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そして第二部へ続く 作:はにわ改

 
ーーアカデミアの学習を終えた透矢、真希、千鶴は3人で透矢の家に集まっていた。
夕飯時まで3人で過ごすのは、いつもの事であった。
帰り際に買ったお菓子や飲み物を広げて、一日の出来事について談笑するのが普段の流れである。

「ーーお兄ちゃん、世界大会に出るんだね」

「ああ、まだ1ヶ月くらい先の話だけどな。
アメリカのどこかのドームを貸し切ってやるみたいだぜ」

「へぇ~、すごいなぁ。
アメリカに飛行機で渡って、全国のデュエリストとデュエルかぁ・・・。
ちょっと憧れるかも・・・」

「毎年やってるみたいだし、千鶴にもチャンスはあるだろ」

「うーん・・・自信ないなぁ」

「今年は無理でも、来年は一緒にさ、狙ってみようぜ?」

「う、うん・・・分かった。
それじゃ頑張ってみる・・・」

軽い量のお菓子をつまみながら話すのは、やはり世界大会の話題。
代表選手は刹那を始めとする生徒会メンバーに加えて、この度透矢が選ばれたのだった。
理事長・クロエからそれを告げられた時は大喜びだった透矢も、時間が立てばそんな大義を課せられたなんて感じさせない、普段通りの振る舞いである。

「向こうにはどれくらいの期間行くの?」

「一週間とか言ってたかな」

「そっか・・・それじゃその期間はお兄ちゃんとは離ればなれだね」

「たった一週間さ。
ちゃんとお土産も買ってくるし、期待して待っててくれよな」

「うん。
あ、でも、お兄ちゃん?
アメリカに行くんだから、英語、出来ないと大変だよ?」

「それがあったか~、やべぇな。
英語なんてちんぷんかんぷんだぜ」

メンバーに選ばれた事が告げられたあと、簡単に詳細が説明された。
後日、書面にして手渡される予定だが、両親にはこれから告げるつもりである。
費用面や引率についてはアカデミア側が責任を持つという事なので、基本的に何も心配はいらないとの事。
言うなれば人の少ない修学旅行のようなものである。

透矢と千鶴はその話題で盛り上がっていたが、真希は何故かこの話題には乗らず、たまに淡々と受け答えする程度であった。

ーーやがて千鶴が手洗いに立ち、透矢と真希が二人きりになった時。
透矢は聞きたかった事を訊く事にした。

「なぁ、真希?
何でお前はメンバーに加わらないんだ? 」

「うん・・・」

「去年も参加しなかったんだろ?
理事長先生から声が掛かったのに」

ある意味当然というべきか、真希にも代表選手の一員に選ばれた。
しかし真希はせっかくの話を、その場できっぱりと断っている。
理由は本人の事情、ということだったが、透矢にはそれが何なのか思い当たらず、気になっていた。

「・・・千鶴ちゃんを一人きりには出来ないから、さ」

「一人きりに出来ないって、そりゃいくら何でも過保護過ぎないか?」

「・・・そうかもしれない。
でも、千鶴ちゃんはあたしにとっては大事な幼なじみだから」

「そりゃ、俺も同じさ。
でもさーー」

ーー説得するように透矢は話を続ける。
強要するわけではないが、世界大会の代表選手に選ばれるなど、いい思い出にもなるし、そうある話ではないのだから、と。
しかし真希は首を縦には振らない。
もちろん千鶴も参加ないし、一緒に来るのであれば、真希も文句はないのだろうが、
透矢と真希だけで一週間とはいえ、遠い地に出掛け、千鶴を一人残すような事はしたくない、という頑なな意思だ。

透矢もそう言われて分かる部分もあり、結局は真希の意志を変えられなかった。

ーー手洗いから帰って来た千鶴は、部屋の扉の外で途中からその二人の会話に耳を立てながら、彼女もまた自らの在りように苦悩するのであった。



ーー場面は変わり、それから数時間後の神楽坂邸。

風呂上がりの刹那は、電話の子機を片手にベランダに出ていた。
夜の街が彩る、絶景のイルミネーション。
バスガウン姿で濡れた髪の毛をタオルで吹きながら、見慣れたその光景を眺めつつ、
掛け主であるクロエと話を交わす。

『ーーそうか、やはり千歳は・・・』

「ええ。
透矢くんが持ち掛けてくれたみたいですがーー」

『千歳は是非、欲しい戦力なのだが・・・何とかならないものか』

「生半可な手段では説得は難しいでしょう。
真希の性格は私もよく知っていますからーー」

クロエの用事は真希の案件。
クロエの要望としては、是非真希を大会に連れていきたいようだが、
透矢の説得にも応じなかったという事を透矢からのメールで知り、刹那が今、クロエに伝えたところだ。

『ふむ・・・“手荒な手段”は用いたくはないがーーやむを得ないか』

「お待ち下さい、無理矢理に連れていっても彼女の協力は得られません。
それに・・・真希は友達なんです」

『だが、刹那・・・』

「まだ大会まで1ヶ月、あります。
それまでに・・・何とかしてみせます」

『ふむ・・・』

電話で考えているようなクロエの声。
刹那はじっと次の言葉を待つ。

『ーーよかろう。
だが、説得出来ない場合は“無理矢理”にでも連れていく。
いいな』

「・・・そうならないように、計らってみせます」

クロエの言葉を受けて、厳しい表情で応える刹那。
そうしてクロエの側から打ち切られる電話。
子機を見つめながら、刹那は疲れたようにため息をついた。

「ーー電話は済んだのか?」

すると背後から男性の声が掛かり、刹那は振り向く。
そこにいたのはアルフレッド。
日本に1ヶ月滞在する彼は、その期間は神楽坂邸で居候の予定だ。
どうやら少し前から、刹那の電話が終わるのを待っていたようである。

「・・・湯冷めしたみたい。
部屋に戻るわ」

しかしそんなアルフレッドを一瞥して目を閉じると、その脇を通りすぎて部屋に戻ろうとする刹那。

「ーー待ってくれ、刹那」

呼び止めるアルフレッド。
刹那は背を向けたまま足を止める。

「俺は・・・君にもう一度、挑戦するために日本に来たんだ」

「・・・そう」

「そして、君に勝った上で改めて伝えたい。
俺の君に対する気持ちをーー」

アルフレッドの手が刹那の肩に触れる。
するとその手を刹那は身を翻しながら手で振り払い、彼と向き合った。

「・・・フレッド。
私の答えは去年、伝えたはずよ」

「ああ。
でも、俺は諦めていない。
必ず君に振り返らせてみせると誓い、この一年、自分を磨いてきたつもりだ」

「分かるわ。
あなたを見れば・・・一年前とは違うということが」

「ーーありがとう、刹那。
君にそう言って貰うことが俺には一番嬉しーー」

笑い掛けながら、刹那の右頬に手を伸ばしたアルフレッド。
しかしその手から逃れるように刹那は彼を拒絶した。

「私の答えは変わらない。
たとえあなたが私に勝ったとしてもーーね」

「どうしてだ?
どうして俺をそんな頑なに拒むんだ?
俺の何がいけないんだ!?」

アルフレッドの一点のみを見つめるような眼差し。
それは彼の心中を表し、またそれを無意味に隠すような事はしない。
何故なら彼の目には刹那しか映っていないからだ。

「・・・どうして、久遠のことも視てあげないの」

「せ、刹那・・・」

「久遠の気持ちは知っているんでしょ。
どうしてそんな久遠を視ずに、あなたを拒む私を追うのっ!」

「・・・君にそう言われるとーー辛い、な」

怒りに満ちたような刹那の瞳。
そんな刹那の眼からもアルフレッドは目を反らすなく、あくまで己の意志を貫こうとする。

「部屋に・・・戻るわ」

しばらく互いに睨み、見つめ合うようにしたあと、刹那から身を引くように再びアルフレッドに背を向ける。
そして部屋に戻る、という刹那を引き止める事はせず、アルフレッドは刹那の背をじっと見つめていた。

「諦めないよ、刹那。
必ず君を振り返らせて見せる。
たとえ、どんなに時間はかかってもーー」

そうして独り、呟くアルフレッド。
そんな彼の姿を、物陰から見つめる久遠ーー。

様々な思いが交錯する中でーー。
彼らを繋ぐ糸が、1つに交わろうとしていた。

ーー大会まであと1ヶ月。
世界一のアカデミアを決めるという戦いの裏で、思いもよらぬ勢力が動きを強めていようとは、未だ誰も知らないーー。

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