手先を見る。あなたの手札には機甲忍者アースと謎のカード。アースと言うことは自分のフィールドが空くことを予想してるのかしら?それは良いことね…ならこの事は予想してるのかしら?まずはドロー…終末物語-フレイムウィンド・ホームピッグの効果発動!フィールドに存在している魔法、罠を3枚墓地に送ることで墓地から妖精物語モンスター1枚を手札に加える。私が墓地に送るのはあなたの罠2枚と私の魔法1枚。加えるのは妖精物語-ガール。私は終末物語-フレイムウィンド・ホームピッグとドワーフトークンを墓地に送り、リンク召喚。…ブックマスター・アンデルセン。手札から妖精物語-ガールを召喚。効果で装備魔法…妖精鍵物-空飛ぶ絨毯を手札に加える。私はフェアリー・フュージョンを発動する…手札の妖精鍵物-空飛ぶ絨毯と妖精物語-ガールで融合召喚。終末物語-アラビアンナイト・ダガーナイフ。そして墓地の罠カード…妖精鍵物-空飛ぶトランクの効果発動。」
「ま、まて!そんにゃカードいつ墓地に…」
「あら?捨てたわよ妖精鍵物-玉手箱の効果でね」
「はにゃ!?…」
「ふふっ空飛ぶトランクの効果でこのカードを除外して墓地の「終末物語」モンスター1枚を特殊召喚する。来なさい…終末物語-ブラッド・チェーンソー。さらに装備魔法…妖精鍵物-金と銀と鉄の斧を終末物語-ブラッド・チェーンソーに装備。よってブラッド・チェーンソーの攻撃力は1000ポイントアップ。アラビアンナイト・ダガーナイフが存在する限り、バトルフェイズに相手はモンスター効果を使用できない!バトルよ!ブラッド・チェーンソーでホープに攻撃。」

蜜柑さんがライフを削られた。800だけだが削られた。

「ブラッド・チェーンソーの効果で破壊したモンスターの攻撃力分相手にダメージを与える。」

追撃で2500ダメージ受けた。その後のブックマスター・アンデルセンの攻撃。アンデルセンの攻撃力は2000だが、シンゲツを越えるには十分だった…。最後のアラビアンナイト・ダガーナイフの攻撃力は2600…残り蜜柑さんのライフは1600となった。

「ドロー。…機甲忍者アースを特殊召喚し、このカードをリリースすることで黄昏の忍者将軍-ゲツガを召喚。効果で守備表示ににゃることで墓地の忍者2体を特殊召喚。忍者マスターHANZOと黄昏の忍者-シンゲツ。HANZOの効果でデッキから黄昏の忍者-シンゲツを手札に加え、魔装戦士ドラゴノックスと魔装戦士ドラゴディウスでペンデュラムスケー…にゃにゃ!?ペンデュラムスケールは!?」

ペンデュラムスケールがないのか…回りのメイドや執事達がざわつく。あたふたする姿を見て、あるメイドが笑い出す。

「笑うなっ!人が真剣にすることを笑うな…。いいかっ!」
「は、はいっ!申し訳ありません!」
「猫山蜜柑…ペンデュラムスケールは魔法、罠ゾーンにセットするのよ。」

アスナさんに教えてもらい魔装戦士2体をセッティングし、黄昏の忍者-シンゲツをペンデュラム召喚。そしてエンド。

「ドロー。…どうしようかしら…。このターンであなたの布陣を崩してあげる!私は…」
「アスナ様…申し訳ありませんが…」

ある兵士がアスナさんに耳打ちをする。ここからが楽しみだったようで兵士を睨み付けるが兵士が話した内容で顔が一変する…。

「蜜柑!このデュエルはあいにくだがおしまいよ!」
「にゃ、にゃんで!」
「戦が始まる!こんなことしてる場合じゃない!皆!戦の支度を!」

アスナさんは急ぎ足でダンスホールを後にした。次々にメイドも執事も退室していく。蜜柑さんはアスナさんの後についていく。だから私もその後をついていく。

「ミカは、にゃにすれば!てか、信用されたの?敵は?」
「…それはこの戦のあと!あなた達…剣は扱える?」
「ミカは、剣じゃにゃく拳で戦うよ…協力するよ!真保ちゃんは…」
「緊急手当てぐらいなら…。」
「…わかったわ。二人とも来なさい!…敵はノグス王国とサンムニル王国の両者…厳密にノグス王国とサンムニル王国の戦いに私たちが入り、止める…だから…兵は殺すな」

聞くと数日前に両国から手紙を受けたと言うことで内容はどちらも協力し、敵国を討つこと。アスナさんは血に染めてほしくないことで両国に協力しなかった。しかし、中立の立場として戦は止めようと前々から準備していた。理想は両国のの平和…最悪は両国がヴァルコニア王国に攻めること。許容範囲は片方の国がこちらに攻めること。自分は王女であるが戦う。アスナ・キルディムは赤い鎧を身にまとい、乗馬し、一度兵士達を見る。アスナさんの後方には私たちがいるが…彼女の目に写っているのだろうか。

「いいか!我々が望むのは平和だ!両国の争いを止めるのも平和の道だ!相手を殺すな!殺せば彼らの矛先は我々だ!…ふぅ…。開門。」

静かに放った開門の指示…アスナ・キルディムを戦闘に兵士達は馬を走らせる。
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