寄り道編　時が経つのは早い　作：くちなし

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チーン、、、南無妙法蓮華経、、、

あの日から6年。その時の記憶は今でも鮮明に覚えている。

ｰｰｰ回想①始

安楽々々木理沙。6年前、つまり、小学校3年生の時に恐怖の体験をする。
動けないくらいの大きな揺れが来たこと。家や車が海水と一緒に流れてきたこと。

大きな揺れが来た時、私は学校に居た。皆泣いたり、叫んだり、、興奮してる馬鹿な子も居たわね。
一番に家族の心配をしたわ。私の家は大丈夫かな？生きてるよね！

でも、家に帰ると、そこには家具に押しつぶされた母親の姿があった。

「ま、、ママ！！大丈夫！？」

泣き目で呼びかける私に、ママは

「だ、、大丈夫よ、、誰か、、呼んできて、、？」

私は外に出て、叫んだわ。

「誰か！お願いします！私のママがぁ！下敷きになってるのぉ！」

反応した多くの人が助けてくれた。冷蔵庫を持ち上げ、タンスをずらし、テレビを持ち上げ、母さんは助かった。

避難所の学校に戻ると、先生が待っていた、と言う顔をしていた。

「あ、理沙ちゃん、ママは助かったんだね」
「うん」
「何とか、助かりましたわ。でも、湿布を数枚、お願いできますか？」
「はい、」

先生の顔はどこか落ち込んでいるような顔をしていた。先生にも家族がいる。やっぱり家族に逢いたいよね。

「理沙ちゃん、良ーく聞いてね」
「うん」
「理沙ちゃんのパパね、、」
「パパ？生きてるでしょ？」
「まさか、、」
「、、、」

先生の発した言葉に思わず絶句する事になる。

パパが、、、死んだ、、？？

「ウソ、、嘘だ！」

泣き叫んだ。大事な家族がいなくなっちゃった。私はどうすればいい？
これがあの時の記憶である。

ｰｰｰ回想①終



ｰｰｰ回想②始

城ヶ崎火憐。同じく小学校3年生の時。

「怖いよぉ、、」

私は泣いていたわね。確か。本当に怖かったわ。

「逃げろぉ！」と言う声のまま、私は自宅の3階に避難した。
街には津波によって齎された海水が流れ込んでいて、木材や車、看板などが巻き込まれていた。

グラグラ、、と、大きな揺れに気付く。咄嗟に頭を隠した。本当に怖かったわ。
私の両親は奇跡的に生きてたわ。でも、骨折と軽症。
でも、あの時は本当に怖かった。まるで、今までの常識がひっくり返ったみたいに、、

ｰｰｰ回想②終



ｰｰｰ回想③始

自分、観月悠里。自宅で揺れを感知。自宅には1人。祖父母は出かけていた。
グラグラ、、と吊り下げてある電球が揺れる。

「地震か」

何故か知らんが、割と冷静だった記憶があるな。何処か安心感があったのかもしれない。
自宅はさほど被害は出なかった。窓にフィルムを貼っていたし、固定金具もつけてた。ストッパーもつけてた。
せいぜいっていうのもなんだが、、教科書が落ち、電気、ガス、水道が止まった位の被害だった。

外が騒がしいな。気になってカーテンを開ける。

「え、、？」

そこには逃げ惑う日人の姿。向かいの家は料理中だったみたいで火事になっている。

「うわ、、すごいな、、」

圧巻しているうちに、大事な事に気が付く。

「、、！？爺ちゃんと婆ちゃん、大丈夫かな！？」

急いで着替える。

「おーい、悠里や、でーじょうぶか？」

玄関に居た。

「家は一通りでーじょうぶだぁ」
「そうかそうか」

「桜花は大丈夫だべか？」

自分に問うてきた。返事をしようとした時、

「ゆ、、悠里、、」
「そこに居たんか」
「怖かったべ、、」
「ンマー、生きてて良かったよ。これで、みんな生きてることが分かったべ」

自分たちは避難所には行かない事にした。何より、遠いからな。
ブレーカーも落としてたし、非常食も持ってたし。
ウミキヨも無事だと願う。

ｰｰｰ回想③終

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「おっ、観月、おはよう」
「おはよ、安楽木、城ヶ崎」
「、、」
「、、」
「なんかさ、時が経つのは早いな」
「、、？、、まあ、ね、、」
「確かに、、早いね。特に今日は」

何か、とは言わない。暗黙の了解、と言うべきか。
あの日から6年。長いのか。それとも短いのか。人それぞれなのかもしれない。
でも、生きるための糧に、、なるかもしれない。
とにかく、僕(私)たちは普通(？)の日常を生きて行く、、

fin


【あとがき】
ホントは書かない方が良いのかな、、？
そう思った一面もありましたが、、書かせてもらいました。
、、なんかごめんなさいm(__)m