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遊戯王DAーR/プロローグ:その青年、危険につき 作:ドクダミ2号

「見たかよ!こいつの顏!ギャハハ!」
「うぅ…返して下さい…大切なカードなんです…。」
「知らねーよバーカ!返して欲しかったら力尽くで奪ってみろよオラ!」

気弱な少年に容赦のない蹴りが入る。少年は痛みでうずくまる。そして別の男達がそれを見て笑う。何とも醜く、何とも馬鹿らしい光景だった。

「ハッ!よえー癖に楯突くんじゃねーよこのタコ!」
「うぅ…誰か…助けて…。」

少年が助けを求めた。その時。

「じゃあ強けりゃ楯突いていいんだな。」

1人の青年の声が響いた。その青年は暗がりで良く見えないが、髪が長く、
お世辞にも喧嘩が強そうには見えないほど、スッキリとした体型をしていた。

「あぁ!?誰だおめぇ!?」
「誰だっていいだろう。それより…ここは俺のナワバリだ。そん中でこーゆー事して、ただで済むと思ってんの?」
「知らねーよボケ!おいてめーら!こいつをぶちのめすぞ!」
「「おぉ!」」

3人の不良が一斉に殴りかかる。その青年は3人の攻撃をものともせず、全て避け切った。

「な…!」
「終わりか?決闘者ならデュエルで決着をつけた方が良いとは思うんだが…仕方ない。」
「ま、待て!お前まさかーーー」

ーーー

「あの…ありがとうございます…。助けてくれて…。」
「おめーも早くどっか行った方が良いぜ。その制服…デュエルアカデミアだろ?それも中等部あたりか。」

青年に自分の学校と学年を言い当てられ驚く少年。男は続けて自分も同じ学校だと言った。

「まぁ高等部なんだけどな。」
「あの!名前…教えて下さい!」
「俺の名前?俺の名前は…。」






ーーー

「ねえってば!いいでしょ!?」

ネオドミノシティのとある大通り。そこで1人の女性の声が響く。続けて男性の声が響いた。

「ダメだ。ただでさえ俺は今お金無くて困ってんの。なのにお前ときたらそう言ってアレ買ってだコレ買ってだ…いい加減にしろ。」

どうやら女が何かを買い求める様男に迫っている様だ。その女性が指差す方向にはアイスクリームを売る露店があった。

「別にいいじゃん!ケチ!」
「うるせえなぁ、必死のバイトして貯めた金をそんな事に使うかっての。もっと別な事に使うわ。」
「どうせロクな事じゃないわよ。」

男はその言葉に遂に大声をあげた。

「じゃあ言わせて貰うけどさぁ!仮に買ったとしておめーらどうやって食うんだよ!」

一般人からすれば今の発言は意味不明だろう。だが彼の発言は至極当てはまっているものであった。

「てめーらカードの精霊な癖してあれ買えこれ買えうるせえんだよ!!どーせ買ったって食えねーだろうが!」
「うぅ、痛いとこついて来るわね。分かったわよ。もう黙ってるわ。」

その精霊は諦めて、姿を消した。正確には彼の腰にあるカードケースの中に消えていった。
彼の名前は遊亜翔。デュエルアカデミアに通う高等部2年生。他の人間と違い、カードの精霊を呼び出す事が出来る力を持っている。

(とは言うけど、頼んでないのに出て来るんだよなぁ。)

彼のカードには、頻繁に出てくる精霊とそうでない精霊がいる。特に先ほど出ていた精霊…久遠の魔術師ミラは頻繁に出てくる。

「…ヤベ、早く行かなきゃ遅刻する。」

左手首の腕時計を確認した翔はそう呟くと急いで走り出した。

ーーー

「おはよー。」
「おっはー。」

朝の挨拶が聞こえる。どうにかHRまでに間に合った。

「ういーっす。」
「あ、翔…。」

クラスメイトの反応はあまりよろしくない。それもそのはず、翔はクラスでの評判がお世辞にもいいとはいえないのだ。クラスメイトに恐れられる存在となってしまったのは色々と理由があるが、簡潔に言うなら翔が不良だからだろう。

(毎朝毎朝嫌な顔すんなよなー。こっちだって辛いわ。クラスメイトに信用されてないのは。)

翔の心の声に反応する様にミラが声をかける。

「じゃあさー、やめたらその格好と髪型。自分は不良ですって言ってる様なもんじゃん。」
(んだよー…。格好は言い逃れできねぇけど、髪型まで言う必要なないだろ…。この髪型が1番しっくり来るの。)
「アホらし…。」

ミラに呆れられたかの様な反応をされ、むっとする翔であった。

さて、そもそもデュエルアカデミアとはなんなのか。答えは単純、デュエルを学ぶ施設である。もちろん、これも学校の一つなので通常の授業もある。ここを卒業する生徒の多くはデュエルに関連した進路に進む。翔はその高等部に位置する。

「さてと、今日1番目の授業はーーー」
「おりゃ!目潰し!」
「うお!?」

翔が席を立とうとした時不意打ちに目潰しが飛んで来る。とっさに避けられるあたり場数が違う。

「何すんだ!山崎!」

そう叫ぶ翔の目の前にいるのは、彼の幼馴染である山崎瞬だ。今のも戯れの一つと言い張る山崎だが、明らかに本気で当てに来ていた。何を考えてるのかさっぱり分からない。

「へっへー。それよりさ、聞いたか!?」
「あ?何を?」
「ほら!この間HRで話が出ただろ?新しい先生の話!」
「知らねーな。寝てたから聞いてねーわ。」
「おっま…。マジかよ、まぁいいや。でさ、その先生がどう言う人か聞いたかって。」
「興味ないね。」
「…つまんねーこいつ。まぁいいや、なんでも美人らしいぜ!」
「へー。トイレ行こ。」

引き止めようとする山崎を振り払い、トイレに行く翔。山崎がこの手の話を始めてしまうと、延々と話が続く。しかも大抵やらしい話題に持って行こうとする。聞いていてつまらない。

「はー、新しい先生とかどうでもいいっての。そんな事より今日は特別授業だったな。」

特別授業というのは、普段の授業では指定されたカードからデッキを作ったりするのが普通なのだが、そうではなく各々のデッキでデュエルを行う、プレイングスキルだけでなく構築の腕も試される授業だ。

「…よし!行くか!」

扉を開け、足早にデュエルスペースへ向かった。

ーーー

「ーーーという訳で、しばらく皆んなのデュエルの指導を担当するナナリアだ。よろしく頼む。」

新任の先生による長ったらしい挨拶が終わると、全員がデュエルの準備を始めた。

「さて…。俺の今日の相手は…?」
「俺だ。」

山崎だ。翔が山崎と戦うのは実に数ヶ月ぶりであり、お互いに士気が上がって来ている。

「久しぶりに全力で行くか…な!」
「かかって来い…俺が勝つ!」

「「デュエル!!」」
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ドクダミ2号
お久しぶりです。2ヶ月以上活動が無かったドクダミ2号です。今作を作った理由ですが、単純に生存報告をしたかったのと流石にDFを作るのにあたり、前作があんなでは書けるものも書けない!ってなったからです。2ヶ月放置していた事についてはホントに申し訳無かったです。この場を借りて謝罪させていただきます。 (2017-03-08 18:45)

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0 プロローグ:その青年、危険につき 69 1 2017-03-08 -

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