14. インジュライド・デイ　作：くちなし

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「悠里、、！悠里、、！！」

頭の中で誰かが呼んでいる。その声は頭の中で、めぐり巡って、、

「悠里！起きろ、！！」

目覚めた。
そこに居たのは、、、

「観月くん、、」
「安楽木か、、なんか久しぶりだな。。ん？久しぶり、、？？」
「ほんっと、もう、、1週間以上も起きなかったんだからぁぁ！！」

泣き出す安楽木。っていうか、そんなに寝たまんまだったのか。

「泣くなよ。五月蠅い」
「うーわ、酷い。彼女、今朝からずっといたのよ」

城ヶ崎、ご入場。

「今日は何月何日の何時何分だ？僕は今何処にいる？」

7月1日午後6時30分。夕日が差し込む安楽木宅安楽木の部屋の中。

「そうか、、もう7月か、、」
「正確には1週間と5日ね」

長いな。安楽木。そろそろ泣き止んでくれんかな。頭が、、

「ほんと、朝来たらびっくりだよ。傷だらけで倒れてるんだから」

何故保健室に連れて行かなかったのか。その質問には、城ヶ崎が答えてくれた。あまり納得は出来なかったが。

「もう遅いから。私、先帰るね」
「ああ」

城ヶ崎、これにて退場。

「観月くん、、」
「ん？」
「、、コレ」

お盆に運ばれた何か。

「もしかして、、」
「うん、食べてよ。食べさして上げるから」
「別に、自分でやるから」

両手を動かすが、全く動かない。軽い金縛りにあったかのように。
よく見ると、両手が包帯で巻かれていた。

「手、、出血してたから、、」
「ありがと、、」
「今日と明日は巻いててって。デュエルは一応できると思うし。指は一応開けてるから」
「第2関節まで巻いてて支障なし、、とは之如何に」
「そのままの方が良かった？」
「、、分かったよ、分かったって、、ありがとな」
「分かればいいのよ」

全く、にしても、ホントに肘より先が動かない。風呂はどうせりゃええねん。

「とりあえず、食べてよ」
「分かったよ」

あまり空腹を感じなかったが、好意に甘えさせてもらおう。
安楽木の手料理は中々の物で、決して不美味、、という訳では無かった

「どう、、？」
「うん、普通においしい」
「そう、、よかった」

正直、恥ずかしいんだが。あって3か月のクラスメイトに食べさせてもらっているとは、予想外である。

「服、、脱ぐから、手あげて」
「いや、、そこまでしなくていいから、ホントに！！」
「何考えてんのよ。体拭くだけよ」
「先に言えよ」
「ふぅん、何か良からぬことでも考えていたのかしら、、？ｗ」
「べ、、別に、そうじゃないし、、」
「ふぅん、、」
「な、、なんだよ！」
「良いから早く手あげてくれるかしら？」

手を挙げる。

「背中拭くよ」
「うん」

温かいような、暑い感触が背中を伝う中、ひんやりした感触も伝わる。

「安楽木」

背中をふきながら「なに？」と返事をする。

「なんで同盟を組もうなんて言ったんだ？安楽木なら、友達、普通に出来るだろうに」

うーん、、と考える様子を見せる安楽木。

「私はね、キミと友達になりたかったの」
「どういう事なんだ？」
「3年間1人なんてつまらないでしょ？」
「別に」
「君が良くても、私がなりたいからなったの」
「君、付けなくていい」
「ま、いいや。拭き終わったよ」
「ありがと、安楽木」
「私の苗字は安楽々々木よ」

初めて知った。あの時、休んでたらしいからな。でも、そしたらあの名前は、、？

「長いから。そっちの方が良いでしょ？」
「、、じゃあ、呼び名は安楽木、のままでいいのか？」
「、、うん」
「そうか、、」

沈黙。

「あのさ、、」
「なんだ」
「なんか、堅いから、下の名前、、でもいい？」
「、、、別に、、好きにすれば」
「そう♪」
「、、あ、でも、皆が居る時はダメだからな！」
「照れちゃって、、、」
「別に、慣れないだけ、、」
「隠さなくてもいいのよ、悠里ｗ」
「、、」
「悠里♪」
「なんだよ」
「呼んでみただけぇ」
「安楽々々木、、張り倒すぞ、、」
「悠里も『理沙』っで呼んでくれたらうれしいな」
「、、うるさい」
「意地悪」
「別にいいし。安楽、、理沙なら別に」
「兎に角、今日は泊っていきなよ」
「ほんと、世話になる」
「気にしないで」
「電話は？」
「一人暮らしだから」
「そう」

義姉が居る事は内密にしておこう。

「お休み」

時刻、午後9時。
悠里が初めて女子の家に泊めて貰う事が初めてだという事は言うまでもない。