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遊☆戯☆王V☆S(ファイブスター)/Episode64:渇望と葛藤 作:カズ

~現在の状況~
HANA→LP:3400 手札:3 デッキ:41 Mゾーン:0 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0


V S


JOERI→LP:5150 手札:2 デッキ:31 Mゾーン:2 M・Tゾーン:0 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN04
 ユーリの鮮やかな融合召喚の前に花奈の盤面が散ってしまったが、手札次第ではまだまだ逆転できる可能性は残っている。


(私の除外されたカードは3枚。そしてスターヴ・ヴェノムの効果は精一さんからのメールに記載されていた通りでしたが、厄介なのはドラゴスタペリア……。捕食カウンターを置く効果をどのタイミングで使ってくるか…)
「私のターン、ドロー!まずは魔法カード『フローラル・セマンス』を発動し、デッキから『フローラル・マルグリット』を除外します。続けて永続罠『フローラル・ブルジェオン』をセットし、そのまま発動しますわ!」


 基本的に罠カードは伏せてから1ターン経過しなければ発動できないが、『フローラル・ブルジェオン』は墓地に『フローラル・セマンス』が存在する場合のみセットしたターンでも発動できるのだ。


「へぇ……随分と面白いカードだね。ユートが使っている『幻影騎士団シェード・ブリガンダイン』もそんな感じだったなぁ」
「回想している余裕があると思ったら、大間違いですわよ?『フローラル・グリシーヌ』を召喚!自分フィールドにフローラルと名の付いたモンスターが召喚・特殊召喚されたことで、ブルジェオンにフローラルカウンターを1つ置きますわ。そして除外されたマルグリットを、自身の効果によって守備表示で特殊召喚!」
「それじゃ僕も、ドラゴスタペリアの効果発動!対象モンスター1体に捕食カウンターを置く。僕が選択するのは……マルグリットでいいかな」


 チューナーのマルグリットのレベルを変動させてしまえば『ブラック・ローズ・パラディン』のシンクロ召喚も防げる。ユーリにとって厄介なのは、「墓地へ行かずに除外する」効果を持ったモンスターを呼び出されること。その類いのカードが出てきてしまえば、ユーリが次のターンで狙っている必殺のコンボも決まらなくなる。しかし、そのことを警戒しすぎていたユーリは、花奈が「第5の召喚法」であるビヨンド召喚を使えるということを完全に忘れていた。


「ユーリさん……あなたの選択、見誤りましたね。私はレベル4のグリシーヌ1体でアナザー・ディメンションゲートを解放!ビヨンド召喚!!出でませ、『フローラル・パヴォ・ソードマン』!!」


 白い花弁が麗しく開いている、ヒナゲシを思わせる剣士が異世界のゲートを超えて現れた。この花には花言葉はいくつかあるが、白い花弁のヒナゲシの花言葉は「忘却」である。


「パヴォ・ソードマンの効果発動!ドラゴスタペリアの効果をターン終了時まで無効にします!そして再び効果を発動し、スターヴ・ヴェノムを相手スタンバイフェイズ開始時まで除外し、ソードマンの攻撃力を800ポイントアップさせます!」
「チッ…!」


 前のターンのお返しといわんばかりにユーリのモンスターを悉く無力化し、花奈のモンスターを強化していく戦法に彼は思わず舌打ちした。ソードマンの攻撃力は、永続罠『フローラル・ブルジェオン』に蓄積されたフローラルカウンターも合わせて3300と、ドラゴスタペリアを余裕で上回っている。


「バトルですわ!パヴォ・ソードマンでドラゴスタペリアを攻撃!」
「うぐっ…!」
JOERI→LP:4550


 なんとかダメージを与えつつ厄介なドラゴスタペリアも破壊できたが、肝心のスターヴ・ヴェノムは一時的に除外しただけですぐに帰還する。念には念を入れておきたかった花奈は、メインフェイズ2で守りを固めることにした。


「メインフェイズ2に移行します。私はフィールドのパヴォ・ソードマンとマルグリットを除外し、エクストラデッキから『フローラル・フィグ・プリンセス』を特殊召喚しますわ!」


 フィグ・プリンセスは融合魔法を使用した融合召喚以外にも、「自分フィールドのフローラルモンスターを2体除外する」ことでも特殊召喚が可能なモンスターだ。【フローラル】は除外されたカードが一定の枚数に満たされることでその真価を発揮する。今は4枚だが、彼女がどこまでフィールド・手札・デッキのカードを多く除外できるかがこのデュエルの明暗を分ける鍵となる。


「融合素材として除外されたパヴォ・ソードマンの効果で、除外された『フローラル・ペルスネージュ』を手札に加えます。そして、フィグ・プリンセスの効果発動!除外されたパヴォ・ソードマンを再び呼び戻し、2200ポイントのライフを回復しますわ……。これにてターンエンドです」
HANA→LP:5600 手札:2 デッキ:39 Mゾーン:2 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN05
 スターヴ・ヴェノムがスタンバイフェイズ開始時にユーリのフィールドに帰還するとはいえ、ドラゴスタペリアを失ったのはかなりの痛手だった。おまけにライフの回復も行なってきたので、花奈を倒すのは一筋縄ではいかない。しかし、ユーリはスターヴ・ヴェノムの他にも「とっておきの切り札」を隠し持っていた。


「それじゃ、見せてあげるよ……。お楽しみは、これからだってね!僕のターン、ドロー!」


 スタンバイフェイズに移行し、ドラゴスタペリアの融合素材として墓地へ送られたキメラフレシアの効果を発動した。その効果でユーリが持ってきたカードは、花奈でさえも知らない『超越融合』だった。


「僕は魔法カード『死者蘇生』を発動し、墓地のドラゴスタペリアを特殊召喚。そして……魔法カード『超越融合』を発動!2000ポイントのライフを支払い、僕はスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンとドラゴスタペリアを融合する!」
JOERI→LP:2550


 『超越融合』はライフコストを支払うものの、『超融合』と同様に一切の効果を発動させない完全耐性を持っている。









―――飢えた牙持つ毒龍よ、奈落へ誘う香しき花よ、今1つとなりて、思いのままに全てを貪れ!―――





―――融合召喚!!現れよ、レベル10!『グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』!!―――







〇超越融合(通常魔法)
このカードの発動に対してカードの効果は発動できない。①:2000LPを払って発動できる。融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスター2体を自分フィールドから墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。②:墓地のこのカードを除外し、このカードの効果で融合召喚したモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター一組を自分の墓地から特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力・守備力は0になり、効果は無効化される。


〇グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン(Lv10 闇)
ドラゴン族/融合/効果
攻3300/守2500
「捕食植物」モンスター+元々のレベルが8以上の闇属性モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚できる。①:1ターンに1度、フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時まで、そのモンスターの元々の攻撃力は0になり効果は無効化される。②:このカードが破壊され墓地へ送られた場合に発動する。フィールドのモンスターを全て破壊する。その後、自分の墓地のレベル8以上の闇属性モンスター1体を除外してこのカードを墓地から特殊召喚できる。




 ユーリが融合召喚したモンスターは、「禁忌の四龍」であるスターヴ・ヴェノムが己の欲望のままに活動した果てに進化を遂げた、「禁呪の四龍」のうちの1体である。これには『グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』の他に『ダーク・レクイエム・エクシーズ・ドラゴン』『クリスタルウィング・シンクロ・ドラゴン』『覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン』が該当する。


「僕は墓地の『超越融合』を除外し、融合素材として墓地へ送ったスターヴ・ヴェノムとドラゴスタペリアを特殊召喚!そして……僕はレベル8のスターヴ・ヴェノムとドラゴスタペリアで、オーバーレイ!エクシーズ召喚!!現れよ、『No.23 冥界の霊騎士ランスロット』!!」
「なっ?!貴方、エクシーズ召喚も使えますの?!」


〇No.23 冥界の霊騎士ランスロット(ランク8 闇)
アンデット族/エクシーズ/効果
攻2000/守1500
レベル8モンスター×2
①:X素材を持っているこのカードは直接攻撃できる。②:このカードが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。③:1ターンに1度、このカード以外のモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動する。その発動を無効にする。




 『超越融合』の本当の恐ろしさは融合召喚を行った後だ。攻撃力0、効果無効という2つのデメリットがあるものの、融合素材としたモンスター全てを墓地から復活させることでリリース、シンクロ、エクシーズなどのあらゆる手段で再利用できるのだ。この場合、ユーリが復活させたスターヴ・ヴェノムとドラゴスタペリアのレベルは共に8であるため、ランク8のエクシーズ召喚へと繋げられた。


「『グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』の効果発動!ターン終了時まで対象モンスターの効果を無効にし、元々の攻撃力を0にする!パヴォ・ソードマンの効果と攻撃力はこれで消え失せた!」


 発動中の永続罠『フローラル・ブルジェオン』に乗っている5つのカウンターのおかげで攻撃力は500ポイント残っているが、グリーディー・ヴェノムの攻撃力は3300もあるため大ダメージは免れない。


「くっ…!私は永続罠『フローラル・ブルジェオン』の第3の効果発動!このカードに蓄積されたフローラルカウンターを2つ取り除き、私のフィールドのモンスターの数だけ、相手モンスターを裏守備表示にします!」
「無駄だよ!僕はランスロットのオーバーレイユニットを1つ使い、効果発動!『フローラル・ブルジェオン』の発動を無効にする!」


 花奈も罠カードの効果を使ってダメージを最小限に抑えようとしたのだが、ユーリのランスロットの前では無力だった。しかもランスロットは、オーバーレイユニットを所持していればダイレクトアタックが可能となる。元々の攻撃力は2000と、ランク8にしては心許ない数値だが、モンスターと戦闘を行わなければ問題ない。


「バトル!『グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』で『フローラル・パヴォ・ソードマン』を攻撃!」
「ぐうぅぅーっ……!」
HANA→LP:2800


 破壊されたビヨンドモンスターは墓地に行かずに除外されるが、パヴォ・ソードマンの効果は無効化されていたので、除外された時に発動できる効果も使えなかった。しかもユーリには、まだ直接攻撃できるランスロットが残っている。もしも前のターン、フィグ・プリンセスを特殊召喚していなければ花奈はこのターンで負けていた。


「んじゃ、次はランスロットでダイレクトアタックだ!」
「かはっ…!」
「そして、ランスロットが戦闘ダメージを与えたので効果発動!フィグ・プリンセスを破壊させてもらうよ……」


 花奈のライフは僅か800しか残されておらず、おまけにフィールドのモンスターも全滅した。対してユーリのフィールドには、あと1つだけオーバーレイユニットが残されたランスロットと、破壊されるとフィールドのモンスターを全滅させた後に復活を遂げるグリーディー・ヴェノムが立ちはだかっている。伏せカードは1枚もないとはいえ、花奈は次のターンで勝負を決めなければ勝てる見込みはほぼ皆無だ。


「僕はカードを1枚伏せてターンエンド。さあ、どうやってこの布陣を崩してくれるのかな?」
JOERI→LP:2550 手札:1 デッキ:29 Mゾーン:2 M・Tゾーン:1 Fゾーン:0 Pゾーン:0



*TURN06
 絶体絶命の窮地に立たされた花奈だが、それでもまだ余裕の表情を浮かべていた。このデュエルの中で、花奈は「ユーリに地力では勝っている」と確信したからだ。とはいえ、超越融合やグリーディー・ヴェノム、さらに融合召喚をメインとした【捕食植物】とは縁遠いエクシーズ召喚まで使われた時は冷や汗を垂らしたが。


「では……私のターン、ドロー!まずはスタンバイフェイズ、発動してから2ターンが経過したので、墓地の『フローラル・ポレーン・フュージョン』の効果発動!」
「僕はその発動に対してランスロットの効果発動!それを無効にする!」


 ランスロットの「発動を無効にする」効果は強制的に発動するため、ユーリは効果を発動するタイミングを選べない。そのため、今の『フローラル・ポレーン・フュージョン』はランスロットの効果をこれ以上使用させないためのブラフだった。


「行きます!自分フィールドにフローラルと名の付いたモンスターが存在しないことで、手札から『フローラル・ペルスネージュ』を特殊召喚します!ペルスネージュが特殊召喚に成功した場合、相手の魔法・罠カード1枚を破壊しますわ!」
「チッ…!だけど、そのモンスターだけじゃあ、僕のグリーディー・ヴェノムとランスロットは倒せないよ?」
「……どちらか1体でも倒せば充分ですわ。除外されたマルグリットを自身の効果で再び呼び戻し、手札から『フローラル・グリシーヌ』を通常召喚!そして、レベル4のグリシーヌに、レベル3のマルグリットをチューニング!漆黒の茨が冷たき炎を薙ぎ払い、光の道を切り開く!シンクロ召喚!出でませ、『ブラック・ローズ・パラディン』!!」


 花奈の第2のエースモンスター、黒薔薇の魔導剣士が満を持して登場した。このデュエルもいよいよ最終局面に差し掛かろうとしていたが、花奈の中ではもう自分の勝利のビジョンが見えていた。このターンは、ただそれを実行しているだけに過ぎないのだ。


「ブラック・ローズ・パラディンがシンクロ召喚に成功したことで、私は除外された『封印竜フレア・ローズ』と『フローラル・グリシーヌ』を回収します。続いて、シンクロ素材として墓地へ送られたグリシーヌの効果発動!墓地のこのカードをグリーディー・ヴェノムに装備させ、装備モンスターの攻撃力を600ポイントダウンさせます!」


 これによってグリーディー・ヴェノムの攻撃力は2700に下がったが、花奈にはまだビヨンド召喚が残されている。レベル5のペルスネージュを除外し、除外されたグレード4の『フローラル・パヴォ・ソードマン』を再び特殊召喚した。これで全ての準備は整った。


「パヴォ・ソードマンの効果発動!冥界の霊騎士ランスロットを相手スタンバイフェイズ開始時まで除外し、このカードの攻撃力を800ポイントアップさせます!そして、永続罠『フローラル・ブルジェオン』に溜まっているカウンターはこれで10個……すなわち、私のフィールドのフローラル、またはブラック・ローズと名の付いたモンスターの攻撃力は1000ポイントアップしますわ!」
「くっ…。だけど、グリーディー・ヴェノムを破壊した瞬間に君のモンスターは全滅し、グリーディー・ヴェノムは蘇る!それでもいいなら、攻撃してみなよ!」
「……念のために聞いておきますが、それはグリーディー・ヴェノムが『墓地へ送られた場合』の話ですわよね?」


 ブラック・ローズ・パラディンの攻撃力は3500、パヴォ・ソードマンの攻撃力は4000にまで跳ね上がっている。ユーリの言うとおり、どちらかが攻撃して破壊したとしても花奈のモンスターは全滅し、グリーディー・ヴェノムは復活してしまう。しかし、彼女のフィールドには既に「墓地に行かず除外される」効果を持ったブラック・ローズ・パラディンが存在する。つまりグリーディー・ヴェノムは除外されるため復活せず、花奈の勝利も確定する。



「バトル!まずはパヴォ・ソードマンで『グリーディー・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』を攻撃!」
「グリーディー・ヴェノムを墓地に送らせない……か。参ったよ、君には」
「これでトドメですわ!ブラック・ローズ・パラディンで、ユーリさんにダイレクトアタック!!」


 茨の剣を振りかざした重い一撃が、ユーリに深く刻み込まれた。それは、このデュエルに打たれた終止符。


JOERI→LP:0















「はぁ……はぁ……」


 背筋が凍りつくほどの緊張から解放された花奈は、ピンと張った糸が緩まるかのごとくその場に崩れ落ちた。勝利する確信を得たラストターン以外は常に集中状態だったために周りがほとんど見えていなかったが、視界に小町とうららの姿を確認してからは、小学生らしい無邪気な満面の笑みを見せ、サムズアップもしてみせた。


「花奈ちん、すごかったよぉ~!」
「お見事でした!」


 花奈のデュエルをずっと見守っていた2人も盛大な拍手を送り、花奈を讃えた。敗者であるユーリもまた、彼女のデュエルを賞賛した。


「ふふっ……やっぱり僕の期待通りだったよ。だけど、他の国に飛んだユートとユーゴも僕と同じか、それ以上に強いからそう伝えといてね。あ、それとA.Wのことなんだけど」
「……何故、あなたはそこまで情報提供をしてくれますの?一応、敵同士ですわよ?」
「だって気に入らないんだもん。エースのやり方が」


 あまりにも気まぐれだが、精巧にプログラミングされているはずのユーリが何の考えもなしに発言したとは考えられない。謀反とまではいわないが、内心では生みの親であるはずのエースに反抗している。それには明確な理由がある。
ユーリに対して「もう少し責任を持って行動しろ」と口酸っぱく注意していた「UTE(ユート)」「HUGO(ユーゴ)」の他に、揉め事を起こしていた3人の仲介役として「YUYA(遊矢)」がいたのだが、エースが「作戦に使えないから」という理由だけで別の場所に隔離されてしまった。それ以来ユーリはエースに表面上では従っているものの、反抗的な態度を取っているというわけだ。



「なるほど。では、遊矢さんが仲間から外されてしまったせいで今に至るというわけですか」
「そういうこと。エースが次に何かやらかしたら本気で裏切ろうかと思っているんだけど、ユートとユーゴがうるさいからなぁ……」
「……ですが大事なのは、ユートさんやユーゴさんが注意するからではなく、貴方がどうしたいかだと思いますわよ。まあ、小学生の戯言だと思って聞き流しても構いませんが」


 ユーリから一通りの話を聞き終えた花奈は、なぜユーリから敵意が感じられなかったのかを理解した。誰にも言えなかった過去とその苦しみを初めて打ち明けられたユーリも、どこか満足そうな表情に変わった。初めはただの獲物でしかなかった花奈が、彼にとって久しぶりに現れた「理解者」になったのだ。


「少しだけど楽になった気がするな。まあ、A.W.Ⅱで何かやらかしたら、僕も黙ってないと思うよ」
「……1つ質問なのですが、A.Wの『A』は何の略なのですか?」
「んっとね、直接は教えられないけど、君たちの仲間の誰かが持っている魔法カードの名前にも使われているかな」


 ヒントは得られたものの、一体誰のデッキのどのカードなのかまでは分からなかった。遊弥達15人のデッキのカードを全て調べようとするならば相当骨が折れる作業だが、これで謎を解明する足がかりになった。


「あ、日本円をクローネに換金してくれる場所はここを右に曲がった所にあるから。それじゃ、僕はこれで失礼するよ」


 最後まで敵とは思えないほどの紳士ぶりを発揮し、ユーリはその場からワープして消えていった。ユーリとのデュエルでだいぶ時間をロスしてしまったため、花奈達は急いでその場所へと向かった。一番後ろを走っていたため小町とうららには見られることはなかったが、花奈はその道中、暗い顔をしてこう思っていた。







(今の私では……絶対に、ルーナさんには勝てませんわ)
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光芒
苦戦しながらもユーリを撃破した花奈。融合のみならずエクシーズ召喚まで駆使してくるあたりそこはアンドロイドとして勝つために設計されているように思えます。ただユーリの口ぶりからして相手側も一枚岩ではないようですね。

しかし、デュエルに勝ったとはいえ、自分の未熟さを自戒できるあたり花奈は年齢と比べるととても大人びていますね。彼女のこれからの成長にも期待したいところです(何様だ
(2017-03-23 12:45)
カズ
光芒さん
超越融合はスターヴ・ヴェノムと果てしなく相性が悪いので、その進化形であるグリーディー・ヴェノムに使用することでこのような展開が完成しました。ユートとユーゴも敵として後々登場しますのでお楽しみに。
Episode62でもそうだったのですが、花奈があまりにも年齢不相応な行動を取っているものですから「花奈ってホントに小学5年生なのか」とか「こんな小5がいてたまるか」と、作者自身が一番思ってます(殴 (2017-03-24 12:44)

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